目次
【第1回】インバウンドマーケティングとは?今さら聞けない基礎知識と実践方法
【第2回】MAツールでできること|「HubSpot」の優れた機能
【第3回】優れた戦略に必要な「3つのメディア」
【第4回】ペルソナとカスタマージャーニー(1)
【第5回】ペルソナとカスタマージャーニー(2)
【第6回】スコアリングによるリードの育成と選別
【第7回】インバウンドマーケティングによくある誤解と失敗する理由
【第8回】マーケティングファネルと自動化(ワークフロー)の活用方法
【第9回】HubSpotを用いたインバウンドマーケティング1年計画
全9回にわたってお送りする、HubSpotを活用したインバウンドマーケティングの連載記事も、今回で最終回になりました。
インバウンドマーケティングという大きなテーマに対して、どのように皆さんに伝えていくか試行錯誤し、当初8回だった予定が9回になりました。
インバウンドマーケティングという言葉自体は知られるようになり、本やブログ記事も多くありますが、基本から実践までシリーズ化したものはあまりないと思います。
インバウンドマーケティングの重要性はますます高くなり、広告(アウトバウンドマーケティング)や営業(フィールドセールス)がメインの企業も、戦略を変える必要が出てきます。
その理由は第1回に紹介した通りですが、それほどユーザー行動は多様化し、選択肢が増えています。
このシリーズを始めたとき、Grabにあるインバウンドマーケティング、マーケティングオートメーションに関する記事はわずか数本でした。
今ではGrabの検索ボックスで「インバウンドマーケティング」と検索すると100本以上の記事がヒットします。
Grabの記事テーマは検索ボリュームなど需要を調査したうえで決めているので、それだけマーケティングオートメーションの重要性が高まってきているのでしょう。
さて、今回はシリーズ最終回、「インバウンドマーケティング1年計画」です。
Grabは2018年5月に始まりました。それから1年半が経過し、ようやくインバウンドマーケティングを構築し、成果を上げることができました。
以前は営業が一日中テレアポして数件のアポを獲得していましたが、今ではインサイドセールス部隊が立ち上がり、大量の問合せの中から確度が高いものだけ営業がフォローするという状態が出来上がっています。
シリーズの中でも何度かお伝えしていますが、インバウンドマーケティングで成果を得るには時間がかかります。
そのため、途中でやめてしまう企業が後を絶ちません。今、成果を得ている企業は間違いなく1年かそれ以上の時間をかけています。
大前提:インバウンドマーケティングで成果を得るには時間がかかる
弊社ではインバウンドマーケティングの構築をサポートしていますが、インバウンドマーケティングの特性について、上記のような説明をしています。
インバウンドマーケティングは、アウトバウンドマーケティングに比べると低コストで、長期的な成果が見込めますが、即時性はありません。
そのことを理解したうえで、広告出稿など即時性のあるアウトバウンドマーケティングをうまく組み合わせる必要があります。
この図はインバウンドマーケティングの基本的な流れを表したものです。もちろん、商品・サービス、社内の運営体制によってもっと細かく分ける必要があるかもしれません。しかし、基本的には「潜在顧客」を惹きつけ「訪問者」にし、「見込み顧客」に転換し、営業プロセスを経て「顧客」化する。そして体験を通じて「推奨者」になってもらうことが基本的な流れです。
つまり、インバウンドマーケティングで成果を得るには、潜在顧客を惹きつけルコンテンツが必要で、訪問者を見込み顧客に転換する仕組みが必要で、見込み顧客を顧客、推奨者にする体制・フローが必要です。
広告施策のように、100万円投資して何件問合せがあった、という話ではありません。
今回は、インバウンドマーケティング1年計画なので、上図のような理論的な内容ではありません。「インバウンドマーケティングに取り組もう!」となってから1年間、具体的に何をすべきか、実際に私たちが何をしてきたのかを泥臭く紹介します。
1か月目 インバウンドマーケティングの計画を立てる
「最近、インバウンドマーケティングが話題らしい」
「競合がオウンドメディアを立ち上げたぞ!」
「広告の費用対効果が合わないし、いつまでも広告集客に頼りっぱなしもまずい」
「上司がインバウンドマーケティングの本を読んで張り切ってる…」
きっかけはともかく、遅かれ早かれ多くの企業がインバウンドマーケティングに取り組むことになるでしょう。
しかし、インバウンドマーケティングは従来のマーケティングと大きく異なる戦略です。やろうと思ってすぐできるものではありません。まずは準備、つまり戦略立案と計画が必要です。
インバウンドマーケティングを始めた最初の月は何かを作ったりお金をかけたりする必要はありません。戦略立案と計画のため、ただ頭を使い、情報を集め、ミーティングを重ねます。
STEP1 目標・目的をはっきりさせる
何より重要なことはインバウンドマーケティングを実施する目標・目的です。これがないと戦略の立てようがありません。
「なぜインバウンドマーケティングに取り組むのか?」
「なぜインバウンドマーケティングでないといけないのか?」
「インバウンドマーケティングで何をしたいのか?」
こうした質問に具体的に答えられるよう、チームでミーティングを重ねます。
弊社の場合、いくつかの目標・目的がありましたが、その一つに従来の営業手法に限界を感じていたことがあります。
テレアポやメール営業といった従来の手法では、担当者につないでもらうことすら難しくなりました。弊社のような広告代理店は、乱暴に言ってしまえば「どこも同じ」です。それぞれ強みやスキル、ノウハウ、サポート体制は違っても、基本的にできることは同じ。
もちろん、弊社にしかないスキルやノウハウはたくさんありますし、実際に契約して運用させてもらえたら成果で見せることができます。しかし、従来の営業フローではそのことが十分に伝わりませんでした。
もっと広告主自身が積極的に私たちの情報を受け取り、価値を認識してくれることが重要だったのです。
あなたがインバウンドマーケティングに取り組む目的は何なのか、まずはそこを明確にしてください。
「来季の売り上げを120%に伸ばす」
「営業がテレアポではなく提案に集中できる環境を作る」
など、具体的なほうがいいでしょう。
STEP2 ペルソナ・カスタマージャーニーを作る
シリーズ第4回と第5回の2回に分けて紹介した「ペルソナとカスタマージャーニー」を作成します。
ちなみに、Grabは最初ペルソナとカスタマージャーニーがなかったため、かなり右往左往しました。誰かが施策を検討しても、それが本当にいいのかどうか判断基準がなかったからです。記事を書いてアクセスを集めても、「それって本当に必要なユーザーに見られているの?」という質問に曖昧にしか答えられませんでした。
ペルソナとカスタマージャーニーを最初に決めて置いたら、成果が出るまでの期間が3~6か月くらいは縮まっただろうと思います。
STEP3 マーケティングファネルを作る
続いては第8回で紹介した「マーケティングファネル」を作成します。カスタマージャーニーは重要な資料ですが、このままでは施策に落とし込みづらいでしょう。それをマーケティングファネルという形で一般化します。
マーケティングファネルが必要な理由や考え方については第8回で詳しく紹介しています。
STEP4 数値目標を立てる
マーケティングファネルができたら、目標数値を決めていきましょう。ここでいう目標数値は単なる売上や利益ではなく、マーケティングファネルにおけるそれぞれの獲得数や転換率です。
上図のマーケティングファネルでいうと、下記のような形になります。ここまでできたら、後は具体的に施策を考えていってそれぞれの数値目標の達成を目指すだけです。
また、この時「いつまでに達成するのか」も明確にしておいてください。半年後、1年後、3年後とそれぞれの時点での目標数値を立ててもいいでしょう。
STEP5 必要なツールを選定する
数値目標が決まったら、施策も見えてくると思います。最後に利用するツールを選定しましょう。
必要なツールは大きく3つあります。オウンドメディアを立ち上げ運営するための「CMS」、見込み顧客を獲得、管理するための「MA」、営業フローを効率化するための「SFA」です。
Grabでも利用しているHubSpotはCMS、MA、SFAが一つになったマーケティングプラットフォームで、インバウンドマーケティングの構築に向いています。
しかし、業界・業種によって必要な機能は様々です。GrabにはMAやCRMの比較記事もあるので参考にしてみてください。
BtoC向けマーケティングオートメーションツール8種類を比較
BtoB向けマーケティングオートメーションツール8種類を比較
業界別マーケティングオートメーション(MA)事例紹介
2か月目 インバウンドマーケティングをローンチする
インバウンドマーケティングの計画ができたら、オウンドメディアの立ち上げを進めていきましょう。
場合によってはオウンドメディアの準備で数か月かかってしまうかもしれません。しかし、WordPressのような既存システムを活用したり、HubSpotのようにCMS機能が搭載されたツールを導入することで、スピーディーに進めることができます。
STEP6 オウンドメディアを立ち上げる
シリーズ第3回で「優れた戦略に必要な3つのメディア」として、「ペイドメディア」「オウンドメディア」「アーンドメディア」を紹介しました。
ペイドメディアは広告、アーンドメディアはSNSなどユーザーが作るメディアです。どちらも重要ですが、インバウンドマーケティング構築のため自社が積極的に行う施策は「オウンドメディア」が中心になります。
オウンドメディアの形は様々ですが、ブログコンテンツが一般的です。最近では動画コンテンツをメインにしたオウンドメディアもありますが、検索流入の観点からも、ブログコンテンツを中心に考えたほうがいいでしょう。
どういったコンセプトのオウンドメディアにするかはペルソナを見て入念に検討しましょう。
STEP7 50本記事を用意する
これもGrabではできていなくて、できていたら成果が出るまでの期間が数か月縮まったであろう施策の一つです。オウンドメディア公開時点で、50本程度の記事を用意しましょう。
オウンドメディアを公開したら積極的に検索して情報を探しているユーザーが流入します。その時にコンテンツが少ないと貴重な見込み顧客を逃してしまうことになります。
オウンドメディア構築の原則として、公開のタイミングである程度のコンテンツを用意しておくことをお勧めします。
STEP8 SNSの運用を開始する
オウンドメディアを公開したら、同じタイミングでSNSアカウントも解説しましょう。SNSは貴重な流入元になります。
優れたコンテンツを公開するとユーザーがSNSでシェアしてくれることがあります。そうした口コミは非常に重要な資産です。それらをキャッチアップできるように、自社のSNSアカウントを解説し適度に運用しましょう。
利用するSNSはTwitter、Instagramの2つが基本になります。業界業種によっては、RoomClipのような特化型SNSを活用してもいいかもしれません。
STEP9 広告やプレスリリースで集客する
オウンドメディアを公開しても最初はあまり流入がないでしょう。SEO対策を行っても、効果が出るには時間がかかりますし、何よりコンテンツ量が増えないと期待できません。
そこで最初は広告出稿やプレスリリースなどアウトバウンドマーケティングの活用をお勧めします。
広告出稿でユーザーにオウンドメディアを認知してもらい、記事を読んでリピーターになってもらったり、シェアしてもらったりする。この流れができれば広告に頼らず自然に集客できるようになるまでそう時間はかからないでしょう。
3~6か月目 流入を増やしリードを獲得する
インバウンドマーケティングにおいて最も重要な資産がリード(見込み顧客)です。オウンドメディアに人が集まっても、リードになってくれなければ意味がありません。
インバウンドマーケティングの失敗例の多くは、集客の後、リードに転換する仕組みがないことが要因です。
STEP10 コンテンツオファーを作成する
リードを獲得する手っ取り早い手段がコンテンツオファーです。いわゆる「価値のある資料を上げるから名前とメールアドレスを教えてください」という手法です。
Grabにも多くのコンテンツオファーがあります。記事では語り切れない内容や、セミナーで紹介したノウハウなどをPDF化し、コンテンツオファーとして紹介しています。
コンテンツオファー作成で重要なことは、ペルソナ、つまり自社にとって理想的な顧客にとって必要な情報かどうかです。
Grabにはデザイン系の記事が多くありますが、デザイン系のコンテンツオファーはありません。それは、弊社が求めるペルソナはデザイナーではなく、広告運用担当者だからです。
もちろん、今後ペルソナを改定してデザイン系のコンテンツオファーを作る可能性はありますが、ペルソナが必要とするコンテンツオファーを作ることが原則です。
コンテンツオファーを作るということは、そのコンテンツを求めている人をリードにするということです。ペルソナに基づいて、価値の高いコンテンツを作成しましょう。
STEP11 メルマガを運営する
メルマガや公式LINEは、企業と顧客の重要な接点です。コンテンツオファーを作成してリードを獲得したら、継続的に接点を持ち続けられるようにメルマガなどでアプローチしましょう。
メルマガについては、「メールマーケティング成功の20のポイント」という記事で詳しく紹介しています。
メルマガはリードナーチャリングにおいても重要なツールなので、早い段階で導入しましょう。
STEP12 記事の更新やSNS運用を継続する
インバウンドマーケティングを計画し始めて3~6か月は、実は一番諦めてしまう企業が多い時期でもあります。記事をたくさん作ったのに流入が少ない、コンテンツオファーを作ったのにリードが増えないなど、諦める理由がたくさんあります。
しかし、3~6か月の段階で大量の集客があり、順調にリードが増え続けている事例などほとんどありません。ここは耐える時期と考えて、こつこつ記事の更新やSNS、メルマガの運用を続けましょう。
少しずつでも流入が増えていれば続ける価値があります。大きく増えないのはまだコンテンツ量が足りないから、知られていないからです。
7か月目 リードを育成・選別する
7か月目、つまりインバウンドマーケティングの1年計画も半分が経過しました。この辺で一度施策を見直し、振り返る必要があります。
逆にこれより前の段階で見直しても単純に時期早々、データが足りません。しかし、これまで紹介してきたステップを経て7か月目に入ったころにはある程度環境が出来上がり、データも溜まってきているはずです。
STEP13 データを分析しペルソナ・カスタマージャーニー・ファネルを見直す
これまで獲得したリードはどんな人ですか?
流入データではどんな人が多いですか?
アクセスを集めている記事はどんな内容ですか?
一度、時間をとってリードや流入を分析してみましょう。
ペルソナでは30代の主婦をイメージしていたのに、実際に集まっているのが10代の学生だったら、ペルソナかコンテンツのどちらかを改善する必要があります。
また、マーケティングファネルやカスタマージャーニーでは検討段階で様々な企業を比較すると想定していたのに、実際にはリード獲得した時点でほとんど決めていた場合もマーケティングファネル、カスタマージャーニーを見直す必要があります。
最初に作ったペルソナ、カスタマージャーニー、マーケティングファネルが正解であることはあまりありません。運営し、実際にリードを獲得していく中で見直していきます。
STEP14 目標数値を見直す
ペルソナ、カスタマージャーニー、マーケティングファネルを見直す際に、目標数値も見直しましょう。上方修正できればいいですが、下方修正することもあるでしょう。
Grabも最初に立てた目標からかなり下方修正しました。それは施策がうまくいっていないというよりも、単純に最初の目標が想定不足だったためです。
インバウンドマーケティングは新しい取り組みなので、最初に完璧な想定はできません。下方修正したからといって、施策が失敗だったというわけではありません。この半年間の数値から、目標数値を見直しましょう。
STEP15 ワークフロー(MAの機能)を利用する
また、この辺でマーケティングオートメーションの本格活用も検討しましょう。これまでの段階でいろいろと試してみることもいいですが、流入やリードの数が十分にない状態ではうまく機能しません。半年ほどたち、目標の見直し後に構築したほうが効果的です。
第8回の記事で詳しく紹介していますが、ワークフローは様々なマーケティング施策を自動化するものです。
例えば、下記は検討中のまま契約が宙ぶらりんになっている見込み顧客に対して、再度アプローチするフローを効率化するものです。
STEP16 スコアリング(MAの機能)を利用する
ワークフローと同時にスコアリングも設定していきましょう。スコアリングも正解が見つからない、難しい施策なので、何度も見直すことを前提に設定してみましょう。
適切なスコアリングは見込み顧客の確度を数値化し、必要な施策を明確にしてくれます。また、ワークフローと組み合わせることで、適切な施策を適切なタイミングで実行する「One to Oneマーケティング」の構築ができます。
One to Oneマーケティングについては、シリーズ第1回で紹介しました。
8~10か月目 リード獲得を加速させる
インバウンドマーケティングを構築し始めて8か月がたちました。このタイミングで成果につながってないとそろそろやばいと感じてしまいますよね。
安心してください。インバウンドマーケティングは半年で環境を整え、その後ようやく成果を得るステージに入ります。ここから、具体的に成果、つまり顧客獲得、売り上げに繋げていきます。
STEP17 インサイドセールスを構築する
インバウンドマーケティングで成果を得るうえで欠かせないチームが「インサイドセールス」です。
従来の営業手法をフィールドセールスといい、取引先を回って商談を掘り起こし、契約に繋げます。しかし、この方法では一日の商談数も限られているため、効率的ではありません。
対して、インサイドセールスは内勤型営業のことで、電話やメールなどを通じて顧客との関係を作ります。
インバウンドマーケティングでは、オウンドメディアなどで獲得したリードをうまく営業につなぐことが肝になってきますが、その役割を担うのがインサイドセールスです。
リードの中には単にコンテンツオファーが欲しいだけの人、学習目的の競合、本当にその分野で情報を求めていて必要としている人など、様々な人がいます。
これらすべてを営業がフィールドセールスの手法でアプローチしていてはきりがありません。
インサイドセールスはリードが豊富に獲得できて初めて必要になります。インサイドセールスの必要性が感じられたということは、オウンドメディアの運用やリード獲得施策が功を奏しているということです。
Grabもインサイドセールス部隊ができてから大きく状況が変わりました。これまで集客はできているけど売り上げにつながっていないという状態から、きちんと契約に繋がる環境ができたのです。
STEP16 セミナーなどのイベントを企画する
業界・業種にもよりますが、特にBtoBにおいてセミナーは効果的な集客方法です。オウンドメディアが成長してくれば、オウンドメディアでセミナー告知をするだけである程度の参加者が集まるでしょう。
仮に10人がセミナーに集まったら、それは10人の非常に確度の高い見込み顧客と直接接点を持てるということです。
また、セミナーを通じて自社のブランディングや信頼構築もできます。ぜひセミナーを企画してみてください。
STEP18 記事の更新頻度を上げる
いい循環ができてきたときこそ、一番上流に力を注ぎましょう。上流とは、マーケティングファネルの最初に位置する部分です。多くの場合、オウンドメディアになるでしょう。
これまで週1本だった更新頻度を週2本にするだけで、リピーターの数が大きく変わります。成果が出始めたときこそ、記事更新に力を注いでください。
STEP19 オウンドメディアのSEO・流入対策を行う
この辺で一度、プロの手によるSEO対策を行ってもいいでしょう。もちろん、記事更新のたびに対策キーワードを決めて適切なコンテンツを作り、内部リンクをつけるなど、基本的なSEO対策は意識していると思います。
しかしSEOの専門家が見るとまだまだ足りていない部分が多いと思います。記事本数も増え、SEO対策を行う土台ができたときにプロの手を借りてください。逆に立ち上げ当初に高額なSEO対策を行っても、土台がないので成果に繋がりません。
このタイミングでのSEO対策は、リード獲得を大きく加速させます。
12か月目 インバウンドマーケティングを加速させる
8~10か月目はインサイドセールスを構築したり、セミナー、SEO対策を行ったりとかなり忙しいと思います。
しかし、この時期を乗り越え、インバウンドマーケティングを行う体制が出来上がったら、後は次々リードが生まれ、インサイドセールスが選別し、営業は最後の商談と契約を行うだけでどんどん顧客数が増えるという好循環に入ります。
こうなってからが本当のインバウンドマーケティングです。
STEP20 1年間を振り返る
これまで様々な施策を実施してきました。その成果を確認し、この1年間の総括をしてみてください。
一年間でオウンドメディアの流入数はどう変わったか、リードはどれだけ獲得できたか、営業コストはどう変化したか、売り上げや顧客数はどうなったか。きっと様々な数値が右肩上がりになっているはずです。
リードタイムが長い業界だとまだ売り上げにはつながっていないかもしれません。しかし、獲得したリードは確実に増え、インサイドセールスや営業は効果を実感しているはずです。
もちろん、すべてうまくいっているとは限りません。インサイドセールスがうまくいかず、リードが営業にほとんど渡っていないかもしれません。その場合は、インサイドセールスのフローを見直すか、リードの質を高める施策をとる必要があります。
これまで紹介してきたステップをたどれば、まったくリードが獲得できていない、ということはないでしょう。
今はその評価をして、次の施策を考えるフェーズです。
STEP21 翌年以降の計画を立てる
この1年間を振り返ったら、翌年以降の計画を立てる必要があります。といっても、やることは大きく変わりません。
下記の図にあるように、コンテンツで潜在顧客を惹きつけ、コンテンツオファーを通じて見込み顧客を獲得し、インサイドセールス、フィールドセールスをうまく活用して顧客にする。この流れを切らさないように続けるだけです。
そして忘れてはいけないことは、ペルソナ、カスタマージャーニー、マーケティングファネルはもちろん、スコアリングやワークフロー、メルマガなど、各種施策や戦略を定期的に見直し、改善し続けることです。
インバウンドマーケティングの素晴らしいところは、作成したコンテンツが資産として残り続け、推奨者を生み出すところです。
オウンドメディア公開時に用意した50本の記事はいまだにアクセスを集め、新しいリードを獲得しているでしょう。さらに、顧客が過去の記事や新しい記事を見てさらにロイヤリティを高めてくれることもあります。
Grabでも、既存の顧客が新しい記事を読んで「こんな広告手法があるならぜひやりたい」と逆に提案していただく事があります。また、顧客が知り合いにGrabを紹介し、そこから問い合わせに繋がることもあります。
インバウンドマーケティングは、今回紹介したとおりにやれば1年後に成果が出るものでもありませんし、そもそも100%うまくいく手法ではありません。ひょっとしたらこのタイミングでそもそもインバウンドマーケティングを続けるか否かの判断になるかもしれません。
大切なことは、きちんと計画して1年間続けることです。うまくいかない企業のほとんどは1年未満でやめてしまっています。1年経つまではうまくいくと信じて、うまくいく方法を実施し続けましょう。
インバウンドマーケティングの目標は「より良い顧客体験」
これまで9回にわたって、HubSpotを用いたインバウンドマーケティング構築についての記事をお届けしました。
それぞれ1万文字くらい書いているので、本が1冊分くらいの量です。しかしそれでもインバウンドマーケティングの基本的な部分しか触れることができませんでした。
インバウンドマーケティングは手法やテクニックではなく、概念、考え方です。本を読んで勉強することはできますが、やはり実践しないと理解することはできません。
そんな思いもあって、最終回はインバウンドマーケティング1年計画という、具体的な内容をお届けしました。
インバウンドマーケティングは広告運用のように専門的な知識、スキルが求められるわけではありません。基本を学び、戦略を立て、PDCAを回せば誰でも、どんな企業でも成果を上げるチャンスがあります。
インバウンドマーケティングとは、ブライアン・ハリガン氏が言う「一般消費者を顧客に育て上げていくための、全てのステップやツール、ライフサイクルの総称」です。
この定義を頭に入れておくと、手法ではなく概念で考えることができます。今回は具体的な内容として、主にGrabが実践してきたことを紹介しました。そのため、オウンドメディアを構築するというステップがありましたが、別にオウンドメディアを構築しないといけないわけではありません。
オウンドメディアよりもInstagramやTwitter、YouTubeといったアーンドメディアを中心に構築したほうが効果的かもしれません。オウンドメディアでも、自社で立ち上げるのではなくnoteのようなプラットフォームを用いたほうが効果的かもしれません。
インバウンドマーケティングを考えるときは、MAやオウンドメディア、メルマガなど手法に意識を向けるのではなく、「一般消費者を顧客に育て上げていくための、ステップは何か」と考えてください。
そうすれば、あなたがやるべきインバウンドマーケティングの形が見えてきます。
弊社はHubSpotを中心としたマーケティングプラットフォームの導入から、インバウンドマーケティングの構築までをサポートしています。サポートが必要でしたら気軽に相談してください。
HubSpotを活用したインバウンドマーケティングのシリーズ記事は下記のリンクからご覧いただけます。ぜひ、参考にしてください。
▶HubSpotを活用したインバウンドマーケティング【全9回】