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一般にBtoB企業はWeb広告の活用が難しいと考えられています。その大きな理由としては、「ターゲットが狭いこと」と、「リードタイムが長いこと」が挙げられます。
例えば、化粧品のユーザー数と化粧品の販売店の数では、圧倒的に販売店の方が少ないので、ターゲットが非常に狭いです。また、BtoBの購買行動においては、稟議などの複雑なステップが絡むため、BtoCと比較して、「認知」から「購買」までの時間が必然的に長くなるでしょう。
しかし、こうしたポイントを踏まえた上で適切に戦略を練り、効果的な手法を選択した上で運用していけば、BtoB企業でもWeb広告で十分に成果をあげられます。
そこで今回は、BtoB企業がWeb広告で成功するためのポイントと、成功事例を紹介していきます。従来型のアナログな営業活動が難しくなる昨今、Web広告の活用は避けては通れません。ぜひ、本記事を参考に新たな一歩を踏み出してください。
BtoB企業がWeb広告で成功するための重要ポイント
まずは、BtoB企業がWeb広告で成功するための基本的なポイントを見ていきましょう。前述の通り、BtoBのビジネスモデルではターゲットが狭く、リードタイムも長く、BtoCのように衝動的な購買行動なども期待しにくいです。そのため、「とりあえずWeb広告を出してみる」というスタンスではなかなかうまくいきません。
Web広告に取り組む前に、これから紹介する3つのポイントについて、熟考して戦略を練るようにしてください。
広告接触から顧客化までのフロー構築
BtoBのマーケティングでは、広告接触から顧客化するまでに数ヶ月、数年と長い時間がかかることがあります。そのため、広告を出稿する前に、広告接触から顧客化までのフローをしっかりと考えておく必要があります。これができていないと「大量のリードを獲得したけれど、営業との連携ができていなくて、ほとんど取りこぼしてしまった」という事態になりかねません。
マーケティング計画を立てる時には、まず各段階の遷移率の把握と見込み売上やLTV(顧客の生涯価値)を考えましょう。
例えば、資料ダウンロードなどでリード獲得してから商談に至る割合が10%、商談から受注に至る割合が50%だったとします。そして、受注1件あたりの利益が10万円だとします。
その場合、100件のリードを獲得したら、10件が商談に至り、5件が受注に至るので、見込み利益は50万円になります。リード100件で50万円の利益ということは、リード1件あたり5000円以下で獲得できるなら、広告施策によって利益が上がるという計算になります。
初めて広告施策を行う場合、各段階の遷移率がどの程度になるか見えないかもしれませんが、他経路からの遷移率を参考するなどして、仮の数字を立てるようにしましょう。BtoBでは顧客化までの時間が長くかかるため、このような試算がないと広告施策がうまくいっているのかどうか、適切に評価できなくなってしまいます。
また、各段階の遷移率などを管理・最適化するためのMAツール、CRMツールの活用も欠かせません。こうしたツールを導入しておけば、遷移率を計測したり、データをもとに改善していけます。もし、CRMツールなどを導入していない場合は、広告施策に取り組む前に導入を検討してください。
広告接触から顧客化までのフローが構築できれば、広告が果たす目的も明確になります。「リード獲得」のようにざっくりしたものではなく、「〇〇件の資料ダウンロード請求を獲得する」「〇〇件の無料見積もり依頼を獲得する」のように明確な目標を立てましょう。
ターゲットの明確化
Web広告の大きな魅力はユーザーの行動に基づいてターゲティングできる点です。もちろんBtoB企業の広告施策においてもその魅力は変わりませんが、注意すべきことがあります。
BtoBのマーケティングにおいて、的確なターゲティングを行うのは困難です。例えば、化粧品が商材だとすると、「販売店のスタッフやオーナー」という非常に限定的なターゲティングをする必要があるからです。
また、ターゲット層は複数のデバイスを使い分けています。仕事中とプライベートな時間では、使っているデバイスやWeb上での行動に違いがあるはずです。仕事中のターゲット層に広告を届けるのか、プライベートな時間のターゲット層に広告を届けるのかで、ターゲティングは大きく変わります。後者であればより綿密にペルソナを作りこむ必要があるでしょう。
適切な広告手法の選定
これらのポイントを抑えた上で、適切な広告手法を選ぶ必要があります。例えばFacebook広告であれば、役職や勤務先に基づいたターゲティングが可能なので、BtoBに向いているといえます。また、カスタムターゲティングの自由度が大きなGoogle広告も、狭いターゲットに的確にアプローチしやすい広告手法です。
LINE広告やTwitter広告などは一見するとBtoBに向いていないように感じるかもしれません。ですが、これらの広告でもカスタムリストの類似オーディエンスを作成するなどして、広告成果の最大化を目指せます。例えば、特定のURLにアクセスした人のリストやメールアドレスなどをアップロードしてカスタムリストを作成することができます。既にいる見込み顧客や他広告媒体で獲得した見込み顧客をリスト化して、その類似オーディエンスに配信するなどすれば、効果的に活用できるでしょう。
もちろんこうしたSNSや大手広告プラットフォーム以外の広告手法も効果的な選択肢になります。例えば、日経電子版にはさまざまな広告メニューがあり、BtoBに適したターゲティングが用意されています。
こちらは日経電子版のターゲティング項目一覧ですが、地域や年齢はもちろん、役職や勤め先の規模、業種や職種、世帯年収によってターゲティングできます。これらは日経IDの登録データや日経電子版の閲覧データなどがベースとなっているため、高い精度が期待できます。
このように、各広告媒体の手法や特徴を理解し、広告施策の目的とターゲット層から逆算して適切な手法を選ぶことが、BtoBの広告施策を成功させる鍵になります。
BtoB企業のWeb広告成功事例3選
役職ターゲティングで申込数2倍|サイボウス株式会社
クラウドツール「Kintone」を提供するサイボウズ株式会社は、ツールの無料トライアル獲得を目的とした広告施策をFacebookで実施しました。
サイボウズ株式会社が提供する「Kintone」は顧客管理や経費申請、福利厚生のお弁当注文など、社内で使うさまざまなアプリケーションをプログラミング不要で作成できるツールです。社内ツールの導入に関わることなので、無料トライアルの可否を決定するのは管理職レベルだと思われます。
そこで、同社はFacebookの役職ターゲティングを利用し、企業の管理職や役員に絞って広告を配信しました。さらに無料トライアルを申し込んだユーザーの類似オーディエンスに配信したことで、申込数を2倍に増やせたのです。
同社の成功要因は、自社ツールのターゲット層を明確にして、そのターゲットにのみ広告を届けられる手法を選んだ点です。役職でターゲティングできるFacebook広告はまさに同社の目的に叶った広告手法でした。
また、類似ターゲティングを活用した点も成功要因です。コンバージョンに至ったユーザーと似た属性を持つユーザーに広告を配信することで、Facebookに役職を登録していないが、実は役職者であるターゲットにも広告を届けられたと考えられます。
その他のFacebook広告成功事例やターゲティングについて詳細に知りたい方は下記の記事をご覧ください。
データの見える化で顧客理解を促進|株式会社ミタデン
株式会社ミタデンは、業務用エアコンなどの空調設備や電気設備・太陽光発電設備などの設計・施工・アフターメンテナンスを手がける総合設備企業です。同社は20年も前にWebサイトを立ち上げ、集客に取り組んできました。でも、顧客層に情報が届いているのか、機会損失が発生していないのかが不明瞭であるという課題を抱えていました。
そこで、活用したのがYahoo!の検索広告です。「業務用 エアコン」などのキーワードで出稿し、的確に顧客層へ情報を届けることを狙いました。
検索広告でさまざまなキーワードを出稿すれば、顧客層が実際にどんな言葉で検索しているのか、そのボリュームはどの程度かなど、顧客理解にも役立ちます。同社の運用者は、導入の効果について下記のようにコメントしています。
「たくさんの指標でデータが取れるところがすごく利点で、どういったことができるのかを考えながら戦略を立てています。導入した結果、いろいろな指標からお客様の動きとか、絶えず狙ったところでお客様を集客することができるところで安定性が生まれてきました。」
※引用:Yahoo!広告 株式会社ミタデン インタビュー記事
Web広告の強みはなんといってもさまざまなデータが高い精度で計測できることです。特に検索広告では顧客が実際に入力した検索キーワードが分かるので、顧客理解・リサーチに活用することもできます。
検索広告は比較的小さな予算でも成果を期待しやすい広告手法でもあります。顧客層のペルソナや行動が把握できていない場合は、少額の予算で検索広告から始めてみるのも良いでしょう。
自社でのリスティング広告運用をお考えの方は、下記記事をご参照ください。
▶【自社運営だから読みたい】リスティング広告運用の7個のポイント
リマーケティングでCV10倍に|ビジネスエンジニアリング株式会社
ビジネスエンジニアリング株式会社は、製造業などに企業情報システムの企画やコンサルティングを行っています。
同社はコーポレートサイトや製品サイトからの顧客獲得件数が減少し始めたため、検索広告を出稿することにしました。しかし、同社の担当者は、「広告を出稿すると一時的にWebサイトへのアクセスが急増するものの、ほとんど離脱されてしまい、期待した成果は生まれなかった」と言います。
そこで、プロの力を借りるため一部を広告代理店に委託することにしました。最初に始めたリマーケティング広告で想像以上の成果が上がりました。そこで、検索広告の運用も委託した結果、これまでの10倍ものCVを獲得できたのです。
ターゲティングが難しく、また購買行動までに時間がかかるBtoBマーケティングでは、リマーケティング広告が重要になる場合もあります。また、この例では同じ検索広告でも、社内運用と広告のプロである広告代理店とで成果に何倍もの差が生じました。
先述した成功ポイントのように、BtoBのWeb広告は事前の戦略・計画立案が重要です。また、各広告媒体の特徴や機能を理解し、適切に活用することも欠かせません。もし社内で運用して思ったような成果が出ていないのであれば、広告代理店などプロの力を借りることも検討してください。
Web広告の外注を検討したいという方は、下記の記事も併せてご覧ください。
▶【Googleリスティング広告】代理店に外注するメリットと注意点
まとめ
今回は、BtoB企業のWeb広告活用について、成功のポイントや事例を紹介しました。ほとんどのBtoB企業にとって、Web広告の活用が欠かせないことは十分認知されていると思います。しかし、BtoC企業のWeb広告運用に比べて難易度が高いことから、思うように実施できていない企業も多いのではないでしょうか。
今回の記事を参考に、ぜひWeb広告の活用を前向きに検討してみてください。過去にうまくいかなかった経験がある企業も多いかもしれませんが、Web広告は毎月のように大きく進歩しています。BtoBに適したWeb広告手法・機能も増えてきているので、ぜひ広告のプロである弊社に問い合わせてみてください。貴社に最適な施策を提案いたします。
Grabでは、下記のようなBtoB企業のマーケティングに参考になる記事を数多く掲載しています。これらもぜひ、併せてご参照ください。