ECサイトを運営する上では、顧客管理がつきものになってきます。顧客を上手に管理し、顧客との繋がりを大切に扱うことで顧客との間に信頼関係が生まれ、売上をより大きく拡大することができます。
顧客との間に信頼関係を築くためには、顧客に合わせたコミュニケーションが必要であり、顧客との信頼関係を管理することをCRMと言います。
今回は、そんなCRMを活用して成功を収めたECサイトの事例を5つご紹介します。
CRMとは?
CRM(Customer Relationship Management)は日本語で「顧客関係管理」を表します。
ただ文字通りに顧客との関係を管理するという意味だけではなく、顧客を中心にビジネスを考えるという意味も持った言葉です。
なぜ顧客を中心に考えるのかと言いますと、企業がいくら自社の持つ技術やノウハウを活かして製品を売り出したとしても、それを欲しいと考える顧客がいなければビジネスは成り立ちません。
そこでビジネスにおいて需要を生み出してくれる顧客こそを中心に考えるべきだという考え方が生まれ、CRMと言う言葉ができました。
従来は「顧客管理」と言うと人の手で行うものだったため範囲に限界がありましたが、近年ではIT技術の発展により簡単に顧客管理を行うことができるようになりました。
ECサイトでCRMを活用する理由
ECサイトでCRMを活用する理由は様々なものがありますが、ここでは大きく3つを取り上げて解説していきます。
ECサイトでCRMを活用する理由①膨大な顧客情報を一元管理できる
ECサイトでCRMを活用する理由の1つ目は、膨大な顧客情報を一元管理できることです。
CRMを活用することで、人の手では限界がある膨大な量の顧客情報を簡単に管理・分析することができるようになります。
例えばある1つの顧客セグメントを抜き出して、「このセグメントはこういった購買行動を取る傾向にある」という分析も少ない手間でできるようになります。人の手やエクセルだけではできなかった管理・分析を一挙に行うことができるのがCRMの大きなメリットと言えるでしょう。
ECサイトでCRMを活用する理由②顧客へダイレクトメールの配信ができる
ECサイトでCRMを活用する理由の2つ目は、顧客へダイレクトメールの配信ができることです。
ECサイトでCRMを活用する理由の1つ目として、顧客セグメントを抜き出して簡単に分析できるということを解説しましたが、ただ分析ができるだけでは売上には繋がらず何の意味もありません。
ECサイトの運営においては分析した顧客へのアプローチによって売上を伸ばすことが目的であり、そんな顧客へのアプローチを可能にするのがCRMを使ったダイレクトメールの配信です。
CRMではセグメントに切り分けた顧客に対してダイレクトメールを出し分けて配信できるので、同じ内容のメールを一斉送信するよりも遥かに効率よく顧客にアプローチをかけられますまたセグメントごとにダイレクトメールへの反応率を分析することができるのもCRMのメリットです。
ECサイトでCRMを活用する理由③お問い合わせにスムーズに対応できる
ECサイトでCRMを活用する理由の3つ目は、お問い合わせにスムーズに対応できることです。CRMを導入することで、顧客の行動情報をデータとして蓄積することができます。そのデータを活用すると、顧客から詳しい情報を聞くことなくお問い合わせに対応することができるようになり、結果として顧客の待ち時間を減らすことができます。
すると顧客の満足度の向上に繋がり、リピート率を上げて売上に繋げることもできるようになるでしょう。
CRMで成功したECサイト5選
CRMの意味とメリットについておさらいしたところで、ここからは実際にCRMを導入して成功を収めたECサイトの事例について紹介していきます。
CRMで成功したECサイト事例①フィリップス社
CRMの成功事例の1つ目は、フィリップス社です。フィリップス社は、髭剃りや電動歯ブラシなどの製品を販売しているメーカーで、オランダに本社を置いています。
フィリップス社は、CRMシステム最大手の「セールスフォース」の導入によって顧客の分析ができるようになりました。それによって、顧客のニーズについて深く知ることができるようになり、製品開発に顧客のニーズを活かすことでさらに売上を伸ばすことに成功したのです。
また世界各国に製品を販売する多国籍企業であるフィリップス社は、その社員も世界各地に分散しています。CRMの導入によって、社員がリアルタイムに更新されるCRMのシステムに自由にアクセスできるようになり、製品開発や販売の戦略立案に活かすことができるようになりました。
CRMで成功したECサイト事例②ウィルワン株式会社
CRMの成功事例の2つ目は、ウィルワン株式会社です。ウィルワン株式会社とは、治療家やセラピストを対象とした人材紹介事業をはじめに、高い就職率を強みとする整体スクール「ウィルワン整体アカデミー」や求人サイト「ジョブノート」を運営している企業です。
求人サイトの「ジョブノート」を開設した際には、無料で求人広告を掲載し採用が決まったら企業から報酬を得るという成果報酬型の手法をとっていたものの、この形式だと採用する側の企業のレスポンス次第で採用率が変わってきてしまい、他の企業で採用が決まってしまうという問題を抱えていました。この悩みを解決するために導入したのが「CRM」です。
CRMの導入後は、求職者のステータス管理にかかる工数が6割から7割削減され、その分の工数を求職者のフォローに割くことができるようになりました。
CRMで成功したECサイト事例③株式会社ナノ・ユニバース
CRMの成功事例の3つ目は、株式会社ナノ・ユニバースです。株式会社ナノ・ユニバースは、アパレルのセレクトショップを経営する企業です。
CRMの導入前は、店舗とECサイトでそれぞれPOSシステムを使用していました。当時は顧客情報とポイント情報はサービスごとにバラバラに管理されている状態でした。このままでは店舗とECサイトの連携がとれないという問題が起こっていたのです。
悩みを解決して店舗とECサイトの戦略を融合させてより良い戦略に活かすために、CRMを導入しました。これにより店舗とECサイトでポイントサービスが統合されて顧客満足度の向上に繋がっただけでなく、ビッグデータを活用した訴求ができるようになり、大きく売り上げを伸ばすことができるようになりました。
CRMで成功したECサイト事例④ドクターシーラボ
CRMの成功事例の4つ目は、ドクターシーラボです。
従来のドクターシーラボは効率的な業務運営を追い求めた結果、顧客とのコミュニケーションが不足する問題を抱えていました。この問題を解決するため、CRMの導入に踏み切りました。
それと同時に、SNSやメルマガといった顧客との接点の多いマーケティング部門を強化することで、顧客とのコミュニケーションを重視する方向性に転換しました。化粧品という顧客との信頼関係が売上に結びつく業界において、ドクターシーラボが行った施策は無事成功し、顧客のLTVを高めて売上を伸ばすことに成功しました。
CRMで成功したECサイト事例⑤カゴメ
CRMの成功事例の5つ目は、カゴメです。
カゴメでは、原材料の高騰や流通コストの増加によるEC部門の売上悪化が課題でした。そんな中でCRMの導入に踏み切ったのですが、カゴメがまず力を入れたのがコールセンターです。
コールセンターは、顧客と直接コミュニケーションを取る部門のため、CRMにおいては非常に重要なポジションと言えます。カゴメは、そのコールセンターのオペレーター達に裁量権を与え、オペレーターが単なるマニュアル通りの応対ではなくきめ細やかな提案ができる環境を整備しました。
6ヵ月後にはLTVが前年比の28%増を記録するなど、劇的な成果を挙げています。
CRM導入の成功事例に学ぶこと
CRM導入の成功事例を5つご紹介してきましたが、これらの成功事例から学べることとしては、CRMの導入は必ず目的を明確化して行うべきということです。
導入前はなぜ導入するのかという理由、導入後はCRMによって何を成し遂げるのかという目標を定めて導入に踏み切ることが成功への近道と言うことができます。
「ただ世間で流行っているからCRMを導入する」のではなく、きちんと目的を明確化するようにしましょう。
まとめ
今回はCRMとは何か、どんなメリットがあるのか、CRMを導入したECサイトの成功事例5つを一挙に解説してきました。ECサイトのCRM導入は、顧客との信頼関係をより強固にし、LTVを伸ばすために大切な施策であると言うことができます。
CRMの導入を検討される際には、あくまでも顧客とのコミュニケーションが成功のカギであるということを意識して検討してみてください。
世界シェアNo1のMAツールが無料? 「Hubspot」無料版の機能とでできること
無料から利用できる「Hubspot」について詳しく説明している資料があります。こちらの記事でMAについて興味が湧いた方はぜひダウンロードしてみてくださいね。