Webマーケティング

WEBプロモーションの計画と運用で欠かせないKGI、KSF、KPI

ウェブプロモーションを企画・計画し、プロジェクトを進行する。そして運用フェーズで的確なPDCAサイクルを回す。KGI、KPI、KSFは、ウェブプロモーションのあらゆるフェーズで非常に大切な指標になります。

今回は、KGI、KPI、KSFについて、実際の活用方法や事例を中心にご紹介したいと思います。

KGI、KPI、KSFとは

KGI、KSF、KPIは、マーケティングに欠かせないキーワードとして広く知られていますが、「違いを説明しろといわれたら困る」「あまり活用したことがない」という方も多いのではないでしょうか。

そこでまずは、KGI、KPI、KSFの用語の定義や使い方をご紹介します。企業によって用語の定義や使い方が異なる場合もありますが、明確に定義されていない場合はぜひ参考にしてください。

KGI (Key Goal Indicator)【重要目標達成指標】

KGIは組織やプロジェクトの目標の達成度合いを知る指標です。「目標となる最終的なゴール」を表すため、あいまいなものではなく誰が見ても明確な数値目標を設定します。そのため「アクセス数を増やしたい」や「売上を伸ばしたい」はKGIとして不適切です。

KGIは「来年4月の売り上げを、前年同月比で240%にする」や「来期の売上を今期から20%増加させる」など、具体的に作成します。例えば、「来年4月の売り上げを、前年同月比で240%にする」という目標であれば、来年4月の時点で目標が達成できたか否かという判断、今年の12月までにどのくらいの売り上げを目指せばいいのかという計画を立てることができます。

KGIはKPI、KSFを考える前に設定することが一般的です。まずはKGIを明確に定め、KPI、KSFに落とし込んでいきます。

KPI(Key Performance Indicator)【重要業績評価指標】

KPIは、KGIの達成に向けて順調に進んでいるかを測る指標です。KGIが最終目標であるのに対し、KPIは中間目標となります。KGIを達成するために必要な様々な過程を考え、KPIとして設定します。

「来年4月の月間アクセス数を、前年同月比で240%にする」というKGIに対しては、「今年の12月までにユニークユーザー数100,000を達成する」や「『○○』というキーワードでGoogleの検索順位を3位以内にする」、「6か月後のメルマガ会員数を現在の300%に増やす」など様々な指標が考えられます。

KPIの設定には「SMART」というフレームワークが便利です。SMARTは下記の5点の頭文字をとっています。

  • 明確性(Specific)
  • 計量性(Measurable)
  • 現実性(Achievable)
  • 結果指向、関連性(Result-oriented or Relevant)
  • 適時性(Time-bound)

中間目標であるKPIでは、結果指向、関連性が特に重要です。最終目標であるKGIにしっかり向かっているか、影響を与えるかを意識して設定しましょう。

また、ウェブサイトを運営する際にコンバージョン設定やイベント設定を行うと思いますが、KPIを計測するための設定を行うことが一般的です。

KSF(Key success factors)【重要成功要因】

KGIやKPIを達成するうえで、影響を与える要因をKSFといいます。KGIやKPIと比較して柔軟な指標ですが、KGI、KPIを達成するための施策を設定するといいでしょう。CSF(Critical Success Factor)と呼ばれることもあります。

「『○○』というキーワードでGoogleの検索順位を3位以内にする」というKPIに対しては、「SEO会社に依頼する」や「『○○』を含んだ記事コンテンツを5つ作成する」、「サイトのメタ情報にキーワードを含む」といったKSFが考えられます。「6か月後のメルマガ会員数を現在の300%に増やす」というKPIでは、「リスティング広告を出稿する」、「メルマガ会員特典の内容を増やす」などが考えられます。

また、KSFは目標達成のための“要因”であるため、具体的な施策に限りません。競合の参入・撤退や、市場規模の変化などの外部要因も考えられます。

KGI、KPI、KSFの設定でよくある失敗

広く知られているKGIやKPIですが、「設定してみたもののうまくいかなかった」、「企画段階ではあったけど進行する中で忘れられてしまった」という声もよく聞きます。

そこで、KGI、KPI、KSFを設定する際のよくある間違いや失敗を紹介します。

KGIが不適切

KPIやKSFはKGIを達成するために設定するものです。そもそものKGIが不適切だった場合、KPIやKSFを設定しても意味がありません。

不適切なKGIでよくある例は、ゴールが高すぎることです。例えば、「ECサイトの売り上げを2か月後に10倍にする」というプロジェクトの目標(KGI)は、実現可能性が低いと考えられます。

もちろん、現在のサイトの規模や予算によっては十分可能かもしれませんが、2か月で売り上げを10倍にするためにできることは、莫大な広告投入くらいしかないでしょう。実現可能性を考慮した目標数値と目標達成までの期間を設定する必要があります。

反対に目標数値が低すぎるとチームのモチベーションが低くなったり、できる施策・アイデアを制限してしまったりします。

また、経営陣やプロジェクトリーダーの意向と沿っていないというケースもあります。KGIはそのプロジェクトの最終目標ですから、決裁者の承認を経て、ステークスホルダー全員で共有する必要があります。

KPIの抽象度が高い

「来年4月のサイトAの売り上げを、前年同月比20%向上させる」というKGIに対してはどのようなKPIが考えられるでしょうか。

ECサイトにおいて、売り上げにかかわる要因を単純化すると、「アクセス数」×「購入率」×「購入単価」となります。つまり、「アクセス数」と「購入率」と「購入単価」を改善すれば、サイトの売り上げは上昇します。しかし、通常のECサイトにおいて、「アクセス数を20%伸ばす」というKPIは機能しません。

単にアクセス数といっても、広告経由と自然検索経由、メルマガ経由など、訪問チャネルによって購入率や購入単価が異なります。アクセス数を20%上昇したからといって、売り上げが20%上昇するわけではないのです。ECサイトの売り上げには「新規購入率」や「リピート率」、「かご落ち率」など他にも様々な要因が関係してきます。

KPIは、KGIの達成に対して影響を与える具体的で、明確な指標である必要があります。単に「アクセス数を増やす」ではなく、必要に応じて「どのチャネルから増やすのか」まで落とし込むことで、具体的な施策(KSF)が見えてきます。

もちろん、全体のアクセス数自体がKPIになるケースもあります。

見直しを行っていない

プロジェクトでは、常に想定外のことが起こります。これは、予定していたツールが使えなくなったり、Googleの検索アルゴリズムが変更されたりといった外的要因もありますが、プロジェクト進捗の変化や予算の変化、施策の効果といった内的要因もあります。

全て予定通りにKSFが実施され、KPI、KGIが達成されることが理想ですが、実際にそうなることは多くありません。外的要因・内的要因によって、適宜見直していく必要があります。

例えば、売り上げアップというKGIのために、自然検索流入の増加というKPIを設定し、狙ったキーワードに対するコンテンツを作成するというKSFを実施したとします。しかし、作成したコンテンツに想定していたSEO効果がなかったり、Googleの検索アルゴリズムのアップデートにより検索順位が下がったりする場合があります。

このように、ある施策が想定と違う結果になった場合、別の施策で補ったり、KGIを見直したりする必要が生じます。常にそのプロジェクトの状況から、KGI、KPI、KSFが適切な状態か見直していきましょう。

サイト分類別の目標設定

KGI、KPI、KSFを設定する場合は、まず最終目標であるKGIを設定し、それを「KPI」と「KSF」に落とし込んでいきます。なので、それぞれを設定すると「KPIツリー」と呼ばれる樹形図のようになります。

KGI、KPI、KSFの設定は、そのプロジェクトによって様々です。しかし、サイトの分類によってある程度の型やテンプレートが存在します。

ここでは、「ECサイト」、「メディアサイト」、「リードジェネレーションサイト」、「サポートサイト」に分けてご紹介します。

ECサイト

ECサイトの運営では、売り上げをKGIとして設定することが一般的です。そして、売り上げにつながる指標は非常に多いため、KPIツリーも大型になる傾向があります。

ECサイトのKPIツリー

ECサイトのKPIツリー

ECサイトに限らず多くのサイトでは、自然検索やリファラではCVRが高く、SNSでは低いなど、流入経路によってCVRや購入金額に大きな差が生じることがあります。そのため、プロジェクトの計画段階で、流入経路別に考える必要があります。

実際には、KGI、KPI、KSFのそれぞれに具体的な数値や達成、実施期間を設け、それに従ってプロジェクトを進行します。

ECサイトでは、プロモーション手法が無数に考えられることや、検討期間が長く成果測定がしにくいといった事情があります。KPIツリーを作成することで、どの施策がどの数値に影響し、どのように売り上げ増加に結び付くのかが明確になります。

メディアサイト

自社のオウンドメディアを持つ企業は、業種の壁を越えて増えています。メディアサイトのKGIとしては、「オフィシャルサイトへの流入増加」や「認知度の向上」などが考えられます。企業によっては「求人応募数の増加、内定辞退率の減少」などを設定する場合もあるでしょう。

また、メディアサイトだけでマネタイズを行う場合は、「広告収益の増加」というKGIが適切でしょう。

今回は「認知度の向上」をKGIとしたKPIツリーの例を紹介します。

メディアサイトのKPIツリー

メディアサイトのKPIツリー

実際に「認知度の向上」を数値化することは困難ですが、ブランディング調査やアンケートサービスを用いて、具体的な目標にする必要があります。

また、メディアサイトにおいては、PV数の増加、ユーザーロイヤリティの形成には、回遊離脱率やPV/セッションなど、アクセス解析上ほとんどのデータが指標となり得ます。細かな数字に目を奪われないよう、KPIツリーで優先順位を明確にする必要があります。

リードジェネレーションサイト

見込み客との接点を作るためのサイトをリードジェネレーションサイトといいます。メディアサイトと同じく、オウンドメディアとして運営されることが多いですが、「見込み客の獲得」という目標を持っている点で異なります。

リードジェネレーションサイトの多くには、資料請求やお問い合わせなど、見込み客を獲得するための要素があり、それらがKPIとなります。

リードジェネレーションサイトのKPIツリー

リードジェネレーションサイトのKPIツリー

リードジェネレーションサイトにおいても、メディアサイトと同じくPV数やユーザー数をKPIと置くことがありますが、あくまでも見込み客の獲得につながる指標であることが前提です。「資料請求数」というKPIをさらに細分化して、「サイト全体のPV数」や「回遊率」というKPIに落とし込むのであれば問題ありません。

サポートサイト

サポートサイトは、そのほかのサイトと全く異なるKGI、KPIを設定します。通常、サイトはユーザーが使うことに意味がありますが、サポートサイトが使われるということは、ユーザーがそれだけ多くの疑問やトラブルを持っているということです。

そのため、サポートサイトのKGIは「サポートセンターの人件費削減」や「問い合わせ数の減少」などを設定します。サポートサイトの滞在時間やPV数は、ユーザーが疑問を解決するまでにそれだけの時間、手間がかかったということなので、滞在時間の低下や平均PV数の減少をKPIと置きます。

サポートサイトの改善では、通常のサイトと逆でネガティブな目標設定になることに注意しましょう。「サポートコール数を少なく」、「PV数・アクセス数を少なく」して、ユーザーがサポートサイトを必要としない状態が理想だからです。

サポートサイトのKPIツリー

サポートサイトのKPIツリー

サポートサイトでKGIを達成するためには、サイト内の改善だけでなく、商品そのものの改善が必要になるケースもあります。商品そのものの仕様として、トラブルが多かったり分かりにくかったりすると、サポートサイトの改善だけで目標を達成することが難しいためです。

サポートサイトの運用改善は非常に難しいため、「解決した」「解決しなかった」などヘルプに対してフィードバックを得られるボタンを設置しましょう。それらのクリック数をKPIにすることで、ヘルプの質を評価しやすくなります。

まとめ

今回は、KGI、KPI、KSFという、マーケティングにおいて欠かせない用語を中心に、サイトの種類別の設定例をご紹介しました。KGIを関係者全員で共有し、KPIツリーに従ってプロジェクトを進めることで、目標達成率が向上することはもちろん、メンバー間の共通認識があるためプロジェクト全体がスムーズに進むでしょう。

よくある失敗では、「KGIが不適切」、「KPIの抽象度が高い」、「見直しを行っていない」の3点を紹介しました。

もしもすべてのKSF、KPIが達成されたにもかかわらず、KGIが達成されなかった場合は、KSF、KPIの設定が間違っていた可能性が高いため、次回のプロジェクトで見直す必要があります。

KGIやKPIの考え方は、仕事だけでなく、私生活でも活かすことができます。

例えば、ダイエットを計画する際に「2か月後に-5キロ」というKGIを持ち、そのための食事や運動をKPIとして設定することで、目標達成までの道筋が見えやすくなります。「TOEICで900点を取る」という目標に対しても、KPIツリーを作成して計画的に行動すると、達成確率はずっと高くなるでしょう。

ぜひ、プロジェクトの大小にかかわらず、KPIツリーを作成し、目標達成に活用してみてください。