BtoB企業がwithコロナにやるべきLPO

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BtoB企業がwithコロナにやるべきLPO

新型コロナウイルスは、多くの企業のマーケティングに影響を与えました。

ニュースなどでは、営業自粛や観光客の激減などで直接的な影響を受けた観光、店舗ビジネスが注目されますが、実は大きな影響を受けているのがBtoB企業です。

BtoB企業の場合、営業担当とクライアントが打ち合わせを繰り返して成約に至ることが一般的です。新規見込み顧客の獲得も、テレアポや紹介・展示会などのイベントが中心でした。

しかし現在、テレワークの影響で電話は繋がりにくくなっていますし、展示会もほとんどが中止。さらに先行きが見えない社会情勢の中、新しいサービスの導入や投資に消極的になっています。

そんな中、BtoB企業でもWebマーケティングを通じて顧客獲得を狙う取り組みが増えてきました。

今回は株式会社ベーシックが行った「新型コロナウイルスの感染拡大によるWebマーケティング活動の変化」をもとに、どんな変化があったのか、どんな取り組みが注目を集めているのか、そして最も注目を集める取り組みである「LPO(ランディングページ最適化)」の具体的な方法を紹介します。

コロナ禍によりリード獲得数や方法に変化が

まずは株式会社ベーシックが2020年6月に行った「新型コロナウイルスの感染拡大によるWebマーケティング活動の変化」の調査結果から、どんな変化があったのかを見ていきましょう。

全体としてリード獲得数は低下

コロナ禍のリード獲得数・獲得単価

こちらはコロナ禍においてリード獲得数・リード獲得単価にどういう影響があったかという質問です。4割ほどの企業が減少した・大幅に減少したと回答していますが、2割程度は増加、4割が変わらないと回答しています。

リード獲得単価については、上がったのが1割ほど、下がったのが2割ほどという結果になりました。

全体としてリード獲得数は減少しているものの、リード獲得単価は下がっていることがわかります。

これはいろんな考え方ができますが、社会的にデジタルシフトが進んだため、オンラインでのリード獲得施策を行っていた企業はリード数を増やし、獲得単価も下げることができたようです。

紹介や打ち合わせが減った分、見込み顧客は自ら積極的に情報を探すようになりました。オンラインでの情報提供、ウェビナーなどを行っていた場合、コロナ禍にプラスとなった企業も少なくありません。

オンライン施策の強化には課題が多い

リード獲得強化について

また今後オンラインでのリード獲得を強化したいか、マーケティング施策が変化したか・変化させる予定か、という質問については、上図のようになりました。

これまでと大きく変わらない、変更の予定はないと回答した企業の多くは既にオンラインでの顧客獲得に取り組んでいたか、新規顧客獲得に頼らない仕組みのある企業だと考えられます。

そのため重要なのは、オンラインでのマーケティング策を強化したいと考えている企業です。強化したいと回答したのは7割以上に上る一方、既に施策を変更した企業は2割にとどまりました。

導入コストが大きなBtoBでは、展示会などオフラインでのマーケティング活動が主流である上、投資に消極的になっている今、なかなか新しい施策に移り変われていないようです。

やはりノウハウが少ないことに加え、マーケティング予算の縮小などが要因でしょう。またリモートワークの急速な普及により、新しい取り組みを進めるためのコミュニケーションにも課題があります。

リード獲得単価を下げることが現状の目標

コロナ拡大により縮小したマーケティング施策 コロナ拡大により強化したマーケティング施策

こちらはコロナ禍において、縮小したマーケティング施策・強化したマーケティング施策についての回答結果です。

そもそも開催できなくなったオフラインのイベントが突出して縮小していますが、次いでリスティング広告などのWeb広告が縮小されています。このことから単純にデジタルシフトが進んでいないというより、先行きが見えない中、リスクのある投資をできるだけ避けようとしていることがわかります。

一方強化した施策については、Webサイト改修・LPOが一番多くなりました。後で詳しく説明しますが、リード獲得単価を下げる上で最も費用対効果の高い施策がLPOです。

この調査結果からは多くの企業が積極的な投資によってリードを増やすのではなく、リード獲得単価を下げようとしていることがわかります。

アフターコロナを見据えて検討・導入したツール

ではどうやってリード獲得単価を下げるのかですが、今後取り入れていきたいツールの回答で、Web接客・MA・CRM・CMS・SFAが上がっています。

これらはいずれも、新規見込み顧客をWebサイトに連れてくるものではなく、Webサイトを訪れた見込み顧客を顧客へ転換するためのものです。

注目したいのは2番目に多く挙げられたMAツールです。Grabの記事を多く読まれている方はご存知かもしれませんが、HubSpotというMAツールにはチャットボットなどのWeb接客ツール・CRM・CMS・SFAの機能がすべて入っています。HubSpot以外でも多くのMAツールが複合的な機能を兼ね備えているので、コロナによって一番注目が増したのはMAツールと言えるかもしれません。

それではここからはBtoB企業が強化していきたいと考えているLPOについて紹介します。まずは「なぜ今LPOが重要なのか」見ていきましょう。

費用対効果を高めるならLPOが最適

リード獲得数を増やすのであれば、一番単純な方法は広告費を増やすことです。十分な市場があれば、広告費を2倍にすればリード獲得数も2倍になることが期待できます。

しかし現在はコロナ禍がいつまで続くかわからず、アフターコロナがどうなるか不透明な状況。こんな状況の中で広告投資を増やすことは難しいでしょう。それより限られた予算の中で少しでも多く顧客を獲得することが重要です。

数ある集客施策の中でも、LPOが最も費用対効果を高める上で有効です。

例えば現在広告に200万円投資し、400件のリードを獲得。リード獲得単価が5000円だとします。先行きが見えない中、「なんとか広告費を半分にしたい、でもリード獲得数は減らしたくない。」と考えてみましょう。

いろいろな方法があります。商品を改善したり、割引や特典のキャンペーンを行ったり、運用を改善してクリック単価を下げたり、LPOを行ってコンバージョン率を上げたり。

商品改善や特典にかかるコストは企業によって様々ですが、決して安くないと思います。また、運用改善で半分の広告費でリード獲得数を維持するのは現実的ではありません。

しかしLPOによって半分の広告費でリード獲得数を得ることは、実はそんなに難しくありません。広告運用やLP制作に関わった経験がある方ならご存知と思いますが、LPによって成果が数倍違うことはよくあることだからです。

そしてLP制作にかかる費用はせいぜい数十万円。既にあるLPの改善であれば数万円で済むことも多いでしょう。

LPは成果への影響が非常に大きい上、他の投資に比べると非常に低コストです。広告費のように常にかかり続けるものではなく一度作ったらその後ほとんどコストは代わりません。

こうした理由から、投資を抑制しているBtoB企業の多くがLPOに取り組んでいるのです。

それでは、LPを改善してリード獲得単価を改善するLPOの方法を見ていきましょう。

BtoB企業におけるLPOの方法

LPOの方法は無数にありますが、まず理解しておくべき点がBtoBとBtoCの違いです。この違いをちゃんと理解していないBtoBのLPも非常に多くあります。おそらく、LPのノウハウや事例に関する情報の多くがBtoC向けのものだからでしょう。

まず、BtoBにおいて衝動買いはありえません。BtoCであればインパクトが強くニーズに訴えかけるファーストビューがあれば、ある程度成果が期待できますが、BtoBで肝心なのは中身です。

相手は仕事として真剣にページを見て、複数のサービスを比較検討しています。またLPを見てその場で決断するのではなく、上司に相談したり複数人が慎重に意思決定を行ったりするのが一般的でしょう。

そのため、ファーストビューのインパクトやデザイン性・読みやすさ・感情訴求より、信頼性と情報量が重要になります。

BtoCでは細かな文章は好まれませんが、BtoBではそうした細かな文章が正確で信頼でき、組織として意思決定ができる深い情報が求められます。

そしてもう一つは、ほとんどのBtoBではLPでの行動、いわゆるコンバージョンが売上に直結しないことです。申込みや資料請求があり、営業の案内を受けた上で検討し、稟議等を経て意思決定されます。

BtoCのランディングページの多くは申込みや購入など、ランディングページでの行動が売上に直結しますが、BtoCでは商談のきっかけを作ることがLPの仕事になります。

この点を踏まえてLPを見直してみてください。BtoBとBtoCでは顧客の行動原理が違うにも関わらず、似たようなノウハウで作られたLPが数多くあります。

もしこの違いを意識せずLPを作っていた場合、意識して作り直すだけで費用対効果は大きく向上すると思いますが、具体的なLPOの方法を3つ紹介します。

LPOの方法1:コンバージョンポイントを見直す

一番コンバージョン率に影響するポイントは、コンバージョンポイントをどこに置くか。つまり「顧客がとるアクションを何にするか」です。

例えば、資料請求・問合せ・無料デモの申込み・打ち合わせの予約などです。同じ資料請求でも、フォームに入力する項目によっても変わってきます。

最近ではフォームではなく、チャットボットでの行動を促す例もあります。BtoCとの大きな違いでもありますが、BtoBではパソコンで見られることが一般的なので、チャットボットを適切に配置することができます。

フォームの項目数とコンバージョン率は負の相関関係があります。つまり、項目数が増えれば増えるほどコンバージョン率が下がるということです。基本的にはフォームの項目数は最低限にしておき、リードの質を測る追加のヒアリングはフォーム送信完了後に行ったほうがいいでしょう。

LPOの方法2:別ページに豊富な情報を載せる

既に伝えたように、BtoBのLPでコンバージョンするかどうかは個人の感情ではなく会社の意思決定です。そのため、より豊富で信頼できる情報が必要になります。しかしそれだけの情報を1ページに盛り込むと利便性が悪くなってしまいます。

BtoCのLPの多くは1枚ものですが、それはそもそも行動に必要な情報がBtoCより少なく、行動の理由が感情なのでストレートにクロージングしたほうが効果的なためです。

BtoBでは複数ページあるミニサイトを作るケースも珍しくありません。基本的には1枚もののLPの形をとり、事例集やプラン詳細、Q&Aを別ページに分け、1ページでは伝えきれない細かな情報を用意しましょう。

LPOの方法3:課題・担当者別にLPを分ける

3つ目は、課題別にLPを分けることです。BtoCでも効果的ですが、成約1件の単価が大きなBtoCほど積極的に行いたいLPOです。

同じサービスでも、それを必要とする人のニーズは様々です。

MAツールの場合で考えてみましょう。Webマーケティングの担当者が検討する場合もあれば、営業チームが検討する場合もあります。システム開発チームが社内ツールのアップデートや見直しのタイミングで検討するかも知れません。役員クラスがトップダウンで導入しようとしているかも知れません。

当然、その立場によってニーズが異なります。Webマーケティングの担当者であれば、メールマーケティングや広告周りの機能が気になるでしょうし、営業の場合はSFA機能や請求システム等との連携が気になるでしょう。エンジニアは、今使っているツールにある機能が全てあるかということや、データ移行の方法を気にするかも知れません。

また初めて導入しようとしているのか、既存ツールを乗り換えようとしているのかによっても全く違います。前者であればまずMAとはなにかから始める必要がありますが、後者であれば機能や費用に注意して比較できるような情報が必要でしょう。

このように、BtoBは立場によるニーズの違いが明確なので、それぞれ別のLPを作ると全体の費用対効果改善が期待できます。

まとめ

今回は、コロナ禍においてマーケティングがどのように変化したかと、BtoB企業が今取り組むべきLPOを紹介しました。

LPOの基本的な流れは、データを解析し問題点を洗い出し、仮設を立て、改善策を考え、一つ一つ検証していくことです。しかし、今回紹介したBtoCのLPとの違いを念頭に見直せば、改善策がいくつか見えてくるのではないでしょうか。

GrabではLPOに有効なABテストツールも紹介しているので、ぜひ取り入れて見てください。