目次
第1回:Instagramをビジネスに活用するメリット
第2回:SNS活用では必須の運用目標とルールの策定
第3回:フォロワーを増やす7つのテクニック
第4回:効果的な運用に活用したいツールやアプリ
第5回:ビジネスプロフィールで活用できる機能
番外編:Instagramとは何者だ? リリースから2019年3月までの歴史を探る
番外編:Instagramとは何者だ? 13のデータで捉えるビジネスチャンスの正体
番外編:Instagramで成果を上げている10の企業アカウント
今回の連載は、Instagramの集客活用、ビジネス活用がテーマです。
第1回はInstagramがいかにビジネスにインパクトを与えるかを紹介し、第2回はビジネス活用であれば最低限決めておきたい運用ルール、第3回はフォロワーを増やすための投稿やハッシュタグといったテクニックを紹介しました。前回は実際の運用で活用したいカメラアプリやハッシュタグ検索ツールを紹介しました。
ここまでで、Instagramをビジネスに活用するイメージが浮かんできたのではないかと思います。
最後のテーマは、Instagramをビジネスに活用するうえで欠かせない「ビジネスプロフィール」という機能です。
Instagramは個人と個人が趣味や感性でつながるプライベートな空間ですが、ビジネス活用に否定的な場ではありません。そのため、Twitterなどにはない、ビジネスを展開するための機能が用意されており、それが「ビジネスプロフィール」です。
ビジネスプロフィールとは
Instagramのビジネスプロフィールとは、ビジネスのためのInstagramアカウントで、通常のアカウントから簡単に切り替えることができます。
企業のInstagramアカウントに顧客が直接アクション出来るボタンをつけたり、お店の位置情報を掲載したりできます。さらに、アプリから気軽に投稿を宣伝(広告)したり、投稿の成果を測ったりといったことが可能になります。
Instagramは購買転換率が高いSNSであるというデータを第1回で紹介しました。しかし、ビジネスプロフィールを活用していないと、ユーザーが企業のアカウントに対して取れるアクションはいいねやコメントなど、通常ユーザーに対するものと変わりません。
ビジネスプロフィールは、Instagramをビジネスに活用し、しっかりと成果を得るうえで必須の機能なので、必ず利用しましょう。
ビジネスプロフィールの設定方法
「ビジネスプロフィールの設定手順」
- Instagramのアカウント設定から「ビジネスプロフィールに切り替える」をタップ
- 機能の説明を見ながら「次へ」をクリック
- Facebookページがない場合は「今はFacebookにリンクしない」をクリック
- ビジネスカテゴリを選択
- 店舗の連絡先(電話番号)を入力して完了
ビジネスプロフィールは、上記の手順ですぐに設定できます。Facebookページと連携することもできますが、特にFacebookページを活用していない場合、上記の手順で行いましょう。
では、ここからはビジネスプロフィールに用意されている、ビジネスの現場で役立つ機能を紹介しましょう。
機能① Instagramインサイト
ビジネスプロフィールに切り替えると、Instagramインサイトと呼ばれる、Instagramの解析ツールを利用できます。
ビジネスにおいて、施策の成果を的確に測ることは欠かせません。しかし、インサイトが見れないと投稿へのいいね数、フォロワー数など、表面的な数字でしか施策を評価できません。
インサイトでは、プロフィールへのアクセス数や投稿のインプレッション数、リーチ数、さらに フォロワーの年齢層や性別などの属性データを見ることができます。
画像:ソーシャルメディアラボ
画像:ソーシャルメディアラボ
- インプレッション数:投稿が表示された回数
- リーチ:投稿を見たアカウント数
- エンゲージメント:投稿に「いいね!」「コメント」「フォロー」「保存」などの行動をとったアカウント数
- プロフィールビュー:プロフィールの閲覧数
- フォロワー:フォロワーの性別、年齢、位置情報やアクセスの時間帯
- 保存:投稿を保存したアカウントの数
- [道順を表示]のクリック数:ビジネスへの道順の表示のタップ数
- ウェブサイトクリック数:プロフィールのウェブサイトのタップ数
- メールアドレスのクリック数:ビジネスへのメール送信のタップ数
さらに、投稿した画像や動画に対して、アクションの種類や期間などでフィルターをかけることができます。この投稿のインサイトが一番重要です。各投稿の成果を見ることで、つけたハッシュタグが適切だったか、投稿した写真はユーザーにとって魅力的だったかといったことを分析できます。
こうしたデータを元に、自分のアカウントの成功パターンを見つけましょう。
また、24時間で消えてしまうため効果測定や分析が難しいストーリーズについても、過去14日間投稿に関するインプレッション数、リーチ数、タップ数などを確認することができます。
機能② アクションボタンの設定
アクションボタンについて、Grabではこれまでも何度か取り上げてきました。
【店舗ビジネスの集客戦略】ぐるなびとInstagramが「アクションボタン」で連携
【Instagramのビジネス利用】集客の鍵を握る「アクションボタン」を徹底解説
Instagramのアクションボタンは、2018年5月から日本にも導入されており、アカウントのプロフィールに「席を予約する」や「チケット購入」といったボタンを設置することができ、ユーザーはそのボタンをタップして目的の行動をとることができます。
もともと、Instagramのビジネスプロフィールには、自社の基本情報、製品やサービスのプロモーションを記載することはできても、ユーザーのアクションを促すことができませんでした。
しかし、アクションボタンの導入により、ユーザーはInstagramを閉じることなくそのままアクション=予約・購入などをすることができます。
例えば、飲食店であれば、Instagramの投稿を見たユーザーがお店に予約を入れてくれたら、Instagram活用は成功しているといえるでしょう。
Instagramのアクションボタンは大手飲食ポータルの「ぐるなび」と連携しているため、このアクションを促すことができます。
上記の設定を行うだけで、プロフィールページに「席を予約する」というボタンが表示されます。
もちろん、こうして設定したボタンのタップ数などは、Instagramインサイトで確認できます。
また、ビジネスプロフィールでは、プロフィール設定にメールアドレス、電話番号、住所を登録することで、同様のボタンを表示させることができます。
ただし、現時点でアクションボタンに対応している日本のサービスはぐるなび以外にありません。今後、他のサービスも対応していくとは考えられますが、現状では電話番号やメールアドレスなどのコンタクト手段を用意するにとどまりそうです。
機能③ Instagram広告の出稿
通常、Instagram広告を出稿するには、Facebook広告マネージャーを使って広告を作成する必要があります。しかし、ビジネスプロフィールであれば、Instagramアプリから、投稿を元に広告を作ることができます。
Facebook広告マネージャーは高機能な分、専門知識がないと活用が難しいツールです。
「Instagramで人気が出た投稿をさらに宣伝したい!」「数百円~数千円程度で少しだけリーチを広げたい」こうした場合は、Facebook広告マネージャーを使わず、Instagramのビジネスプロフィールから出稿できます。
この機能を使えば、エンゲージメントの高い投稿を広告として出稿し、より多くのユーザーに自社のビジネスをアピールすることができます。
最大のメリットはすでに投稿したものを広告に利用できることです。通常の広告であれば、出してみるまで成果がわかりません。しかし、一度通常投稿することで、どの程度のエンゲージメントを獲得したかをインサイトで確認できます。それを見ることで、「この投稿に○○円で広告宣伝すれば、××くらいのエンゲージメントが見込めるな」のように、高い精度で成果を予測できます。
そのため、Instagram上の成果に限れば高い精度でシミュレーションし、最適な予算で手軽に運用できます。
ビジネスプロフィールであれば、投稿をタップしたときに「広告を作成」というボタンが表示されます。
「広告を作成」をクリックし、広告の目的やアクションボタンの選択、予算を決め、オーディエンス(地域、興味関心、年齢、性別)を設定し、出向期間を決めればすぐに出稿することができます。
画像:ソーシャルメディアラボ
画像:ソーシャルメディアラボ
ただし、注意点として、Instagram広告・Facebook広告の「20%ルール」というものを考慮する必要があります。これは、広告クリエイティブ(画像)のうち、テキストが20%以上の場合、広告のインプレッション数や入札が大きく制限されるというものです。
すでに投稿済みの画像を使って設定し、20%を超えていても出稿自体はできるため見逃しがちですが、広告効果を高めるにはテキストが20%以下の投稿を利用しましょう。
機能④ ショッピング機能の活用
2018年6月5日、投稿画像から直接ECサイトで購入ができるショッピング機能(Shop Now)が導入されました。小売り関係でInstagramを活用している場合、ぜひ活用したい機能です。
Instagramのショッピング機能は、2017年3月にアメリカでリリースされました。ユーザーは、投稿を見て気になった投稿があればタグをタップし、価格や商品の詳細を閲覧したり、購入したりすることができます。
ユーザーの行動フローである「発見」「検討」「行動」の3ステップをInstagram内で完結でき、Instagramのビジネス活用が注目を集めるきっかけにもなりました。
ショッピング機能導入にあたり、Instagramのマーケティングディレクターであるスーザン・ローズは次のように述べています。
「Instagramは、発見が消費者のアクションに繋がるプラットフォームを目指しています。ショッピング機能は、ビジネスとコミュニティ(利用者)の有意義な繋がりを促進するひとつの手法だと考えています。日本でも本機能を導入できることを大変嬉しく思います」。
また、ショッピング機能のテスト運用に選ばれたいくつかのブランドからも、期待の声が上がっています。
「Instagramは、これまで認知・興味形成に強みがあると感じていましたが、ショッピング機能で購入まで繋げることで、顧客によりシームレスな体験を提供できるようになり、コミュニケーションをより強固にできると確信しています。」
株式会社I-ne BOTANIST ECセールス部 部長 小松 悠氏
「Instagramはブランディングの形成という位置付けでしたが、ショッピング機能により、ひとつの販売チャネルとして活用できることを期待しています。商品の詳細ページから購入リンクへの遷移率は思った以上で、ユーザーの購入モチベーションと、ショッピング機能のユーザビリティの高さを感じました。」
株式会社スタートトゥデイ ZOZOTOWN EC事業本部EC推進部 SNS担当 井上 沙紀氏
このように、小売業をはじめとする多くのビジネスに影響を与えたショッピング機能ですが、頻繁なアップデートが行われており、日々改善が進んでいます。
2018年9月18日には、フィード投稿だけでなくストーリーズ投稿でもショッピング機能が利用できるようになりました。
ストーリーズは非常に注目を集める場所で、Instagram広告の成果も多くがストーリーズで発生しています。注目度、アクション率が高いストーリーズで購買行動を促せるため、さらに活用の幅が広がったといえるでしょう。
2018年11月15日には、欲しい商品をユーザーが「ショッピングcollection」に保存し後で確認できるようになったり、動画投稿にもショッピング機能を利用できるようになりました。
今回、ショッピング機能の詳細な機能や利用方法は省きますが、Instagram運営担当者にとってこの機能の使い方をマスターすることは、必須でしょう。
まとめ|ビジネスプロフィールで活用できる機能
今回は、Instagramの集客・ビジネス活用シリーズ記事の最終回ということで、ビジネスプロフィールの機能に焦点を当てて紹介しました。
一番重要な機能は「Instagramインサイト」です。たとえ、第3回に紹介したフォロワーを増やすテクニックが実現できていなくても、インサイトの数字を定期的に確認することで、成功パターンを探すことができます。運用担当者は頻繁にインサイトを確認する習慣をつけましょう。
また、ビジネス成果を得るうえでは、アクションボタンやショッピング機能など、ユーザーに行動をとってもらうための施策を行う必要があります。こうした施策の成果も、インサイトを見ればクリック数などが確認できるので、いろいろなパターンを試してみるといいでしょう。
そして、ビジネスを加速させるためには、適切なタイミングで広告を利用することも重要です。Instagramを日々運用し、インサイトを確認していれば、少ない費用でより多くのユーザーにアプローチする方法が見えてくるでしょう。
さて、、Instagramの集客・ビジネス活用シリーズは今回で最後ですが、Instagramのすべてを伝えきれたとは思っていません。Instagramをビジネスに活用するためのテクニックは多く、うまく活用している企業も紹介しきれないほどあります。
GrabではこれからもInstagramのビジネス活用に関する記事を書いていきますが、ぜひ自身のアカウントをビジネスプロフィールに変更し、これまで紹介した機能やツール、テクニックを試してみてください。
第1回:Instagramをビジネスに活用するメリット
第2回:SNS活用では必須の運用目標とルールの策定
第3回:フォロワーを増やす7つのテクニック
第4回:効果的な運用に活用したいツールやアプリ
第5回:ビジネスプロフィールで活用できる機能
番外編:Instagramとは何者だ? リリースから2019年3月までの歴史を探る
番外編:Instagramとは何者だ? 13のデータで捉えるビジネスチャンスの正体
番外編:Instagramで成果を上げている10の企業アカウント