カメラ写真の露出とは?シャッタースピード・絞り値・ISO感度のカメラの基礎知識

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写真の露出とは?シャッタースピード・絞り値・ISO感度のカメラの基礎知識

【第1回】超入門!超重要!カメラの4つの露出モードを理解しよう
【第2回】写真のグレードが一段上がる! 9つの「写真の構図」テクニック
【第3回】写真の露出とは?シャッタースピード・絞り値・ISO感度のカメラの基礎知識
【第4回】カメラ初心者必見! 一眼レフカメラのレンズ(単焦点・ズーム)の種類や特徴を解説
【第5回】ネットで写真を使用する際に注意すべき!写真の著作権について
【第6回】【PC版】写真編集・加工ソフト(フォトレタッチ)人気おすすめ10選
【第7回】屋外(野外)で人物写真(ポートレート)を綺麗に撮影するテクニック紹介
【第8回】カメラ初心者必見!撮影スキルを上げるために覚えておきたいカメラ・写真用語集
【第9回】初心者でも綺麗な料理写真が撮れる!ライティング撮影基本テクニック紹介
【第10回】スマホ写真から卒業!デジタルカメラの特徴と一緒に買いたい機材・アクセサリー

一眼レフカメラやコンパクトデジタルカメラで写真を撮影していると、なんだか暗い写真になっていたり、逆に明るすぎる写真になっていたりしませんか?
それはカメラの露出が適正でないことが原因だと思われます。本記事では写真における露出(露光)について解説していきたいと思います。

カメラの露出(露光)とは?

露出とは、写真を撮る際イメージセンサーに取り込まれる光の量のこと、つまり写真の明るさのことです。

スマホのカメラで撮影していて、「もう少し明るくなればいいのに」もしくは「明るすぎるからもっと暗くなればいいのに」と感じたことはないですか?
スマホカメラや、デジタルカメラのプログラムオートで撮影していると、自動露出機能(AE)でカメラが自動で明るさを決めてくれます。これはこれでとても便利なのですが、撮影のシチュエーションによってはもっと明るくしたり、もっと暗くしたり明るさの調整をした方が、綺麗な写真が撮れる場合があります。

露出についての理解を深めることで、写真の明るさをコントロールできるようになり、より満足度の高い綺麗な写真を撮れるようになるでしょう。

同じシーンでも露出を変えると写真の印象は変わる

露出を変えると写真の印象が変わる
撮影 小野友暉

同じシーンで露出を変えて撮影してみました。同じシーンでも、写真の露出が変わるだけで写真の印象は大きく変わります。一番左の写真は暗すぎて何の写真か見えにくくなってしまっていますが、一番右の写真は明るくなり過ぎて、せっかくの夕暮れの雰囲気が損なわれてしまっています。撮影シーンに合わせて、最適な露出をコントロールして撮影できるようになれば、雰囲気のある写真を撮れるようになります。

写真の明るさ(露出)を決定する3つの要素

写真の露出についての3つの要素

写真の明るさを決定するためには、「シャッタースピード」「絞り(F値)」「ISO感度」の3つの要素をコントロールしなければなりません。シャッタースピードは長くすればするほど、絞り(F値)は開けば開くほど、ISO感度はあげればあげるほど、明るい写真になります。

また、この3つの要素は、露出を決定するためのコントロールだけでなく「ブレ(シャッタースピード)」「ピント範囲(絞り値)」「ノイズ(ISO感度)」のコントロールにも関わる要素になります。この3つの要素をコントロールすることで、写真の明るさに加えやブレ感、背景のボケ感、ノイズを自在にコントロールできるので、カメラをやる上では必ず覚えておいたほうがいい要素です。

それぞれの要素について詳しく解説していきます。

シャッタースピード

シャッタースピードとは、シャッターが開いている時間のことです。シャッタースピードの単位は「秒」で表します。カメラのモニターまたはダイヤルには、1/250秒、1/125秒、1/60秒と表記されており、長い時間シャッターを開けば開くほど明るい写真を撮ることができ、開く時間が短いほど暗い写真になります。

絞り(F値)

絞り(F値)とは、レンズを通って撮像素子上に写る像の明るさのことです。

F2、F2.8、F5、F8、F16…とカメラに取り込む光の量を表す数値があります。絞り値が大きくなる(絞りを絞る)ほど全体的に鮮明に写り、絞り値が小さくなる(絞りを開く)ほど背景がボケた写真になります。絞りを開くことでボケ感が増し、花や人、写真の主役を引き立たせる効果を期待できます。

ISO感度

ISO感度とは、画像センサーの光の感度を値にしたものです。ISO100を基準に、200、400 、800、1600、3200…と値を上げていくことができ、ISO感度が倍になると、光の感度も倍になります。

ISO感度を高くすることで、暗い場所でもシャッター速度を上げて撮影することができ手ブレ防止になりますが、ノイズが発生してしまうという弱点があります。晴天の屋外で撮影する場合はISO100、室内で撮影する場合はISO800~1600など、撮影状況に合わせてISOを設定することが大切です。

「露出アンダー」と「露出オーバー」の写真

カメラの基本用語として、「露出アンダー」と「露出オーバー」という言葉があります。露出アンダーは、適正な明るさよりも暗い写真のことを言い、露出オーバーは適正な明るさよりも明るいことを言います。

こちらが「露出アンダー」の写真。暗くなり過ぎて、黒つぶれが発生しています。

露出アンダーで黒つぶれしている写真

露出アンダーで黒つぶれしている写真

そしてこちらが「露出オーバー」の写真。こちらは明るくなり過ぎて、白飛びが発生しています。

露出オーバーで白とびしている写真

露出オーバーで白飛びしている写真

 

作例写真を見ると違いがはっきりと分かりますが、露出アンダーは被写体の色が綺麗に写し出されておらず、露出オーバーは被写体の質感が分かりずらくなっています。被写体を引き立たせるためには、「シャッタースピード」「絞り(F値)」「ISO感度」をコントロールして、明るすぎず暗すぎない、適正な露出で撮影することが大切です。

自動で明るさ調節してくれる「自動露出機能(AE)」

とはいえ、「シャッタースピード」「絞り(F値)」「ISO感度」の3つの要素をいきなりコントロールするのはカメラ初心者には非常に難易度が高いでしょう。そんなカメラ初心者に嬉しい機能が自動露出機能(AE)です。自動露出(AE)とは、カメラが天気やシーンに合わせて明るさを自動で調節してくれる機能です。撮影場所や天気に合わせていちいち3つの要素を設定する必要がなく、とても便利な機能です。

P(プログラムオート)モードで撮影する場合は絞り(F値)もシャッタースピードも全てカメラが自動で適正露出になるよう決めてくれます。A、Av(絞り優先)モードで撮影する場合は絞り(F値)を自身で決定すると、シャッタースピードをカメラが自動で適正露出になるよう決めてくれます。S、Tv(シャッター優先)モードで撮影する場合はシャッタースピードを自身で決定すると、絞り(F値)をカメラが自動で適正露出になるよう決めてくれます。またISO感度に関しては各それぞれのモードで自動で設定もできますし、値を固定することもできます。

こうした自動露出(AE)を使えば、カメラ初心者でも簡単に適正露出で写真を撮ることができます!

簡単に明るさをコントロールできる「露出補正ダイアル」

露出補正ダイアル

先ほど自動露出機能(AE)について説明しましたが、カメラが設定した適正露出は、必ずしも優秀だという訳ではありません。撮影状況によってはうまく自動露出(AE)が働かず、暗くなったり、明るくなり過ぎてしまう場合があります。そんな時に役立つのが「露出補正ダイアル」です。「露出補正ダイアル」は自動露出(AE)で設定された露出値を基準に、+側に補正すると、画像全体を明るく、-側に補正すると、画像全体を暗くすることができます。カメラにはほぼついていて、だいたい-3〜+3の数値の範囲内で設定可能です。

露出の効果を活用した写真テクニック紹介

露出についての基本を覚えたら、実際にカメラを持って明るさのコントロールを実践してみましょう。

意外かもしれませんが、反射率の高い白っぽい被写体、明るいシーンでは露出は上げた(露出補正プラスする)方が良い写真になりやすく、逆に反射率の低い黒っぽい被写体、暗いシーンでは露出を下げた(露出補正マイナスする)方が良い写真になりやすいです。「白はプラス、黒はマイナス」と覚えておけば良いでしょう。

それでは事例の写真を紹介していきます。

逆光で撮影したポートレート写真

まず最初に紹介するのがこちらの逆光で撮影したポートレート写真。被写体に対して太陽は背中にあるので逆光ですが、カメラ側からすると順光になるので、明るいシーンだといえます。こちらの写真でも十分綺麗に撮れてはいるのですが、露出を1段上げてみます。

露出を1段上げた写真がこちら。

逆光で撮影したポートレート写真アフター
撮影 小野友暉

背景の白が明るくなり、人肌も綺麗に全体的に柔らかな印象になりました。逆光でポートレートを撮影する場合は、+1〜1.7程度あげると良いでしょう。

続いてこちらの夜の信号機の写真。

暗いシーンで撮影した写真

暗いシーンでの写真になります。こちらもこのままで十分かっこよく撮れていますが、露出を1段下げてみます。

1段下げた写真がこちら。

暗いシーンで撮影した写真アフター
撮影 小野友暉

よりメリハリの効いた雰囲気のある写真になりました。こういった夜のストリートスナップではだいたい-0.7〜-1程度露出を下げると雰囲気のある写真が撮れます。

最後に

以上、露出の基礎知識と、露出に関わる3つの要素(シャッタースピード・絞り・ISO感度)についてご紹介しました。3つの要素で写真の明るさを決定するのは、マニュアルモードでの撮影時のみです。もちろん3つの要素をコントロールできるようになるに越したことはありませんが、カメラ初心者は、まず自動露出機能(AE)に頼って、「露出補正ダイアル」で微調整して写真の明るさを決めれるようになりましょう。

そこからステップアップしたいという方はマニュアル撮影で、シャッタースピード・絞り・ISO感度を扱えるように挑戦してみましょう!

当記事は「関西写真部SHARE」からの寄稿記事です

【関西写真部SHARE】
「楽しいことを生み出しみんなと分かち合う」をコンセプトに自由なアイディアと行動で、様々な企画を実行する団体。写真展や撮影会の開催、写真専門メディアの運営などを行っている。

【カメラマン】
小野友暉 プロフィールページ
鹿児島県出身。大阪在住の写真家。1992年11月20日生まれ。現在26歳。主に関西で活動する。女性のポートレートを中心に料理写真、スナップ写真、アート写真等様々な写真を撮る。関西写真部SHARE代表。カメラ以外にもWebを使ってマイクロビジネスを展開中。

【ライター】
かんばらふうこ プロフィールページ
兵庫県出身。1999年5月20日(19歳)。 高校三年生の秋にライターを始め、2018年1月に関西写真部SHAREの専属ライターになる。フォトグラファー・モデルに向けた記事の執筆から、企業のプロモーション記事の制作も行なっている。