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【Google検索広告編】広告効果を予測する広告シミュレーションの作成方法

広告効果を予測するシミュレーションの作成方法

公開日:2020年1月8日/更新:2022年6月9日

商品・サービスの販売・マーケティングにかかわった経験があれば、広告出稿を検討されたことがあると思います。
すでに十分な顧客を獲得できている、紹介や代理店からで十分というケースもありますが、安定して売上を伸ばし続けるには、広告を活用する必要性が出てくるタイミングがあります。

では、どの広告手法にいくら投資すべきでしょうか?

それを知る方法が、広告シミュレーションです。
特にWeb広告では非常に細かくデータが取れるうえ、過去のデータから予測数値を出すこともできるため、広告出稿を検討する際にはまず広告シミュレーションの作成をお勧めします。

今回は、Web広告の中でも主要な手法である「Google検索広告」の広告シミュレーション作成方法をテーマにお送りします。

広告出稿前にシミュレーションを作成する理由

弊社は広告代理店として、日々いろいろなクライアント様から広告の相談をいただきます。まずは広告の目的や商品・サービスの内容といったヒアリングを行うのですが、次に行うことが広告シミュレーションの作成です。

下記は弊社が作成した広告シミュレーションの一例です(一部内容は伏せています)。

Google広告検索キャンペーンの広告シミュレーション

クライアント様によってはさらに詳細な数字を算出したり、年間通したプロモーション効果シミュレーションを作成したりすることもあります。

広告シミュレーションは、たとえ広告出稿することが確実であっても必ず作成します。それはなぜかというと、クライアント様に投資する価値があるかどうかを数字に基づいて判断していただく事と、実際に運用してから効果を上げていくための一つの指標になるからです。
まずは広告シミュレーションを作成するメリットを簡単に紹介します。

実際の運用の準備になる

まず、大きなメリットの一つに、広告シミュレーションを作成することが実際の運用準備になります。
作成手順で詳しく紹介しますが、正確な広告シミュレーションを作成するには商品や市場に対する理解が欠かせません。広告シミュレーションを作成することで、実際の運用開始までがスムーズになります。

投資価値があるかわかる

広告シミュレーションとは、言ってしまえば「いくらの広告投資によってこれだけの効果が得られます」という資料です。そのため、広告シミュレーションがあると「これだけの効果が出るならここまで投資しよう」「投資価値はギリギリだからいったん低予算で様子を見よう」「投資価値がないから別の手法を考えよう」といった話ができます。

関係者の共通認識になる

広告シミュレーションという一つの資料によって、関係者の共通認識が生まれます。つまり、関係する人全員が「どのサービスに対して、どの広告手法で、どういったターゲットに対しいくらの広告費を使って、どういう目標がどれくらい発生するか」が明確になります。
広告シミュレーションを作らず、またそれを関係者に共有せずに広告を開始すると、「コンバージョン目標は○○が良かった」「何でこんなキーワードが含まれてるんだ?」といった意見が後から出てきてしまいます。

実際の運用時の課題が明確になる

実際に広告運用を開始したとき、広告シミュレーションは効果の評価基準になります。広告シミュレーションにある数字よりいいのか悪いのか、いいとすればなぜいいのか、悪いとすればどこがボトムネックになっているのか、そうした議論ができます。
逆にデータが少ない運用初期で、こうした評価基準がないと「クリック率を高める運用をすべきか? それともコンバージョン率を高めるべきか?」「いや、クリック単価を抑える調整が必要なんじゃないか」といった議論に対し、答えが出てきません。

広告シミュレーションで出てくる用語

広告シミュレーションを作成する理由について、簡単に紹介しました。広告シミュレーション無しに広告運用を開始した経験がある方は、上記で述べたような課題に直面したことがあるのではないでしょうか?
作成手順で説明しますが、広告シミュレーション自体はそこまで難しくありません。用語の意味や検索広告の仕組みを理解し、いくつかのツールを使えば数時間で作成できます。

では、作成手順の前にGoogle検索広告の広告シミュレーションでよく出てくる用語をいくつか紹介します。

オーディエンス/セグメント

セグメントには「部分」という意味があり、無数のターゲットユーザーの中から、自社の商品・サービスに対するニーズがあると考えられるユーザーに絞ることを意味します。
セグメントしたユーザーに対して広告を配信するわけですが、広告の受け手となるセグメントされたユーザーをオーディエンスといいます。
明確に使い分けなくても問題はありませんが、「広告を配信する対象がオーディエンス」「オーディエンスを見つけるための絞り込みがセグメント」です。

Google広告では非常に細かなセグメントが可能で、年齢・性別・興味関心、そしてキーワードといった様々な方法でセグメントします。

表示回数

Google広告が表示された回数を示します。ブランディング目的の場合は重要な指標になりますが、広告シミュレーションでは市場規模などを測るために用いることが多い数字です。
例えば、表示回数が100万回の市場と10万回の市場では全く異なった戦略を取ります。また、あまりにも表示回数が少ない、多い場合はセグメントを見直す必要があるでしょう。

クリック率/クリック数/クリック単価

Google広告の検索キャンペーンでは、クリック課金が用いられます。そのため、表示回数が何回であってもそのための費用は発生しません。
そのため、「クリック率」「クリック数」「クリック単価」は広告シミュレーションで重要な指標です。クリック率はクリック数を表示回数で割って求めます。
クリック単価は業界によって数十円から数千円と幅があります。Google検索広告の軸となるキーワードを選ぶ際はクリック単価が妥当かも判断しましょう。あまりに高額な場合は見直しが必要かもしれません。

コンバージョン率/コンバージョン数

広告出稿の主要な目標で、Web上で計測する指標をコンバージョンといいます。「無料お試しの申し込みを獲得する」ことが目標であれば、計測するコンバージョンは「無料お試しフォームの送信」となります。
コンバージョン数は広告出稿においてどれだけの効果が出るかという重要な指標です。広告シミュレーションでは、広告投資に対して何件のコンバージョンが獲得できるかを評価します。

コンバージョン率は、コンバージョン数÷広告のクリック数で求められます。

獲得単価(CPA)

広告シミュレーションにおける最重要指標が獲得単価(CPA)です。CPAはコンバージョン数÷広告費で求められ、1件のコンバージョン獲得のためにいくらの広告費がかかるのかを表します。CPAが広告の費用対効果を表すため、投資判断の基準になる指標です。
CPAが1000円であれば、100万円の広告費で1000件のコンバージョンが獲得できます。ただし、200万円の広告費で2000件のコンバージョンが獲得できるとは限りません。市場規模によって広告費の上限ラインが存在し、そこを超えるとCPAが悪化していきます。上限ラインも、広告シミュレーションを作成すれば明らかになります。

Google検索広告の広告シミュレーション作成手順

では、いよいよGoogle検索広告の広告シミュレーション作成手順です。正直、広告シミュレーションに求める精度によって様々で、これから紹介する広告シミュレーションの作成手順はあくまでも一例です。

社運を賭けた大規模な投資であれば、市場調査やリサーチにより多くの時間とコストをかけ、高い精度を目指す必要があります。逆に、過去に似たような広告出稿のデータがあれば、その数字を応用して簡単に作ってしまうことも可能です。

1.商品・サービスの把握、市場調査

一番重要なステップは「商品・サービスの把握」で、最初にやるべきことです。ここでは、商品・サービスの基本的な仕様や強み、競合、ターゲット層などを明確化します。
このステップが不十分であれば広告シミュレーションの精度は大きく低下します。すでにある製品資料等でパッと済ませることもあれば、リサーチ会社に依頼して調査してもらうこともあります。
求める精度に応じてどこまでやるべきかは柔軟に対応しましょう。

ここで重要なのは、商品・サービスのターゲット層のデモグラフィック情報です。検索広告は検索キーワードに連動して表示されるため、細かなセグメントをせずとも確度の高い潜在層にアプローチできます。とはいえ、明らかに対象にならない性別や年齢、地域の人に広告配信しても意味がないため、基本的なデモグラフィック情報は明らかにしておきましょう。

簡易的な市場調査の方法として、「ミルトーク」というサービスがあります。
ここでは様々なサービスに対してユーザーがチャット形式で意見を投げています。有料プランを契約すれば自分自身で質問を投げ、ユーザーから回答をもらうことができます。無料でも回答を見ることはできるので、似ている商品・サービスに関するものがあれば確認してみましょう。

2.検索キーワードの調査

次に検索キーワードを調査します。ここでは、商品・サービスの把握と市場調査で得たデータを元に、ターゲット層が検索しそうな、ニーズが高そうなキーワードを推測します。推測したキーワードをもとに、様々なツールを使って関連語などを見つけ、Googleキーワードプランナーで推定クリック単価や表示回数を確認します。
Googleキーワードプランナーでも関連語を調べることはできるのですが、サジェスト専用ツールなどを用いたほうが幅広いアイデアを得ることができます。
よく使うツールには次のようなものがあります。

3.クリック率・コンバージョン率を決める

前のステップまでで 出稿するキーワードのリストと、クリック単価を知ることができました。
次はクリック率やコンバージョン率を決めます。これらが決まれば後は「合計表示回数×クリック率×平均クリック単価÷クリック数×コンバージョン率」でCPAを求め、広告シミュレーションに必要な数字を求めることができます。
クリック率やコンバージョン率を決める方法は大きく4つあります。

  • 経験則による判断…経験豊富な広告運用者であればキーワードやランディングページからある程度のクリック率やコンバージョン率を想像することができます。
  • 過去の実例に基づく判断…過去に類似した広告運用実績があれば、そこから導くこともできます。
  • 業界平均数値による判断…業界ごとのクリック率やコンバージョン率を掲載しているブログやサイトもあり、その数値を参考に導くこともできます。
  • アクセス解析による判断…コンバージョン設定などがしっかりとできていれば、Webサイトのコンバージョン率を知ることができます。

一番高精度なのは「アクセス解析による判断」です。以前、コンバージョン設定の重要性や方法について紹介した記事でも伝えましたが、アクセス解析がきちんとできていれば、広告シミュレーションの精度も高くなります。
次に制度が高いのは「過去の運用に基づく判断」です。広告代理店が提出する広告シミュレーションは、クライアント側が作成する広告シミュレーションよりも精度が高くなることが一般的です。それは、広告代理店には豊富な実績があり、過去の実数値を元に類推できるからです。
業界平均や経験則による判断はムラが大きく、あまりお勧めはできません。しかし、他に参考になるデータがない場合は、仮に使ってもいいでしょう。

4.広告シミュレーション作成

ここまででセグメントのイメージ、出稿するキーワード、キーワードの表示回数やクリック単価、クリック率やコンバージョン率といった数字を得ることができました。
後は広告シミュレーション資料としてまとめ上げるだけです。弊社が提出しているものはExcelベースなので、数字がメインになっています。提出する相手によって図や表を用いたほうがいい場合もあるでしょう。また、相手のリテラシー層によって、広告手法そのものに対する理解が得れるコンテンツが必要かもしれません。
フォーマットは様々ですが、広告シミュレーションで必ず入ってくるいくつかの指標について、計算式を紹介します。

  • クリック数=表示回数÷クリック率
  • 総広告費=クリック数×クリック単価
  • コンバージョン数=クリック数×コンバージョン率
  • CPA=総広告費÷コンバージョン数

これらを一つにまとめた計算式として、次のようなものがあります。

  • CPA=(表示回数×クリック率×平均クリック単価)÷(クリック数×コンバージョン率)

基本的な掛け算と割り算だけの式なので、難しくはありません。より投資効率的な判断を行うために算出するROI、ROASは次のように求めます。

  • ROI={(商品単価×コンバージョン数)-広告費}÷広告費
  • ROAS={(商品単価×コンバージョン数)}÷広告費

Google検索広告の広告シミュレーションの確認ポイント

広告シミュレーションを作成したら、その数値をもとに投資する価値があるか否かを判断します。
その際に注目したい点として、次の3つがあります。決裁者に報告する際も、主にこの3つを軸に話すことになるでしょう。

1.十分な市場規模があるか

たとえCPAが非常に安く、利益が出るとしても、コンバージョン数が月間5件程度ではビジネス価値がほとんどないかもしれません。検索広告は顕在層にアプローチするという性質上、直接的なニーズが少ない業界では使いづらい傾向にあります。
この判断は、広告シミュレーションの結果、ビジネス価値のあるコンバージョン数が獲得できるかという点で判断します。もっと言えば、顕在化したキーワードの検索ボリュームが十分な数あるか、つまり表示回数をみて判断します。

2.粗利・利益率からみて妥当なCPAか

商品粗利が1000円の商品を販売するのに、CPAが2000円であれば、売れば売るほど赤字になってしまいます。投資する価値があるかどうか、つまり会社に利益が出るかどうかは主にCPAを見て判断します。
ただし、LTV(ライフタイムバリュー)という考え方があるように、一度の購入だけで評価するのではなく、長期的な視点で評価する必要もあります。例えば、自社のECサイトにおいて購入経験のある人が平均して年間5万円の粗利に繋がっているとします。極論、購買経験を作るためにCPAが5万円でもマイナスではありません。
商品・サービスの性質によっては、一回の成約単価ではなく、LTVで考える必要があります。また、コンバージョン後に商談を経てクロージングする場合は、商談のクロージング率も考慮する必要があります。

3.ボトルネックはどこか

もしも各数字を見て、投資する価値がないと判断されたとしたら、それはなぜでしょうか。原因は次の4つが考えられます。

  • 市場が小さい
  • クリック率が低い
  • クリック単価が高い
  • コンバージョン率が低い

市場が小さいのはどうしようもないかもしれませんが、他の原因は運用回避できます。クリック率は広告文によって大きく上下しますし、クリック単価も狙うキーワードや広告ランクによって低く抑えることが可能です。コンバージョン率もランディングページの質を高めたり、コンバージョンのハードルを下げることで大きく上昇させることができます。

広告シミュレーションは出た数字がすべてではなく、「こういう数字が出たということは、ランディングページをリニューアルすればこういう効果が出るんじゃないか」というところまで話すことができます。

まとめ|広告出稿前には必ず広告シミュレーションを作成

今回は広告シミュレーションについて、作成する理由や用語、作成手順などを紹介しました。Google検索広告の場合で紹介していますが、多くの広告手法でも共通する部分があります。

繰り返しになりますが、弊社では広告依頼をいただいた時、受注が確定していても広告シミュレーションを作成しています。それは、今回述べたような様々なメリットがあるからです。
費用対効果が合わない広告依頼を止めることも代理店の仕事の一つ。広告シミュレーション無しに始めた広告施策はたいていトラブルに巻き込まれます。

また、手順で紹介したように、広告シミュレーションは広告のプロ、代理店でなければ作成できないものではありません。
自社で広告出稿を検討している場合は、ぜひ広告シミュレーションを作成してみてください。

広告シミュレーションを依頼

弊社では、広告のご相談をいただいたすべての方に無料で広告シミュレーションを作成しております。
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