「コンテンツマーケティング」は2013年頃からよく見かけるようになったマーケティング手法です。現在では、多くの企業がコーポレートサイト、ブログ、各種SNSなどを使って取り組んでいます。

しかし、社内リソースやノウハウが不足しており、「思ったような効果が出ない」「何をどう改善したら良いか分からない」といった悩みを抱えている担当者も多いでしょう。

当記事では、コンテンツマーケティングの概要や落とし穴を紹介します。また、ユーザーの購買プロセスに合わせたコンテンツの種類や進め方、成功事例についても解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

コンテンツマーケティングとは?

まず、コンテンツマーケティングの定義を確認しましょう。

コンテンツマーケティングとは、価値があり、関連性が高く、一貫性のあるコンテンツを制作することで、見込み顧客を惹きつけ、最終的には収益性の高い顧客行動を促すことを目的とした、戦略的なマーケティング手法である。

参照:CONTENT MARKETING INSTITUTE「What Is Content Marketing?

コンテンツマーケティングには幅広い手段があります。詳しくは後述しますが、オウンドメディアに限らず、プレスリリースやメールマガジン、ウェビナーも手法の一つです。

次に、コンテンツマーケティングに関する2つのメリットについて説明していきます。

1つ目のメリットは、「コンテンツが資産として蓄積される」ことです。例えば、良質なブログ記事を生み出せれば、長期にわたってアクセスを集め続けてくれるでしょう。

2つ目のメリットは、「顧客のロイヤリティを高められる」ことです読者にとって有益なコンテンツを提供し続ければ、多くのファンを生み出せるでしょう。顧客のロイヤリティが高まると、リピーターの増加や購買頻度の向上などが期待でき、ライフタイムバリュー(顧客の生涯価値)の向上にもつながっていくのです。

コンテンツマーケティングの定義やメリットについては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。

【2022年版】コンテンツマーケティングの将来性

コンテンツマーケティングの落とし穴

コンテンツマーケティングには、取り組む際に陥らないようにしたいポイントがいくつか存在します。理解しないまま進めてしまうと、知らぬ間に落とし穴にはまる恐れもあるため注意しましょう。

ここでは、コンテンツマーケティングで落とし穴にはまる可能性が高いケースについて解説します。落とし穴にはまりやすい考え方や進め方について理解し、コンテンツマーケティングを進める上での注意点として心にとめておきましょう。

コンセプトメイキングができていない

コンテンツマーケティングでは、コンセプトメイキングが最も重要だと言っても過言ではありません。

ここが疎かになっているままでは、どれほど多くのコンテンツを作成・提供しても、会社の利益につながりません。コンセプトメイキングの際は「目的の明確化」「市場・競合調査」「リソース・スキル把握」を事前に行いましょう。

それから、コンセプトを明文化し、中長期ロードマップと成果フローを作成し、ペルソナとカスタマージャーニーを作り込みます。

コンセプトメイキングの具体的な方法については、下記の記事で詳しく紹介しています。ぜひ、ご覧ください。

コンテンツマーケティングで一番大切なコンセプトメイキングの方法

ターゲットが絞れていない

効率的かつ効果的なコンテンツマーケティングを行うためには、対象を絞ってコンテンツを作成しましょう。市場分析に基づいてコンセプトやターゲットを設定し、集客での取りこぼしがないように注意しましょう。

自社本位のコンテンツを配信している

商品やサービスの魅力だけを紹介するような自社本位のコンテンツは、読者から「偏りがある」として避けられてしまう恐れがあります。公平・公正な情報が得られないとしてユーザーからの信頼度が低下し、検索エンジンからの評価も下がってしまうでしょう。

読者にとって有益な情報であるかどうかが、コンテンツマーケティングでは重要です。客観的で公平・公正なコンテンツ作りを心がけましょう。

コンテンツマーケティングをユーザー中心にすべき理由とその実践方法

効果測定の期間が短い

コンテンツマーケティングは中長期的な収益アップを目指すマーケティング手法であり、短期的な利益を求めるものではありません。短期間で結果が出ると考え、短い周期で大幅なリライトを行うと検索エンジンからの評価がリセットされてしまいます。コンテンツの適切な評価・改善ができなくなるので注意しましょう。

コンテンツマーケティングの効果測定は、検索エンジンからの評価が確定してから取り組む必要があります。中長期的な戦略を立て、適切に評価・改善できる仕組みを考えましょう。

担当者がコンテンツを管理・運用できていない

担当者がコンテンツをうまく管理・運用できていない場合、コンテンツマーケティングが失敗する可能性が高まります。企業の規模や知名度・認知度にもよりますが、コンテンツマーケティングを始める際には、数十ページ以上のコンテンツが必要となります。片手間で管理できるような仕事ではありません。

コンテンツマーケティングを社内で行う際には、コンテンツの管理・運用に詳しい専任の担当者を決めましょう。専門の企業に支援してもらうことも選択肢の1つです。

【段階別】適切なコンテンツの種類は?

コンテンツマーケティングと一口に言っても、コンテンツの種類は非常に豊富です。獲得したい顧客がマーケティングファネルのどこに位置するかを把握し、適切なコンテンツを選択しましょう。

ここでは、マーケティングファネルにおける各段階に適したコンテンツの種類を紹介します。段階ごとの適切なコンテンツを把握し、より効果的なコンテンツマーケティングができるよう計画を立てましょう。

マーケティングファネルについては、下記の記事で詳しく解説しています。

マーケティングファネルと自動化(ワークフロー)の活用方法

マーケティングファネル

認知段階

認知段階とは、ユーザーがコンテンツをきっかけとして商品やサービスを発見する段階を指します。この段階では、「消費者にコンテンツを見つけてもらうこと」が目的です。ブログやSNSなど、多くの人が目にする媒体を活用して、高品質かつ有用なコンテンツを積極的に配信しましょう。

興味・関心段階

興味・関心段階とは、ユーザーがコンテンツに何度も接触し、商品やサービス・企業との関係を深めていく段階を指します。自社の商品やサービスの情報にあらゆる方面から触れられるよう、さまざまなメディアで多様なコンテンツを展開しましょう。

興味・関心段階におけるコンテンツの例

  • コーポレートサイト

自社の商品やサービスを具体的に紹介するサイトです。ブログやSNSで自社の商品・サービスに興味を抱いたユーザーがすぐにアクセスできるよう、投稿にリンクを埋め込んでおきましょう。

  • ランディングページ

次のステップ(比較検討段階)で有用な「ホワイトペーパー」に誘導するためのWebページです。個人情報の登録フォームを伴うことが多いため、ホワイトペーパーのダウンロードとともに見込み顧客の獲得をスムーズにできます。

  • メールマガジン

見込み顧客に積極的に情報発信を行うコンテンツです。ブログの新着記事や注目トピックをメールに埋め込み、オウンドメディアへ誘導します。

  • インフォグラフィック

インフォグラフィックとは、情報やデータを視覚的に表現した画像を指します。コンテンツマーケティングでは文字情報が多くなりがちですが、インフォグラフィックによりユーザーの理解が深まる効果が期待できます。

コンテンツマーケティングでメールアドレスを獲得する方法については、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。

コンテンツマーケティングの要|顧客のメールアドレスを効果的に集める方法

比較・検討段階

比較・検討段階とは、どの商品やサービスが自身のニーズに合致するかをユーザーが検討する段階です。自社の商品・サービスの強みや魅力が伝わるよう、より詳細で踏み込んだ情報を提供しましょう。

比較・検討段階におけるコンテンツの例

  • ホワイトペーパー

自社の商品・サービスの概要説明や調査結果などを整理した文書を指します。商品やサービスへの理解を深めてもらう目的で作成するため、より直接的な説明を記載しましょう。ランディングページからPDFなどでダウンロードする形式が一般的です。

  • ウェビナー

ウェブで開催するセミナーを「ウェビナー」と言います。対面式セミナーと同等の情報を展開でき、ユーザーは任意の場所からアクセスできるので、参加しやすいというメリットがあります。

  • ケーススタディ

導入事例や成功事例を紹介するコンテンツです。商品やサービスに関する情報をある程度把握した段階のユーザーに向けて実際の活用事例や成功体験を示します。ユーザーの利用イメージを明確化させましょう。具体的なケースを複数事例紹介すると効果的です。

【無料ダウンロード資料】良質なリードを獲得するホワイトペーパーの作り方

決定段階

決定段階とは、他社との比較検討を終え、自社の商品やサービスの購入を決定する段階を指します。今までの段階で提供したコンテンツよりも、一般的に情報の信頼性が高いと言われるコンテンツを活用した情報提供を行いましょう。

出版に時間と手間がかかる紙媒体の書籍は、信頼性の高い媒体の一例として挙げられます。また、書籍とホワイトペーパーの中間的な存在であるeブックの活用もおすすめです。

コンテンツマーケティングの進め方

コンテンツマーケティングを成功させるためには、基本的な流れに基づいて戦略をじっくり考えた上での実行が大切です。ここでは、コンテンツマーケティングの基本的な進め方について順番に紹介します。

(1)現状を分析し具体的な目標と戦略を立てる

自社を取り巻く環境について情報を集めて分析を行い、自社の現状を把握します。自社の課題が見えてきたら、コンテンツマーケティングにおける具体的な目標と評価基準を設定し、目標をクリアするための戦略を考えましょう。

(2)ペルソナを設定し、自社が伝えたい内容を決定する

ペルソナ(マーケティングにおけるターゲット像)を掘り下げて考えましょう。ペルソナが解決したい課題などを踏まえた上で、自社が発信したい内容・コンセプトを定めていきます。

現状分析の方法やペルソナの作り方は下記の記事で詳しく紹介しています。ぜひ、ご覧ください。

ペルソナとカスタマージャーニー(1)
ペルソナとカスタマージャーニー(2)

(3)コンテンツの計画を立て、各コンテンツの目標を具体化する

コンテンツを作成する上で必要なリソースやワークフローを明確にし、マネジメント計画を立てましょう。各コンテンツの具体的な目標や効果測定の方法も決めておきます。

(4)計画に基づいてコンテンツを作成し、発信する

スケジュール通りにコンテンツを作成・配信していきます。既存コンテンツや他社コンテンツとの差別化、SEO対策なども意識しましょう。

(5)効果測定を行いコンテンツの内容や進め方の改善を行う

一定期間が経過したら、事前に設定した評価方法に基づいて効果測定を行い、目標達成に向かっているか確認しましょう。必要に応じて、内容や進め方を改善します。

コンテンツマーケティングは成功事例から学ぶべき

自社のコンテンツマーケティングを成功させるためには、実際にコンテンツマーケティングで成功をおさめた他社の事例を学ぶことが重要です。他社の成功事例を研究し、自社のコンテンツマーケティングにアイディアや成功のポイントを取り入れましょう。

【BtoB】山洋電気株式会社

TECH COMPASS

引用:TECH COMPASS

冷却ファンやパワーコンディショナなどの多様な機器・システムを扱う山洋電気は、「導入事例」「解決事例」を中心とするコンテンツをオウンドメディアで展開しています。ユーザーが「製品を活用した課題解決」をイメージしやすいため、企業への信頼感を高められます。

専門的な内容でも初心者が読みやすいよう配慮されているため、ユーザーは安心感を得られるでしょう。ホワイトペーパーや製品に関する資料などへの導線もスムーズで参考になります。

【BtoB】スターフェスティバル株式会社

ごちクル

引用:ごちクル

弁当デリバリーサービスの総合サイト「ごちクル」を運営するスターフェスティバル株式会社は、メールを中心としたマーケティングを重視しています。ユーザーニーズを汲み取った内容のメール配信はもちろん、効果測定やユーザーの行動分析を細かく行い、サイトの改善につなげています。

【BtoC】ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン株式会社

調理器具メーカーであるツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン株式会社は、インスタグラムに自社製品を使用した料理動画を投稿しています。

サムネイル画像で「どのような料理の動画か」「使用している調理器具は何か」がひと目で理解できるように工夫されています。「将来的に製品を購入したい人」から「既に愛用している人」まで幅広い層のユーザーが楽しめるコンテンツをアップしていることが成功のポイントです。

コンテンツマーケティングに成功している企業は、他にも多数存在します。下記の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ、ご覧ください。

【BtoB・BtoC別】コンテンツマーケティングの成功事例全10選

まとめ

コンテンツマーケティングは、ユーザーに有益な情報を提供し、見込み顧客の育成や購買につなげる手法です。目的やターゲットを絞るなど方向性をしっかり定めた上で、顧客のセグメントに応じた適切なコンテンツを提供できるよう、基本的な流れに沿って取り組みましょう。

コンテンツマーケティングを成功に導くためには、他社の成功事例を研究し、成功した理由や押さえておくべきポイントを自社に取り入れることが大切です。コンテンツマーケティングにおけるさまざまな成功事例を徹底解説した以下の資料も、ぜひ、参考にしてください。

成功事例から学ぶ~初めてのコンテンツマーケティング・全55ページ~