Webマーケティング

業界別マーケティングオートメーション(MA)事例紹介~不動産編~

マーケティングオートメーション(MA)の利用が日本でも年々進んでいるなか、導入を検討している会社も増えているでしょう。ツールを選定するにあたり、製品ごとの機能比較だけでなく、実際に利用している企業がどのようにツールを活用しているのかなど、導入事例も自社での利用イメージを描くのに役立ちます。

そこで本記事では、実際にMAを導入した企業の導入背景や課題、MAによりどのように業務が改善したのかについて、各社の事例を業種別に紹介します。今回とりあげるテーマは不動産業界です。

そのほかの業界別マーケティングオートメーション事例はこちらをご覧ください。

業界別MA事例紹介~不動産編~

ソニー不動産株式会社(Pardot)

ソニー不動産株式会社は、不動産事業のほか、ITプラットフォーム事業、AIソリューション事業の3本を主な事業としています。

同社では、事業拡大にともない二つの任務がありました。一つは、CPA(顧客獲得単価)を下げつつ反響(問い合わせ)数を増やすこと、もう一つは、買主と売主をダイレクトにつなげる不動産売買のプラットフォーム「おうちダイレクト」の認知度を高めて集客を強化し、サービスの実装やプロモーションのPDCAをまわしていくことです。こられを達成するには、まずマーケティング基盤を整備することが不可欠だと考え、MAツールとしてPardotを導入することになりました。

Pardot導入後にまず行ったことが、セミナーの申し込みや問い合わせフォームの作成です。用意されているテンプレートと直感的に使えるエディターにより、フォーム作成はスムーズに進みました。もう一つはメールマーケティングの実施です。Pardotにより開封率やクリックした先の分析が可能となり、配信停止も自動処理で行えることから、積極的にメールマーケティングを行えるようになりました。

また、Pardot導入による大きなメリットの一つは、営業とマーケティングチームが連携しやすくなったことです。キャンペーンによっては営業とマーケティングの両部門が関わる施策もあり、そのような場合でも、Pardot上で進捗状況等を一元管理して業務を進めることができるようになりました。もう一つは、「おうちダイレクト」における新サービスの開発工数が大きく軽減したことです。Pardotを利用することにより、スクラッチで開発した場合と比べて、3分の1にも期間が短縮されたのです。反響数は導入後6か月で2.5倍に増加し、導入当初の目的を達成しました。MAはマーケティングだけでなく、使い方によっては自社のオンラインサービスにも活用できる例といえるでしょう。

日本エスリード株式会社(Marketo)

日本エスリード株式会社は、大阪に本社を持つ分譲マンションの販売・管理・賃貸を行う企業です。
同社では、MAを導入する前から積極的にマーケティング施策を行っていました。ログ解析や広告配信の結果からWebのコンテンツを改善したり、購買データからペルソナを設計したりと、PDCAを繰り返すことで一定の効果をあげていました。しかし、施策の有無により物件の売り上げに偏りが生じてしまうという点が課題でした。リーチできていないターゲット層にもアプローチをする必要性を感じていたものの、すでに複数のシナリオを同時に運用しており、これ以上施策を増やすのは人員的に実現が困難だったのです。
そのような状況を解決するために導入されたのがMarketoでした。

Marketoの導入後、それまでは手動で行っていたセグメント分けを自動で抽出できるようになりました。また、A/Bテストを繰り返し、効果のあった施策はプログラムを複製して横展開をすることで、スピーディーに施策を進めていきました。営業チームに対しては、Marketo上で顧客の行動履歴を共有できるようにし、顧客が特定の行動をした際には営業に通知を送るといった設定も行いました。
こうしてMarketo導入により、メール配信などの作業量が軽減しただけでなく、セグメントごとのメール施策を増やし、顧客の行動をもとに営業へ連携するというフローも確立できるようになりました。この結果、導入前と比較しWebサイトの直帰率が20%軽減しただけでなく、見込み客からの成約率が2%向上、売り上げにして約24億円の相当の貢献を実現しました。

株式会社Standard(Kairos)

株式会社Standardは、静岡県にある戸建て住宅を扱う不動産会社です。
同社のマーケティング部の大きな役割は新規顧客の獲得で、そのためにイベントを毎週開催していました。来場者を増やすためにWebサイトやチラシ、雑誌など複数の施策を行っていたものの、プロモーションごとの効果を測定できていないことが課題でした。
どのチャネルがどれほどの効果があったのか、来場のきっかけを知ることで集客を強化したいと考えたことから、Kairosを導入することになります。

導入後にまず始めたのは、メルマガの配信と各申し込みフォームの作成です。どのチラシをきっかけにイベントの予約につながったのかを判別できるよう、広告ラベル機能をフォームと組み合わせて使用しました。メルマガは、配信後のお客様の反応の結果を分析し、文章や画像を変えるなどPDCAを繰り返すことで、クリック率が開始当初から10%向上しました。

また、連絡が途絶えていた顧客がWebサイトに来訪してきた際や、スコアの変化があった際に営業から電話をかけるなど、顧客の行動をもとにアプローチするといったことも行うようになりました。

こうして、チラシとメールによるイベントへの集客、イベント後のフォローアップやリードナーチャリングなど一連のプロセスを確立した結果、新店舗でも安定した集客を達成。来店の8割以上は新規の見込み客にとなり、売り上げもKairos導入後は2割以上の増加を実現しました。

株式会社東栄住宅(Satori)

株式会社東栄住宅は東京に本社をおく分譲住宅メーカーです。
同社では、問い合わせを増やすため、リスティング広告やメルマガ配信などのデジタルマーケティングを行っていました。このような施策により、アクセス数は増加していたものの、広告によるCPA(顧客獲得単価)が高すぎることや施策ごとの効果がわからないといった課題を抱えていました。また、サイトで物件を検索した後の離脱数が多く、会社の強みである品質へのこだわりやお客様の事例といった、物件以外のコンテンツが見られないことも課題でした。Web会員に対しては、購買層への興味を喚起するコンテンツを配信していたものの、手動による運用のため十分な訴求はできていませんでした。

このような課題を解決するためには、見込み客の状況や行動にあわせてメール配信やコンテンツのだし分けをすべきだと考えた担当者は、それを実現するためのツールとしてMAを検討します。国内外のツールを比較するなか、機能やコスト面、サポートなどの理由からSatoriを導入することになりました。

Satori導入後はまず、手動で行っていたWeb会員へのメール配信を自動化しました。また、Webサイトに会員登録や物件の希望条件登録のポップアップを表示することでコンバージョンを促したり、コンバージョンに至った顧客に対しては行動履歴を分析したりといったことができるようになりました。

このような施策により、メール配信の作業が効率化されただけでなく、顧客の興味にあわせてタイムリーな対応が可能となりました。また、ニーズの掘り起こしも成果を表し、それまでは物件に関する問い合わせがほとんどだったのに対し、物件以外の問い合わせの割合も増えていきました。顧客の行動履歴を可視化することで、意外なページがよく見られていることがわかるなど、データにもとづいた判断と改善もできるようになっています。

リスティングなどの広告では以前のように効果を出しづらいといわれているなか、コンテンツにより潜在層の興味を喚起し、早期に自社との接点を作りコンバージョンにつなげるというMAをうまく活用した例といえるでしょう。

まとめ

不動産業界といっても、マンションや戸建て、賃貸や売買・仲介など、企業により扱うサービスはさまざまですが、いずれの場合も、購買検討期間が長く、見込み客への興味喚起や信頼構築は重要であるという点は共通しています。このようなサービスを扱う企業にとって、パーソナライズなメッセージやタイムリーな対応により、見込み客との関係維持を可能にするMAは向いていると考えられます。
デジタル施策に馴染みのない企業でも、他社より先んじて着手することで自社にあったノウハウを構築することができ、売上を改善するための心強い武器になるかもしれません。