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2月は1年の中で最も寒い月でありながら、どこか春の気配が感じられる時期です。
春になれば新商品の発売やニーズの発生、顧客層の変化など、様々な変化が起こります。多くのマーケティング担当者は2019年の春にどのような施策を行うか、アイデアを出している時期ではないでしょうか。
そこで今回、2018年に注目を集めた、企業による「春のSNSキャンペーン」をテーマにお送りします。
春はマーケティング担当者にとって勝負の時
春は、ただ季節の変わり目というだけではなく、様々な変化が起こります。転職や進学、転勤が発生し、多くの消費者のニーズが変化します。また、ゴールデンウィークのような大型休日があったり、企業によってはボーナスの時期であったりと、マーケティングのチャンスが多いシーズンです。
実際、様々な企業が独自の「春キャンペーン」を開催しており、 “勝負の時”といえるでしょう。
特に今、注目すべきはSNSを活用したキャンペーンです。日本のみならず世界中の人々が利用おり、消費者の生活に溶け込んでいるSNSは、企業にとって良い宣伝の場となります。
とはいえ、キャンペーン企画が誰にも拡散されることなく終われば、企画の効果はごくわずかになるでしょう。
SNSでのキャンペーンを成功させるためには、広告施策などにより情報を届けることはもちろん、キャンペーン自体の魅力で一般の方々に興味を持ってもらえるよう、企画をしっかりと練り上げることが重要です。
そうはいっても、「どんなキャンペーンを企画すればいいの?」「どのSNSを活用すればいいの?」「バズれば良いけど“炎上”してしまったら…」「ブランドイメージや企業体質と合わないんじゃ…」など、いろんな疑問や不安もあると思います。
そこで今回は、2018年の春に流行ったSNSキャンペーンから、SNSキャンペーンを成功させる方法を見ていきましょう。
SNS別!流行った春キャンペーン事例
企業がキャンペーンに活用している主なSNSは「Instagram」「Twitter」「Facebook」の3つです。
ほかにも数多くのSNSがあり、TikTokのように急激に人気を集めているものもあります。しかし、2019年に企業が積極的に利用するうえでは、この3つを押さえておけば十分でしょう。
ここでは、それぞれのSNS別に、2018年の春に特に流行ったキャンペーン事例をご紹介します。
Instagramの事例:株式会社東ハト【スマイルフォトキャンペーン】
「ポテコ」「暴君ハバネロ」などのロングセラー商品で知られる菓子メーカーの「東ハト」は、こちらも長く愛されている人気商品のひとつ「ハーベスト」を使ったキャンペーン企画を行って注目を集めました。
題して、「スマイルフォトキャンペーン」。ハーベストを食べている写真や、ハーベストを使ったアレンジ料理の写真などをInstagramやTwitterに投稿すると、抽選で1,500名にクオカードや新商品などが当たるという内容でした。
成功の秘訣は、写真を投稿してもらうという応募条件が「インスタ映えする写真を撮りたい」という人々の心を刺激したことです。
SNSキャンペーンでは、基本的に「○○をしてくれたら、××をお返しします」という形式がほとんどです。キャンペーンを企画するとき、××の魅力や費用対効果については熟考するでしょうが、SNSキャンペーンで重要になるのは、○○のほうです。
○○をしてくれたら、の部分がそのSNSのユーザーにとって魅力的でないと、参加してくれません。投稿に条件を付けた場合、もらえるものが魅力的でも、自分が魅力的と思わないものを投稿することは嫌だからです。
また、写真にハッシュタグをつけて投稿するだけ、というSNSならではのお手軽さも成功の要因といえます。
Twitterの事例:総合書店honto【フォロー&RTキャンペーン】
紙の書籍と電子書籍を扱う“総合書店”の「honto」は、公式のTwitterアカウントをフォローしてキャンペーンツイートをRTすると、抽選で電子書籍1万円分のクーポンが当たるキャンペーンを行いました。
おそらく、「フォロー&リツイートで○○」というキャンペーンを目にしたことがあると思います。Twitterのキャンペーンでは最もスタンダードといえる形式です。
キャンペーンとは少し違いますが、ZOZOTOWNの前園社長が1億円のお年玉など似たようなことを行い、大きな話題になりました。
このキャンペーンのポイントは3つあります。
1つは、このキャンペーンはリツイートを条件にしているため、自動的に広がっていくという点です。応募するためにリツイートし、そのリツイートを見たユーザーがまたリツイートし…と、広告施策に頼るよりも多くのユーザーへアプローチできます。
2つ目は、インセンティブをhontoのポイントにしていることです。ギフトカードや現金などをインセンティブにすることもありますが、サービスに直結したもののほうがより多くのファンを生みます。インセンティブを受け取ったユーザーはhontoの利用者となり、honto自体の熱心なファンになっていきます。
3つ目はリツイート達成数に応じて、インセンティブが変わることです。大型のキャンペーンを銘打つとき、失敗に終わった際のリスクが大きくなります。例えば、「総額1億円プレゼント」のようなインセンティブを出したにもかかわらず、キャンペーンがうまくいかず収益に結びつかないなどです。
hontoのキャンペーンでは、リツイート数に応じてインセンティブが変わっていくため、そうしたリスクを最小限に抑えています。
Facebook:カルビー株式会社【フルグラ ココナッツ&バナナ プレゼントキャンペーン】
情報流出、フェイクニュース、利用者減少など、ネガティブなニュースが多いfacebookですが、世界最大のSNSとしてまだまだ影響力を持っています。
InstagramやTwitterとは利用者の年齢層や利用シーンが異なるため、最大限の成果を狙うには、ぜひ活用したいSNSです。
数々の“定番スナック”を生み出してきた菓子メーカーの「カルビー」は、公式Facebookページの拡散を目的に、合言葉の「フルグラ」と「フルグラで食べたい味」をコメントするだけで応募可能なプレゼントキャンペーンを行いました。
10名の当選者には、インセンティブとして新商品「フルグラ ココナッツ&バナナ withブルーベリー」が当たるというものでした。
このキャンペーンの優れた点は、コメントにより認知を広げるというのプロモーション効果と同時に、、消費者から新たな商品開発に役立つアイデアも集めることができるということです。
通常数百万円以上の費用がかかる消費者の定性調査を、プロモーションと同時に行った良いキャンペーンであったと言えるでしょう。
まとめ|SNSキャンペーンのポイントは「参加型」であること
今回は、2018年の春に注目を集めたSNSキャンペーンについて、各SNSの事例とともに成功ノウハウをご紹介しました。
共通点として挙げられるのは、SNSの利用者が楽しく参加できるものであったことです。
たとえば、東ハトのInstagramを使ったキャンペーンでは、「インスタ映えする写真をSNSにアップすること」がトレンドになっており、ユーザー自身も望んでいるという状況をうまく活用しています。
参加者は、「プレゼントが当たるかもしれない」という希望と同時に、「自分の写真がたくさんの人に評価されるかもしれない」という希望も持ってキャンペーンにのぞむことができます。
実際、フォトジェニックな写真を撮るのが得意な“フォトジェニスタ”たちが数多く参加しています。
また、Facebookの投稿への「いいね!」やコメント、Twitterの「RT(リツイート)」やハッシュタグを付けたツイートといった、SNSならではの拡散力が高い機能を活用したキャンペーンも流行しました。
SNSの利用者は気軽に参加でき、コメントやツイートの内容を工夫する楽しみも得ることができます。
SNSは2019年現在も強力な“宣伝の場”であり続けています。
今年の春、勝負をかけてみようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。