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Webマーケティングをシンプルに考えれば、大切なことは2つしかありません。1つは質の高い潜在層にリーチする(情報を届ける)こと。もう1つは、情報を届けたユーザーにコンバージョン(行動)させ、見込み顧客になってもらうことです。
BtoCマーケティングでは、ターゲット層が広く、客単価が低い商材が多い傾向にあります。売り上げを増加させるには、多くの人に購入してもらう必要があるため、どうやってリーチを広げるかが課題になります。
反対にBtoBマーケティングでは、ターゲット層が狭く、客単価が高い商材が多い傾向にあります。どれだけリーチを広げても、コンバージョンにつながらなければ、売り上げは増加しません。
そこで今回は、BtoBマーケティングに特化し、売り上げを増加させるために重要なコンバージョン率を改善させる方法を紹介します。
問題点を発見する
CVRを高める具体的な方法を見ていく前に、まずは現状を把握しましょう。今、Webサイトにはどれだけのアクセスがあり、どんなコンバージョン項目があり、何件取れていますか?
BtoB企業の多くは複数の商品・サービスを扱い、契約規模によって、売り上げが異なります。さらに電話・資料請求・メルマガ登録など、複数のコンバージョン項目を持つことが一般的です。
まずはそれぞれのCVRを把握しましょう。
ここからは具体的な例を出して解説していきます。
あなたは2種類のサービスを取り扱うBtoB企業のWeb担当者です。あなたが運営しているWebサイトの1ヶ月のアクセスとコンバージョンが次のようになっていたとします。
アクセス数 | コンバージョン数 | コンバージョン率 | |
問い合わせ | 30,000 | 30 | 0.1% |
資料請求 | 30,000 | 150 | 0.5% |
さらに、それぞれのコンバージョンが売り上げにどう影響しているのかも把握しましょう。
コンバージョン数 | 顧客化率 | 平均購入金額 | 売り上げ | |
問い合わせ | 30 | 25% | 10万円 | 75万円 |
資料請求 | 150 | 10% | 5万円 | 75万円 |
CVRを高めていく上で、どのコンバージョンが売り上げにどう貢献しているのか、正しく把握することは非常に重要です。顧客管理が上手にできていないと、正確な数値の把握が難しくなります。正確な数値を把握するには、HubSpotのようなMA・CRMツールが効果的です。
上記の例の場合、コンバージョン数は資料請求のほうが5倍もあります。しかし、問い合わせと比べて顧客化率・平均購入金額が低く、最終的な売り上げを見ると、問い合わせも資料請求も同額の75万円になります。
CVRを改善する場合、どちらから先に改善するのが好ましいでしょうか。
表に記載されている数値を見てみましょう。
問い合わせはコンバージョン数が少なく、顧客化率が高く、平均購入金額が資料請求よりも高いため、顕在化した層によるコンバージョン傾向が高いと判断できます。
資料請求はコンバージョン数が多く、顧客化率が低いため、問い合わせに比べると潜在層によるコンバージョン傾向が高いと判断できます。
つまり上記例の場合は、平均購入金額が高い“問い合わせ”から改善していくべきという結果になります。
また、今回のテーマとはずれるので省きますが、資料請求からの顧客化率を高める、成約単価を高めることも、売り上げに貢献する方法です。
顧客化までの道のりが長いBtoBマーケティングでは、カスタマージャーニー・マーケティングファネルなどを作り、どの部分を改善するのが最も効果があるかを考え、効果が出やすいところから手をつけていくことが重要です。
売り上げにつながるCVR改善方法
現状が把握できたら、売り上げへ繋がりやすい部分から改善していきましょう。
どのように改善するか、どこを改善するかは現状の問題点によって変わりますが、どこをどう改善するにしても、BtoBマーケティングのCVR改善で意識してほしい5つのステップを紹介します。
ステップ1:コンバージョン項目を整理する
現状把握で、どのコンバージョン項目があり、どれだけコンバージョンして、どれだけ売り上げにつながっているかを把握しました。
次に、それぞれに順位をつけます。そして、売り上げにつながっている上位の2〜3個に絞り、順位が低いものはWebサイトから削除してしまいましょう。
例えば、BtoBのWebサイトなら目立つようにサイト上部に電話番号を設置していると思います。もちろんBtoBなので電話番号を載せることは、信頼性を担保することにもなるので重要ですが、ほとんど電話での問い合わせがない、営業電話ばかりで売り上げに繋がっていないのに、ヘッダーの目立つ部分を占領していませんか?
これは非常にもったいない状態です。もしかするとヘッダーの目立つ部分を電話番号から資料請求に変えるだけで、”売り上げにつながる”コンバージョンを大幅に増やせるかもしれません。
問い合わせも目立ったところに設置していると思いますが、営業メールばかり届いているといったことはありませんか?
もしそうであれば、問い合わせは会社概要ページに設置するだけにして、メインメニューから外し、別のコンバージョンを目立たせたほうが良いかもしれません。
ステップ2:導線を明確にする
売り上げにつながりやすいコンバージョンを2〜3個選んだら、そのコンバージョンをメインに導線を考え直しましょう。
BtoBのWebサイトはお決まりのように右上に電話と問い合わせのボタンが用意されていますが、分析した結果、これらが売り上げにつながっていないのなら、別のコンバージョンに入れ替えましょう。
BtoBで忘れられがちなのがスマートフォンサイトの導線です。
さすがにスマートフォン対応を一切していないということはないかと思いますが、優先順位を低く見ているかもしれません。
こちらはネットショップのアクセスデータです。企業をターゲットにしているネットショップでもスマートフォンからのアクセスが半分を占めています。
こちらはBtoB専業企業のWebサイトのアクセス解析データです。ネットショップではない企業向けのWebサイトでも約半分の割合をスマートフォンが占めていることがわかります。
スマートフォンからのアクセス割合は、業界や業種によって異なりますが、SEOの観点から見ても、スマホ最適化は重要とされています。
スマートフォンサイトを改善するだけでCVRが改善するかもしれません。BtoBでもスマートフォンはPCと同じくらい重視しましょう。
ステップ3:フォームを改善する
BtoBのコンバージョンでは、多くの場合Webフォームを使うと思います。フォームページでの離脱率はどの程度でしょうか?また、フォームを入力し始めてから完了まで進まなかった割合はどの程度でしょうか?
これらをフォーム離脱率といい、業界やフォームの目的によって様々ですが平均で40〜50%、多い時で70%になると言われています。
もし、現在のフォーム離脱率が70%で、それを平均より少し良い35%まで改善できたら、コンバージョン率は2倍になります。
フォームの改善を「EFO」といいます。GrabにはEFOの記事も多くあるので、EFOについて詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
フォームの改善で重要なポイントは、入力項目を最小限にすることです。無料の資料請求で相手の企業規模や役職まで聞く必要があるでしょうか?
他にもプレースホルダー(入力例)やエラーの通知など小さな点でもフォーム離脱率は大きく変わります。自分が入力する立場になって、入力の妨げにならない項目のみを残し、フォーム離脱率を改善しましょう。
ステップ4:マイクロコピーにこだわる
次のステップはマイクロコピーです。マイクロコピーとは、ボタンのテキストや備考欄など、細部にあるテキストのことです。
コピーライティングは時間をかけて習得しなければ成果に繋がりにくいスキルですが、マイクロコピーに難しいスキルは必要ありません。
ただいろいろなパターンを考え、Googleオプティマイズなどを使ってテストし続けるだけです。
「お問い合わせ」を「無料で相談する」に変えてみたらどうでしょうか?
「ダウンロード」を「無料で〇〇を手に入れる」に変えてみたら?
こうした小さな変更がCVRに大きく影響します。
アマゾンの購入ボタンは「購入する」「カートに入れる」ではなく、「1-Clickで今すぐ買う」となっています。
アマゾンはこの言葉とシステムをわざわざ商標登録し、ライバルが真似できないようにしていました。なぜなら、それほどこの言葉がCVRに大きく影響していたからです。
マイクロコピーについて書かれた書籍「Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー」では、たった2文字を変えただけで売り上げが1.5倍になった事例なども紹介されています。一度自社のWebサイトを見返して、何気ない言葉を工夫できないか考えてみてください。
ステップ5:計測してPDCAサイクルを回す
最後のステップは計測してPDCAサイクルを回すことです。
BtoBではきちんと売り上げまでつながるかの分析が非常に重要です。いろいろな施策を行ってCVRが上がったものの、見込み顧客の傾向が変わり、商談が進まず売り上げに繋がらないとなれば意味がありません。
BtoBのWebマーケティングは大まかに「アクセスする>>コンバージョンする>>商談・案件を進める>>受注する」という流れがあります。
この流れのなかで、どの施策が効果的だったのかを把握できるようにしましょう。
BtoCの場合はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析ツールだけである程度分析できますが、商談などが入るBtoBの場合、アクセス解析ツールだけでは不十分です。アクセス解析ツールと連動できる顧客管理ツール(CRMやMA)の導入をお勧めします。
CRM・MAの導入については下記記事を参考にしてください。
▶CRMの目的は?メリット・デメリットとシステムの活用ポイント
▶CRM導入を成功させる秘訣-導入の課題とCRM 分析
またBtoCであればWebマーケティングの改善指標はいろいろな調査結果があり、それらをベンチマークにできます。しかし、BtoBの場合、業界業種・コンバージョン項目などによって平均値がバラバラで「コンバージョン率はこれくらいあれば良い」や「フォーム離脱率はこれぐらいが平均」といった基準はあまりありません。
なので、参考になるのは過去の自社サイトのデータです。現状を把握し、理想的な状態をベンチマークに置いて、改善施策によってどれだけ理想的な状態に近づけたのかを計測し、PDCAを回していきましょう。
CVRが上がればビジネスが楽になる
今回はBtoBマーケティングに欠かせないCVRの改善方法を紹介しました。BtoBでは、ただCVRを上げるのではなく、売り上げにつながるコンバージョンのCVRを上げることが重要です。
BtoCのようにコンバージョン=来店や購入など売り上げに直結するわけではないので、どのコンバージョンを改善するのかが一番大切です。
なので、まずは最初に紹介した現状把握を行ってください。
もしメインメニューに設置しているコンバージョンが売り上げに繋がりにくいものであれば、そこを売り上げに繋がるコンバージョンに変えるだけで大きな改善が期待できます。
Grabでは、現状管理に役立つ正確な数値を管理するためのMAツール「HubSpot」を推奨しています。しっかりと顧客管理を行うことで、売り上げの向上に役立てられます。
この資料ではHubSpot無料版でどんなことができるのかをまとめています。数字を正確に管理して売り上げを改善したいとお考えの方は、ぜひご覧ください。
無料ダウンロード:HubSpot無料版でできる10のこと
HubSpot無料版でできる10のこと
HubSpotは機能の一部を無料で提供しており、期限もなく利用することができます。無料版ではいくつかの制限があるものの、顧客管理を行うCRMや営業管理を行うSFA、メールマーケティングなど、マーケティング施策に必要な様々な機能が利用できます。MA・CRMの導入を検討している方はダウンロードしてみてください。