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公開日:2021年9月24日/更新日:2022年8月2日
一般的な企業のWeb集客と言えば、SEO対策やリスティング広告などが挙げられます。しかし実店舗ビジネスの場合はこれらにMEO対策もプラスすると、より効果が出やすいと言えるでしょう。MEO対策は、Googleマップの検索結果を活用し、店舗の認知拡大や集客促進が期待できるとして近年注目が高まっている手法です。
今回は、MEO対策の概要やメリット・デメリットなど、MEOの基礎知識をまとめて解説します。店舗・企業に限らず、集客にお困りの方はぜひ参考にしてください。
MEOとは
MEOとは、「Map Engine Optimization」の頭文字を取った略語です。Googleマップを中心とした地図アプリ上で、店舗や企業のビジネス情報を上位表示させる施策を指します。
Googleマップで上位3以内に入ると、Google検索の結果でもローカルパックと呼ばれる部分にトップ表示されるため、Web経由の集客アップが期待できる手法です。「地域名+サービス内容」など、エリアを特定した検索結果の上位に表示されれば、即時性の高い集客効果が見込めます。
MEOとSEOの違いとは
MEO対策を理解するためには、SEO対策についても知っておく必要があります。
MEO対策 | SEO対策 | |
目的 | Googleマップ上での上位表示・ローカル検索における検索エンジン上での上位表示 | 検索エンジン上での上位表示 |
対象 | 店舗や企業などの情報 (ビジネスリスティング) | Webサイトやブログ |
成果 | 店舗や企業への来店・来社、問い合せなど | Webサイトやブログへのアクセス |
速度 | 早め (最低で1週間程度の場合も) | 遅め (最低でも半年~1年) |
SEOが検索エンジンでWebサイトやブログを上位表示してWebサイトへのアクセスを増やすための施策であることに対して、MEOはGoogleマップや検索エンジン上で店舗や企業などの情報を上位表示して、来店や来社を促すための施策です。
また効果が表れるまでの速度の違いは、コストにも影響します。本格的なSEO対策になると月額20万〜50万円程度が相場です。MEO対策は月額数万円で実施でき、費用面からも導入しやすいことが特徴です。
MEO対策のメリット・デメリット
MEO対策は、SEO対策と比較すると効果が表れるまでの期間が短いことや施策費用の安さが主なメリットでした。では、MEO対策単体で見たメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、MEO対策のメリット・デメリットについて、それぞれ詳しく紹介します。
MEO対策のメリット
MEO対策のメリットには、主に下記6つが挙げられます。
- SEO対策よりも難易度が低い
- 確度の高い見込み顧客にリーチできる
- 検索だけでなくGoogleマップからも集客できる
- 登録しておくだけでも効果がある
- 口コミを集めて信頼を得られる
- 情報を発信してコミュニケーションをとれる
ここからは、各メリットの詳細を説明します。
SEO対策よりも難易度が低い
SEO対策・MEO対策はいずれもGoogle上での露出を増やすための施策ですが、難易度を挙げると、MEO対策の方が簡単と言っても過言ではありません。
MEO対策 | SEO対策 | |
競合 | 同じ商圏内の、同じキーワードを狙っている人たち | 日本全国の、同じキーワードを狙っている人たち |
アルゴリズム変動 | 頻繁(毎週・毎月レベル) | ほとんどない |
SEOは求められるレベルが年々上がっており、近年では上位表示されるまでにはある程度の時間がかかることが基本となりました。特にビックキーワードにおいては大手が上位を独占しており、競合性の高さから新規参入は難しい場合があります。
その点、MEOの施策対象はターゲット地域に所在する店舗のみとなるため、SEOに比べ競合性も低く、他社より先に対応することで検索上位を狙いやすい状況です。特に飲食や美容など、実店舗を持つ業界に有用です。
確度の高い見込み顧客にリーチできる
検索キーワードにもよりますが、Googleの検索結果で通常のWebサイトなどを差し置いて上位に表示される場合があります。
「地域名+業種(例:レストラン)」で検索すると、次のように表示されます。地域名を入れなくても、位置情報をオンにした状態で「レストラン」と検索するとGoogleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)の情報が上位表示されます。
「地域名+キーワード」で検索するユーザーは、来店までを考慮した購買意欲の高い見込み顧客です。また、上記のような来店の可能性が高いユーザーには、Googleマップのローカル検索広告を利用してお店を宣伝することもできます。
「ローカル検索広告」について詳しく知りたい方はこちらをお読みください。
▶︎ 【ローカル検索広告とは?】Googleマップから実店舗へ集客する方法
検索だけでなくGoogleマップからも集客できる
Googleビジネスプロフィールに登録した情報は、Google検索だけでなくGoogleマップにも表示されるため、両方からの集客が見込めます。Googleマップには便利な機能がたくさんあり、多くのユーザーが利用しているため、マップからの集客を狙う重要性は今後も増していくでしょう。
登録しておくだけでも効果がある
Googleビジネスプロフィールに登録して、店舗や企業情報をある程度整備しておくだけでも、未登録の店舗よりGoogleからの評価が高まります。ユーザーにとっては、何も情報が掲載されていない店舗よりも、きちんとした情報が整備されている店舗の方が「行ってみよう」という気分になれるでしょう。
お店への信頼性は、売り上げに直接かかわると言っても過言ではないほど重要です。まずは登録して、店舗の商品などを投稿するところまでやっておきましょう。
口コミを集めて信頼を得られる
ユーザーの多くが、「信頼できるお店」や「安心できるお店」を探すとき、レビューや口コミの投稿内容を確認します。特に飲食や物販といった業種ではその傾向が強く、Googleマップで店舗情報を見るときもまず間違いなくチェックされる項目です。
また、MEO対策においても、寄せられた口コミの量や質は店舗情報の評価に影響します。Googleを経由してレビューを獲得すれば、ユーザーとGoogle、両方の評価を同時に高められ、結果的にお店の信頼感アップにつながるでしょう。
情報を発信してコミュニケーションをとれる
Googleビジネスプロフィールでは、「投稿機能」を利用して下記のようなお店の情報を発信できます。
- 特典:セールやクーポンなどの特典情報
- 最新情報:新商品の発売や営業時間変更など、ビジネス全般の情報
- イベント:イベント名、開始・終了日時などの催事情報
- 商品:商品タブにも表示される商品情報
- COVID-19の最新情報:新型コロナウィルス感染症に関連した取り組みや営業時間変更などの情報
お店の最新情報を投稿すれば、ユーザーからの信頼感や安心感を高められるでしょう。
MEO対策のデメリット
MEO対策はメリットばかりではなく、少なからず下記のようなデメリットも存在します。
- ネガティブイメージをつけられる可能性がある
- MEO対策の対象業界が限定的
- 上位表示数に制限がある
- 継続した努力が必要
MEO対策を実施する際は、あらかじめデメリットも把握しておきましょう。
ネガティブイメージをつけられる可能性がある
人気店が検索上位に表示されてくると、口コミにネガティブなイメージを書き込まれるケースも増えています。競合が戦略としてネガティブキャンペーンを行うこともあるため、対策が必要です。
MEO対策の対象業界が限定的
MEO対策は、Googleマップを中心とした地図アプリの検索結果を活用して、実店舗への来店を獲得するための施策です。実店舗がない場合は、そもそも施策ができないことを覚えておきましょう。
上位表示数に制限がある
検索結果1ページ目(検索をかけた初めのページ)に上位表示される店舗情報は、3位までです。上位表示化されていなければ十分な集客効果を得られないため、しっかりと対策を行わなければさほど意味のないものと化してしまいます。
継続した努力が必要
Googleビジネスプロフィールで上位表示を保つためには、定期的に情報をアップデートし続けなければなりません。Google検索は、検索ユーザーに対し「常に最新の正確な情報を届ける」という指標を持っています。
そのため、一度上位表示された後も、店舗情報の管理・更新はもちろん、投稿機能を活用したり口コミに返信したりといった作業を継続する必要があります。さらに、Googleビジネスプロフィール自体の機能追加・変更にも、その都度対応する努力が必要です。
Googleが重要視しているポイント
MEO対策のメリット・デメリットが理解できたら、作業へ取り掛かる前にGoogleが何を基準に店舗情報を評価するかも把握しておきましょう。Googleが重要視しているポイントを理解すれば、より効果的・効率的なMEO対策を講じることが可能です。
ここでは、Googleが重要視する3つのポイントを解説します。
店舗までの距離
Googleマップでは、ユーザーが検索したときの現在地や指定地域名と店舗までの距離が近いほど、上位に表示されやすい傾向です。ただし、ユーザーの位置情報は店舗側がコントロールできるものではないため、対策する方法はありません。Googleマップのアルゴリズムとして、そのような機能が搭載されている情報だけを理解しておきましょう。
キーワードとの関連性
ユーザーが検索したキーワードとの関連性が高いと判断された店舗ほど、上位に表示されやすくなります。Googleがキーワードの関連性を判断する主な基準は、Googleビジネスプロフィールに登録された店舗情報です。
例えば、ユーザーが「池袋 紅茶」と検索をかけたとき、お店で紅茶を提供していても商品情報に掲載していなければ関連性が低いと判断されます。ユーザーが検索するであろうキーワードを予測した、店舗情報の充実が重要です。
店舗の知名度
インターネット上で店舗がどれだけ話題に取り上げられているかも、Googleは重要視しています。Googleビジネスプロフィールなどの口コミ数や評価はもちろんですが、検索数やSNS上での話題性なども評価に関連する指標の1つです。可能であれば、MEO対策とともにSEO対策やSNSでの情報発信も並行して行うと良いでしょう。
MEO対策に必要な6つのこと
MEO対策はいくら難易度が低いとは言え、ただやみくもに施策を行っても集客効果は全く期待できません。売り上げの向上を最終的な目標に掲げてMEO対策を実施するなら、行うべきステップを把握したうえで、手順を踏んで段階的に進めることが重要です。
ここからは、MEO対策に必要なことを6つ、順番に分かりやすく紹介します。
①Googleビジネスプロフィールに登録する
MEO対策はGoogleビジネスプロフィールを土台とします。まずはGoogleビジネスプロフィールに登録してください。
Googleビジネスプロフィールページは来店を目的とした問い合わせや予約を獲得しやすい構造となっているため、確度の高いユーザーとのタッチポイントを増やすことに繋がります。
Googleビジネスプロフィールに登録する情報は以下の通りです。
- ビジネス名の入力
- ビジネスカテゴリ選択
- 実店舗・オフィス・事務所の有無
- 会社住所の入力
- Googleビジネスプロフィールの確認
- Googleマップ上での所在地指定
- 他店舗の有無
- ユーザーとのタッチポイント選択
- 最新情報の入手選択
- オーナー確認
中でも、最も重要な項目はオーナー確認です。オーナー確認を済ませなければ、Googleからの信用が低くなり上位表示されないため、必ず行うようにしてください。また、Googleビジネスプロフィールでは簡単なWebサイトの作成も可能となっているため、自社サイトを所有していない人はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
②NAP情報の統一
Googleビジネスプロフィールへの登録後は、各媒体・サイトにおけるNAP情報を統一しましょう。NAP情報とは、「Name(名前)」「Adress(住所)」「Phone(電話番号)」の頭文字を取った略称です。
Googleビジネスプロフィールと他サイトのNAP情報が異なっていると、別のビジネスとして扱われてしまい実際よりも知名度が低いと判断されかねません。特に店舗の所在地は、番地やビル名などが表記ゆれを起こしやすいため、注意が必要です。
③ビジネスとマッチしたカテゴリを設定する
Googleビジネスプロフィールの中でも、検索結果に直接影響する「カテゴリ」の設定は重要です。カテゴリは「メインカテゴリ」を1つ、「サブカテゴリ」を9つ登録できます。
カテゴリを登録すると検索にヒットする可能性が高まるため、ユーザーを呼び込みたいカテゴリを漏れなく登録しておきましょう。ただし、事業と関わりのないカテゴリの登録は、かえってGoogleからの評価を下げるため、避けたほうが無難です。
④良い口コミを集める
購買行動の後押しに重要とされているのが口コミです。Googleは第三者からの意見を重く評価しているため、MEO対策では口コミ対策を忘れずに行ってください。
マイボイスコム株式会社が2020年3月に行ったインターネット上の口コミ情報に関する調査では、以下のような結果が出ていました。
2020年度の調査結果で”ネット上の口コミ情報を参考にする”と答えた方は55.7%もおり、半数以上が口コミを参考にしていることがわかります。モノや情報が溢れている現在、口コミは重要な指標の一つです。
口コミ対策の具体的な方法は、ユーザーが投稿したコメントに返信するだけです。良い口コミ、悪い口コミに限らず、どんなコメントにも返信してください。良い口コミを集める近道はありません。コメントをもとに、コツコツと顧客満足度の向上に努めることが大切です。
⑤Googleビジネスプロフィールを充実させる
Googleビジネスプロフィールには、投稿・情報・メニュー・料理写真・建物写真などさまざまな項目があります。すべての項目を埋める必要はありませんが、ユーザーにとって必要な情報は必ず準備してください。飲食店であれば、料理や店内のイメージが伝わる画像を多めにすると良いでしょう。
また、検索キーワードを意識することで、キーワードとの関連性が高くなり検索上位に表示されやすくなります。
どのようなキーワードと関連づけるかお悩みの方は以下の記事をお読みください。
▶︎ 【Google広告キーワードプランナー】効果的な使い方
⑥サイテーションを増やす
Googleマップ上の表示順位を決定する際、“店舗や企業の知名度が重要視される”と公式ガイドラインに記載されています。
視認性の高さとは、ビジネスがどれだけ広く知られているかを指します。ビジネスによっては、オフラインでの知名度の方が高いことがありますが、ローカル検索結果のランキングにはこうした情報が加味されます。たとえば、有名な博物館、ランドマークとなるホテル、有名なブランド名を持つお店などは、ローカル検索結果で上位に表示されやすくなります。
(引用:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善する方法」)
つまり、Googleから「知名度が高い」と判断されれば、上位表示されやすいということです。そして、Googleから知名度が高い企業であると評価されるためには、「サイテーション」が必要です。
サイテーションとは引用という意味で、SNSなどで自社について言及されることを指します。
- 会社名
- サイト名
- サービス名
- 住所
- 電話番号
- テキストURL(aタグを使用していないテキスト)
これらの情報を多くのユーザーに引用・言及してもらえると、MEO効果が高まり上位表示されやすくなります。
サイテーションを増やす簡単な方法は、SNSでの情報発信です。自社の情報をSNSで発信し、認知が広がれば、自社について言及される可能性は高まります。地道な手法にはなりますが、コツコツと情報を発信していき、店舗や企業の認知を高めることが上位表示への第一歩です。
サイテーションについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
▶︎ SNSにSEO効果はあるのか【サイテーションとソーシャルシグナル】
さらなる上位化を目指すなら
MEO対策でさらなる上位化を目指すなら、下記のポイントを押さえておきましょう。
- Googleのガイドラインを遵守する
- 関連している自社サイトのSEO対策をする
- インサイトを使ってPDCAを回す
- 継続的にアップデートを繰り返す
ここでは、MEO対策におけるポイントを簡単に紹介します。
Googleのガイドラインを遵守する
Googleが推奨する行為や、やってはならない行為は、すべて「Googleビジネスプロフィールヘルプ」に記載されています。ガイドラインに違反するとGoogleビジネスプロフィールが使用できなくなるため、まずは一度目を通しておくと良いでしょう。
関連している自社サイトのSEO対策をする
Googleマップの表示順位には、Googleビジネスプロフィールに紐づけられているサイトの評価も影響します。そのため、自社サイトのSEO対策をしっかりと行えば、MEO対策にも好影響が期待できるでしょう。Google検索のローカルパックに加えて、すぐ下に自社サイトのWebサイトが表示されれば、ユーザーからの信頼感が高まります。
インサイトを使ってPDCAを回す
MEO対策の効果を高めるには、データの検証も重要です。Googleビジネスプロフィールには、ビジネス情報にアクセスしたユーザーの行動やアクションを解析できる「インサイト」という機能が備わっています。インサイトの情報を分析して改善を繰りし、MEO対策の精度を上げましょう。
継続的にアップデートを繰り返す
Googleビジネスプロフィールは、常に最新の状態を保たなければなりません。最終更新日から時間が経過した情報は、Googleからもユーザーからも信頼性が下がります。例え営業時間やサービス内容に変化がなくても、定期的に最新の写真を掲載する・投稿を更新するなど、継続的なアップデートが重要です。
MEO対策の今後
MEO対策の今後を予測するために、株式会社エフェクチュアルが行った地図アプリの利用に関する調査を見てみましょう。
(引用:PR TIMES「【2021年版 定点調査】地図アプリ利用率1位はGoogleマップ!エフェクチュアルが地図アプリの利用トレンドをレポート」)
2019年度の調査でも対象者の8割がGoogleマップを利用していましたが、約2年間で約9割にまで成長しています。他の地図アプリと大きな差があり、地図アプリと言えばGoogleマップと認識されていると推測できます。
さらに経路検索以外の用途として、約5割が店舗情報の確認のために利用していることがわかります。地図アプリからWebサイトを閲覧したり、写真や口コミを見るユーザーも増加したりして、地図アプリに求めるものが変化しつつあると言えるでしょう。
ユーザーニーズやデバイスの進歩にいち早く対応するInstagramが、2021年6月に地図検索機能を導入したことを考えると、スマートフォンを使用して店舗情報を検索するユーザーが増加していると推測できます。まだMEOに取り組んでいない方は、なるべく早めに対策を始めてみてはいかがでしょうか。
MEO対策にはたくさんのメリットが!
MEO対策は検索エンジンやGoogleマップ上で、自社の情報を上位表示させるための手法です。SEO対策と間違えられるケースもありますが、MEOはGoogleマップなどの地図アプリ上で上位表示させる施策を指しており、SEOとは対応範囲が異なることを覚えておきましょう。
MEO対策はGoogleビジネスプロフィールに登録しているだけで、一定の効果を見込める施策です。緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開された今、多くの企業が取り組み始めると推測されているため、競合が参入する前に対策を始めておくことをおすすめします。
MEO対策を検討されている方は、ぜひ一度お問い合わせくださいませ。
お気軽にお問い合わせください。