Webマーケティング

【HubSpot 1/8】インバウンドマーケティングとMA

インバウンドマーケティングとMA

今回から全8回にわたって、HubSpotが提供するMA(マーケティング・オートメーション)ツールを活用したインバウンドマーケティングをテーマにお送りします。
インバウンドマーケティングは、現代の消費者・購買者の行動プロセスに合わせて提唱されている新しい概念です。
企業が顧客に情報を押し付けるアウトバウンドから、顧客が企業のファンになるインバウンドへ、マーケティング体質を180度変える方法をご紹介します。

【第1回】インバウンドマーケティングとMA
【第2回】MAツール「HubSpot」でできること
【第3回】優れた戦略に必要な「3つのメディア」
【第4回】ペルソナとカスタマージャーニー
【第5回】リードナーチャリングとリードクオリフィケーション
【第6回】MA導入の懸念点と注意事項
【第7回】HubSpotを活用してLINEでクロージングする方法
【第8回】HubSpotを用いたインバウンドマーケティング10週間計画

インバウンドマーケティングとは

「マーケティング」という概念が登場して100年以上、ごく最近まで「企業から消費者へ」アプローチする「アウトバウンドマーケティング」が中心でした。
しかし、過去に記事でも紹介したように、HubSpot社のブライアン・ハリガン氏が2006年に「インバウンドマーケティング」を提唱してから、マーケティングの概念が大きく変わりました。

ブライアン・ハリガン氏は、インバウンドマーケティングを「一般消費者を顧客に育て上げていくための、全てのステップやツール、ライフサイクルの総称」と定義しています。

これからHubSpotのMA(マーケティング・オートメーション)ツールをはじめ、様々なツールや手法を紹介しますが、インバウンドマーケティングの本質はツールではありません。
“顧客に育て上げていくための”プロセス全体を示す概念であることを念頭に置いておいてください。

インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違い

これまでマーケティングの常識であった「アウトバウンドマーケティング」は、企業から消費者(ユーザー)へ情報を提供することが基本でした。
雑誌広告、新聞広告、ラジオCM、テレビCM、屋外広告など、古くから存在する広告手法は、企業が自社の商品・サービスについて伝えたいことを、いかに消費者に届けるかがテーマになっています。

主役、主導権は常に企業にありました。

しかし、「インバウンドマーケティング」では、消費者を主役にすることが基本となります。

消費者が自らの意志で企業や商品・サービスを発見し、自らの意志で理解・興味を深めていきます。消費者自らが「内に入ってくる(Inbound)」ため、「インバウンドマーケティング」といわれています。

そのため、インバウンドマーケティングの手法は、ブログやSNSでなどで有益な情報を発信し、消費者に見つけてもらうための施策が中心になります。

もちろん、有益な情報を置いておくだけで自然に消費者が集まり、勝手に顧客へと育っていくわけではありません。顧客に育て上げるには、戦略的なアプローチが欠かせません。

従来のマス広告や通常のウェブ広告といったアウトバウンドマーケティングの手法と、インバウンドマーケティングの位置関係を表すと次の図のようになります。

図にあるように、インバウンドマーケティングは顧客が主役で、企業がコントロールしにくい分野です。
しかし、テクノロジーの進歩により、インバウンドマーケティングをコントロールし、戦略的に実施するツールが誕生しました。それが、HubSpot社が提供するMAツール「HubSpot」です。
MAツールを適切に使うことで、消費者がどのような情報を望んでいるのかを把握し、最適なタイミング、最適な方法でアプローチすることができます。

MAツールについては第2回の記事でご紹介します。

では、そもそもなぜインバウンドマーケティングが注目されているのか見ていきましょう。

なぜアウトバウンドマーケティングが利かなくなったのか

インバウンドマーケティングが大きな注目を集めている理由には、アウトバウンドマーケティングで効果が出づらくなったことがあります。
それは、インターネットの登場により、消費者のニーズや行動モチベーション、情報収集方法が多様化したことが主な原因です。

例えば、好きな音楽を見つけるとき、従来であればテレビやラジオの音楽番組を視聴するか、CDショップへ足を運んでいました。
最近では、TwitterなどのSNSやYouTube、ニコニコ動画、iTunes、Amazonのプライムミュージック、Googleプレイミュージック、スポティファイ(Spotify)など、音楽を見つける場所を上げればきりがありません。
ティックトック(TikTok)のような口パク投稿専門のSNSで人気に火が付く古い曲があったり、SHOWROOMのようなライブ配信アプリをきっかけにインディーズ、個人の曲が注目を集めることもあります。 新しいアーティストをプロモーションする際、これまでは音楽番組に掛け合い、CDショップにブースを設けることで十分成果が期待できました。
しかし、これだけ音楽と出会う場所が増えると、従来のアプローチでは十分な成果が期待できません。

また、現代は情報過多の時代です。人は一日に3000~5000の広告を見ているという調査結果があります。この調査結果も数年前のものなので、現在はさらに多いかもしれません。
電車のつり革、ポスター、駅のデジタルサイネージ、屋外看板を考えると、通勤するだけで数百件の広告と出会います。さらにインターネットを使うと、リスティング広告、バナー広告があります。

戦略無しに広告費を投入しても、消費者に情報を届けることは難しくなっています。

広告費をかけ、企業が消費者にアプローチする「アウトバウンド(外に出す)」な手法ではなく、多様化・複雑化した消費者のニーズ、行動にあったマーケティング手法が求められており、それが「インバウンド(内に取り込む)マーケティング」です。

インバウンドマーケティングのアプローチは「One to One」が基本

インバウンドマーケティングでは、消費者を主役として関係を築いていきます。
そのためには、企業が大多数に情報を発信する1対多のコミュニケーションではなく、企業と消費者が1対1でコミュニケーションをとる、「One to Oneマーケティング」が重要になります。

 


上記の図にあるように、従来はすべてのユーザーに同じキャンペーン情報を届けていました。しかし、One to Oneマーケティングでは、ユーザーの年齢や性別、興味関心といったプロフィール、閲覧履歴、購入履歴から、そのユーザーに適したキャンペーン情報を届けます。

「その人が欲しい情報(その人のための情報)を、その人が欲しいタイミングで提供する」という考え方、手法がOne to Oneマーケティングです。

 

例えば、メルマガ会員全体に同じステップメールを送るのではなく、カートに入れてから3日以上経過したら「お買い忘れではありませんか?」とメールを出したり、以前購入した商品と関連する商品が入荷されたら「こちらもいかがですか」と案内したりします。

このように、一人ひとりにカスタマイズされた「One to Oneマーケティング」は、インバウンドマーケティングを成功させるうえで、欠かせない考え方です。

MA(マーケティング・オートメーション)とは

One to Oneマーケティング、つまり消費者を主役として1対1のコミュニケーションを達成するために欠かせないツールが「MA(マーケティング・オートメーション)」です。詳しくは第二回の「MAツール「HubSpot」でできること」で紹介しますが、MAとは何なのかを簡単に紹介します。

MAとは、ざっくり言ってしまうと、

1. ユーザーデータを蓄積する
2. データをもとにユーザーを分類する
3. 分類したユーザーに最適なアプローチを行う
4. 成果を測定・分析し、次のアクションに活かす

という4つのフローを効率的・効果的に行うためのツールです。

具体的な機能として、「顧客行動に基づくスコアリング」と「マーケティングキャンペーンの自動化と最適化」があります。

スコアリングとは、ウェブサイトにアクセスしたら1点、会社概要ページにアクセスし30秒以上滞在したら2点、1週間以内に再度訪れたら3点などと設定し、見込みの高いユーザーを自動で抽出する機能です。

マーケティングキャンペーンの自動化と最適化とは、最適なタイミング、最適な方法でアプローチをとるための機能です。

上記はMAツールを用いたキャンペーン設計の一例です。

打ち合わせを行い、見積まで提出したのに、その後連絡が取れなくなくなるということはよくあることです。
このキャンぺーンは、「取引ステージ」という項目が「結論・返答待ち」になっているユーザーが自社サイトを訪問した際に、メールを送付するというものです。
つまりこちらから見積等の資料を送付し、その後返答がなかった見込み客が何かのきっかけで自社のことを思い出しサイトを訪問した際に、メールを送付して状況を進展させることができます。

単純なワークフローですが、これをMAツールなしに行おうとすると、返答待ちとなっている顧客をすべて把握し、常にアナリティクスを監視している必要があります。ウェブ上での行動に基づいたマーケティングキャンペーンを自動で展開できることが、MAの大きな特徴です。

第1回 MAを活用したインバウンドマーケティング

今回は、全8回にわたってお届けする「MAインバウンドマーケティング」第一回として、「インバウンドマーケティング」と「One to Oneマーケティング」、「MA(マーケティング・オートメーション)」の3つのキーワードを紹介しました。

この3つのキーワードの関係性を図に表すとこのようになります。

インバウンドマーケティングの重要性について、この記事だけで十分伝わったかはわかりません。しかし、長年マーケティングに携わっている方なら、マーケティングのあり方が大きく変わってきていることは感じていると思います。「One to Oneマーケティング」や「MA」といったキーワードを耳にする機会も増えてきていると思います。

 

次回以降は、消費者を顧客に育てていくためのステップやツール、考え方について、より深く紹介していきます。
第2回、MAツール、特に「HubSpot」の機能について、詳しく触れていこうと思います。HubSpotには「ワークフロー」やブログ、ランディングページ作成など、インバウンドマーケティングの実現に必要なあらゆる機能が備わっています。

【第1回】インバウンドマーケティングとMA
【第2回】MAツール「HubSpot」でできること
【第3回】優れた戦略に必要な「3つのメディア」
【第4回】ペルソナとカスタマージャーニー
【第5回】リードナーチャリングとリードクオリフィケーション
【第6回】MA導入の懸念点と注意事項
【第7回】HubSpotを活用してLINEでクロージングする方法
【第8回】HubSpotを用いたインバウンドマーケティング10週間計画