ビジネスフレームワークでは組み合わせが重要
マーケティングに欠かせないビジネスフレームワーク集-現状分析編Part1でも伝えたように、マーケティングとは膨大な情報との戦いです。
膨大な情報の中から有益なものを見つけ出し、活用して成果を上げるためには、フレームワークの活用が欠かせません。
前回は、4C分析、4P分析、SWOT分析など6つのフレームワークを紹介しました。どれもマーケティング戦略のための現状分析フレームワークです。今回も現状分析に役立つフレームワークとして、STP分析やPEST分析など4つを紹介します。
「そんなに多くのフレームワークが本当に必要なのか?」
現状分析だけで10個ものフレームワークが出てくると、そう感じてしまうかもしれません。しかし、現状分析と一言にいっても、分析対象が市場なのか商品なのか、顧客なのか、またはそれらの関係性なのかによって、使いやすいフレームワークは変わってきます。
4C分析は、顧客目線で提供する商品・サービスを分析するものですが、市場や競合については分析できません。
本当に成果を上げるには、市場と競合と自社で分析する3C分析や、外部環境の分析に特化したPEST分析も一緒に活用する必要があります。
ビジネスフレームワークには、「これを使えば間違いない」というものはありません。状況や目的によって、最適なものを選ぶ必要があります。
今回は、ポジショニングマップ、PPM(ブロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)、STP分析、PEST分析の4つを紹介します。
Part1で紹介した6つのフレームワークと合わせ、効果的なマーケティング戦略に活用してください。
PPM(ブロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
PPM(ブロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)も、ビジネス・マーケティングの分野では非常によく使われるフレームワークです。名前を聞いたことがなくても、似たような図を見たことがある人は多いのではないでしょうか。
PPMは、経営コンサルで有名なボストン・コンサルティング・グループが編み出したもので、非常に実用的です。
主に企業全体での経営戦略や意思決定に用いられるフレームワークで、経営資源の優先順位を決めたり、将来の成長シナリオを考えたりする際に使用します。
多くの企業は、複数の商品・サービスを提供しています。どれもよく売れ、利益を出しているならば言うことはないでしょうが、実際には売れる商品、売れない商品があります。
そんな中で戦略を立てていきますが、企業のリソース(ヒト・モノ・カネ)には限りがあるため、どの商品をどんな戦略で販売するのかを見極める必要があります。
PPMでは、利益の出しやすさと投資の必要性といった観点から、自社が扱う商品・サービスの立ち位置を把握し、どこに力を注ぐべきかを明確化するために使います。
上記の図では、市場成長率と市場シェアから4つのエリアに分けています。円の大きさがそれぞれの事業規模を表し、それぞれのエリアは「花形(Star)」「問題児(Question Mark)」「負け犬(Dog)」「カネのなる木(Cash Cow)」と呼ばれています。
- 花形(Star)
- 市場成長率も高く、自社のシェアも高い商品・サービスは、「花形(Star)」と呼ばれます。
市場が成長しており、かつ自社の強み(シェア)がある状態では、投資を行えば行うだけ、それ以上のリターンが期待できます。 - 例えば、マイクロソフトはクラウド事業への投資を積極的に行っています。今後、様々なサービスがクラウド化していくため、クラウド事業の市場成長率は非常に高いでしょう。さらに、マイクロソフトには古くからソフトウェアを提供し続けてきたため、知名度や技術力で大きな強みを持っています。
マイクロソフトにとって、クラウド事業はまさに「花形」といえる事業分野です。
花形に投資を行うのは当然ですが、市場成長率が高いため競合も多く参入してきます。
クラウド事業ではGoogleやAmazonも投資を行っており、どこが10年後にシェアを握っているのかは予測がつきません。
ただ積極的に投資するのではなく、長期的にシェアを握り続ける戦略が必要です。
- 問題児(Question Mark)
- 市場成長率が高く、積極的に投資を行いたいけれど、自社に強みがないため利益が出ないエリアを「問題児(Question Mark)」といいます。
- 問題児には、ITデバイスを製造する企業のIoT開発などがあげられます。スマートフォンやスマートウォッチ、AIスピーカーなどをはじめとするIoT市場は、まさに成長産業です。
しかし、GoogleやAmazon、Appleなど一部の企業が大きなシェアを握っており、あとから参入して利益を上げることは容易ではありません。特にIoT産業では、様々なサービスとの互換性が重要視されます。検索エンジンを握るGoogle、ECサイトを持つAmazon、iPhoneを持つAppleに立ち向かうにはかなりの投資が必要になるでしょう。今は利益が出ていないかもしれませんが、市場成長率が高いということは花形に化ける可能性もあるということです。
問題児に対しては、積極的な投資を行うか、戦略を変更するか、慎重に判断する必要があります。自社で製造から販売までを行うことが難しくても、パーツの一部を提供したり、開発だけを行ったりなど、戦略を変更することで大きな利益を出せる可能性があります。
- 負け犬(Dog)
- 市場占有率も低く自社のシェアが低いエリアは、負け犬(Dog)と呼ばれます。このエリアにある商品・サービスは撤退を考えたほうがいいかもしれません。
- 例えば、ネットフリックスやiTunes、YouTubeといったストリーミング、ダウンロード配信、月額制サービスの普及によりすたれたCD業界、映画レンタル業界などがあげられます。
こうした業界において、自社の強みを持っていないなら、利益を上げることは非常に難しいでしょう。
- CD販売の大手であるHMVも、CD業界の低迷とともに戦略を変えています。2011年にチケット販売などを行うローソンエンターメディアと合併し、ローソンHMVエンタテイメントとなりました。店舗販売は縮小し、コンサートチケット、CD、DVD、グッズなどを取り扱う総合エンターテインメント事業として、成長を目指しています。
負け犬に属する商品・サービスがあるようなら、HMVのように方向転換を行う必要があるでしょう。HMVは、CD販売から「ライフスタイルの提案」へと、自社の強みを活かしつつ成長できる市場を、ローソンと組むことで見つけ出しました。
- カネのなる木(Cash Cow)
- 市場の伸びは低いけれど、自社がシェアを握っているエリアをカネのなる木(Cash Cow)といいます。安定して長期的な利益が期待できることからそう呼ばれています。
この分野では、積極的な投資を行っても高いリターンは期待できません。しかし、CRM(カスタマーリレーションシップマーケティング)など、リピーター化のための働きに力を注ぐ必要があります。
また、このエリアの商品・サービスで得た利益を花形のために使っていくという姿勢も必要です。 - 例えば、セブンイレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングスでは、主力のコンビニ事業以外に、百貨店や銀行、電子マネーなど様々な事業に投資しています。
電子マネーは成長市場ですが、セブン&アイ・ホールディングスに特別な強み、ノウハウがあったわけではありません。
しかし、コンビニ事業というカネのなる木を持っているからこそ、こうした花形発掘のための投資を行えるのです。カネのなる木に属する商品・サービスは、政倫ライフサイクルにおける成熟期から衰退期に属していることが多くあります。成長率が低いため新規参入も少なく、現状のシェアを維持しやすい分野でしょう。
しかし、カネのなる木に頼っていると、市場成長率の鈍化とともに会社の成長も鈍化してしまいます。
しっかりと利益を確保しつつ、花形を見つけるための活動を積極的に行いましょう。
ポジショニングマップ
顧客のニーズ、競争優位性、自社の強み、この3点をとらえた独自の立ち位置(ポジショニング)を見つけることは、マーケティング戦略における大きな課題です。
そんな時、活用できるフレームワークに「ポジショニングマップ」があります。
ポジショニングマップは、マーケティング戦略だけでなく、様々な場面で用いられます。
例えば、車など高級な商品を購入する際に、機能性や価格、ブランド力などを軸にとった図を見せられ、「このメーカーはここに位置しているので、機能性と価格がマッチしています」のような案内をされた経験はないでしょうか。
ファッションブランドでは、ファッションの系統と価格を軸にとり、以下のような図を作ることが良くあります。
このように、ポジショニングマップはマーケティング戦略以外でも頻繁に使われています。次に紹介するSTP分析のポジショニングでも活用できる、非常に優れたフレームワークです。
効果的なポジショニングマップを作るためには、まず軸を決める必要があります。ファッションであれば、デザイン軸と価格軸、ブランド力と価格軸などを軸にすることが多いと思います。しかし、ポジショニングマップの軸の取り方は業種によって様々です。
では、自社に最適なポジショニングを見つけるための、軸の作り方を5つ紹介しましょう。
- 効果的な軸① 製品の特性に基づく軸
- IT機器やBtoB商材などでよく使われる軸の取り方です。
PCであれば処理速度の速さや容量の大きさなどが軸になるでしょう。また、互換性や提携サービスの量も考えられます。工業製品であれば、純度や制度、燃費、消費電力、プレス力など、その製品にあった様々な軸が考えられます。
専門性の高い分野でポジショニングを行うため、ターゲット層が専門知識、技術に対する興味を持っている場合に使います。
- 効果的な軸② 感情・感覚に基づく軸
- 消費者が感じる感情や感覚に基づく軸の取り方です。感覚が軸となるため、旅行やファッション、趣味など、ライフスタイルに関する商品で用いられます。
楽しさや高級感、安心感、手軽さなどの軸が考えられます。
- 効果的な軸③ 価格に基づく軸
- その商品を提供する価格を軸に取ります。ポジショニングマップでは最も一般的で、よく利用されます。
単に価格を「安い」から「高い」までの軸を取ります。
- 効果的な軸④ 代替え品との関連性に基づく軸
- 多くの商品・サービスには代替え品が存在します。
カーシェアリングというサービスを提供するにしても、「移動手段」という広い視点で考えると、電車、タクシー、飛行機、自転車など様々な代替え品が考えられます。
代替え品を軸としたポジショニングで有名なものに、iPodがあります。iPodは最初、「1000曲をポケットに」というキャッチフレーズで登場しました。これは、単に新しい音楽プレイヤーという軸ではなく、ポータブル式のCDプレイヤーなどと比較し、何が優れているのかを明確に表しています。
- 効果的な軸⑤ 用途に基づく軸
- その商品・サービスを利用する目的・用途によって軸を取ります。
例えば、自転車であれば、「アウトドア向き」「山登り・スポーツ向き」といった軸が考えられます。自転車という一つのカテゴリでも、ロードバイクとママチャリでは用途が全く異なります。この5つの他にも、軸の取り方はたくさん存在しています。いずれの軸をとるにしても、次の3つを重視しましょう。
- ポイント① 独自性の高い軸をとる
- 縦軸と横軸が近いものや、密接に関連しているものでは、優位なポジショニングマップにできません。
ポジショニングマップを作る際に、とりあえず「価格」と「機能」で軸をとることが多くあります。しかし多くの場合、価格と機能は関連しているので、価格が安いものは機能も低い、価格が高いものは機能も高い、という当たり前の結論しか出てこないかもしれません。
軸をとる際は、縦軸と横軸が独立しており、かつ重要度の高い要素にするよう意識しましょう。
- ポイント② 自社に優位性のある軸をとる
- ポジショニングマップは、自社がどのポジションを取りマーケティングを行うかを発見するために作成します。そのため、自社の優位性が見えてこない軸では、効果的なマーケティング戦略が見えてきません。
例えば、知名度とデザイン性という2軸を取ったとします。自社の商品が知名度もなく、デザイン性も低い場合、非常に魅力がないポジションにいるように見えてしまうでしょう。しかし、実際には価格の安さと機能面で強みを持っているかもしれません。
もちろん、自社にとって都合のいい軸を持てばいいというわけではありませんが、マーケティング戦略に使える強みが見える軸を取りましょう。
- ポイント③ 購入の決定要因を意識する
- ポジショニングマップをマーケティング戦略に活かすためには、購買の決定要因を意識することが欠かせません。
購買の決定要因とは、その商品・サービスを購入する際に重視する要素です。例えば、BtoB製品で、ターゲット層がデザイン性を重視していないのに、デザイン性を軸にとってもあまり意味がありません。
購入の決定要因を意識したポジショニングにはiPhoneが挙げられます。iPhone以外のスマートフォンや携帯電話、代替え品でもあるPC、タブレットの多くは、「処理速度」「画素数」「容量」など、技術的な観点で優位性を伝えています。
しかし、iPhoneはそうした技術的な観点からプロモーションを行っていません。何が変わったのかを直感的に伝えるだけです。iPhoneを購入するユーザーの多くが、「処理速度」などのスペック面で選んでいるわけではないと知っているからです。
ポジショニングマップを作成すると、自社と競合、市場を俯瞰して見えるようになりますが、それだけではなく、マーケティング活動において、顧客に伝えるメッセージが見えてくる場合もあります。
STP分析
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つの軸から、市場ニーズを満たす自社の立ち位置をみいだすフレームワークを「STP分析」といいます。
マーケティングの権威であるフィリップ・コトラーが提唱し、マーケティング戦略においては欠かせない、必ず押さえておきたいフレームワークの一つです。
STP分析を行うメリットは大きく3つあります。
1つは顧客のニーズを整理できることです。ビジネスを展開するにあたり、ユーザー像、いわゆるペルソナを想定することは重要です。STP分析を行うことで、ペルソナ設定の土台となるユーザー像を整理することができます。
2つ目はプロモーション戦略を明確にできる点です。STP分析の3つの要素は、プロモーション戦略に欠かせないものばかりです。STP分析を行った後、これからどういった戦略で展開していくべきか、その理由が明確化されます。
3つ目は他社との競合を避けられる点です。新しく参入した市場で、すでに競合が大きなシェアを握っていたり、すでに展開している市場で新規参入があらわれたりすることは、珍しくありません。
STP分析では競合の状態も把握できるため、常に競合とは違ったコンセプト、プロモーション戦略で展開することができます。
- セグメンテーション
- STP分析の最初のセグメンテーション(市場細分化)」を表します。似たニーズを持つ顧客層に分けて考えることを意味し、コンセプトを明確化するために行います。
セグメンテーションを行う際には、デモグラフィック(人口統計)、ジオグラフィック(地理的要因)、サイコグラフィック(心理的要因)、ビヘイビアル(行動的要因)から考えます。 - セグメンテーションを東京都内でカフェをオープンする場合で考えてみましょう。
- デモグラフィックは年代、性別、家族構成、年収など、その人の基本構成をもとにした指標です。大人の雰囲気があり、少し高級なランチタイムを提供するカフェであれば、「年代:20代後半~」「性別:女性」「職業:主婦」のようなデモグラフィックが考えられます。
- ジオグラフィックは国や市町村、気候や文化など、地理的要因に絡んだ指標です。店舗型ビジネスですから、お店の立地から半径2キロや、〇〇線沿いなどが考えられます。
サイコグラフィックはその人の価値観や性格、ライフスタイルを表します。少し高級なランチを楽しむ人ですから、上品な付き合いを好んだり、上昇志向が強かったりするかもしれません。実際にはアンケート調査などを活用して判断します。
- ビヘイビアルとは、買い物の頻度やよく行く場所など、行動に焦点を当てた指標です。このお店に来るお客さんは、休日にどんなところに出かけているでしょうか。どんなものを購入するでしょうか。ここが見えてくると、プロモーションの計画が立てやすくなります。
- ターゲティング
- 実際にSTP分析を行ったとき、「セグメンテーションとターゲティングは何が違うのか」で躓くことが多くあります。
これに対しては、「セグメンテーションが市場を”分ける”のに対し、ターゲティングは“絞る”」と説明されます。具体的には、セグメンテーションで見えてきた市場に対して、自社は“どこ”を“どのように”狙っていくのかを考えます。
ターゲティングを効率よく行う場合、次の3つの戦略が有効といわれています。
- 無差別型ターゲティング
- セグメンテーションで見えた市場を無視して、同じ商品をすべての市場に提供するターゲティング手法です。
例えば、ボールペンを販売する際、大学生や会社員など、セグメンテーションで見えてくる市場はいくつかあります。しかし、非常に幅広い層が使うため、それぞれに対し特別なプロモーションを行うのではなく、一括してメッセージを届けたほうが効率的かもしれません。
食料品や日用品などに多いターゲティング戦略です。
- 差別型ターゲティング
- 複数の市場に対し、それぞれに最適化された商品・サービスを提供する方法です。
例えば、ネットフリックスにはベーシック、スタンダード、プレミアムの3つのプランが用意されています。これは、家族構成や画質へのこだわりなど、ユーザーのニーズによって最適なプランを用意している例です。
- 集中型ターゲティング
- セグメンテーションで見えてきた市場のうち、最も魅力的な1つの市場に注目する戦略です。高級商品やベンチャー企業によくみられるターゲティング戦略です。
数千万円以上もする高級自動車メーカーであるランボルギーニは、富裕層の一点に絞ってプロモーションを行っています。その一点でのブランド力を保つため、安価な製造ラインを持つこともありません。
- ポジショニング
- ポジショニングでは、競合、市場の中での自社の立ち位置を決定します。
セグメンテーションでニーズのある市場が見えてきても、すでに大手がシェアを握っている場合は、大きな利益が期待できないかもしれません。しかし、適切なポジショニングにより、大手にはない要素で差別化できれば、利益を得られる可能性があります。 - ここでは、前述したポジショニングマップが有効利用できます。
どんな競合がいるのか、競合はどの程度の規模なのか、強みは何か、などの観点からポジショニングマップを作成し、自社が勝負できるポジションを探すことが重要です。
PEST分析
現状分析を行い、マーケティングを企画する際、時代の潮流ととらえることは欠かせません。時代の潮流とは、景気やテクノロジーの進歩、法律の変化、世の中の流行りなどの「外部環境」です。
外部環境をマクロ(=大きな視点)で網羅的に分析するために使用するフレームワークの一つに「PEST分析」があります。
PEST分析は、マーケティングの第一人者として知られるフィリップ・コトラー氏が提唱しました。
成功した企業、商品・サービスは、必ずといっていいほど世の中の変化、流れ、トレンドを味方にしています。経営戦略や海外戦略を考える際にはもちろん、外部環境が現在と将来にどのような影響を与えるのか予測するために有効な手法です。
- Politics(政治的要因)
- Politics(政治的要因)とは、法律や条例など、政治的なルールの変化を指します。どんな業界でも、数多くの法律があり、その法律の中でビジネスを行う必要があります。
- 医療業界を例に挙げると、2018年6月から施行された医療広告ガイドラインの影響があります。
これまでも医療広告を出す際は、表現や言葉の規制がありました。しかし、2017年の国会で決定された医療法の改正により、広告ではないWebサイトでも、広告と同様に規制の対象となりました。
個人経営のクリニックやなどは、Webサイトからの集客を頼りにしているところがあります。医療関係者の多くは、あわててマーケティング戦略を立て直したのではないでしょうか。
- 医療業界の例のように直接的に影響する場合だけではありません。例えば、働き方改革による残業時間の制限により、これまでの営業戦略が取れなくなったり、同一賃金同一労働により利益を圧迫したりすることもあるでしょう。
法律の変化はビジネスに大きく影響を与えます。法律の変化には常にアンテナを張っておき、自社に影響しそうなものがないかチェックしましょう。
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- Economy(経済的要因)
- Economy(経済的要因)では、経済成長や景気、物価、為替変動などの経済的な動向による影響を見つけだします。
政治的要因と比べて強制力はありませんが、頻繁に変わり幅広い影響を与えるため、自社のマーケティングに及ぼす影響を見抜くことは難しいかもしれません。海外から原材料を仕入れているのであれば、為替変動は常にチェックしているでしょう。また、ほとんどのビジネスで投資が必要になりますから、金利の変化もチェックしていると思います。
また、投資用不動産を扱っているなら、比較商品でもある株価は目が離せないでしょう。他にも、全体的に平均賃金が上がったり、特定の市場で需要が低下したりなど、経済的要因がビジネスに与える影響は数多くあります。
- Social(社会・ライフスタイル的要因)
- 人々のライフスタイルや意識の変化を、Social(社会・ライフスタイル的要因)といいます。これは多くのマーケティング担当者にとって、身近な要素だと思います。
例えば、人口分布の変化があります。少子高齢化が進むと、子供向けのサービスは縮小し、介護や余生を楽しむためのサービスが拡大していくでしょう。
また、単身世帯が増え、未婚者が増えてくると、必要とされる商品・サービスも変わってくるでしょう。未婚者と既婚者では、家や家具が違うことはもちろん、食事やファッションなどでも大きく違いが出てきます。他にも、流行っているSNSによって、マーケティング戦略が変わってくる場合があります。
数年前であれば、Facebookでマーケティングを行うと非常に幅広い層のユーザーからのアクションが期待できました。しかし最近では、若い女性からのアクションを得るためにInstagramを活用する企業が増えています。
さらには、何かを検索する際にGoogleやYahoo!などを使わずに、SNSで探し物をする若い世代が増えています。こうした変化もマーケティングに大きな影響を与えるでしょう。Social(社会・ライフスタイル的要因)は、ほとんどのマーケティング担当者にとって興味の対象です。PEST分析はマクロ的な外部要因を分析するためのフレームワークなので、細かな流行だけでなく、広い、社会的といえる部分に目を向けましょう。
- Technology(技術的要因)
- 毎日のように新しい技術が発明され、新商品が作られる現代では、Technology(技術的要因)も無視できません。ここでは、一般的に言う”技術”だけでなく、新しいマーケティング手法も考慮します。
- 最近では、MA(マーケティングオートメーション)やCRM(カスタマーリレーションシップマーケティング)、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)など、新しいマーケティングツールが日本でも広がってきています。
こうしたものをどのように利用するか、また競合がどう利用してくるかは、自社の戦略に大きな影響を与えます。法律や社会的な要因もありますが、何より技術的な要因の影響を受けている業界として、車産業があります。
ハイブリッド車や電気自動車、自動運転などの分野では、最新技術を持ったベンチャー企業が影響力を持っており、100年以上続く超大手企業が戦略の変更や技術開発への投資を余儀なくされています。
また、小売業界では、Amazonやメルカリなど登場に大きな影響を受けています。特にAmazonは、小売りから流通、映画や音楽産業、クラウドサービス、ビックデータなど、幅広い業界に大きな影響を与えており、「アマゾンエフェクト」という言葉ができたほどです。
技術革新が当たり前になっている時代だからこそ、技術的要因をしっかりと分析し、将来の予測、マーケティング戦略に活かすことが欠かせません。
まとめ
今回は、ビジネスフレームワーク集の現状分析編Part2として、ポジショニングマップ、PPM(ブロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)、STP分析、PEST分析の4つを紹介しました。
PPM(ブロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)は、プロモーション、マーケティング戦略だけでなく、経営戦略にも使えるフレームワークです。
ポジショニングマップも、うまく使いこなせば、Apple製品のように独自のブランドメッセージが見いだせるかもしれません。
一つのマーケティング戦略のために全部のフレームワークを使う必要はありませんが、ぜひ数多くのフレームワークを実践してみてください。
今後、Grabではアイデア発掘や販促立案など、テーマを絞ったビジネスフレームワーク集を紹介していく予定です。
「このフレームワークについて知りたい」などがございましたら、ぜひお問い合わせください。