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カメラには、写真の明るさなどを決める露出モードが、P・A・S・Mの4種類あります。
以下の4つは、カメラを扱う上では重要な項目です!丸暗記しましょう。
- P プログラムAE
- A 絞り優先AE
- S シャッター速度優先AE
- M マニュアル撮影
(*AEとは、オートエクスポージャーです。)
メーカーやカメラによっては、この4つ以外のモード(接写、人物、風景、スポーツなど)がありますが、こちらは基本的には、メーカー特有のものになり、初心者向けになります。また、これらのモードは、実際には使いづらい場合が多くあまり実用的ではありません。
一方、P・A・S・M 4つのモードをきちんと理解すれば、花から料理、人物からスポーツ、風景まで撮りたいもの全てを撮影することができます。本記事ではこの基本4モードの詳細を解説していきます。
P プログラムAE
“シャッター速度”と“絞り値”をカメラが自動的に判断して露出を決定して撮影できます。
ほぼフルオートで撮影できますので、気軽にスナップなどを撮影する時に適しています。初心者の方など、“とにかく写真が撮れていること”を重視する人に適したモードです。
一般的にPモードでスピードライト(フラッシュ)を使用した場合は、背景の明るさよりも被写体を重視した露出で撮影されます。つまり、Pモードを選択しているときに、暗い場所でフラッシュを使って撮影すると、基本的には背景が真っ黒な状態で、人物などの被写体が浮かび上がって見えるような写真になります。
また、カメラのダイヤルなどを操作することによって、プログラムシフトが行われ、違う組み合わせの絞り値とシャッター速度を変更して撮影することができます。
A 絞り優先AE
絞り値を自分で選択して、被写界深度をコントロールしながら撮影ができます。シャッター速度はオートで決まります。
絞りを自分で選択することによって、被写界深度(ピントの合う範囲を浅くしたり、深くしたりする。)をコントロールすることができます。絞りを浅くして、背景のボケた写真を撮ったり、反対に絞り込んで、被写界深度の深い風景写真を撮影したりすることができます。
絞り優先モードで背景をぼかした写真
撮影 小野友暉
絞り値を決めるだけで、シャッター速度は自動で決まりますので、素早く撮影することができます。ポートレート撮影などにも使いやすいですし、一般的には、最も使いやすいのがこの絞り優先AEだと言えます。プログラムAEの次にぜひこのモードに挑戦しましょう。
また、補足ですがフラッシュを使って撮影する場合、Pモードとは違い背景の露出が加味される場合が多いです。従って、夜景と人物を一緒に撮りたい場合などは、こちらのAモードをお勧めします。特にスローシンクロ(フラッシュを使いながら、遅めのシャッター速度で撮影する方法)の設定になっていれば、背景もしっかり写しながら、人物も写すことができます。
S シャッター速度優先AE
シャッター速度を自分で選択して、動きのある被写体を止めて撮影したり、反対にシャッター速度を遅くすることでブラして撮影することができます。絞り値はオートで決まります。
このモードは、早い速度のシャッター速度を選択することによって、スポーツなど、動きのある被写体を止めて撮影したり、反対にスローシャッターにして、夜景などで車の行き交う光を流れるように撮影したり、風景写真で川や滝などの水の流れをブラすことによって、スムーズな水の流れを表現した写真を撮影することができます。
スローシャッターで川の流れを表現した写真
撮影 小野友暉
シャッター速度をコントロールすることができれば、写真に個性を出すことが可能になります。スローシャッターからハイスピードシャッターまで、様々な速度での撮影を使いこなせるようになると写真の表現の幅が大きく広がります。
1/8000秒の超高速シャッターで水の動きを撮影した写真
撮影 小野友暉
M マニュアル撮影
“シャッター速度”と“絞り値” 両方を自分で設定します。
スタジオ撮影時など、大型ストロボを使った撮影時には、通常はこのマニュアルモードを使って撮影します。理由は、ストロボの閃光時間(光る時間)とシャッター速度が同調する速度に設定する必要があるからです。
ストロボを使ってM(マニュアルモード)で撮影した写真
撮影 小野友暉
同調速度はカメラによって違ってきますが、通常は1/125程度になっています。(カメラごとに違うので、詳しくは説明書などを見て確認しましょう。しかし1/125ならば、ほとんどのカメラが同調できます。)
ちなみに、絞り優先AEなどを使用して、スタジオでストロボを使って撮影をすると、ストロボが光る前のモデリングライトの薄明るい光の部分で露出が測光されてしまいます。そして、ストロボが発光すると真っ白に飛んだ写真になってしまったりします。
また、慣れてくるとスナップ撮影などでもマニュアル露出は、便利に使えるようになります。更にMモードは、自分で露出をコントロールして明るさを調節するので、一定の撮影カット内では、一定の明るさで撮影することができ、AEで撮影する時のように1枚1枚自動で明るさが調整されてしまって、明るさのバラツキのある写真になるのを防いでくれます。
これは、RAWなどで撮影した場合や、撮影後にパソコンのソフトなどで処理をする場合に、一連の写真にて編集でますので、作業効率が圧倒的に上がります。
マニュアル撮影をする場合には、カメラの内臓露出系の指標を頼りにするか、単体露出計を使用して測った露出値を使って撮影します。内臓露出計(TTL)には、被写体の反射率(色)によって露出が変化してしまうという最大の弱点があります。
例えば、白いものを撮影するとカメラが明るいと勘違いし、全体的には暗めの写真になります。逆に黒い被写体を撮影すると、カメラが暗いと判断し、全体的には明るめの写真になってしまいます。絞り優先AEやシャッター速度優先AEを使用して撮影するともちろんこのTTLを使用して撮影しますので、被写体の露出にバラツキが発生します。一方、単体露出計で露出を測定し、マニュアル撮影をすれば、被写体の色に影響することなく撮影をすることができます。
これらの利点から、多くのプロカメラマンが愛用する撮影モードがマニュアルでもあります。AE(TTL)の判断ミスに左右されることなく、自分で露出をコントロールできます。言い換えると、マニュアル露出は、カメラと一体となって露出をコントロールできるわけです。
ちなみに、フォーカス(ピント合わせ)のマニュアル/オートと混同される方が多いですが、露出モードダイヤルで選択するM(マニュアル)は、あくまでも露出(写真の明るさ)の設定です。オートフォーカスのマニュアルについては、別のスイッチで設定する必要がありますので注意が必要です。
初心者から上級者におすすめのモード順
最後に、カメラ初心者から各モードを使いこなせるようになるための手順をご紹介します。
- まずはプログラムAEを使って、気軽に撮影する。露出補正の仕組みと構図などをマスターする。一眼レフなどならば、プログラムAEであっても、スマートフォンなどとは、一線を画す美しい写真を撮影することができます。
- 次に絞り優先AEを使ってみる。ここで、絞りを積極的に利用して、被写界深度をコントロールして、背景のボケた写真や全体にピントの合ったパンフォーカスな写真を撮ることを学びましょう。
- シャッター速度優先AEを使ってみる。シャッター速度をコントロールすることによって、様々な非日常的な写真が撮影できることを知りましょう。このモードは風景撮影やスポーツ撮影では、とても重宝します。
- しかし、結局は絞り優先AEを使用することによって、シャッター速度をコントロールできることを学びましょう。特別な理由や目的がない限り、風景撮影などにおいても結局のところ絞り優先AEが使いやすいです。
- 最終的にマニュアル撮影をしても、絞り優先AEと同じスピード感で撮影ができるようなりましょう。絞りとシャッター速度の関係のみで、被写界深度や写真のブレ感、露出補正なしで明るさをコントロールできるようになればある程度どんな撮影でも対応できるようになります。
まとめ
以上、カメラの各モードについて解説しました。簡単にまとめると、P プログラムAE “シャッター速度”も“絞り値”もカメラが自動的に判断して撮影します。
A 絞り優先AE 絞り値を自分で選択して、被写界深度をコントロールしながら撮影ができます。シャッター速度はオートで決まります。
S シャッター速度優先AE シャッター速度を自分で選択できます。動きのある被写体を止めて撮影したり、反対にシャッター速度を遅くすることでブラして撮影することができます。絞り値はオートで決まります。
M マニュアル撮影 “シャッター速度”と“絞り値” 両方を自分で設定します。
となっています。各それぞれのモードを使いこなせるようになり、写真のスキルアップに繋げましょう。
当記事は「関西写真部SHARE」からの寄稿記事です
【関西写真部SHARE】
「楽しいことを生み出しみんなと分かち合う」をコンセプトに自由なアイディアと行動で、様々な企画を実行する団体。写真展や撮影会の開催、写真専門メディアの運営などを行っている。
【カメラマン】
小野友暉 プロフィールページ
鹿児島県出身。大阪在住の写真家。1992年11月20日生まれ。現在26歳。主に関西で活動する。女性のポートレートを中心に料理写真、スナップ写真、アート写真等様々な写真を撮る。関西写真部SHARE代表。カメラ以外にもWebを使ってマイクロビジネスを展開中。
【ライター】
かんばらふうこ プロフィールページ
兵庫県出身。1999年5月20日(19歳)。 高校三年生の秋にライターを始め、2018年1月に関西写真部SHAREの専属ライターになる。フォトグラファー・モデルに向けた記事の執筆から、企業のプロモーション記事の制作も行なっている。