【HubSpot 7/9】インバウンドマーケティングによくある誤解と失敗する理由

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HubSpotを活用したインバウンドマーケティング第7回

全9回にわたってお送りする、HubSoptのMAツールを活用したインバウンドマーケティングについて、これまで「インバウンドマーケティングとMA」から始まり、3つのメディア、ペルソナ・カスタマージャーニーマップ、リードナーチャリングとリードクオリフィケーションなど、多くの内容を紹介しました。

すでにインバウンドマーケティングを実施している、HubSpotの勉強をしたことがあるという人でなければ、この連載記事だけですべてを理解して、実践に移すことは難しいでしょう。

そこで今回は、ここまでの内容を踏まえて「インバウンドマーケティングによくある誤解と失敗する理由」をご紹介します。

これまで紹介してきた内容の総まとめとして、疑問点などを解消する回になればと思います。

【第1回】インバウンドマーケティングとは?今さら聞けない基礎知識と実践方法
【第2回】MAツールでできること|「HubSpot」の優れた機能
【第3回】優れた戦略に必要な「3つのメディア」
【第4回】ペルソナとカスタマージャーニー(1)
【第5回】ペルソナとカスタマージャーニー(2)
【第6回】スコアリングによるリードの育成と選別
【第7回】インバウンドマーケティングによくある誤解と失敗する理由
【第8回】マーケティングファネルと自動化(ワークフロー)の活用方法
【第9回】HubSpotを用いたインバウンドマーケティング1年計画

インバウンドマーケティングに対する大きな誤解

インバウンドマーケティングは、日本ではまだ新しい概念で、これまで主流であったアウトバンドマーケティングとは大きく異なる考え方です。
そのため、熟練のマーケティング担当者でも、誤解や勘違いがあり、うまくいかないことも多くあります。

まずは、インバウンドマーケティングにおいてよくある誤解を見ていきましょう。

誤解① アウトバウンドマーケティング(広告)は不要

  • 「インバウンドマーケティングは広告に頼らない手法だから、広告は行わなくていい」
  • 「インバウンドマーケティングは費用がかからない手法だから、予算を削減できる」

インバウンドマーケティングに対して、イメージだけで導入が進むと、こうした考えが出てくると思います。それにより、広告予算をそのままインバウンドマーケティングの予算にシフトさせたり、全体のマーケティング予算を削減したりしてしまいます。

確かに、「これからは企業が中心になるアウトバウンドマーケティング(広告等)ではなく、顧客が中心になるインバウンドマーケティング(ブログ等)が重要になる」と繰り返し伝えてきました。しかし、それは広告が不要になるというわけではありません

インバウンドマーケティングはリードを集め(リードジェネレーション)、リードを選別し(リードクオリフィケーション)、リードを育成 (リードナーチャリング) する手法です。
つまり、リードを集めることが最初になっています。

では、リードを集めるためにどうすればいいでしょうか?

  • リードを集める方法① ブログを開設してSEO対策を行う

もちろん重要です。しかし、SEO対策は簡単ではありません。おそらく、単にブログを開設しても、自然検索からのアクセスが集まるには数か月~数年かかってしまうでしょう。
SEO対策の難しさは年々上がっており、新規サイトが上位に上がることは難しくなっています。SEO業者に頼んでも、毎月何十万円から何百万円ものコストがかかり、リスティング広告を出稿したほうが効果的かもしれません。

  • リードを集める方法② SNSアカウントを開設してファンを集める

非常に効果的な方法です。しかし、企業アカウントがSNS上でファンを集めることは簡単ではありません。大手飲料メーカーなどが、ファンを集めるために「限定!アカウントフォロー○○プレゼント!」などを行っていることを見たことがあると思います。ほとんどの企業アカウントはフォロワーを増やすため、赤字覚悟のキャンペーンを行っています
例外はすでに数千~数万以上の利用者(顧客)がいる場合です。この場合、すでに顧客同士の会話がSNS上に生まれていると考えられるため、そこにうまく入り込むことで、ファンを集めることができます。
しかし、この方法でファンを集めることができるのは、すでにSNS上で会話が起こるほどの利用者がいる場合だけです。

  • リードを集める方法③ 既存の顧客リストを活用する

これはインバウンドマーケティングを行う上で、必ず必要になります。しかし、インバウンドマーケティングの目的は、収益の最大化です。この方法では、既存顧客との関係を深めることで、LTV(顧客生涯価値)を上げることはできるでしょう。しかし、新しい顧客につながるリードジェネレーションにはならないため、インバウンドマーケティング導入の効果は限定的になってしまいます。

上記のことから、最も効果的にリードを集める方法は「広告」を打つこと、つまりアウトバウンドマーケティングを行うことです
HubSpot社のブライアン・ハリガン氏は、インバウンドマーケティングを「一般消費者を顧客に育て上げていくための、全てのステップやツール、ライフサイクルの総称」としています。
一般消費者を生み出す、リードジェネレーション領域においては、うまくアウトバウンドマーケティングを活用する必要があります。

Grabは2018年6月から運営をスタートしました。当初は記事数も少なく、自然検索流入もほとんど発生していなかったため、SNS広告やディスプレイ広告を活用し、効果的にユーザーを集めていきました。そして、集まった”匿名ユーザー”に対し「リードフロー」や「チャットボット」といったHubSpotの機能を用いて、顧客情報のわかる”リード(見込み客)”へと転換し、メルマガやLINE@をなどのインバウンドマーケティングを実践してきました。

インバウンドマーケティングを成功させるには、適切なタイミングで広告等のアウトバウンドマーケティングも活用する必要があります
少し難しく感じてしまいますが、インバウンドマーケティングを意識して広告戦略を立てることで、アウトバウンドマーケティングだけに頼るよりも質の高いリードを、高い費用対効果で獲得できるようになります。

誤解② インバウンドマーケティングですぐに収益性が増す

  • 「アメリカでインバウンドマーケティングの成功事例が多いらしい」
  • 「日本でもインバウンドマーケティングを導入する企業が増えてきた」
  • 「マーケティング・オートメーションが注目されているらしい」

インバウンドマーケティングやマーケティング・オートメーションは、マーケティング業界におけるバズワードのようになっています。
インバウンドマーケティングやマーケティング・オートメーションに関する本も多く、「○○のMAツールが××と機能連携」「MAツール○○導入により収益性が向上」のようなニュースを多く見かけます。

しかし、インバウンドマーケティングは決して魔法のように効果が出る手法ではありません。戦略の計画や設計、地道で手間のかかるブログ運営やSNS運用、集めたリードを顧客へと育てていくナーチャリング、考えること、やることは数多くあります。

インバウンドマーケティングを行う際、効果が出るまでに短くても6か月、通常で1年、長めに見て2~3年はかかると思っておいた方がいいでしょう。

弊社では、インバウンドマーケティングを導入するため、2018年6月にGrabを運営をスタートしました。しかし、Grabが「リードを生み出せるメディア(=リードジェネレーションができるメディア)」に成長したのは2019年に入ってからです。
Grabをリードジェネレーションができるメディアに成長させるために半年、リードナーチャリングにより顧客化するために数か月かかると考えると、インバウンドマーケティングの収益化はようやく始まったところです。これまでの投資を回収し、収益の最大化を行うのはこれからになるでしょう。

BtoB業界は特にマーケティング戦略が長引く傾向にありますが、どんな業界でもインバウンドマーケティングをはじめて最初の6か月から1年ほどは、収益の伸びよりも投資のほうが多くなってしまうでしょう。

このことを認識せずに「流行っているらしい」「うまくいくらしい」といった考え方で導入を進めると、収益化する前に「投資効果が見込めないからやめよう」という結論になってしまいます。

MAツールを導入した企業のうち、収益が向上しなかった企業のほとんどは、数か月で契約を取りやめています。逆に、数年にわたってMAツールを使い続けた企業の多くは、収益が向上しています。

HubSpotをはじめ多くのMAツールが1年契約など、比較的長い契約期間を設けているのは、こうした理由からです。

ただし、インバウンドマーケティングの導入に莫大な予算がかかるわけではありません。
HubSpotも、最も機能の多いプランは月に30万円ほどかかりますが、無料プランや月々数千円のプランもあります。メディア運営も、自社スタッフやクラウドワーカーなどをうまく活用することで、そこまで大きな負担にもならないでしょう。

誤解③ うちの会社はインバウンドマーケティングに向いていない

  • 「リードなんちゃらといっても、うちは営業活動でクロージングするからイメージできない」
  • 「2回目の購入はほとんどないのでLTVを考える意味がない」
  • 「顧客単価が低すぎてOne to Oneマーケティングなんて採算が合わない」

インバウンドマーケティングを紹介した際、「うちの会社はインバウンドマーケティングに向いていない」という意見はよく耳にします。
実際、MAツールのすべてを活用できない企業は多くあります。では、こうした企業は本当にインバウンドマーケティングについて考える必要はないのでしょうか?

LTVを考えるサービスじゃないから

例えば、トラブル解決系事業の場合、顧客から依頼をいただき受注するということは、トラブルを解決する(=ニーズがなくなる)ということです。メールマガジンなどでリストを継続的に育成するメリットは低いかもしれません。
また、トラブルが起こったタイミングで急にニーズが発生するため、オウンドメディアによるアプローチよりも、リスティング広告でダイレクトにアプローチしたほうが効果的かもしれません。

しかし、これは大きな誤解です。確かに、こうした業界でMAツールをはじめ、マーケティングプラットフォームの導入は難しいかもしれません。上記のようなトラブル解決系の場合、リードナーチャリングの必要性が低いからです。しかし、インバウンドマーケティングの考え方が必要ないわけではありません。

例えば、トラブル解決系事業の場合、口コミが成果を大きく左右します。優れたランディングページ、広告戦略があっても、悪いクチコミがあれば成果は大きく落ちてしまいます。
そのため、口コミ(アーンドメディア ※詳細は第3回)における対策が欠かせません。

口コミをうまく活用するため、GoogleマイビジネスやSNSアカウントの運用、ブログ運用を行っている企業は多くあります。
当然、こうした施策をとっている業者は、広告だけに頼っている業者よりも高い収益性を安定して得ています。
リードナーチャリングやLTVといった考え方が合わない業種は確かに存在しますが、インバウンドマーケティングという考え方が合わない業種はほとんどないといっていいでしょう。

営業活動が主でWebを活用していないから

BtoB企業で多い意見です。BtoB企業の多くは、テレアポでリードを獲得し、実際にあって商談を重ねることで、受注につなげます。
こうした場合、Web上でのリードジェネレーションやリードナーチャリングのイメージが付きにくいかもしれません。

BtoB企業は就業時間中のターゲットユーザーにアプローチする必要があります。そのため、テレビCMのようなマス広告はもちろん、Web広告でも確度の高い施策が難しい傾向にあります。
それにより、BtoB企業のリード獲得戦略はテレアポと紹介に頼っていました。

しかし、HubSpotのようなマーケティングプラットフォームには、顧客管理を行うCRM、コンテンツを管理するCMS、営業活動を最適化するSFA、そしてマーケティング活動を行うMAなど、様々な機能が存在します。

弊社では、インバウンドマーケティングの導入により、Grabや広告手帳からの問合せを効率よく獲得し、スコアリングによる優先順位基づいて、営業へリードを受け渡します。
その後も、Web上でリードがとった行動、打ち合わせや電話・メールなどの営業アプローチをすべてHubSpotで一括管理し、「今、このリードはどういう状況なのか?」「限られたリソースをどのリードに割り振っていくべきなのか?」といったことが半自動に判別できるようになっています。
一方、メールマガジンやSNSの活用はまだ一部にとどまっています。

第2回でHubSpotの機能を使いこなすコツとして「自社にとって必要な機能を取捨選択する」という内容を紹介しました。
非常に多くの機能がありますが、すべてを活用する必要はないのです。
自社のターゲットが就業時間中にSNSを見ていない、プライベートでも見ない層ならば、無理にSNSを活用する必要はありません。

「一般消費者を顧客に育て上げていくための、全てのステップやツール、ライフサイクルの総称」というインバウンドマーケティング、それを実現させる「One to Oneマーケティング」という考え方は、どの業種においても活用できます

顧客単価が低すぎて「One to One」なんて採算が合わないから

これもよく聞く意見です。顧客単価が数百円、数千円の場合、一人ひとりに合わせてマーケティングを行う「One to Oneマーケティング」は、非効率に感じてしまいます。
しかし、そうした業界でアウトバウンドマーケティングを行うことこそ非効率でしょう。どれだけ計画的に広告運用を行っても、CPA(顧客獲得単価)が1,000円を切ることはほとんどありません。
自然検索や紹介からの流入に現状満足していないなら、費用対効果の合わないアウトバウンドマーケティングよりも、長期的に費用対効果が高まるインバウンドマーケティングを行うべきです。

インバウンドマーケティングによって費用対効果が高まる理由は2つあります。

1つは、コンテンツは継続してたまり続ける資産であることです。
例えば、記事コンテンツの場合、一度公開したものはずっと残り続けます。Grabでも昨年6月から12月までの間に100件ほどの記事を公開しました。一番初めの記事はいまだにアクセスを集めています。
もちろん、放置していてアクセスが集まり続けるわけではありませんが、一度公開したコンテンツは資産として、価値を生み出し続けます。つまり、インバウンドマーケティングを長く続けるほど、効果は右肩上がりで伸び続けるということです。

もう1つは、顧客数が多いほどMAツールの機能を効率的に活用できることです。
「One to Oneマーケティング」といっても、顧客一人ひとりに別々のワークフロー(マーケティングキャンペーンを自動化する機能 ※詳細は第2回)を設定するわけではないからです。
タイミングや状況に差はあれ、受注までの行動はほとんどの顧客で同じです。最適なタイミングで、顧客情報や行動に応じて最適化される一連のワークフローを作れば、ほとんどのユーザーに対して最適なマーケティングキャンペーンを自動で展開できます。
また、スコアリング等の機能はPDCAを行い、常に最適化を行う必要があります。この点からも、顧客が多いほど、早く最適化を行いやすくなります。

そのため、顧客単価が低く、顧客数が多いサービスでも、MAツールの機能を発揮・最適化し、インバウンドマーケティングの成果を高めていくことができるでしょう。

インバウンドマーケティングが失敗する理由

ここまで、インバウンドマーケティングに対する誤解を紹介しました。どれも、弊社がインバウンドマーケティングの導入をクライアント様に進めるにあたって耳にするものばかりです。
企業の規模や体質により、どうしても導入がうまくいかない例もなくはありませんが、ほとんどの企業にとって、インバウンドマーケティングは有効と思います。

しかし、インバウンドマーケティングを導入した企業が100%収益を向上しているわけではありません。

ここからは、インバウンドマーケティングを導入し、適切なMAツールを活用しているにもかかわらず、失敗してしまう理由を見てみましょう。

失敗する理由① 初期設定や計画設計が適切でない

失敗している企業のほとんどは、初期設定や計画設計に無理があり失敗しています。

初期設定が適切でないケース

HubSpotに限らず、マーケティングプラットフォームの導入では初期設定と運営段階でのPDCAが非常に重要になります。

例えば、リードをどのようにステージ分けするか。HubSpotでは、「パイプライン」という一連の流れごととに、顧客をステージ分けすることができます。
「引き合い中」というパイプラインを作れば、最初に「引き合い獲得」というステージがあり、その次に「アポイント確定」「アポイント済み」「提案中」「稟議中」のようなステージが考えられます。
「顧客」というパイプラインを作れば、「継続中」「追加提案中」「契約終了1ヵ月前」「継続決定」のようなステージが考えられます。
ワークフロー機能を使うと、メールのやり取りやWeb上の行動によって、このステージを自動で動かすことができます。そして、各ステージに対して適切な施策を行うことで、「契約終了1ヵ月前」の顧客を「継続決定」へのつなげることができます。
ただし、そもそものステージ分けが明確でなく、実は「稟議中」の見込み顧客に「アポイント済み」に対する施策を行ってしまえば、失注のリスクにも繋がります。

また、MAツールの設定でむつかしいものに第6回で紹介した「スコアリング」があります。
例えば、「問い合わせ送信」に20点、「PDFダウンロード」に10点としましょう。それは本当に顧客のニーズを表した点数でしょうか。「従業員数100人以上」に5点、「資本金1億円以上」に5点、「フリーメールでの問い合わせは-5点」というスコアリングはどうでしょうか。
また、「リピート訪問」に2点をつけていたとして、1ヵ月に10回訪問して20点のスコアを持っている見込み顧客と、一度訪問して「問い合わせ送信」で20点のスコアを持っている見込み顧客は同じアプローチでいいのでしょうか。

理想的なスコアリングとは、「点数が高い=注力してマーケティングに取り組むべき顧客」です。
単純に「○○をしたら××点」というスコアリングはおそらく不十分です。実際にはステージ分けやワークフローなどを細かく活用し、「点数が高い=注力してマーケティングに取り組むべき顧客」と判断できるスコアリングを設計しなければいけません。

このように、ある程度の知識、スキルがないと、マーケティングプラットフォームの導入と運用は難しいでしょう。多くのマーケティングプラットフォームには正規代理店、パートナー認定などがあり、弊社もHubSpotのパートナー認定を受けています。導入の際、特に初期設定は専門家の力を借りたほうがいいでしょう。

計画設計が適切でないケース

誤解②で紹介したように、インバウンドマーケティングが成果を出すには少なくとも半年の期間が必要です。導入後3か月で成果を出す計画を立てても、おそらくうまくいかないでしょう。
インバウンドマーケティングで成果を出すために、1年間は投資コストのほうが大きくなると覚悟して臨むべきです。しかし、決裁者にインバウンドマーケティングの可能性について納得してもらい、1年間の予算をまとめてもらうことは簡単ではないでしょう。そのために、この連載記事や、弊社で行っている「HubSpot」の無料セミナーを活用していただければと思います。

失敗する理由② 認識や成果の共有が不十分である

すでに説明したように、マーケティングプラットフォームとは、CRM、CMS、SFA、MA等様々な機能が一つなったものです。そして、インバウンドマーケティングとは、広告・マーケティング部署だけで完結するものではなく、商品を管理する部署、営業部署、店舗があるなら店舗スタッフまで、会社一丸となって取り組むべき施策です。

例えば、マーケティング部署が生み出したリードを営業に引き継ぐとき、営業がスコアリングを理解して、「なぜこの顧客が重要なのか」「この顧客は何に興味を持っているのか」を把握して営業活動を行う必要があります。
Web上のプロモーションから実店舗の集客につなげる場合、Web上で訴求したキャンペーン内容を店舗スタッフも理解しておく必要があります。

また、オウンドメディアの内容を関係者が認識していない場合も問題になります。顧客はオウンドメディアを見て問合せを行ったわけですから、営業担当者にオウンドメディアの内容を聞いても当然応えられると思っています。

他にも、商談結果や見込み売り上げなどは、Web上の行動でスコアリングできないけれど戦略上重要な指標は、営業担当や店舗スタッフが入力する必要があります。そのためには、ツールの機能やインバウンドマーケティングについて理解しておくことが欠かせません。

このように、インバウンドマーケティングの実施には、企業のステークホルダー全員で認識を共通させる必要があります
これができていないと「マーケティング部署が何をやっているのかよくわからない」「スコアリングが高いから優先的にアポを取れといわれたけど意味が分からない」「勝手にキャンペーンをしていたみたいだけど聞いてない」といったことが起こってしまいます。

失敗する理由③ 適切なサポートが受けられていない

これまでの6回で、インバウンドマーケティングの考え方や戦略、MAツールの機能や活用方法を紹介してきました。今回も、様々な誤解や失敗する理由をお伝えした。
ここまでで言えることは、インバウンドマーケティングは簡単ではないということです。

導入すれば必ずうまくいくものでもありませんし、そもそも簡単に導入できるものでもありません。

弊社でも、HubSpotの導入には、単なる戦略の設計やツールの使い方のサポート、スコアリングやワークフローの初期設定だけでなく、クライアント様の各部署の連携や情報の共有方法から、長期的な運用まで、多方面からサポートしています。

また、弊社自体も、自社にインバウンドマーケティングを導入するにあたり、HubSpotから様々なサポートを受けてきました。HubSpotの代理店になってから約2年、ようやくクライアント様に導入サポートをできるところまで、社内の認識・スキルが高まってきました。

インバウンドマーケティングを実践する際は、専門家、代理店のサポートを得ることを強くお勧めします。
無料でも利用できることから、自社でとりあえず導入してみたという話も聞きますが、実際に収益につながるまで活用できた例はほとんど聞きません。

逆に、自社ですでに成功実績を持った代理店からサポートが得られれば、半年から1年後には、インバウンドマーケティングの効果を実感できるでしょう。

【第7回】インバウンドマーケティングによくある誤解と失敗する理由

今回は、HubSoptのMAツールを活用したインバウンドマーケティング第7回ということで、インバウンドマーケティングによくある誤解と失敗する理由をご紹介しました。

インバウンドマーケティングは、アメリカでは数年前から浸透しており、当たり前の考え方になっています。しかし、日本ではまだまだ導入企業も少なく、新しい手法と考えられています。
そのため、「MAツールを導入すれば売り上げが伸びる!」「うちの企業にインバウンドマーケティングは合わないだろう」といった先入観で、うまくいかない事例も少なくありません。

今回は、これまでの総まとめとして、様々なキーワードを盛り込みました。もしもわからない言葉があれば、過去の記事を読んでみてください。

次回は、これまで何度も出てきている「ワークフロー」という、MAツールの真骨頂ともいうべき機能に焦点を当ててご紹介します。
弊社でも、スコアリングや顧客のステージ管理などは「あったら便利」「効率化できる」といったイメージで活用していましたが、ワークフローと掛け合わせた瞬間、圧倒的に便利で、様々なタスクを効率化し、これまで実現できなかった理想的な「One to Oneマーケティング」を実現できました。

HubSpotを活用したインバウンドマーケティングのシリーズ記事は下記のリンクからご覧いただけます。ぜひ、参考にしてください。

HubSpotを活用したインバウンドマーケティング【全9回】