2020年は、Webマーケティングにとって大きな意味を持つ1年になりました。
コロナウイルスのパンデミックにより、ほぼすべての業界・業種において「デジタルトランスフォーメーション」が意識されるようになりました。
コロナウイルスはデジタルトランスフォーメーションを10年進めたと言われています。「テレワーク」「ウェビナー」「オンライン商談」こうした言葉は2019年まで一部の先進的な人の間で使われている言葉でしたが、今では誰もが当たり前のように使っています。
これはWebマーケティングにおいて非常にポジティブな変化です。
そこで今回は「2020年はWebマーケティングにどんな変化があったのか」そして「2021年はどうなっていくのか」を考えたいと思います。
この1年、いろいろなものが注目されました。それらをうまく活用した企業は時代の流れの後押しを受け、成長していけるでしょう。
時代の流れに乗るためにも、一体何がこの1年で注目されたのか知ることが大切です。
まず全体の大きなテーマとして「デジタルトランスフォーメーション」に触れた後、この1年間に注目されて2021年もさらに広がっていくであろうマーケティングトレンドを4つ紹介します。
デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーションという言葉を聞いたことがない、という人はほとんどいないでしょう。テレビなどマスメディアでも日々登場する言葉になりました。
しかしほんの一年前まで、デジタルトランスフォーメーションは未来の話と考えられていました。
上図は「デジタルトランスフォーメーション」に関連するトピックのグーグルトレンドの推移です。2017年頃から徐々に注目を集めていましたが、2020年5月に一気に注目度が上がりました。
デジタルトランスフォーメーションは単なるIT化ではありません。Zoom会議を導入したからといって、それがデジタルトランスフォーメーションではありません。
デジタルトランスフォーメーションとは、インターネット、AI、ビッグデータなどのテクノロジーを活用してビジネスにイノベーションをもたらすことです。
今後数年間はマーケティング業界においても、デジタルトランスフォーメーションが主軸となって変化していくでしょう。
マーケティングトレンドを考えるなら、常にデジタルトランスフォーメーションを頭に入れておく必要があります。
それでは、コロナウイルスのパンデミックによりデジタルトランスフォーメーションが10年進んだ、ということを念頭にマーケティングトレンドを見てみましょう。
2020年のマーケティングトレンドとして紹介しますが、もちろん2021年以降、更に拡大が予測されるトレンドを集めています。
2020年のマーケティングトレンド4選
動画広告
2020年はなんといっても、動画広告が大きく飛躍した1年です。コロナウイルス感染拡大による外出自粛により、インターネットで動画を視聴する人が大幅に増えました。テレビで収録やロケができない中、有名芸能人やタレントの多くがYouTubeチャンネルを立ち上げ、ユニークなコンテンツを届けてきました。
急激な視聴者の増加により、YouTubeやNetflixは回線がパンクしないよう、デフォルトの再生品質を下げるなどの対応に追われたほどです。
動画広告がどれほど広がったかは様々なデータが示しています。
ビデオリサーチ社の調査によると、あらゆる年齢・性別でインターネット利用時間が増えています。その中でも大きく伸びたのが、動画の視聴時間です。結果、動画広告をきっかけにポジティブなアクションを起こした人の割合が急増しました。
普段からYouTubeを利用している方は体感としてあるかもしれませんが、少し前までYouTube広告といえば、飲料やゲームアプリなどのBtoCの消費・サービスが一般的でした。
しかし最近ではBtoBのソフトウェアやサービスの広告も増えています。これは視聴者が広がり、BtoBの決裁者クラスにも広告が届くようになったことが理由です。
「YouTube広告」の検索ボリュームを見てみると2016年から2019年まで徐々に増えてきたのが、2020年に入り急増していることがわかります。これは多くの広告主がYouTube広告を検討していることを指します。
動画広告を出稿できる媒体は、Twitter、Instagram、Facebookなど数多くありますが、この1年で大きく注目されたのはYouTubeです。というのも先述の通り、テレビの収録などが難しくなったことで、多くの芸能人が参入してきたからです。そのためこれまでインターネットで動画を見なかった層にまで一気にリーチが広がりました。
これからの動画広告で注目されているのは、インタラクティブ動画です。インタラクティブ動画とは、ユーザー自身が操作できる動画のことです。例えば、動画の最中に選択肢が表示され、その選択肢によって動画の内容が切り替わる、といったものがあります。
Googleは3D画像をユーザーが操作できる広告フォーマット「Swirl」を公開しました。これはインタラクティブ広告の一種ですが、こうした機能が今後動画広告にも用いられると考えられます。
MA・SFA
MA(マーケティングオートメーション)やSFA(セールスフォースオートメーション)も2020年、非常に注目されました。
外出自粛により対面営業が難しくなり、オンライン商談が一般化しました。そしてオンライン商談をうまく成約に結びつけるには、過去の商談や資料のデータ化、そのデータの有効活用が欠かせません。
そこに、MAやSFAが必要とされているのです。
しかし2020年10月にスターティアホールディングス株式会社が行った調査によると、MAの導入率は2017年7%、2018年10%、2019年13%、そして2020年15%と微増に留まりました。
その要因として、先行きが見えない状態での企業の投資抑制があります。MAやSFAの導入はまさにデジタルトランスフォーメーションの一環です。導入コストは決して小さくありませんし、導入における労力も負担になるでしょう。
しかし、こうしたデータもあります。
こちらはMAツールを提供するHubSpotの株価推移です。2020年3月にコロナショックと呼ばれる大暴落で一時的に低下しましたが、そこから急上昇し、2019年から株価は2倍近くにまで成長しています。
株価は需要の半年から数年先を表すといわれています。この表を見るとHubSpotの業績、つまりHubSpotを導入する企業が今後数年で倍増すると見込まれている、と考えられます。
また2020年はMAやSFAが実際に効果がある、と認識された1年でもあります。
これまでは導入してどれくらい売上が上がるのか、未知数の部分もありました。しかし外出自粛により、MAやSFAを使っている企業と使っていない企業、つまりデジタルトランスフォーメーションに取り組んだ企業とそれ以外の企業で大きな差が生まれています。
上図はスターティアホールディングス株式会社が2020年10月に行った「新型コロナウイルス流行前と比べて、お問い合わせ数はどのように変化しましたか?」という質問の結果です。
MA導入企業の43%が問い合わせが増えたと回答しているのに対し、非導入企業ではわずか8%です。
問い合わせ数が減ったという企業も、MA導入企業は18%に留まったのに対し、非導入企業は37%に登ります。
このようにMA・SFAの効果、必要性が認識された1年だったと考えると、2021年以降こうしたツールは導入して当たり前のものになっていくでしょう。
EC・ライブコマース
オンラインショッピングも2020年に再評価されたマーケティングトレンドといえるでしょう。世界最大のECプラットフォームであるAmazon、それに対抗する独立型ECサービスのShopifyやBASEは「アマゾンキラー」とも呼ばれ、大きく注目されました。
Amazonや楽天に代表されるモール型ECも今後伸びていくでしょうが、それ以上に伸びるのがShopifyなどを活用した独立型ECサイトです。独立型ECサイトサービスを活用すれば、小規模の企業やブランドがすぐにECサイトを立ち上げることができます。
今後コロナウイルスのパンデミックが完全に収束したとしても、オンラインとオフラインの融合は止まりません。今は手数料やブランディングの観点からモール型ECプラットフォームを利用していない小売店も、ShopifyやBASEを活用して独自のECサイトを立ち上げるようになるでしょう。
そしてもう一つ、大きなトレンドがInstagramとFacebookです。2020年6月にはFacebookとInstagramショッピングの機能が統合されました。また2020年11月にはInstagramのUIが大きくアップデートされ、ショッピング機能が全面に押し出されました。
世界人口の3分の1にリーチできるプラットフォームが、ECに力を入れていることは間違いありません。小売業者はこうしたトレンドの波に乗ったほうが良いでしょう。
そしてもう一つ、更に大きなトレンドの波がライブコマースです。
中国では毎年「独身の日」に大規模なオンラインセールイベントが行われます。その規模が毎年大きくなっており、世界中が注目していました。しかし、2020年はまさに驚愕といっていい規模になっています。
中国版Amazonとも呼ばれるアリババと直販EC大手のJD.comは独身の日に12兆円もの売上を記録しました。わずか1日で12兆円です。ちなみに、日本のEC市場は2019年の1年間で19.4兆円です。その6割以上の売上を1日で記録したのですから、まさに驚愕です。
そしてこの時、注目された技術がライブコマースです。
ライブコマースとは、ライブ配信とオンラインショッピングを掛け合わせたもので、いわば実演販売のオンライン版です。店舗のスタッフが配信したり、人気配信者と呼ばれるインフルエンサーが配信するのですが、中国の人気配信者である辛巴さんは独身の日に300億円も売り上げたそうです。
そしてこのライブコマース市場が盛り上がっているのは、中国だけではありません。17LIVEなどライブ配信プラットフォームはもちろん、FacebookやInstagramもライブ配信機能に力を入れています。
小売店なら間違いなく大きな影響を受けるトレンドの波といえるでしょう。いえ、小売店だけではありません。BtoBで行うオンライン商談やウェビナーも一種のライブコマースといえます。ここも、今後伸び続ける大きなトレンドでしょう。
動画コンテンツマーケティング
「コンテンツマーケティングが重要だ。」これは数年前、一部では10年以上前から言われていることです。そのため、新しいトレンドという雰囲気はないかもしれません。
しかし2020年、コンテンツマーケティングが再評価され、さらに2021年に活用が進む可能性があります。
その理由の一つが、広告プラットフォームのデータ規制です。
Google広告を運用している方なら、2020年9月のアップデートに驚いたのではないでしょうか。なんとクリックを獲得している検索語句について、これまではすべて見えていた検索語句が、一部の検索語句しか見れなくなったのです。ちなみにYahoo!広告でも同様のアップデートがありました。
これにより、運用者は一部の有力なデータにのみ従い運用改善できるようになった、とも考えられます。しかし新しい検索ニーズの発見などは難しくなりました。
それ以外にも、ここ数年で広告プラットフォームのデータ規制は進んできています。これまで広告収益主体でやってきた大手プラットフォームが、広告収益以外での収益化を目指す動きもあります。
例えば、GoogleはYouTubeで広告が表示されない有料プランをリリースしていますし、Twitterも広告ブロック機能を搭載した有料プランを検討しているといわれています。
InstagramやFacebookも広告収益だけでなく、ショッピング機能での収益化を行っています。
当然大手プラットフォームに広告出稿して顧客を獲得しているなら、こうしたニュースは他人事ではありません。
つまりこれまでの数年、Web広告市場は成長し続けて来ましたが、こうした規制により成長が止まる可能性があるということです。もしそうなれば、広告頼りの集客では伸び悩むことになります。
そこで、コンテンツマーケティングが再注目されているわけです。
コンテンツマーケティングというと、ブログメディアを立ち上げてSEOで集客するイメージがありますが、それだけではありません。
既にトレンドとして登場した動画やライブ配信によるコンテンツマーケティングも登場してきています。より先を見据えるなら、3DやVR・ARを使ったコンテンツマーケティングが登場するでしょう。
ただ記事を書き、SEOで集客するコンテンツマーケティングは既に飽和しかけています。これからはYouTubeやSNSを活用した動画コンテンツマーケティングが大きなトレンドになるでしょう。
まとめ
今回は2020年のマーケティングトレンドと題して、一番大きな流れであるデジタルトランスフォーメーションを軸に紹介しました。
基本的に、社会全体が過去に戻ることはありません。スマートフォンの便利さに慣れた人がガラケーに戻ることはないように、デジタルトランスフォーメーションの流れは決して逆行しないでしょう。つまり、これからもオンライン商談やウェビナーは当たり前に行われ、小売業の売上の大半がオンライン上での購買行動になるということです。
その流れに乗るためのトレンドとして、動画広告、MA・SFA、EC・ライブコマース、動画コンテンツマーケティングを紹介しました。
この中でまず何か一つ始めるなら、おすすめは動画広告です。というのも、動画広告は思ったより低予算で簡単に始められるからです。
しかし今回紹介したトレンドはデジタルトランスフォーメーションという大きな流れに乗ったものです。実は、これら全てが1つのトレンドとして繋がっているのです。
まずMAやSFAを導入し、データを効果的に活用できる環境を作る。その上で動画コンテンツマーケティングを行い、顧客との関係を築く。さらに動画広告で集客を加速させ、EC・ライブコマース、オンライン商談やウェビナーで売上を作る。という、一つの大きな施策の中にあるトレンドです。
もし、まだMAやSFAを導入していないなら、まずは導入を検討してみてください。
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