業界別マーケティングオートメーション(MA)事例紹介~情報通信業界編~

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業界別マーケティングオートメーション(MA)事例紹介【全5回】

マーケティングオートメーション(MA)の利用が日本でも年々進んでいるなか、導入を検討している会社も増えているでしょう。ツールを選定するにあたり、製品ごとの機能比較だけでなく、実際に利用している企業がどのようにツールを活用しているのかなど、導入事例も自社での利用イメージを描くのに役立ちます。

そこで本記事では、実際にMAを導入した企業の導入背景や課題、MAによりどのように業務が改善したのかについて、各社の事例を業種別に紹介します。今回とりあげるテーマは情報通信業界です。

そのほかの業界別マーケティングオートメーション事例はこちらをご覧ください。

業界別MA事例紹介~情報通信業界編~

株式会社電算システム(HubSpot)

株式会社電算システムは、情報サービス、クラウドサービス、収納代行サービスを主な事業としている企業です。その歴史は長く、インターネットがまだ普及していなかった時代から情報サービスを開始しました。

同社では、営業チームがマーケティング業務を兼ねており、以前からセミナーやブログ、メルマガなどの施策を行っていましたが、効果があまり出ていませんでした。また、使っているツールがばらばらで、各メンバーのマーケティングに対する知識も人により偏っている状態でした。
この状況を解決するには、営業活動を少しでも自動化し、効率的にリードを増やす方法が必要だと考えた同社は、そのためのツールとしてMAを導入することを決めます。

HubSpotを採用したのは、CMSも兼ねておりツールの一元化ができる、新規や既存など顧客のセグメントがしやすい、そして知識がなくても使いやすいという理由からでした。

導入後はまず、当初から予定していたWebのリニューアルを実施しました。フォームやブログもHubSpot上に移行し、訪問者のアクションを促すよう、Webの目立つ位置にCTAを設置しました。その後、HubSpot代理店のサポートもあり、ブログが徐々に検索結果の上位にヒットするようになります。

このような施策の結果、導入前は年間50件だった問い合わせが、半年ほどで400件を達成。問い合わせ件数3倍増加という当初の目標を上回る結果となりました。

途中で運用担当者が変わることもありましたが、HubSpotでは顧客や施策の履歴を確認できるため、問題なく運用が継続できたとのことです。今後もさらに活用を進め、他の商材にもHubSpotを使った施策を展開していく予定です。

東洋ビジネスエンジニアリング株式会社(HubSpot)

東洋ビジネスエンジニアリング株式会社は、情報通信システムの企画、開発、販売やコンサルティングなどを事業としている企業です。同社のマーケティング活動は、セミナーやイベント出展などのオフライン施策が中心でしたが、時世にあわせたマーケティングも取り入れるべきだと考えた担当者は、インバウンドマーケティングとMAを自社でも取り組むことにしました。

ツール導入にあたり複数の製品を比較した結果、Web施策やメールマーケティングなどすべてをワンストップで行えるという理由からHubSpotを採用しました。

導入後はまず、メール配信からコンバージョン(CV)を獲得するという流れを作りました。機能を少しずつ覚えながら次にやることを考えるという進め方で、担当者にとって特に運用の苦労はありませんでした。
また、導入にあたりHubSpotの代理店から、ペルソナの作り方や管理すべきデータ、カスタマージャーニーの書き方など戦略部分のサポートを受けていたため、MAやインバウンドマーケティングについて早くから理解できたといいます。

HubSpotの導入における大きな効果の一つは、ランディングページ(LP)やメール作成が容易になり、業務効率が大幅にアップしたことです。LPの作成においては、以前は外部に依頼していたため、作成や更新に1週間かかっていましたが、HubSpotではコーディングをせずに担当者自身で作成ができるため、数時間で完成できます。メールにおいては、以前のツールはレイアウトの調整に時間がかかったり、テキストメールしか送れなかったりなどの制限がありましたが、HubSpotではHTMLメールもテンプレートをもとに短時間で作成が可能になりました。

もう一つの効果は、メールのパフォーマンスやリード獲得率の向上です。コンテンツの必要性は理解していたものの、新しいコンテンツを作るリソースがありませんでした。そこで、代理店のアドバイスもあり、紙資料をPDF化するなどで既存のものを活用することでコンテンツを増やしていきました。

このような施策の結果、リード獲得率が80%、メールのクリック数が2倍に増加。イベント参加者へのお礼として、資料のダウンロードリンクを掲載したメールでは、開封率が70%にまで達しました。

HubSpotの導入を機にオンラインマーケティングを実現した同社では、今後もデジタルとアナログそれぞれの施策の良さをうまく活用していきたいと考えています。

エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア株式会社(シャノン・マーケティング・プラットフォーム)

エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア株式会社は、ソフトウェアや情報通信ネットワークシステムの設計、開発、保守、コンサルティングまでトータルにソリューションを提供する企業です。

同社の営業では、マーケティングデータを有効活用し、営業活動を効率化したいという理由からシャノン・マーケティング・プラットフォーム(SMP)を導入しました。
当初はイベントやセミナーの実施を目的にツールを使っていただけでしたが、使用範囲を拡大するにつれ、顧客データを付加価値の高い情報として営業に提供し、もっと有効活用してもらいたいと考えるようになります。

同社では、以前より営業支援システム(SFA)であるSalesforceを使っていましたが、SMPをSalesforceと連携しておらず、情報が分断されている状態でした。問い合わせがあった際に担当者へアラートは飛んでいたものの、最終的に商談に貢献したかどうかまでは可視化できていませんでした。

そこでまず、問い合わせフォームを含めたすべてのインバウンド施策をSMPに統合することにしました。これにより、問い合わせをした顧客の管理やスコアの活用、ターゲティングメールの配信など育成施策が可能になりました。

さらに、SMPとSalesforceを連携することで、見込み客のWebアクセス履歴、セミナーの参加や問い合わせ内容などの共有が可能となり、それらの情報を営業が提案に生かすなど、目標としていたマーケティングデータの有効活用ができるようになりました。

今後は、SMPからSalesforceへの一方通行だけでなく、双方向に情報を共有し、商談情報をマーケティング活動に生かすことも視野に入れています。マーケティングの商談貢献を可視化できるよう、MAとSFAをうまく活用している例といえるでしょう。

日商エレクトロニクス株式会社(Marketo)

日商エレクトロニクス株式会社は、情報通信設備やIT基盤など、国内外の最先端ソリューションやシステム構築・運用サービスを提供する企業です。

同社では、営業のアプローチによる既存顧客との取引が中心であり、新規顧客の開拓が課題となっていました。海外から持ち込んだ製品の販売拡張がミッションだった担当者は、国内での認知を広め新規開拓をするための新たなマーケティング施策として、Marketoを導入することを決めます。

導入後はまず、見込み客がフェーズごとにどのような情報を求めているのか購買プロセスを整理し、それをもとにした施策を実施しました。
Web施策では、SEOを強化するためオウンドメディアを刷新し、ページを大幅に追加しました。また、イベントの参加者に社員の個人名でメールを出すことで、オフラインからオンラインへの誘導を設定。オンライン・オフライン共に、フェーズの入り口となるタッチポイントを強化していきました。

MAにより作業効率をアップしたことから、次のステップとして、施策の回数と顧客接点を増やす取り組みを行いました。確度の高さに応じて見込み客を3段階に分け、さらに商談フェーズごとにステージを定義。段階にあわせたコンテンツをステップメールで配信していきました。
確度が3段階目に達した見込み客はインサイドセールスに渡し、インサイドセールスはSalesforceの情報をもとに、すぐにアプローチすべきかを判断します。電話でのヒアリング内容もSalesforceに記録し、顧客と商談の管理を徹底しました。このような取り組みの結果、導入2年後の商談創出金額が30憶円を突破しました。

成功のポイントとしては主に、購買行動をベースに最終的な売上目標にコミットしたこと、MAによる効率化で浮いた分の時間を施策や顧客対応の質の向上にあてたこと、部門間の連携を強化し、上層部を味方につけたことなどが要因だと担当者は考えています。

今後は、成功例を他の商品にも展開するとともに、アカウントベースドマーケティング(ABM)にも取り組んでいく予定です。

まとめ

今回ご紹介した企業のなかには、情報通信業界という点だけでなく、顧客が法人である点や、MAを導入するまではオフライン施策が中心だった点などいくつか共通点があります。

今回の事例のように、BtoBでは特に、MAをSFAに連携し、マーケティング施策を商談貢献まで可視化することが重要になります。また、オフライン施策が中心だった企業では、デジタル施策を取り入れ、それぞれの良さを生かすことで、相乗効果を期待できるでしょう。同様のビジネス形態や課題をお持ちの方は、是非参考にしていただければと思います。

情報通信以外の業種については、下記の記事でMAの導入事例を紹介しています。こちらもぜひ、ご覧ください。

【業界別MA導入事例特集】MA導入の目的とは?