【Instagram集客活用法 2/5】SNS活用では必須の運用目標とルールの策定

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【Instagram集客活用法】Instagramをビジネスに活用するメリット

第1回:Instagramをビジネスに活用するメリット
第2回:SNS活用では必須の運用目標とルールの策定
第3回:フォロワーを増やす7つのテクニック
第4回:効果的な運用に活用したいツールやアプリ
第5回:ビジネスプロフィールで活用できる機能
番外編:Instagramとは何者だ? リリースから2019年3月までの歴史を探る
番外編:Instagramとは何者だ? 13のデータで捉えるビジネスチャンスの正体
番外編:Instagramで成果を上げている10の企業アカウント

Instagramのビジネス活用、集客活用のシリーズ記事、第2回は、「SNS活用では必須の運用目標とルールの策定」です。
SNSのビジネス活用と聞いた時に、多くの方が抱く懸念は「本当に売り上げに貢献するのか」「炎上リスクがあるんじゃないか」と思います。
実際、SNSをビジネスに活用し、様々なプロモーションを行ったにもかかわらず、売り上げに貢献しなかったケースや、炎上によって企業ブランドに大ダメージを与えたケースは少なくありません。

そこで、重要になってくるのが今回のテーマである「運用目標」と「運用ルール」の策定です。
これらはInstagramのアカウントを作る前にしっかりと決めておくことがベストです。どれほどフォロワーが増えても、炎上したり、売り上げにつながらなければ意味がありません。
それではまず、SNS活用の失敗事例を見ていきましょう。

SNSの活用に失敗した企業事例

前回の記事で紹介したように、今では様々な業種の企業がSNSアカウントを作り、ビジネスに活用しています。しかし、すべてがうまくいったかというとそうではありません。
自社のSNS活用を成功させるために、まずは失敗するケースや事例を見ていきましょう。

プロモーションのやりすぎでステマ認識が広がる

最近、企業のSNS活用が広がったことで「ステマ」という言葉も一般化しました。ステマとは、「ステルスマーケティング」のことで、広告とわからないように企業の商品をプロモーションすることです。
例えば、実際に利用者ではない人にお金を払い「このコスメが良かったとInstagramに投稿してください!」といったことを依頼した場合、明らかにステマになります。

企業からすると、広告よりも費用が抑えられ、ユーザーの口コミ促進につながる効果的な方法に見えますが、ユーザーはこうした投稿に敏感に反応します

インフルエンサーマーケティングでは、影響力のある一般ユーザーなどに、商品を紹介してもらう代わりにお金を支払います。この時、宣伝であることを隠して紹介してもらった場合、ステルスマーケティングにあたります。
以前、「インフルエンサー・マーケティングの始め方」で紹介しましたが、宣伝であることがわかるように明記してもらったうえで、商品・サービスの良さを伝える必要があります。

この意識が足りない企業のSNS活用は、すぐに「ヤラセ」「サクラ」といった評判がつき、プロモーションの効果もなくなり、ブランドイメージに悪影響が出てきます。

フライは、自社メディアサイトのプロモーションに第三者と見せかけたカウントを社員に運用させていた。【お詫び】と題してInstagramアカウント上でステマを行ったことを謝罪。

フライは、自社メディアサイトのプロモーションに第三者と見せかけたカウントを社員に運用させていた。【お詫び】と題してInstagramアカウント上でステマを行ったことを謝罪。

画像:ねとらぼ

実例では、2017年にメディア運営会社「フライ」が、自社運営サイトの宣伝に第三者と見せかけた社員アカウントを利用していたとして、謝罪したものがあります。
この問題の発覚は、会社からステマ指示を受けて実際にこのアカウントを運用していた担当者が、自身のTwitterで告白することで明るみになりました。

法律知識の不足で投稿が違法コンテンツに

SNSの運用では、そのSNSに合ったテイストの投稿が求められます。Instagramであればオシャレな写真、Twitterであればコメディチックなテキストと動画などです。どのSNSでも、共通してビジネス色の強くない投稿が好まれます

ビジネス色のない自然な投稿のほうが好まれることは確かですが、企業がマーケティング活動の一環で利用するのであれば、それはビジネスです。最低限の法律知識やマナーは必須でしょう。

例えば、自社の商品の使用風景がわかる写真を投稿した際、自社の商品だけでなく、他企業の商品が移りこんでいる場合があります。
一般人の投稿であれば、あくまでも「個人利用」であるため問題ありませんが、企業が行う「商用利用」において、他社の商標などを勝手に使うことは禁じられています。

【知的財産権・著作権】必ず押さえるべきWeb・インターネットの法律知識

SNSアカウントを運用する場合、著作権をはじめとする知的財産権の知識は必須

SNSアカウントを運用する場合、著作権をはじめとする知的財産権の知識は必須

また、ユーザー投稿を転用してしまう事例も見かけます。
ユーザーの投稿を活用すること自体は、SNS上の会話を促すうえで非常に効果的です。

例えば、自社商品を使って投稿してくれたユーザーや、キャンペーンに参加しているユーザーの投稿を見つけた場合。Twitterであればリツイートという機能がありますが、Instagramにはありません。そのため、ユーザーの画像をそのまま「○○さんに紹介いただきました」のような形で投稿してしまうケースがあります。
これも、ユーザーによっては無断転載されたと感じ、炎上や批判の原因になります。

SNSは様々なユーザーが、様々な考え、感情、目的で利用していることを意識しましょう。
ハッシュタグキャンペーンなどを行う際は、「#◯◯というハッシュタグをつけて投稿していただくと、弊社のアカウントで紹介させていただく場合があります」のように書いておきましょう。ちなみにこの「#○○」は、「#カフェ」のように一般的なものでは意味がありません。ブランド独自のものである必要があります。

乗っ取りや勘違いで炎上

大企業のSNSが、常識では考えられないような投稿をしてニュースになるのを見たことがあると思います。
これらは、アカウント乗っ取りといった悪意ある被害だけでなく、担当者の勘違いやうっかり発言などが原因です。

アカウント乗っ取りに対しては、企業のアカウントである以上しっかりセキュリティ管理を行うべきでしょう。定期的にパスワードを変更する、複雑なパスワードを設定する、関係者以外がパスワードにアクセスできないようにするなどの対策が必要です。

勘違いやうっかり発言でよくあるケースは、担当者が自分の個人アカウントと間違えて企業アカウントでプライベートな発言をしてしまうことや、何気なく言った言葉が一部のユーザーの不快感を買い、炎上するといったものがあります。

この例で有名なものにはディズニーのTwitterでの発言があります。2015年、原爆投下の日にディズニー公式アカウントが「なんでもない日おめでとう。」とツイートし炎上しました。

ディズニー公式_担当者に少し気づかいや常識が足りなかったため、思わぬ炎上を招いた

ディズニー公式_担当者に少し気づかいや常識が足りなかったため、思わぬ炎上を招いた

画像:ガジェット通信

しかし、これは「不思議の国のアリス」の映画で歌われる歌詞の一部で、担当者は何の悪意もなく投稿しています。
SNSは、少し常識や気遣いが足りないだけで、ブランドイメージを棄損してしまう場です。

ディズニーはすぐに投稿を削除し謝罪したが、人気アカウントのため影響は小さくなかった

ディズニーはすぐに投稿を削除し謝罪したが、人気アカウントのため影響は小さくなかった

画像:ガジェット通信

ディズニーはすぐに対処の投稿を削除しましたが、多くのファンがいるアカウントだけに大きな問題となりました。

これらの問題は、すべてSNS運用に明確な目的やしっかりしたルールがないために起こっています。
ここからは、Instagramアカウントの運用目標と運用ルールを見ていきましょう。Instagram向けに書いていますが、他のSNS運用でも多くが共通しています。

Instagramアカウントの運用目標

運用目標とは、「いったいどうなったらInstagramアカウントの運用がうまくいったと判断するのか」ということです。
実際、Instagramを運用して直接的な成果が計測できるケースはあまりありません。Instagramがきっかけで来店したり、商品・サービスを利用したりしたとしても、そのことをデータとして計測することは非常に難しいからです。
SNS向けの解析ツールや、来店コンバージョンを測るツールも登場していますが、Instagramの運用ではInstagram内で計測できるデータを目標に設計したほうがいいでしょう。
これには、次の3つが必要になります。

ターゲットの明確化

まずはInstagramでアプローチするターゲットを明確化する必要があります。そのためには、ペルソナを作成する必要があります。

この時、注意することは「Instagramでアプローチするターゲット」ということです。

前回の記事で紹介したスターバックスのアカウント活用例から考えてみましょう。スターバックスは、ビジネスパーソンから主婦、学生まで年齢性別ともに多種多様な顧客が利用します。
しかし、スターバックスのInstagramアカウントは「徹底してオシャレ」です。仕事の合間に毎日スターバックスを利用している40代男性ビジネスパーソンが見て面白い投稿はないでしょう。この層がよく飲んでいるドリップコーヒーの情報はほとんどないからです。

自社の顧客、見込み客のうち、Instagramでアプローチしやすい人は誰でしょうか。
今の顧客層から考えても難しいかもしれませんし、今の顧客層もInstagram上では違った興味関心、ニーズをもって行動しているかもしれません。
Instagramのターゲットを考える際は、顧客データやGoogleアナリティクスの数字を見るよりも、Instagramで競合企業や有名なユーザーのアカウントを見たり、関心がありそうなハッシュタグで検索したりしたほうがいいでしょう。

目標行動の設定

ターゲット層が決まったら、次にその人に何をしてほしいのか考えます。
Webサイトにアクセスしてほしいのか、ECサイトで購入してほしいのか、お店に来店してほしいのか、口コミを広げてほしいのかといったことです。

これは、次のKPIの設定に影響してきます。Instagramをきっかけに来店してほしいのであれば、単にフォローしてもらっても意味はないかもしれません。その人は単にオシャレな写真が見たいだけかもしれないからです。
来店を目標にするのであれば、投稿に対するより積極的な行動(コメントやシェアなど)や、自分で画像とハッシュタグをつけて「行ってみたい」と投稿してもらった方がいいでしょう。

論理的に考えた目標行動を設計することで、次のKPI設計やInstagram運用による事業貢献が見えやすくなります。

KPIの設定

目標行動が決まったら、今度はそれを具体的な数値目標(KPI)に落とし込みましょう。

例えば、フォロワー獲得を目標行動にした場合、「6か月後に5,000フォロー獲得」などがKPIになります。
他にも「平均投稿いいね数100件」や「ブランドハッシュタグ投稿1,000件」なども考えられます。

KPIに求められることは「①計測できる数値であること」「②ビジネスへ貢献すること」の2つがあります。

1つ目は評価するうえで欠かせません。来店してもらうことが目標であれば、Instagramをきっかけに来店したことを計測する仕組みが必要です。これは「事前にInstagram投稿で1ドリンク無料」といったキャンペーンや、店内のアンケートなどで計測できます。

2つ目は、KPIの達成がビジネスに貢献するかどうかです。「フォロワー1万人」をKPIにしたとして、フォロワー1万人がビジネスにどんな影響を与えるのか説明する必要があります。
例えば、過去の実績やいろいろな調査データから「アカウントフォロー後1か月以内に5%のユーザーが実際に来店している」と考えられるのであれば、フォロワー数をKPIに設定してもいいでしょう。いいねやハッシュタグ投稿数についても同様のことが言えます。

Instagramは感性が重要なSNSなので、KPIや目標を意識しすぎるとうまくいかないかもしれません。
その点も考慮し、柔軟に運用していく必要がありますが、企業としては明確な運用目標があったほうがいいでしょう。

Instagramアカウントの運用ルール

運用目標が決まったら、次は運用ルールを決めましょう。SNSについて回る炎上やヘイト、ブランド棄損といったリスクを避け、目標達成に向けて効果的に運用するためには、運用ルールの策定が欠かせません。
運用ルールは企業のポリシーやInstagram活用の目的、商材やターゲット層によって様々です。ここでは基本的なことや概要だけを紹介するので、ぜひ自社の運用ルール策定の参考にしてみてください。

アカウント管理ルール

アカウントのログイン情報やセキュリティを誰が管理するのか、誰がどのアカウントを担当するのか、成果測定や報告はどのように行ったのかなど、アカウント管理ルールを決めます。
アカウント管理ルールには、次のような内容が考えられます。

  • パスワードの設定方法
  • パスワードの更新・管理方法
  • パスワード管理者
  • ログイン情報保有者
  • ログイン可能デバイス
  • アカウント運用担当者
  • 成果報告の頻度と方法

アカウント管理ルールがあいまいだと、パスワード情報流出リスクが高まるなど、アカウントの長期運用に支障をきたします。

投稿ルール

Instagramに限らず、SNSは投稿の質で成果が決まります。どんな投稿をどういった頻度で行うのかなどは運用初期にしっかり策定しておきましょう。
第一回に紹介したMy Little BoxやMurad Osmannのようにアカウント全体の統一感はブランドイメージを築くうえで非常に重要です。ルールなくその時の気分や個人の好みで投稿を繰り返しても大きな成果には繋がらないでしょう。
もちろん、実際に運用すると投稿ルールを変える必要が出てくるでしょう。運用初期段階の投稿ルールは柔軟性を持たせることも大切です。

ここでは、次のようなことを決めておきます。

  • 投稿頻度
  • 投稿時間
  • 投稿のトーン&マナー
  • 画像の加工方法
  • ハッシュタグの選定方法
  • 企画から投稿までのフロー

次回、「フォロワーを増やす10のテクニック」で詳しく紹介しますが、Instagramにおいてハッシュタグの選定は成果に大きく影響します。
単に「投稿数が多いハッシュタグを選ぼう」「画像とマッチしたハッシュタグを入れよう」ではなかなかうまくいきません。

アクションルール

SNSはユーザーとコミュニケーションをとる場です。それはInstagramでも変わりません。
ユーザーが自社のアカウントへいいねやコメント、シェアなどのアクションを取った場合、ブランドハッシュタグで投稿してくれた場合、何もせずに放置していてはInstagramの価値を十分に発揮することができません。
また、ネガティブなアクションがあった場合の対応も重要です。企業のSNSトラブルは、ネガティブな投稿が生まれることではなく、その投稿へのアクションが遅すぎることでさらに悪化する傾向にあります。

  • 返信判断基準
  • 返信のトーン&マナー
  • 返信時間
  • ハッシュタグ投稿への対応
  • ユーザーアカウントのフォロー&アンフォロー
  • ユーザー投稿への対応
  • ネガティブコメントへの対応フロー

複数の担当者が1つのアカウントを運用する場合、それぞれの判断で返信したりしなかったりすると、1つの投稿に2つのコメントを返してしまうなど、トラブルになりかねません。
誰がいつ、何を確認し、どういった基準でアクションを取るのか、ドキュメントとして残しておいた方がいいでしょう。

エスカレーションルール

最後に、活躍しなければそれに越したことはないのですが策定しておいたほうがいいのが緊急時のエスカレーションルールです。
エスカレーションルールとは、非常事態、緊急時に迅速に情報収集と対応指示を行い、事態を収束させるためのフローです。
この時、大切なことは最終責任者を決めておくことです。店舗スタッフレベルでは、大規模な炎上に対して責任をもって対応することは難しいかもしれません。誰が誰に報告し、どのようなフローで対処するのかを明確化します。

  • 最終責任者
  • 非常事態の報告フロー
  • 非常事態の指示フロー
  • アカウント停止判断基準

もしパスワードが外部に流出し、悪意をもって操作されたなら、一刻も早くアカウントを停止するかパスワードを変更する必要があります。本当に急を要する場合、運用担当者レベルでアカウント停止やパスワード変更を行えるよう、その判断基準を設けるといいでしょう。

まとめ|SNS活用では必須の運用目標とルールの策定

本連載はInstagramのビジネス活用、集客活用がテーマですが、今回は、SNS運用全体に言える内容として「SNS活用では必須の運用目標とルールの策定」を紹介しました。

SNSはアカウント作成から運用まで無料で、誰でもできてしまいます。そのため、「とりあえずやってみた」という話も少なくありません。
しかし、企業がSNSアカウントを作るということは、全世界のSNS利用者がそのアカウントを通じて、企業のメッセージやブランドイメージ、その企業に対するユーザーの反応を見ることができるということです。

一時期はSNS関係のトラブルが相次いでいた時期もありますが、最近は「ソーシャルメディアポリシー」を策定する企業も多く、以前ほどトラブルが目立つことはなくなりました。
それは、今回紹介したような運用ルールが浸透してきたからです。

これからフォロワーを増やすテクニックや、インスタ映えする写真のコツなどを紹介しますが、一番重要なのは今回の内容と考えています。
今、こうしたルールなしにSNSをビジネスに活用しているのであれば、ルールの策定を検討してみてください。

第1回:Instagramをビジネスに活用するメリット
第2回:SNS活用では必須の運用目標とルールの策定
第3回:フォロワーを増やす7つのテクニック
第4回:効果的な運用に活用したいツールやアプリ
第5回:ビジネスプロフィールで活用できる機能
番外編:Instagramとは何者だ? リリースから2019年3月までの歴史を探る
番外編:Instagramとは何者だ? 13のデータで捉えるビジネスチャンスの正体
番外編:Instagramで成果を上げている10の企業アカウント