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ホンモノのCXを考える~CRM(顧客関係管理)の基礎知識~

ホンモノのCXを考える~CRM(顧客関係管理)とは~

CX(顧客体験)を高めるCRM(顧客関係管理)というテーマでお送りしている当シリーズ。第1回は「顧客体験とは何か」というテーマに始まり、顧客体験の効果や5つの要素、顧客体験が求められる理由を紹介しました。
特に「モノからコトへ」「所有から利用へ」という消費者の変化は、企業の戦略を変更するのに十分すぎる理由に感じてもらえたと思います。

そして、顧客体験を高めるために欠かせない戦略が「CRM(顧客関係管理)」です。

今回からCRM(顧客関係管理)について、具体的にどういう戦略なのか、何をすべきなのかを見ていきたいと思います。

CRMの現状~必要性を理解すれば導入する~

CRMの現状~必要性を理解すれば導入する~
まずはCRMの現状を見ていきたいと思います。「CRM」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、実際に経営層や企業はどのように考えているのでしょうか?

CRMは1990年代後半に登場しました。経済の成熟によってニーズが多様化し始め、それ以前の大量生産・大量販売を前提とした「マスマーケティング」が通用しにくくなったタイミングです。
そのころ、「リレーションシップマーケティング」というCRM、CXに通ずる概念も注目され始めました。当初、CRMは「全体最適化」を目的とした経営戦略として語られ、ツールや機能を指す言葉ではありませんでした。その後、SFA、MAといったツールによって部分最適化が進みます。

その後しばらくは、「経営戦略としてのCRM」が中心でしたが、2006年ごろテクノロジーの進歩によりビッグデータの活用が進み、プラットフォームとしてのCRMが注目を集めます。あらゆる施策のハブになるプラットフォームとしてCRMが使われるようになりました。
プラットフォームとしてのCRMについて、この記事の後半でお話しします。

そしてMAやSFA、BIの進歩、AIの実用化などにより、CRMによってCXを構築できるようになりました。具体的には、広告、SFA、MAで集めた顧客、見込み顧客のデータをCRMで管理し、それぞれに最適なコミュニケーションを実現する「One to Oneマーケティング」の登場です。

過去、CRMは導入企業の85%が効果を実感できていないといわれていました。しかし、MAやSFAのデータまでも取り込んで「One to Oneマーケティング」の実現に近づいたことで、CRMの認識が大きく変わっています。
CRMを通じて顧客のあらゆる情報を1か所に蓄積し、それをもとに一人ひとりに最適なコミュニケーションを実現し、エンゲージメント(体験)を生み出せるようになりました。

一方、セールスフォースが行った調査によると、まだまだ日本企業にこうした認識は広がっていないようです。

顧客情報管理の認識

セールスフォース 小規模企業の81%が顧客情報の管理に課題があり、取り組んでいるものの不十分だと感じている企業が45%に上る

顧客情報管理の方法

セールスフォース 小規模企業が顧客情報を管理するうえで利用しているツールで最も多いものはExcelなどの表計算ソフトだった。次いで紙の台帳、電話/FAXとなっており、十分に管理・活用ができない状態にある。

上記の結果からわかるように、顧客情報の管理に取り組めている企業は19%しかおらず、81%もの企業が取り組んでいない、不十分であると答えています。さらに顧客情報の管理については「情報の入力に手間がかかる」「情報の分析がしづらい」といった意見もありました。
その理由は明白、多くの企業が顧客情報を表計算ソフトや紙の台帳で管理しているからです。これでは入力漏れもありますし、そもそも企業側が認識できた情報しか蓄積されません。何かの施策に活かすのも一苦労です。

CRMの認知

セールスフォース 小規模企業の経営層で、「CRM」を知っている割合はわずか5%にとどまり、69%が全く知らないという結果だった。

CRMの導入率

セールスフォース 小規模企業でCRMを導入している企業はわずか3%という結果になり、76%は導入予定もない

また、CRMについても認知・活用が全く広がっていないことが分かりました。CRMという言葉を詳しく知っている経営層はわずか5%、すでに導入している企業は3%しかありません。

しかしこの結果をポジティブにとらえることもできます。
CRMについて知っている経営層は「詳しく知っている(5%)」「聞いたことはあるが詳しくはしらない(26%)」の合計31%、一方、CRMを「すでに導入している(3%)」「導入予定がある(21%)」で24%。つまり、CRMについて知ってさえいれば、8割近い企業が導入を前向きに検討しているということです。

このことはガートナー社が発表した「日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2019年」からもわかります。

CRMのハイプ・サイクル|ガートナー社

ガートナー社 CRMが普及するのは今後2~5年ほどと予測

ガートナー社のハイプ・サイクルはテクノロジーやサービスの認知度や成熟度、活用状況などから、そのツールや概念が普及する前の期間や期待値を視覚化したものです。
上記は日本のCRMを対象にしたもので、CRMを中心に様々なキーワードがあります。これを見ると、CRMはすでに「啓蒙活動期」にはいり、徐々に浸透していくことが期待できます。

このシリーズ記事を思いついたきっかけも、セールスフォースやガートナー社の調査でした。CRMの重要性は十分広がっており、後は優れたツール・プラットフォームが登場すれば、適切な戦略を立てるだけと考えていました。しかし実際には、ツールやプラットフォームは十分活用できるレベルのものが登場しており、単に認知が足りていないことが分かりました。

このシリーズを経営層に見てもらいCRMについて理解を深めてもらえたら非常にうれしく思います。

CRM(顧客関係管理)の考え方

ではここからCRMの役割や考え方を見ていきましょう。CRMとは何かについていろいろな言葉で語られていますが、ここではガートナー社の「顧客セグメントを中心に顧客満足度が向上する行動を推進し、顧客中心型のプロセスを実装することで形成される収益性、売り上げ、顧客満足度を最適化する成果をもたらすビジネス戦略」という定義を採用したいと思います。

顧客情報はマーケティングの資産

CRMの重要な役割に顧客情報の管理があります。ソフトバンクの孫正義氏は「データこそ21世紀の石油」といっていますが、まさにその通り、顧客情報は企業の資産です。
石油という表現は、別にデータ売買で儲かるという意味ではありません。20世紀は石油によって様々なインフラが発達し、経済を大幅に発達させました。21世紀はデータがインフラ構築から経済発展までを支えるということです。

購入履歴や商品やサービスに対する意見などの情報を蓄積していけば、現在の商品やサポート体制で顧客ニーズに応えられているのか、品質はどうなのかがすぐにわかります。
さらに、長期的に行動データを蓄積していくと、新規購入やリピートのタイミングが見えてきます。
分析を進めていけば、商品開発やサービス改善、マーケティング施策の重要な知見が得られるでしょう。さらに深く分析すれば、新たなニーズ発掘、休眠顧客のピックアップも可能になります。

顧客のデータを蓄積して分析する。これだけでもビジネスに与える影響は非常に大きいといえます。

顧客とのコミュニケーション

顧客とのコミュニケーション
「サザエさんに出てくる三河屋さんはマーケティングの成功例」という話を聞いたことがあるマーケターは多いと思います。
ビジネスの本質は顧客とのコミュニケーションです。サザエさんに出てくる三河屋さんは勝手口から声をかけ、世間話をしながら欲しいものを聞き出しています。勝手口というプライベート空間から入り、世間話というコミュニケーションを通じて顧客のニーズを知り、要望を満たすために販売する。非常に優れたビジネスモデルです。信頼関係ができているのでちょっと安い酒屋が近所にオープンした程度では顧客離れも起こりません。

CRMが目指す顧客関係管理も、この三河屋さんのように顧客と自然にコミュニケーションをとり、ニーズを知ることです。

ヤマト運輸はLINEで再配達依頼が完了する仕組みを作りました。クロネコメンバーズの情報と紐づいているので、住所入力など余計な手間もありません。ドライバーに電話したり、専用フォームから問い合わせ番号などいろいろ打ち込んだりする必要があった状態と比較すると、大幅なコミュニケーションの改善です。
BtoCの印刷業界でも似たようなコミュニケーションの改善がみられます。印刷ではサイズや重さ、色数、納期などで価格が細かく変わります。チャット形式のコミュニケーションによってユーザーはすぐに価格を知ることができるようになりました。

メールマガジンも大きく進歩しました。AmazonやZOZOTOWNから届くメールマガジンは過去の購買履歴や閲覧履歴などから、個人それぞれに最適な商品をおすすめしてくれます。同じセール情報が一斉に送られていた時代と比べると、コミュニケーションの質は圧倒的です。

顧客のエンゲージメントがビジネスを支えている

なぜビジネスが成り立つのかを考えてみてください。商品・サービスが優れているからでしょうか、競合が弱いからでしょうか、営業が優秀だからでしょうか。突き詰めていくと、顧客のエンゲージメントがビジネスを支えていることが分かると思います。

かつて経営資源といえば「ヒト」「モノ」「カネ」でした。現在ではこれに「情報」が加わり、さらに「エンゲージメント」もセットで語られています。
顧客情報を蓄積することも、顧客とのコミュニケーションを最適化することも、すべてはエンゲージメントを得るためです。

コンピューターメーカーのDELLはエンゲージメントの重要性にいち早く気づいた企業です。従来、決められたスペックで大量生産されたPCが販売されることが一般的でした。しかしDELLは顧客自らが欲しいと思うPCのスペックを選択し、顧客がカスタマイズした製品を届けました。
今ではBTO(Build to Order)と呼ばれ、多くの企業が採用している生産方法です。まさに顧客視点に立って、エンゲージメントを重視した戦略といえるでしょう。

最近の例ではPayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」やPayPayモールの「100億円相当あげちゃうキャンペーン」が挙げられます。バラマキ戦術と揶揄されることもありますが、顧客のエンゲージメントを高めることが長期的な利益につながると理解していないとできません。

CRMを取り入れる目的

CRMの役割や考え方を紹介しました。では次にCRMを取り入れることでどんな効果が期待できるのか、どんな目的で活用するのかを見ていきたいと思います。

新規顧客獲得ではなく既存顧客の最良化

新規顧客獲得ではなく既存顧客の最良化
CRMの目的で重要なポイントは、新規顧客獲得ではなく、既存顧客の最良化を目指すところにあります。
「1:5の法則」や「パレートの法則(2:8の法則)」「5:25の法則」など様々な法則がありますが、施策対象の顧客をどのようにとらえるべきかが分かる法則です。

  • 1:5の法則…新規顧客を獲得するには、既存顧客を維持する5倍のコストがかかるという法則です。新規顧客の獲得だけに注力すると広告費や営業活動費がかかり続けますが、既存顧客の維持に目を向けるとこうした費用を最低限に抑えることができます。
  • パレートの法則(2:8の法則) …原因と結果にはばらつきが生じるという意味でよく使われるパレートの法則ですが、マーケティングでも同様の経験則が得られています。つまり、売り上げの8割は2割の優良顧客から生まれているということです。
  • 5:25の法則…顧客離れを5%改善すれば利益率が25%改善するという法則です。新規顧客獲得のコストと既存顧客維持のコストに差があるため、新規顧客施策よりも顧客離れを防ぐ施策のほうが利益に与えるインパクトは大きいのです。

こうした法則からわかるように、ビジネスを続けるうえで注目すべきは既存顧客、優良顧客です。彼らへのコミュニケーションを最適化することが、一番大きな利益を生みます。

広告やマーケティングというと新規顧客を獲得する攻めの施策と考えられがちです。
ガートナー社の定義にのっとると、CRMは「顧客セグメントを中心に顧客満足度が向上する行動を推進し、顧客中心型のプロセスを実装することで形成される収益性、売り上げ、顧客満足度を最適化する成果をもたらすビジネス戦略」です。
CRMは新規顧客獲得にも有効ですが、既存顧客へのアプローチに特に強みがあります。既存顧客とコミュニケーションをとり、優良顧客へ育成する。その過程で得られた様々な知見をもとに新規顧客獲得の施策を立てる。これがCRMの目的です。

顧客データに基づいたマーケティング戦略の立案

CRMを導入することで、見込み顧客から優良顧客、休眠顧客、クレーマーまで様々な顧客データが一つのプラットフォームに集約されます。このデータを元に営業戦略、マーケティング戦略を立てたり、カスタマーサポートの体制を整えたり、様々な施策を検討することができます。

一つ前の項目で既存顧客へのアプローチを紹介したので、ここでは新規顧客へのアプローチを考えてみましょう。

CRMを新規顧客獲得に活かす方法は様々です。例えば、既存顧客の中から属性を抽出することができます。売り上げや利益とデモグラフィック情報を掛け合わせて、「最も売り上げにつながっているのは30代後半の大阪に住む女性」という結論が導かれるかもしれません。この情報をもとに広告配信すれば、より利益につながる新規顧客を獲得できます。
また、最近のWeb広告には拡張配信という機能が付いたものがあります。この機能を使って優良顧客と近い属性情報を持つ広告配信を実施すれば、新規顧客獲得のコストを下げ、利益を最大化できる可能性があります。

もう一つは特にBtoB企業に言えることですが、営業ノウハウの蓄積があります。CRMには営業の電話、打ち合わせ結果なども蓄積していきます。それらを分析すれば契約に繋がる電話やメールのタイミングと内容、効果的な営業資料などがわかり、属人的だった営業活動がノウハウ化されます。

CRMツールで大切なことは機能ではない

CRMツールでできる事
CRMは経営戦略、マーケティング戦略ですが、多くの場合はCRMツールを導入する形で実施されます。古くはExcelなどの表計算ソフトで顧客を管理することから始まりましたが、現在では様々なCRMツールがリリースされています。
ここまでや考え方や概念など抽象的な話が多かったかもしれませんが、ここからはCRMツールの機能を紹介したいと思います。

CRMに必要な機能は非常に多岐にわたりますが、ここでは「顧客を獲得する機能」「顧客情報を蓄積・管理・分析する機能」「顧客にアプローチする機能」の3つに分けて考えてみたいと思います。

顧客を獲得する機能

CRMは「顧客との関係を管理する」ことです。つまり、CRMは顧客が商品・サービスを認知した瞬間、Webサイトを訪問した瞬間から始まります。
主にWebサイトで機能するものですが、下記のような機能があります。

  • フォーム作成機能
  • アンケート作成機能
  • チャット
  • ポップアップフォーム作成機能
  • 広告施策
  • CMS

CRMで大切なことは顧客との接触機会をいかに良いものにするかです。
最近はチャットボットを組み込んだWebサイトが多くあります。全員に同じチャットを表示してるならいいCRMとは言えませんが、初回訪問者をうまくサポートするチャットボットを初回訪問者に表示すれば、いいCRM、いい顧客体験に繋がります。

顧客情報を蓄積・管理・分析する機能

CRMで一番重要な機能は顧客情報を蓄積し、管理し、分析する機能です。チャットやフォームで獲得した顧客情報を蓄積し、営業やマーケティングチームにうまく引き継ぐ必要があります。そして成約に至るまでの経緯を蓄積し、カスタマーサポートに引き継げば、購入後もその顧客に最適な体験を提供できます。

  • 顧客管理機能
  • 営業支援機能
  • マーケティング支援機能
  • レポーティング機能
  • 分析機能

顧客管理機能には、Webサイトでの行動履歴やフォーム送信などのアクションを自動的に記録したり、営業のやり取りをコールトラッキングで記録したり、議事録や見積書、提案資料などを記録したり、様々な情報を蓄積することができます。
営業・マーケティング支援機能には特定のタイミングでタスク通知を出すなど、チームの効率化、アプローチの最適化が期待できる機能があります。

顧客にアプローチする機能

CRMの強みである「既存顧客の最良化」を実現する機能です。メール配信やLINE配信など、一つ一つの機能を見ればどこにでもあります。しかし、CRMには膨大な顧客情報が蓄積されています。それらをメール配信を始め、様々なコミュニケーションに利用することができます。

  • メール配信機能
  • LINE配信機能
  • SNS連携機能
  • Web接客
  • プッシュ通知
  • カスタマーサポート
  • 広告施策

メールの件名に「○○様」と名前を入れるなどは序の口で、以前見たページによってお勧めするコンテンツを動的に変えたり、営業が判断した重要度、確度に応じて内容を変えたりすることもできます。
こうした細かなコミュニケーション最適化が、よりよい顧客体験、エンゲージメントに繋がります。

MA、SFAとCRMの違い|HubSpotが優れている理由

MA、SFAとCRMの違い|HubSpotが優れている理由

世界シェアNo1のMAツール「HubSpot」には、MAだけでなくSFA、CRMの機能も含まれている

ここまで読んでいただいて、「MAやSFAと何が違うんだろう?」と感じたかもしれません。
確かに、前述の「顧客を獲得する機能」「顧客にアプローチする機能」はMAの領域で、「顧客情報を蓄積・管理・分析する機能」はSFAにあるように思えます。
機能を切り取ると確かに大きな差はありませんが、それぞれ目標が違います。

  • MA(マーケティングオートメーション)の目標…マーケティングの各プロセスのアクションを自動化・仕組み化し、マーケティング業務の効率化の実現、マーケティング活動の最適化を目指す。
  • SFA(セールスフォースオートメーション)の目標…営業活動を記録することで行動を可視化し、営業活動の効率化、売り上げ向上、組織的なノウハウ化を目指す。
  • CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の目標…顧客との関係構築を管理し、よりよいコミュニケーションを図り、顧客体験の最適化を目指す。

このように、どれも目指す目標が違います。しかし、やることは大きく変わりません。マーケティング活動を自動化するためにはリード獲得の方法としてフォームやチャットが必要ですし、顧客情報を管理することも欠かせません。営業活動の効率化にも顧客情報の管理やメール配信機能などが必要です。
結果として、CRMツールはSFAやMAと同じような機能を持っています。

そのせいか、最近では「CRMツール」「SFAツール」「MAツール」というよりも、統合されたプラットフォームと考えられることが多くあります。

弊社ではHubSpotというMAツールの導入を推奨していて、HubSpotを活用したインバウンドマーケティングのシリーズ記事の他にも、多くの記事があります。
弊社がHubSpotを推奨する一番の理由は、HubSpotがMA、SFA、CRMのすべてを兼ね備えたプラットフォームだからです。
SFAではセールスフォース、MAではSATORIやMarketoなど特化した素晴らしいツールが多くあります。しかし、これらのツール一つだけでは顧客体験を最適化することはできません。
HubSpotが唯一、単体のプラットフォームですべて兼ね備えています。

マーケティングルール比較表

マーケティングルール比較表|HubSpotだけが単体のプラットフォームでMA、CRM、CMS、さらにSFAまでも網羅している。

CRMツールの主な機能は顧客情報の蓄積・管理です。その情報を存分に活用するにはMAツールの活用が欠かせません。
逆にMAツールは見込み顧客の創出に特化した機能を持っています。見込み顧客を創出しても、スムーズに営業プロセスに繋げることができなければ、無駄になってしまいます。つまり、MAとSFAを統合する仕組みが必要なのですが、そこを担うのがCRMです。

HubSpotではMA機能で創出した見込み顧客を管理し、CRMを通じてエンゲージメントを高め、そのまま営業に引き渡すことができます。MAもSFAもビジネスの一部を切り取っているため、全体を統括するプラットフォームが必要で、できれば1つのプラットフォームにまとまっていることが理想です。
今のところ、唯一それを叶えているのがHubSpotです。

CRMの取り組みに必要なこと

では、シリーズ第2回「CRM(顧客関係管理)とは」の最後に、CRMに取り組むうえで必要なことを2つ紹介します。

CRMを導入することではなく、顧客体験を目的とする

繰り返しになりますが、CRMの目的はよりよい顧客体験の提供です。より良い顧客体験がビジネスに与える効果については、第1回でも紹介しました。
CRMを導入する際「これで顧客管理ができる」と考えていると、十分に使いこなせません。それだとExcelの延長線上でしかないからです。CRMはツールや機能ではなく、顧客体験を提供するための戦略だと考えましょう。

CRMツールを導入したからといってすぐに売り上げが上がるわけではありません。すべてはCRMツールに蓄積された顧客情報をどう使うか、どう分析して、どんな答えを得るか、顧客に何を届けるかです。

現場の声から必要な機能を考える

MAもSFAもCRMも、こうした仕組みを作るツールの多くはトップダウンで導入することが多いと思います。現場からすれば一時的に手間が増え、忙しくなるので積極的に提案することはあまりないかもしれません。長期的には作業の効率化、売り上げの向上などのメリットがあることを伝えたうえで、トップが先導して導入を進めることになると思います。

この時、現場の声を汲み上げておかないと必ず躓きます。どんなツールも、活用するのは現場だからです。
現場のITリテラシーが低いのにツールを導入して活用するように言っても、「入力作業が面倒」「難しくてよくわからない」といわれては活用が進みません。
CRMは顧客情報をもとに様々な施策を展開していきますが、そもそもの顧客情報が正確に入力されていなければ当然効果は出ません。
営業がクロージングの電話をかけても、記録しなければノウハウとして溜まりません。失注したとき、失注理由を記録しなければ改善できません。

CRMは現場が率先して使うものなので、現場の声とのすり合わせは非常に重要です。

第2回CRM(顧客関係管理)とは|まとめ

今回は「ホンモノのCXを考える」第2回として、CRMをテーマに紹介しました。

筆者自身、この時期を書くためにいろいろと調べましたが、日本の中小企業のCRM導入率が3%という事実には非常に驚きました。
顧客との関係を考えず、どうやってビジネスを続けていくのか。顧客関係の重要性はそのレベルまで来ています。

最近、自分が購入したものやサービスを思い出してください。価格や機能が優れていたから購入したというわけではないと思います。もちろん、価格や機能も顧客関係の重要な要素です。
しかし、やはり購入に至るまでには何らかのコミュニケーション、つまり関係構築の動きがあったのではないでしょうか。

関係構築は企業と消費者の間で行うものとも限りません。最近はSNSを通じて消費者同士の関係構築も盛んです。
私も先日購入した楽器があるのですが、購入前からそのコミュニティに参加していました。いくつかの比較対象があったはずですが、コミュニティに入ってしばらくするとその商品以外全く検討していなかったことは、興味深い実体験です。差は比較対象の商品がコミュニティを用意していなかった、つまり関係構築ができていなかったからです。

それでは、次回はCRMの導入事例をいくつか紹介し、成功する理由、失敗する理由を探っていきたいと思います。

<第3回~CRM事例-成功する理由・失敗する理由~>