目次
ビジネスフレームワークを活用するメリット
マーケティングを計画し、実行する。マーケティングの基本となるこの2つは、膨大な情報との闘いといえます。
競合や市場の調査から始まり、自社の価値を分析し、戦略に落とし込む。言葉にするとそれだけですが、ビジネスを成功させるためにはありとあらゆる調査と分析が必要です。
しかし、実際に調査と分析では考え始めるときりがなく、「どこまでやるべきなのか」「どうやってまとめるべきか」「結局何が分って、何をすべきなのか」などが分らなくなってしまいます。
ビジネスフレームワークとは、情報収集や分析を効率化し、物事を整理しやすくなります。それだけでなく、関係者間で共通言語として共有できるため、アイデアの発掘、意思決定、問題解決、戦略立案などに活用しやすくなります。
今回は、マーケティングに欠かせないビジネスフレームワーク集-現状分析編Part1として、4C分析、4P分析、3C分析、SWOT分析、クロスSWOT分析、5F(ファイブフォース)分析の6つを紹介します。
Part2 PPM、ポジショニングマップ、STP分析、PEST分析はこちら
4C分析
はじめに紹介するのは顧客視点で考える「4C分析」です。1960年代に「マーケティングミックス」という考え方が提唱され、マーケティングが複雑化する中で様々なフレームワークが登場しました。しかし、「売り手目線」の考え方が中心だったため、限界がありました。4C分析はその限界を超えるため、1993年にアメリカの経済学者ロバート・ラウターボーンが考案したフレームワークです。
現状を分析する際、マーケティングでは「顧客から始める」というメソッドがあります。
自社や競合、市場を分析することも非常に重要ですが、最終的にお金を支払い、ビジネスの成果を出すのは「顧客」です。つまり、現状分析で出てくるデータ、アイデアはすべて「顧客にとってどういう意味があるのか」という視点で考えることが重要になります。
4C分析は、価値、コスト、利便性、コミュニケーションの顧客側の4つの視点から、自社の商品・サービスをチェックするフレームワークです。
- Customer value(顧客価値)
- 顧客価値とは、顧客がその商品・サービスを購入することで得る価値です。具体的には、その商品・サービスが解決してくれる課題や、満たしてくれる欲求を、顧客目線で考えるということです。
例えば、パンの購入で考えてみましょう。そのパンを購入することで顧客が得られる価値には、「お腹が満たされる」、「おいしいという満足感が得られる」などが考えられます。見た目にこだわったパンであれば、「インスタ映えする」、「友達との話題になる」など、パンそのものとは直接関係のない価値もあるでしょう。
商品・サービスの価値を考えるとき、どうしても売り手目線で考えてしまいます。しかし、売り手が提供する価値と買い手が得る価値が一致しないことは非常に多くあります。
例えば、非常にこだわった機能を作り、「この機能は非常に革新的で競合にはなく、便利に使える」と感じていても、買い手はそこに不便を感じていないかもしれません。
あくまでも「顧客が得る価値」として、顧客目線で考えましょう。
- Cost(顧客コスト)
- コストは、顧客が商品・サービスを利用するために発生する負担です。金銭的なものだけでなく、顧客が感じる“負担”であることに注意しましょう。
その商品が郵送であれば、商品が届くまで待っている期間も負担です。また、郵送先や支払情報などの個人情報を入力することも大きなコストです。
世界最大のECサイトであるAmazonでは、非常に安い価格で当日配送を行ったり、会員に対しては「1-Click注文」という機能を提供したりしています。これも、費用以外で感じる顧客コストを削減する施策です。
BtoB商材であれば、上司の承認や稟議なども大きな負担になります。現状分析のあとは販売戦略を立てていくことになりますが、こうした顧客コストを軽減する戦略があれば、マーケティングの成果も大きくなるでしょう。
- Convenience(利便性)
- 顧客が商品・サービスを利用するまでの手軽さや利便性も重要な要素です。実店舗であれば、営業時間や立地の良さなどがあげられます。Webでの購入・申し込みであれば、決済手段の手段や、配送時間の選択肢が利便性にかかわってきます。
また、Webサイト自体のユーザビリティも利便性の要素になります。「申し込みフォームへの導線はわかりやすいか?」、「料金説明は複雑になっていないか?」など、ユーザビリティの視点で考える必要があります。
- Communication(コミュニケーション)
- コミュニケーションは、顧客と商品・サービスとの接点を表します。商品を紹介しているWebサイトはもちろん、SNSや営業担当者、口コミなどもコミュニケーションの要素になります。また、購入するまでだけではなく、購入した後のアフターフォローを行うFAQサイトやカスタマーセンターなども、コミュニケーションの一部です。
顧客が商品を探すときの行動は、Webの進歩とともに多様化しています。Webサイトを作り、SEO対策を行い、広告を出稿する。これだけではコミュニケーションが不十分かもしれません。
コミュニケーションは現状分析だけでなく、戦略立案でも深くかかわってくるため、時間をかけて調査する必要があります。
4P分析
4C分析が買い手目線のフレームワークであるのに対し、「4P分析」は売り手目線で考えるフレームワークです。マーケティングの主役はあくまでも「顧客」ですが、当然、売り手が自身の提供する商品・サービスを把握していくことも重要です。
4P分析は、アメリカのマーケティング学者であるエドモンド・ジェローム・マッカーシーが1960年に提唱しました。マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラーも活用している、4C分析と対になる代表的なビジネスフレームワークです。
4P分析と4C分析のどちらを先に行うかについては賛否両論あり、一概には言えません。しかし、いずれの場合でも「顧客」のことを念頭において進めましょう。
- Product(製品)
- 提供する商品・サービスについて考えます。品質やデザイン、ブランドイメージやパッケージ、保証など、4P分析では、まず初めに商品・サービスに関するあらゆる要素を書き出します。もちろん、商品のネーミングも非常に重要な要素です。
新商品のパンであれば、「材料・素材」や「栄養素」などもProductの要素になります。
ここでは、製品自体にスポットを当てていますが、根底には「その商品・サービスは顧客のどのようなニーズを、どうやって満たすのか」という観点があります。
4C分析で考える「顧客価値」と深くかかわる部分です。製品の細かな仕様が販売戦略のアイデアにつながることもあり、サポートサイトの作成時にも使えるため、細かなことまで書き出していきましょう。
- Price(価格)
- 提供する商品・サービスについて考えます。品質やデザイン、ブランドイメージやパッケージ、保証など、4P分析では、まず初めに商品・サービスに関するあらゆる要素を書き出します。もちろん、商品のネーミングも非常に重要な要素です。
新商品のパンであれば、「材料・素材」や「栄養素」などもProductの要素になります。
ここでは、製品自体にスポットを当てていますが、根底には「その商品・サービスは顧客のどのようなニーズを、どうやって満たすのか」という観点があります。
4C分析で考える「顧客価値」と深くかかわる部分です。製品の細かな仕様が販売戦略のアイデアにつながることもあり、サポートサイトの作成時にも使えるため、細かなことまで書き出していきましょう。
その商品・サービスを販売する際の価格です。価格を設定する際は、原価や開発コスト、利益率を中心に考えると思います。また、競合商品の価格や、LTV(ライフタイムバリュー)も考慮するでしょう。
しかし、価格を決定する際に忘れてはいけないことが、ターゲット層です。価格を決定することで、ターゲット層は限定されて今います。
例えば、ダイニングテーブルを販売する際、数千円のものと、10万円を超えるものでは、ターゲットとなる顧客の年齢層や職業、家族構成などは大きく違うでしょう。もちろん、その後の販売戦略も大きく変わります。
価格を決定する際は「想定しているターゲット層にとって適正価格であるか」という観点も考慮しましょう。
- Place(立地)
- 商品・サービスを提供するための流通や、販売するエリア、実店舗の場所などを考えます。
その商品がコンビニで買えるものなのか、一部の百貨店や専門店で購入できるのか、Webサイトでしか買えないのか、また営業と直接商談する必要があるのかなど、販売方法は様々です。
いずれにせよ忘れてはいけないことが「ターゲット層に届けることができる流通形態になっているか」という観点です。
流通形態によってとるべきマーケティング手法は大きく変わります。例えば、コンビニでいつでも購入できるのであれば、テレビCMなどのマス広告がふさわしいかもしれません。Webサイトでしか購入できないのであれば、Webへの移動が容易な広告手法が効果的でしょう。
- Promotion(販売促進)
- 商品・サービスについて把握し、その価格や提供方法を考えたら、「どのようなプロモーションで認知してもらうか、アプローチするか」が必要になります。
非常に優れた商品を、非常に安い価格で、最適な流通形態で届けたとしても、それを知ってもらわなければ意味がありません。逆に、ターゲットに確実に認知してもらい、販売につなげるためには、商品、価格、流通を確実に理解しておく必要があります。
これは4C分析のCommunication(コミュニケーション)と関わるポイントです。ここでは広告施策はもちろん、営業戦略やSNSなど顧客との接点から様々な方法を考えます。
3C分析
ビジネスを分析する際、商品・サービスについてだけではなく、企業を取り巻く環境を把握することも非常に重要です。3C分析は、市場と競合と自社の3つの視点から企業を取り巻く環境を分析し、事業を成功に導くためのフレームワークです。
以前、「Webプロモーションの計画と運用で欠かせないKGI、KSF、KPIという記事で紹介したKSF(Key success factors)【重要成功要因】を見つける際には、3C分析が非常に有効です。
3C分析は、日本を代表する経営コンサルタントである大前研一氏が1982年の著書で発表しました。その中で「およそいかなる経営戦略の立案に当たっても、三者の主たるプレーヤーを考慮に入れなければならない」といっています。
その“三者のプレーヤー“が3C分析の市場、競合、自社です。
- Customer(市場・顧客)
- 3C分析を始める際は、必ずCustomer(市場・顧客)から始める必要があります。情報が入手しやすいという点で、自社の分析から始めてしまうことがありますが、市場を知らずして自社の強みや弱みを評価することはできません。
マクロ分析やミクロ分析、顧客分析など、様々な観点から市場と顧客を分析します。
景気の変動、法律の改正など、社会的な動きを分析するマクロ分析では、PEST分析が、業界のトレンドを中心に分析するミクロ分析では5F分析が活用できます。
顧客分析では、アンケート調査や現在の顧客層のデモグラフィックなどが活用できます。
- Competitor(競合)
- 市場や顧客に対する分析の次に、競合の分析を行います。市場を把握する段階で業界とのトレンド、競合についてはある程度把握できると思いますが、ここではより具体的なベンチマークを定め、競合がどういった施策をとっているかを把握します。
具体的には、競合がどのような広告施策をとっているか、いくらで販売しているか、何に強みを持っているかなどを分析します。もし売り上げが変わっていないにもかからず利益が伸びているなら、製造や販売のコストダウンに成功しているのかもしれません。
競合がある広告施策でシェアを大きく伸ばしているという事実を発見したら、それだけにとどまらず「なぜシェアを伸ばすことができたのか?」まで考えることが重要です。
逆にある営業戦略が失敗していた場合、「なぜうまくいかなかったのか?」を考えることも重要です。
競合の成功と失敗は、自社のビジネスを発展させる大きなヒントになります。
- Company(自社)
- 市場分析と競合分析を踏まえ、自社の強みや弱み、どういった施策をとるべきか、また経営資源・能力について考えます。
自社が提供する商品・サービスについて、どのような強み、弱みがあるのかを考えることはもちろん、市場分析から見えてきた将来性、市場規模から、どのような投資を検討できるのかなどを考えていきます。
また、業界での自社の立ち位置や、顧客が抱いているブランドイメージなども調査しましょう。
SWOT分析
ビジネスフレームワークの中で、4C、4Pに次いで利用されるものがSWOT分析です。企業の事業戦略やマーケティング戦略、商品の広告施策など、非常に幅広く活用できるため、マーケティングにかかわるとSWOT分析を行う機会は多くあります。
SWOT分析は内部環境と外部環境、それに対するプラス面、マイナス面のマトリックスで構成されるため、何をどのようにするかが明確です。テンプレートを一つ持っておけば、誰でも活用できます。
その反面、内容が浅く実際に活用できないものが出来上がってしまうこともあります。そのため、外部要因を分析するPEST分析や5F、買い手目線と売り手目線で分析する4C、4Pなどを行ったうえで行うと効果的です。
- Strength(自社の強み)
- 自社または販売する商品が持つ強みです。技術力の高さや実績、価格優位性や営業力、広告資金の豊富さなどが考えられます。
「顧客はなぜ自社の商品・サービスを利用してくれるのか?」を考えましょう。自社の強みや、Web広告のランディングページなどでそのまま活用できることもあるため、できるだけ数多く考えましょう。
- Weakness(自社の弱み)
- 反対に、自社の弱みは何でしょうか。実績が少ないことや、価格が高いこと、また価格は安いが品質が劣るなど、競合よりも足りていない部分を考えます。
また、販売戦略での弱みも考えましょう。競合が非常に充実したサービスサイトを持ち、積極的な広告施策を行っているのに対し、自社ができていないならそれも弱みになります。
強みを考えるサイト逆で、「顧客はなぜ自社の商品・サービスを利用してくれなかったのか?」を考えましょう。
- Opportunity(機会)
- 自社にとってチャンスとなる外部要因を考えます。例えば、法規制の変化により自社の商品が売りやすくなったり、競合が売りにくくなったりした場合です。
不動産や車などの高額商品は、増税など法律の変化によって市場が活性化したりします。
競合が優れたプロモーションを行ったり、TVやSNSで話題になったりなど、市場全体が活性化している場合も機会になります。
PEST分析や5F分析などで徹底的に分析し、自社の機会となりそうなものはたとえ小さなもの、影響がなさそうなものでも、数多く見つけ出すことが大切です。
- Threat(脅威)
- 機会とは逆に、外部要因の影響による脅威を考えます。例えば、医療業界は法規制の変化により、戦略が大きく変えられてしまいます。これまでうまくいっていた方法が取れなくなることは、非常に大きな脅威になります。少子化もベビー用品の事業にとっては、市場が縮小する脅威といえます。
また、新規参入や競合の戦略変更も脅威となり得ます。機会と同様、徹底的な分析で小さな脅威も見逃さないことが大切です。
クロスSWOT分析
SWOT分析で内部環境と外部環境、それに対するプラス面、マイナス面を書き出すだけでも十分価値がありますが、それをさらに戦略として落とし込むためには、もう一段階踏み込む必要があります。
そのためのフレームワークがクロスSWOT分析です。SWOT分析で分析した各要素を組み合わせることで、より効果的な戦略が見えてきます。
- 強み×機会
- 強みと機会が合わさる場所には大きなチャンスがあります。そのため、非常に積極的な戦略が取れます。
例えば、TVで取り上げられたことにより、業界全体が盛り上がっているとします(機会)。さらに、自社が豊富な広告費を投入できる状態にあれば(強み)、プロモーションの幅は大きく広がります。市場の波に乗れるため、商品の細かな仕様で競合に負けていても、物量戦で勝つことができるでしょう。
強みと機会が合わさるときには、機会が逃げる前に施策を打つスピード感が大切です。
- 強み×脅威
- 外部要因のマイナス面、つまり脅威があるということは、競合も同じ課題を抱えている可能性が高いです。その場合は、競合が取れない施策をとるといった差別化戦略が有効です。
例えば、外交関係の影響で原材料の価格が上がり、利益を圧迫しているとします(脅威)。しかし、技術面や販売力で競合に強みを持っている場合は、価格を上げて利益を確保できるかもしれません。
法規制により販売が難しくなった商品を、強みである開発力を活かして規制に引っ掛からないようにするなど、脅威を逆手に取ることもできます。
- 弱み×機会
- 機会はあるものの、それを活かす強みを持っていない場合もあるでしょう。増税前に不動産の駆け込み需要が期待できるが、それに応えるには物件数が足りてないといった状態です。
こうしたケースでは、非常に難しい判断が必要になります。機会を逃さないよう、強みを弱みに変える方法を探すことも一つですし、あえて何もせずに様子を見る場合もあります。
いずれにせよ、「機会損失を最小限に抑える」ことが重要になります。不動産の例でいうと、足りない物件数を補うために他社と提携したり、少ない物件数でも利益を最大化できるよう価格を上げたりといった戦略が考えられるかもしれません。
- 弱み×脅威
- 自社の弱みと市場の脅威が揃った場合、被害を最低限に抑えるための防御戦略が必要になります。
原材料の値上がりが続く中、他の部分でのコストダウンも難しく、値段を上げて売れる見込みもないようであれば、最悪その事業から撤退も考える必要があります。撤退までいかなくても、脅威が去るまで生産ラインを縮小するなど被害を抑える戦略が必要でしょう。
5F(ファイブフォース)分析
5F分析は、特定の業界を深く理解するために使われるフレームワークです。戦略を立てる際、競争する業界のことを理解する必要があります。
5F分析は言葉通り、市場を動かす5つの力から分析します。5つの力とは、「売り手の交渉力」、「買い手の交渉力」、「競争企業間の敵対関係」、「新規参入業者の脅威」、「代替品の脅威」からなります。
自身がすでに参入している業界の分析はもちろん、これから参入を検討する業界の魅力度を測るうえでも有効なフレームワークです。
- 売り手の交渉力
- ここでいう“売り手”とは、サプライヤー(部品や原材料の売り手など)を意味します。サプライヤーが持つ交渉力が強いと、製造コストが上がり利益を圧迫することがあります。
例えば、パソコンの販売を行っているのであれば、“売り手”にはOSや部品を提供する業者があります。サプライヤーの交渉力が強く、OSや部品の価格を上げると、製品の価格を上げるか、利益を削るかを迫られることになります。
具体的には、以下の場合はサプライヤーの力が強くなる傾向にあります。
- サプライヤーの数が少ない(一部のサプライヤーが業界シェアを握っている)
- サプライヤー売り上げが、その業界だけに依存していない
- サプライヤー自身でその商品を作成・販売することが可能である
- 買い手の交渉力
- 買い手(商品・サービスを購入・利用する人)の交渉力も、その業界の魅力度を測る指標になります。値段交渉による商談が前提となっていたり、買い手の希望によって商品・サービスをカスタマイズしたりする場合には、特に大きく影響します。
具体的には、以下の場合に買い手の力が強くなる傾向にあります。
- 買い手の数が少ない(一部の買い手が多くの売り上げを占める)
- 商品・サービスが価格など一部の要素でしか差別化がはかれない
- 競合他社へ乗り換える負担が少ない
- 買い手自身でその商品を作成する可能性がある
- 競争企業の敵対関係
- 業界内での競争関係を新谷します。一部の大企業が圧倒的なシェアを握っている場合、
競争は穏やかですが、後から参入してシェアを握ることは難しくなります。
多くの企業がシェアを奪い合っているようであれば、競争は激しく厳しいですが、うまくいけばシェアを獲得できる可能性があります。
また、競争企業がその事業をコアビジネスとしており、多少のことでは撤退しないのか、それとも市場の変化などで撤退する可能性があるのかといった観点も重要になります。
- 新規参入業者の脅威
- 新規参入業者が参集してくる可能性、そして新規参入業者がシェアを握る可能性などを考えます。
例えば、携帯電話のキャリアやテレビやラジオなどの電波業界は、法や制度に守られているため、新規参入業者の脅威はほとんどありません。鉄道業界も同様に考えることができます。
反対に小売りやアプリ・Web開発などは、初期投資や法規制が少なく、参入障壁が非常に低くなります。
こうした業界では、一旦シェアを獲得しても新規参入者によってシェアを奪われたり、常に新しいサービスが低価格で生まれていったりと、シェアを握り続けるにはそれなりの戦略が必要になります。
- 代替品の脅威
- 代替品は、競合が提供するサービスなどではなく、全く違う形やアプローチで同様の結果を提供するものを指します。CDの製造・販売に対して、iTunesなどのダウンロード販売や、百貨店に対するAmazonや楽天などのECサイトが該当します。テレビゲームとスマホゲーム、デジタルカメラとスマートフォンの備え付けカメラなど、技術の進歩とともに代替品は数多く生まれています。
インターネットの進歩により、ありとあらゆるものがスマートフォンで提供される時代です。ホテルや自動車、銀行など、インターネットの影響を受けづらいと考えられていた業界でも、民泊やカーシェア、電子決済によってシェアを奪われています。
既存の業界でこれからも事業を続けるにせよ、新しい事業に参入するにせよ、代替品の可能性は慎重に吟味する必要があります。
効果的なビジネスフレームワークで論理的な戦略立案を
今回は、マーケティングに欠かせないビジネスフレームワーク集-現状分析編Part1として、4C分析、4P分析、3C分析、SWOT分析、クロスSWOT分析、5F(ファイブフォース)分析の6つを紹介しました。
これらのフレームワークについて、「どれを使えば間違いない」といったものは存在しません。フレームワークを活用する目的に応じて、選択し、それぞれを組み合わせていく必要があります。
また、フレームワークを使うことによって思考が限定されてしまい、見落としが発生したり、独創的なアイデアが出づらくなってしまったりすることもあります。必要に応じて、ブレインストーミングマインドマップなど、独創的なアイデアを出すためのワークも活用したほうがいいでしょう。
次回のPart2 では、マクロ環境にフォーカスしたPEST、事業全体を見つめなおすPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)、市場での立ち位置を知るためのSTPやポジショニングマップなど、さらに現状分析に役立つ様々なフレームワークを紹介します。