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メールアドレスや電話番号など、コミュニケーションが可能な情報を提供してくれた見込み顧客を「リード」と呼びます。リードはビジネスの要であり、業態によってはリードの数がビジネス規模を直接左右することもあるでしょう。
リード獲得の方法として一般的なのは、ランディングページ(LP)を作成し、広告からアクセスを集め、コンバージョンしてもらう方法です。コンバージョン率は業界や業種、ユーザーのアクション(CTA)の種類によって異なりますが、せいぜい数パーセント程度です。
さらにモバイル端末でのメールアドレス入力は、PCと比べて40%も長く時間がかかり、入力途中での離脱が生じやすいという情報もあり、スマートフォンの普及と共にリード獲得の難易度は年々高くなっているのです。(データ:Metaビジネス)
そこで今回は、モバイル端末からのリードを獲得することに特化したFacebook・Instagram(Meta)の「リード獲得広告」について紹介します。この記事を読んでいただくだけで、リード獲得広告のメリットはもちろん、具体的な設定方法も理解できます。
Facebookリード獲得広告とは
Facebookのリード獲得広告を使えば、リードの獲得が簡単になります。利用者が広告をタップするとフォームが表示され、その人のFacebookの連絡先情報が自動入力されるため、すぐに送信準備が整います。利用者が求めている情報をわずか数ステップで提供し、質の高いリードを獲得できます。
引用:Metaビジネス
リード獲得広告は、Facebook・Instagramを提供するMeta広告のメニューの一つで、その名の通りリード獲得に特化しています。2015年にリリースされた比較的古い広告メニューですが、スマートフォンの普及やInstagramの急速な成長を受け、再注目されているのです。
最大の特徴は広告をタップするとFacebook・Instagram上で入力フォームが立ち上がる点です。その他の広告メニューでは、基本的にLPに遷移させることを目的としていますが、リード獲得広告ではそもそもLPが必要ありません。
ユーザーはFacebook・Instagram上で立ち上がったフォームに、必要最低限の情報を入力するだけでアクションを完了できるのです。
リード獲得広告のメリット
リード獲得広告には大きなメリットが2つあります。
メリット①LP制作が不要
1つ目のメリットはLPが不要という点です。リード獲得広告では、LPなしで広告を出稿できるため、制作コストをかけずに今すぐにでもリードを獲得できます。
LP制作のコストがかからないことは大きなメリットですが、より重要なことはPDCAサイクルを早められる点です。
LPありきの場合は制作そのものにかかる時間はもちろん、デザイン・キャッチコピー・フォームの入力項目を調整するにも“コーディング”などが必要になるため、時間がかかってしまいます。しかし広告マネージャーの設定のみで完結するリード獲得広告は、管理画面からすぐに調整できます。そのため、デザインやキャッチコピーや入力項目の数をテストしながら、随時改善が可能になります。
まずリード獲得広告を活用して、さまざまなデザイン(広告画像)、キャッチコピー、入力項目をテストしましょう。そこで最適な形を見つけてからLPを制作し、他の広告媒体にも展開するといった活用方法がおすすめです。
通常の広告施策を経験したことがあるマーケティング担当者であれば、LPなしでリードを獲得でき、PDCAサイクルを高速で回せることのメリットを実感できるのではないでしょうか。
メリット②ユーザーの利便性が高い
2つ目のメリットはユーザーの利便性です。広告をタップしてランディングページに遷移し、内容を確認して入力フォームに必要事項を入力し、送信する。これが通常のリード獲得の流れですが、リード獲得広告では最短2タップのみでフォーム送信が完了します。
その理由は、リード獲得広告では、フォームの入力欄にFacebookやInstagramに登録してある情報が自動で入力されるからです。
リード獲得広告ではさまざまなフォーム項目を設定でき、ユーザーに回答してもらえますが、一部の項目では自動入力が利用できます。自動入力が利用できる項目は、メールアドレス、電話番号、住所、名前、生年月日、性別、会社名など多岐に渡ります。
もちろんこれらの情報はユーザーがFacebook・Instagramに登録していることが前提です。Facebookは実名性が高く、ビジネスなどリアルな繋がりの場として利用されるSNSなので、高い登録率を期待できます。
先ほど、モバイル端末でのメールアドレス入力はPCと比べて40%も時間がかかるという情報をお伝えしました。しかしリード獲得広告はFacebook・Instagram上で表示されており、ログイン情報が反映されます。ほとんどのユーザーはメールアドレスでログインしているでしょうから、入力する必要はありません。
そのため、LPに設置されたフォームより手間がかからず、高い入力完了率が見込めます。
リード獲得広告のデメリットとして、あまりにも簡単にフォーム送信できてしまうためリードの品質が低下するといわれることがあります。しかし、これについてはリード獲得後に行うメールマーケティング等のアプローチやFacebook広告で利用できる詳細なターゲティングを活用することで、改善できるでしょう。
Facebook広告の効果的なターゲティング方法については、こちらの記事をご覧ください。利用できるターゲティングの種類と、効果的な使い方について解説しています。
▶︎ Facebook広告のターゲティング活用ガイド!設定&配信方法を解説
Facebookリード獲得広告の出稿方法
それでは、実際にFacebookリード獲得広告を出稿する手順を見ていきましょう。リード獲得項目も、通常のFacebook・Instagram広告と同じく、広告マネージャーから出稿します。
それでは実際にリード獲得広告の出稿準備を進めていきましょう。広告マネージャーのキャプチャ付きで紹介するので、記事と一緒に進めていくとすぐにリード獲得広告を出稿できます。
STEP①広告キャンペーンの作成
まずはリード獲得広告を出稿する広告キャンペーンを作成しましょう。
広告マネージャーの左上にある緑色の「+作成」ボタンから、新しいキャンペーンを作成します。キャンペーンの目的は「リード獲得」を選び、「次へ」をクリックしましょう。
「次へ」をクリックするとキャンペーン設定画面が表示されます。キャンペーン設定で変更する箇所は特にないので、左側にある「新しいリード獲得広告セット」をクリックして、広告セットの設定画面に移動しましょう。
移動すると「リード方法」の欄にある「インスタントフォーム」にチェックが入っていることを確認してください。
続いて、「利用規約を確認」という項目を確認しましょう。
リード獲得広告では、LPを介さずにFacebook・Instagramが直接データを収集するため、通常の広告と異なる利用規約が必要になります。初めてリード獲得広告を出稿される方は必ずチェックしておきましょう。
画像のようなポップアップでリード獲得広告の利用規約が表示されます。内容を確認して「利用規約に同意する」をクリックしてください。
後は通常の広告施策と同じように広告セットの予算やターゲティングの設定を進めてください。
広告セットの設定が完了したら、左側の「新しいリード獲得広告」をクリックします。ここでも通常の広告出稿と同じように画像や動画、メインテキスト、見出し、説明文などの広告クリエイティブを入力していきます。
広告クリエイティブを入力する項目の下の方に「リンク先」を設定するところがあります。通常の広告であればここでLPのURLを入力しますが、リード獲得広告ではインスタントフォームを設定します。
「フォームの作成」をクリックして次に進みましょう。
STEP②リード獲得フォームの作成
「フォームの作成」をクリックすると画像のようなポップアップが表示されます。非常に多くの機能があるため、全部を網羅するわけではありませんが、基本的な作成方法を見ていきましょう。
まず、フォームタイプの「大量用」と「高い意向」ですが、これはフォーム獲得が目指すリードの質によって使い分けます。「大量用」は文字通り大量のリードを獲得することに適した形式、「高い意向」は量よりも質を重視してリードを獲得する形式です。
具体的には「高い意向」タイプのフォームには、送信前の入力内容確認画面が表示されるなどの違いがあります。フォームタイプの詳細な違いはMetaビジネスヘルプセンターをご確認ください。
続いて、メインのフォーム項目である「質問」の前に、「イントロ」「プライバシー」「完了」部分を入力しましょう。
「イントロ」はユーザーがフォームを開く前に見る文章と画像です。イントロを設定しない方法も選択できます。リード獲得広告は、まず通常通り設定した「画像や動画」「見出し」「本文」などがあり、通常はLPに遷移するCTAボタンをタップするとフォームが立ち上がるという仕様です。「イントロ」はタップしてフォームが立ち上がった時に表示されます。
「プライバシー」はプライバシーポリシーを表示する項目で、自社のプライバシーポリシーページのURLなどを設定します。
「完了」はフォーム送信した後にユーザーが見る画面です。リード獲得広告の優れた機能は、フォームの送信完了画面でさらにCTAを追加できる点です。ウェブサイトのURLなどを入力できるので、フォームを入力してくれた見込み顧客に対し、その場でさらなる追加アクションを促すこともできます。
続いて、フォーム項目の設定を見ていきましょう。フォーム作成画面の「質問」をクリックすると設定を進められます。
フォームの設定項目は大きく2種類あります。1つが「カスタム質問」で上記のように、多肢選択式・短い回答・条件付き・予約リクエストがあります。
リード獲得広告の優れた機能の一つとして「リードの絞り込み」があります。上記画像のようにリードの絞り込み機能を有効化すると、各項目にフィルターをかけられます。例えば予算10万円以下は見込み顧客になり得ない場合、例えば「予算は10万円以上ですか?」「はい・いいえ」という項目を用意し、「いいえ」と答えた人はその段階でフォームが終了する、といった分岐が可能になります。
必要に応じて不要なリードを省くことで、獲得単価やリードの質を改善させられるのです。
もう一つの質問タイプは「定型の質問」です。これはFacebook側が基本情報として用意しているタイプのもので、メールアドレスや名前・性別・誕生日・市区町村などが該当します。
リード獲得広告のメリット2でも紹介したように、これらの項目はすでにFacebookに登録されているため、自動で入力されます。
例えば、PDF資料をダウンロードするなどのシンプルなリード獲得方法の場合、質問項目を「提携の質問」にある「Email」と「Full name」だけにして、送信完了画面にダウンロードURLを掲載しておけば、ユーザーは数回タップするだけで資料を手に入れることができるのです。
これらの質問項目を設定し「公開」をクリックすると、フォームが保存されます。
あとは通常通り広告・広告セット・キャンペーンを公開すれば審査が始まり、問題なければ広告を出稿できます。ここで作成したフォームは別の広告を作成する際にもそのまま利用できるので、区別できるようにわかりやすい名前をつけておきましょう。
リード獲得広告を活用するためにCRMと連携させよう
今回はFacebook・Instagramで活用できるリード獲得広告のメリットと、具体的な設定方法を紹介しました。リード獲得広告という機能自体は聞いたことがあっても、フォーム設定項目で紹介したようなリードを絞り込む機能があったり、様々な項目を自動入力してユーザーの手間を減らしたり、送信完了画面を自由にカスタマイズできたりする機能があることは知らなかった人が多いでしょう。
最後に獲得したリードの取り扱いですが、大きく2種類の活用方法があります。1つは手動でリード情報をダウンロードする方法です。社内の顧客管理システムなどと連携する場合は、定期的に手動ダウンロードしましょう。
もう1つはFacebookとCRMツールを連携させることです。CRMツールと連携しておけば、リアルタイムでリード情報が自動で蓄積されるので、溜まったリード情報を使ってサンクスメールを送信したり、自動化されたメールマーケティングを展開できます。
連携できるCRMツールはHubSpotやSalesforceなどのBtoB向けMAツールの他、BtoCでも利用されるECプラットフォームのShopify、アマゾンのメール配信システムAmazon SESなどがあります。
これらのツールを利用している場合はFacebookと連携して、リード獲得とその後のマーケティング施策を最適化させていきましょう。
まとめ
Facebookのリード獲得広告を使うことで多くのリード情報を集められるようになります。
リード獲得フォームの設定によって、情報の量や質をコントロールできるので、自社の目的に合うようにPDCAを回し、より良いリードを集められるように工夫しましょう。
あくまでもリードは見込み顧客の状態であり、売り上げに直結しているものではないので、ゴールまでどう繋げるかしっかりと設計しておくことをお忘れなく。