メール配信ツールをマーケティングオートメーション(MA)に乗り換えるメリット

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メール配信ツールをマーケティングオートメーション(MA)に乗り換えるメリット

メールによる見込み客へのアプローチは、インターネットが普及して以来、最も早くから行われているデジタルマーケティング手法です。さまざまなツールが増えた現在でも、メールは企業のコミュニケーション手段のひとつとして頻繁に利用されています。

メール配信には専用のツールを利用することが多く、ツールもさまざまな種類が存在しています。しかし近年では、MAの登場により、メール配信ツールからMAに乗り換える企業も少なくありません。そこで本記事では、MAとメール配信ツールの違い、およびMAを利用することのメリットについてご説明します。

見込み客のアプローチに欠かせないメールマーケティング

見込み客のアプローチに欠かせないメールマーケティング 
消費者の行動・情報収集の手段・興味関心や価値観が多様化し、特定の施策だけで効果を発揮することが難しくなりました。以前は広告を出せばある程度の成果が見込めましたが、今では広告は顧客行動のごく一部。SNSや口コミサイト、YouTubeなど様々なプラットフォームから情報を得て、それぞれが相関しながら売り上げに繋がります。
そんな中、重要性を増しているのがメールマーケティングです。チャットによるコミュニケーションも増えていますが、やはりメールを選ぶ企業が多い印象です。それは単に文化や慣習的な理由からではなく、情報の届き方、表現方法といった点でメールが優れているからでしょう。

メールマーケティングとは

メールマーケティングとは、文字通りメールを配信するマーケティング手法です。「メルマガ(メールマガジン)」を想起する人も多いかもしれませんが、メルマガはどちらかといえば自社のブランディングや顧客とのつながりを維持するために行うものです。メールマーケティングのひとつともいえますが、ターゲットを絞るというよりは、自社の顧客リストに対して広く配信し、内容も多くの人にとって関心のあるものであったり、複数のトピックを取り上げたりすることが一般的です。
一方、メールマーケティングは、特定のターゲットに対しメールを配信し、内容もターゲットにあわせて作成します。直接、商品の購入を目的とする場合もあれば、商材への関心を高めることを目的とするなど、具体的なゴールは施策によりますが、最終的には売り上げに貢献することを目的として実施するものです。

メールマーケティングの重要性

SNSやチャットなど、年々コミュニケーションの手段は増えていますが、メールマーケティングは現在でも重要視されている施策のひとつです。

その理由のひとつは、効率的に見込み客へのアプローチができる点です。電話や訪問では対応できる数に限りがありますが、メールであれば一度に多くの人に届けることができます。また、一度作成しておけば、新たに獲得した見込み客に対しても繰り返し使えるため、費用対効果の高い施策といえるでしょう。

もうひとつは、自社サイトへ誘導するための有効な手段であるという点です。自社サイトの誘導には、SEO対策やWeb広告などいくつか手法がありますが、自社の顧客リストに配信するメールは、最も効果が期待できる施策です。
また、チャットよりも表現力が高く、適切な情報を届けることができる点も魅力です。

特に法人顧客の場合、メールはビジネスにおいて使用頻度の高いものであることから、他のコミュニケーションツールよりも効果の高いアプローチ手段です。

メール配信ツールとMAの違い

メール配信ツールとMAの違い
従来、メールマーケティングには専用のメール配信ツールを使うことが主流でした。しかし近年は、MAを導入する企業や、メール配信ツールからMAに乗り換える(または併用する)企業も増えています。それでは、メール配信ツールとMAはどのような点が違うのでしょうか。

メール配信ツールの特徴

メール配信ツールは、当然ながらメールを送ることに特化したツールです。そのため、テキストメールやHTMLメールの作成、スケジュールにあわせた配信設定など、メール配信に必要な機能が揃っています。ツールによってはセグメント抽出も可能であり、特定の条件に合致したリストにのみ配信する「ターゲティングメール」や、あらかじめ設定したスケジュールでメールを数回にわけて送信する「ステップメール」の機能を備えているものもあります。月の配信数が無制限なものや、同時配信数が数百万単位まで可能なものもあり、大量のメール配信に対応しているツールが多い点が特徴です。

MAの特徴

MAは、見込み客の興味や関心を醸成する「リードナーチャリング」や、コンテンツにより潜在顧客を惹きつける「インバウンドマーケティング」に役立つツールです。そのため、MAには見込み客の属性や行動など、さまざまな情報を把握する機能や、条件によってコンテンツを出し分ける機能が備わっています。

顧客管理では、基本的な社名や氏名、メールアドレスといった属性情報だけでなく、自社独自のカスタム項目もあわせて管理できます。また、メールの開封やクリック、Webサイトへのアクセスやフォームの申し込み履歴など、さまざまなオンライン上の行動も取得できます。特定の属性や行動に応じてスコアを付与することで、確度の高い見込み客を判断しやすい点も特徴です。

コンテンツを届ける手段としては、メール送信はもちろん、フォームやランディングページもMAで作成できます。テンプレートをもとにマウス操作を中心に設定が可能で、問い合わせや資料ダウンロードの申し込みもあわせて管理できるため、デジタルマーケティングの主な施策を一つのツールで行うことができます。

メール配信ツールからMAに乗り換えるメリットとは

メール配信ツールはメールマーケティング、メルマガに特化したツールです。そのため、メールマーケティングだけを目標とするなら、メール配信ツールのほうが導入コストも学習コストも安いでしょう。それでも、MAに切り替える企業が増えています。
それでは、メールマーケティングを行っている企業が、メール配信ツールからMAに切り変えるメリットは何でしょうか。

メールマーケティングの課題と対策

先に述べた通り、メールマーケティングは着手しやすい施策ですが、一方で課題もあります。見込み客が受信するメールが多いほど、アプローチが難しくなるという点です。自社がメールを配信する対象顧客は、他社からも同様のメールを受け取っている可能性が高く、特に企業のメールアドレスへ配信する場合は、仕事関連のメールに自社のメールが埋もれてしまい、気づいてもらうことさえ困難な状態です。

このような状況において、メールマーケティングの効果をあげるには、いかに一人一人の興味やニーズにあった内容でメールを配信し、自社のメールに反応してもらえるかという点が重要になります。言い換えれば、どれだけメールをパーソナライズ化できるかということが鍵になります。

One to Oneメールを実現するMAツール

メールマーケティングの効果をあげるには、いかにメールをパーソナライズができるか、つまりOne to Oneメールを実現できるかということです。一方で、現在は消費者のニーズや嗜好は多様化しており、One to Oneのメールマーケティングは簡単ではありません。
インターネットやスマートフォンの普及により、商材に関して自ら情報を得ることが可能となったため、あらゆる購買プロセスが存在し、異なる動機で行動します。パーソナライズの精度をあげようとするほど従来のツールでは対応が困難になります。

そこに登場したのがMAです。MAでは属性や行動記録をもとに、細かいセグメント抽出やコンテンツの配信が可能です。メール配信においても、高度なパーソナライズをできる点がMAの強みであることから、MAに乗り換える企業が増えているのです。具体的には以下のようなことが可能です。

精度の高いセグメント抽出

MAでは、前述のように自社独自の項目を含めた属性情報やオンライン上の行動情報を取得できるため、あらゆるパターンのセグメント抽出が可能です。
例えば、「所在地が東京でセミナーの申し込みが1度もなく、製品AとBのページを閲覧したことのある見込み客」というような条件での抽出もMAでは管理画面上からすぐに行うことができます。

タイミングを逃さない配信

MAでは行動情報の取得により、メール配信においても顧客の行動を起点とした配信が可能です。例えば「商品Aのページを訪問したとき」や「資料をダウンロードしたとき」などの条件を指定することで、顧客の興味が高まっているタイミングでメールを配信することができるので、時間指定による配信よりも高い効果が期待できます。
適切なタイミングでの施策はOne to Oneの大きなポイントです。情報過多の時代、3か前に見た記事の内容を覚えている人はそんなに多くありません。ニーズが高まった、何らかの行動を起こしたタイミングでコミュニケーションが取れるのは大きな強みです。

マーケティングシナリオに沿ったメール

MAでは、ターゲティングメールやステップメールだけでなく、シナリオにそったメール配信ができます。セグメント抽出やタイミング設定により、指定した条件によって配信するメールを変えたり、時間をおいてから配信を再開したりなど、さまざまなパターンが可能です。「エンゲージメント機能」とMAでは呼ばれることが多く、マウス操作で条件分岐を伴うフローを作ることができます。

また、高度な差し込み機能がある点も特徴です。顧客データとして管理している多くの項目を置き換えることができ、設定箇所も件名や送信元だけでなく、メールの内容を文章ごと変えるといったことも可能です。例えば、過去のセミナーの参加状況に応じて、案内するセミナーの内容を出し分けるということも1つのメールで行うことができます。

メール配信ツールからMAに乗り換えるメリットのまとめ

以上のように、MAには高度なOne to Oneマーケティングを実現できる機能が備わっており、それがMAを導入する大きなメリットです。今回はMAの乗り換えをテーマに、メール配信機能を中心にご説明しましたが、MAはもちろんメール配信だけのツールではありません。ツールにより特徴は異なりますが、Webに表示する内容を顧客の状況に応じて動的に変化させたり、アプリのプッシュ配信を行ったりといった、メール以外にもさまざまなコミュニケーション手段に対して活用できます。
コンテンツの内容や届けるタイミングだけでなく、配信手段も含めて、ターゲットにあわせて最適なアプローチをすることが今後ますます重要になってくるでしょう。
現在、メールマーケティングに課題を感じている方やMAの導入を迷っている方は、今後の改善施策として参考にしていただければと思います。