今さら聞けない!CRM分析の重要性と代表的な3つの手法

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「CRM分析で顧客満足度を高められる」「CRM分析で売り上げを伸ばせる」という話を聞いたことがありますか。

確かにCRM分析の方法を学び、必要なツールを導入し、明確な目的を持って施策改善に取り組めば、大きな成果につながります。マーケティング施策や投資の判断もより的確にできるようになるでしょう。

しかし、「CRMは難しそう」というイメージがあり、導入に踏み切れない企業も少なくありません。また、導入しても大事なポイントを見逃しているために、成果につなげられない企業もいます。

そこで、今回はCRM分析とは何かという基本的な話から、その重要性やポイント、具体的な手法まで紹介していきます。

CRM分析とは

CRMとは「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」の略で、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれています。顧客との間に信頼関係を構築し、既存顧客をリピーターやファンに育てるような関係性づくりを行う手法です。

CRM分析では、「価値が高い顧客は誰か」「休眠顧客はどこにいるか」「現在アプローチできていない潜在層は誰か」などを明らかにします。分析結果をもとに効果的なマーケティング施策の立案が可能になります。

CRM分析の重要性

CRM分析の目的は、顧客との関係を管理し、顧客価値や顧客数を最大化することです。分析によって、「どんな人が、どこで、どんな商品を、どれくらい買っているのか」が明確になります。

例えば、男性向けに販売・プロモーションしている商品があるとしましょう。でも、分析の結果、実は女性に売れていたことが分かったとします。企業の思惑とは違い、女性のニーズが強いという実態が見えてきます。この場合、プロモーションのターゲットを男性向けから女性向けに切り替えることで売り上げを伸ばすことができるでしょう。

もし、この企業がCRM分析をせずに男性向けプロモーションを継続していたら、大きな機会損失を生んでしまいます。

マーケティング担当者や商品開発者は肌感覚でターゲット層や顧客ニーズを捉えているものです。しかし、CRM分析を行えば、実際のデータをもとに、より高い精度で施策に反映させられます。

現在は、テレビCMや看板広告などマス広告が中心だった時代とは状況が異なります。気になった商品やサービスをインターネットやSNSで検索し、口コミなどを通じて検討・購入するケースが一般的になっています。顧客を明確に把握し、どこでどんな行動をして、どう考えているのかを知る重要性が高まっているのです。

CRM分析のポイント

多くの企業は初歩的なCRM分析を取り入れていますが、それだけでは不十分です。ポイントを抑え、確立された手法を取り入れることで、これまで見えていなかった顧客の姿が見えてくるはずです。

それでは、CRM分析を成果・売上に変えるためのポイントを見ていきましょう。

目的を明確にする

CRM分析の目的は「顧客との関係を管理し、顧客価値や顧客数を最大化すること」です。しかし、実際にCRM分析を行う際は、より具体的で明確な目的が必要です。目的によって活用すべきツールや手法は変わってきます。

例えば、商品の顧客層を拡大したい場合、既存顧客に関する下記の情報を見ます。

  • デモグラフィック情報(年齢・性別・収入・居住地など)
  • サイコグラフィック情報(習慣・趣味・嗜好・価値観など)
  • 購入経路(店舗・EC・広告経由など)

これらを把握し、共通点や傾向を見つけ、現在アプローチできていない顧客層を探します。

例えば、リピート率の改善が目的だった場合、上で紹介した情報に加え、リピートの有無や回数という切り口から分析します。20代よりも30代のリピート回数が多いという傾向があったとすると下記の施策が考えられます。

  • 30代にフォーカスしてプロモーションを行う。
  • 20代のリピート回数が少ない理由を考え、改善策に取り組む。

CRM分析は広告のROIを改善するために活用できます。ROIとは「投資収益率」と呼ばれ、マーケティングでは広告投資に対する利益の割合を表します。ROIが高い顧客層を明らかにし、広告のターゲットとすることで、広告の費用対効果を高められます。

このように分析の目的を明確にすることで、活用すべきデータや取り組むべき施策が見えてきます。

データ計測できる環境を作る

目的が明確になったら、どんなデータが必要なのかを考え、ツールを選択しましょう。

例えば、GoogleアナリティクスはCRM分析に必要なデータを計測するツールとして活用できます。Googleアナリティクスでは、Webサイトに訪問した人の年齢・性別・興味関心などを取得できますが、計測できるデータはWeb上の行動に限られます。

CRM分析を詳細に行いたい場合は、メールマガジンの配信状況やテレアポ、訪問の結果など営業やマーケティングに関する幅広いデータが必要になります。

分析はExcelでもできますが、もととなるデータがバラバラな場合は困難です。また、そもそもデータがない場合はできません。弊社が導入しているMAツール「HubSpot」を活用すれば、さまざまなチャネルからデータを集め、一元管理できます。

CRM分析は一度行ったら終わりではなく、継続的な取り組みが成果につながります。従って、包括的なデータ計測・連携ができるMAツールの導入をおすすめします。

ツールを選ぶ際にチェックすべきポイントは下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてください。

CRMの目的は?メリット・デメリットとシステムの活用ポイント

CRM分析の手法

それでは、具体的なCRM分析の手法を見ていきましょう。代表的なフレームワークを紹介しますので、状況に合わせてカスタマイズしてご活用ください。

RFM分析

代表的なCRM分析の手法に「RFM分析」と呼ばれるものがあります。RMF分析とは「Recency(直近の購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標で下記の表のように顧客をランク分けする手法です。

RFM分析
このようなランク分けによって、それぞれのグループごとにマーケティング施策を考えられるようになります。

RFM分析は切り口によってさまざまな応用ができます。下記の表は列に購入回数、行に経過日数を入れた例です。本来は売上も考慮しますが、今回はシンプルにそれぞれの購入回数のみを記載しています。

RFM分析の例

このデータから下記のことが分かります。

①購入からの経過日数が3年以上の休眠顧客の割合が約4割

休眠顧客が多く、この層を掘り起こす施策が売上アップのカギになる可能性があります。

②1回目購入件数よりも2回目購入件数の方が多い

1回目購入は495件、2回目購入は544件であり、リピート施策がうまくいっていると考えられます。しかし、3回目以降の購入数が大きく低下しています。何が原因となっているかを追究し、解決を図ることで購入回数をさらに増やせるかもしれません。

このようにRFM分析はマーケティング施策の立案に役立ちます。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、顧客を特定の条件で分類し、全体的な傾向を把握するための手法です。例えば、年齢・性別といったデモグラフィック情報や興味関心などのサイコグラフィック情報、Webサイト上の行動などから分析していきます。

下記の図は、居住地と性別を軸に売上のボリュームを分類した例です。

居住地性別マトリックス

ここでは縦軸に居住地、横軸に性別を置いて売上のボリュームを色の濃さで表しています。

地方に居住する男性の売上が最も高く、都心に居住する女性の売上が最も低いことを示しています。プロモーションのメインターゲットは地方男性が適していると考えられます。

さらに、年代と性別による売上の違いを分析してみましょう。

性別年代別グラフ

こちらは、各年代における男女別の購入数をグラフにしたものです。男性は年代が上がるほど購入者が増えています。しかし、女性はどの年代でも同程度の購入数です。メインターゲットは50代以上の男性ですが、若い女性にもそれなりのニーズがあると考えられます。その理由を深掘りすれば、新しいマーケティング施策のヒントが得られるかもしれません。

このようにセグメンテーション分析は、新しいマーケティング施策、見逃されていたターゲットの発見などに役立ちます。

セグメンテーション分析で使う項目はさまざまです。例えば、アンケート調査で「値段が安いから」「機能が高いから」「友達に勧められたから」などの購入理由を聞きます。集計後、回答別に購入数を確認すれば、確度の高い訴求軸が見えてきます。

LTV分析

LTV(Life Time Value)分析とは、顧客の生涯価値(1人の顧客がもたらす売上総額)を重視した分析手法です。いくつかの算出方法があり、扱う商品やサービスの性質によって異なります。既に導入しているCRMツールでLTVが自動算出される場合は、その定義を知っておくことも大切です。

①年間購入額×継続年数

定期購入型の商品で、顧客ごとの購入履歴が長期間記録されている場合に適した算出方法です。顧客ごとの年間購入額を継続年数で掛けてLTVを算出します。サブスクリプションモデルで頻繁に使われるLTVの計算式です。

②平均購入単価×平均購入回数

単発購入が基本の商品は、単価を回数で掛けてLTVを算出しましょう。純粋な売上金額をベースにLTVを考える場合に向いた計算式です。購入単価を向上させるためにアップセルやクロスセルを考えたり、購入回数を増やすために割引チケットなどを用いたりすることでLTVを向上させられます。

③購入単価×購入頻度×継続期間

化粧品のように、繰り返し買われる単発商品の場合は、購入単価に年間の購入頻度と継続年数を掛けてLTVを算出するとよいです。

このように、さまざまな算出方法があり、商品の販売方法や保有している購買履歴の期間などによって適した方法が異なります。

こうして算出したLTVを年齢や性別、興味関心や行動などの視点から多角的に分析してください。例えば、ブログサイトを見た顧客とECサイトしか見ていない顧客で、ブログサイトを見た顧客のほうがLTVが高いという傾向を見つけたとします。このことから、「購入前にブログサイトを見てもらうことでLTVが上がるのではないか」という仮説を立てられ、新たな施策の材料になります。

他にも、SNSをフォローしているか否かでLTVを比べてみるのも良いでしょう。もしSNSをフォローしている顧客の方がLTVが高ければ、既存顧客にSNSフォローを促す施策が効果を発揮するかもしれません。

まとめ

今回はCRM分析について、その目的や重要性、効果を出すためのポイントと具体的な3つの分析手法を紹介しました。

CRM分析にはこの他にもさまざまな手法がありますが、多くは今回紹介した「RFM分析」「セグメンテーション分析」「LTV分析」をもとに、自社の状況や目的に合わせてカスタマイズすることで、新しいマーケティング施策の発見につながります。

CRM分析では、活用できる過去のデータがどの程度あるかが結果を大きく左右します。手法を学んでも、データがほとんどなければ蓄積するまでに長期間かかってしまうこともあるからです。

すぐに取り組む予定がない場合も、HubSpotのように顧客管理機能を持ったツールを導入し、CRM分析ができる環境作りから始めてみましょう。

CRMの導入について相談したい方は、下記のリンクよりお問い合わせください。