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投稿日:2020年8月21日/更新日:2022年2月1日
広がり続けているコロナウイルスの影響で、多くの企業が新しいマーケティング施策・集客方法を確立するため奮闘していたでしょう。
弊社でも、今まで会場で行っていたセミナーをZoomを使ったウェビナーに切り替えるなど、いろいろな施策に取り組んでいます。
最近では、オミクロン株の感染が拡大し、多くの都道府県で様々な対策がなされています。そんな状況の中で注目されているマーケティング施策の一つにYouTube動画広告があります。実際フルスピードが行った「取り組んでいる顧客獲得施策・今後取り組みたい顧客獲得施策」の調査で、動画広告は「今後取り組みたい」という意向が強いことが分かっています。
つまり、動画広告は取り組みたいもののまだ取り組めていない企業が多いということです。
まず、YouTube動画広告を始めてみたい、という人のために「【YouTube動画広告の出稿手順】広告掲載の方法を徹底解説」という記事があるので、ご覧ください。
今回はYouTube動画広告を運用し始めて最初にぶつかる壁の一つである、「目標インプレッション単価」の適切な考え方を解説していきます。
Google広告の入札戦略
Googleには自動入札機能があり、目的に応じて入札を自動化してくれます。
目標インプレッション単価もその一つで、他にも「目標コンバージョン単価」や「クリック数の最大化」などいろいろな入札戦略が用意されています。
これについて、詳しくは次の記事で解説しているので、併せてご覧ください。
【Google広告上級編】ポートフォリオ入札戦略とは
Google広告の入札戦略はどれを選べばいい?【スマート自動入札とは】
【Google広告の自動運用改善】自動入札戦略を活用した運用改善の方法
YouTube動画広告では、主に「目標インプレッション単価」「目標コンバージョン単価」「目標視聴単価」を利用すると思います。まずその3つの意味を解説します。
今回テーマにしているYouTube動画広告はスキップ可能なインストリーム広告です。
スキップ不可のインストリーム広告は相場や運用方針が大きく異なるので、ご注意ください。
目標インプレッション単価(CPM)
まず今回の主題である目標インプレッション単価ですが、これは「1,000回動画広告が表示される当たりの広告費」を意味します。
つまり、目標インプレッション単価を1,000円に設定すれば、1インプレッション(広告表示)当たり1円の広告費が発生するということです。
他の入札戦略においても同様ですが、これはあくまで「1,000回動画広告を表示したときの広告費を1,000円にすることを目標とする」設定です。
そのため、確実に1,000円となるわけではありません。
ちなみに、キャンペーンの目標で「ブランド認知度とリーチ」を選択した場合は目標インプレッション単価しか使えません。
目標コンバージョン単価(CPA)
コンバージョン設定をしていれば、目標コンバージョン単価が利用できます。これは「コンバージョン1件当たりの広告費」を意味し、10,000円に設定していれば、10,000円で1件コンバージョンが発生するように、自動で最適化してくれます。
しかしユーザーがコンバージョンするかを事前に予測することは難しいため、目標コンバージョン単価をうまく活用するにはテクニックや経験が求められます。
例えば本来1コンバージョン当たり20,000円のコストがかかるのに、目標コンバージョン単価を10,000円に設定しているとGoogleは可能な限り安く配信しようとします。
その結果、オークションに負けそもそも広告が表示されない・低品質な広告枠にばかり表示される可能性があります。
逆に高く設定していた場合、Googleは入札を強めるため費用対効果が悪化してしまいます。
このように、目標コンバージョン単価を適切に活用するのは簡単ではありません。
目標視聴単価(CPV)
続いて目標視聴単価ですが、これは「ユーザーが広告動画を1回視聴する当たりの広告費」を意味します。
YouTube動画広告は、視聴の定義を「ユーザーが動画広告を 30 秒間(広告が 30 秒未満の場合は最後まで)視聴したか、動画広告にエンゲージメント操作を行ったとき」としています。
入札戦略の考え方
では、それぞれどのように使い分ければいいでしょうか。ここでは「コントロールしやすさ」を中心に考えていきます。
上記3つのうち、一番コントロールしやすいのはどれだと思いますか?
コントロールしやすい、というのは広告主の意向を叶えやすいという意味です。少し考えてみてください。
答えは「目標インプレッション単価」です。
他の2つは広告主の意向やGoogleの設定だけでなく、ユーザーの行動が加味されるからです。
目標視聴単価は広告を表示するだけでなく、ユーザーに一定時間再生されないといけません。
目標コンバージョン単価はさらに進んで、ユーザーに具体的なアクションをとってもらう必要があります。
適切な目標視聴単価や目標コンバージョン単価を設定するには「視聴率はどれくらいだろう」「コンバージョン率はどれくらいだろう」と考えなければなりません。
これらを事前に予測し、運用しながら最適なポイントを見つけるのは大変です。
良い設定を見つけても、ユーザーニーズの変化やターゲティング、クリエイティブによって大きく左右されるからです。
しかし目標インプレッション単価は広告を表示させるだけです。複雑な予測は必要なく、相場を知っておけばそれを設定し、成果に応じて調整することが可能です。
そのため、初めてYouTube動画広告を運用する、まだ始めたてで経験が少ない場合、目標インプレッション単価から設定しておくのがおすすめです。
実際プロの広告運用者でも、いきなり目標コンバージョン単価を設定してうまくいくということはほとんどありません。
目標インプレッション単価のメリット・デメリット
それでは、目標インプレッション単価の設定方法を考えてみましょう。
まず結論から伝えるとYouTube動画広告の目標インプレッション単価に相場というのはほぼありません。
というのも、すでに説明したようにユーザーの行動を加味せず広告主が自由に決めることができるからです。ですが、一般には「400~600円」程度で設定することが多いと思います。
仮に目標インプレッション単価を500円に設定した場合で考えてみましょう。1,000回表示されるごとに500円の広告費が必要になるということなので、視聴率が20%であれば200回再生されます。500円で200回再生されるので、視聴単価は2.5円です。
視聴単価の平均は3~7円ほどといわれているので、視聴で見ても悪くない数字です。目標インプレッション単価は、クリエイティブの品質によっては他の入札戦略より効果的です。
逆に考えてみましょう。
目標視聴単価を3円に設定していた場合、視聴率が20%であれば1,000回のインプレッションで200回の再生が発生し、それぞれに3円かかるため、インプレッション単価は600円になります。
では視聴率が40%の場合も考えてみます。この場合、1,000回のインプレッションで400回の再生が発生するため、インプレッション単価は1,200円になります。
一方、インプレッション単価から視聴単価を計算してみましょう。
目標インプレッション単価を500円にしていた場合、視聴率が20%であれば視聴単価は2.5円です。
視聴率が40%の場合、目標視聴単価を3円で考えた場合と同様の再生回数が発生しますが、インプレッション単価は変わらないので、視聴単価は1.25円になります。
こうして数字で比較すると、目標インプレッション単価にはメリットが複数あると理解できます。
目標インプレッション単価は「インプレッションを最適化する」ため、クリック率が高いほど単価が安くなる、多くのユーザーに再生される、一定の広告費用なのでコスト負担が少ないといったメリットが挙げられます。
デメリットとしては、ユーザーがクリックしなくても広告が再生されると費用がかかりますし、コンバージョンの効果が分かりづらいために費用対効果が見えにくい点が挙げられます。
しかし、動画広告の視聴率やコンバージョン率の推測が難しい状況で、目標インプレッション単価は最適な選択肢と言えます。
目標インプレッション単価での出稿方法
Googleには自動入札機能の中でも目標インプレッション単価について解説してきました。
解説を通して、「目標インプレッション単価の考え方は理解したけれど、出稿できる広告の種類は何があるのだろう」と疑問に思った方もいらっしゃることでしょう。
YouTubeの入札戦略の中でも目標インプレッション単価で出稿できる広告は、スキップ可能なインストリーム広告やバンパー広告、マストヘッド広告になります。
YouTube動画広告の種類についてさらに詳しく知りたい方は次の記事をご参考にしてください。
動画だけじゃない?7種類のYouTube動画広告【種類と特徴】
目標インプレッション単価の調整方法
目標インプレッション単価の大きなデメリットは、先述したように調整する指針が少ないことです。ユーザー行動が加味されない分、ほとんどの場合設定した通りの目標を達成できてしまいます。
そのため、今の設定が最適なのかが分かりづらいのです。
ここでは、目標インプレッション単価を最適に調整するためのポイントを2つ解説します。
インプレッション以外の数値から類推する方法
仮に目標視聴単価を1円に設定していた場合、視聴率が高くないとそもそも配信量が制限されます。
広告を再生してもらうにはそこそこ良い面に掲載する必要がありますが、この単価ではなかなかオークションに勝つことができないからです。
逆に視聴率が低い場合、市場に対して低く設定してしまい質が低い場所にばかり掲載されている可能性があるため、単価を上げてみるのも手です。
視聴単価を20円くらい(相場よりかなり高価)に設定していたらどうなるでしょうか。この場合多くのオークションに勝ち、視聴率が上がります。
目標視聴単価が安すぎれば予算が消化されず、高すぎれば視聴率が異様に高くなります。その指針に従い運用調整していけば、適切な目標視聴単価を知ることができます。
同じことをコンバージョンやクリックなどアクションに対して考えてみましょう。
おすすめは1,2週間ほどのスパンで50円ほど変更しながら徐々に絞っていく方法です。
最初は500円で設定し、視聴率が50%を超えるようであれば50円下げる。まだ視聴率が高い場合はまた50円下げる、視聴率が10%まで減ったので25円上げてみる、という運用を繰り返していくと、平均的な視聴単価やコンバージョン単価といった数字が見えてきます。インプレッションだけでなく視聴にもある程度最適化された設定を見つけられるのです。
広告運用本来の目標を叶えられる入札戦略に切り替える
ディスプレイ広告や検索広告では、まずクリック数の最大化で運用し、その後目標コンバージョン単価に切り替える、という運用方針をとることがあります。
これは、まずクリック数を多く獲得しデータを得て、そのデータをもとに本来の目的に対して最適化していく、という戦略です。
同じように、目標インプレッション単価で運用し、キャンペーンの種類や広告掲載の目標に応じて得られた視聴単価やコンバージョン単価を基準にそれらの入札戦略に切り替え、その上で単価を調整し、最適化していくこともお勧めです。
費用対効果を高めるポイント
ここまでYouTube動画広告の中でも目標インプレッション単価の考え方について解説してきました。
YouTube動画広告を初めて始める場合は、「目標インプレッション単価での広告出稿がおすすめだと理解したけれど再生されるのか、効果があるかどうか」と運用担当者にとって気になる点でしょう。
入札戦略の中でも目標インプレッション単価のメリットやデメリットを把握した上で、広告を出稿する目的に最適なのかを見極められるようにしましょう。
また、重要なのは広告出稿後も定期的に効果測定、検証、設定の見直しを繰り返して改善することです。地道な作業に思えますが、広告が安定して再生されることに繋がります。
費用対効果を高めるために効果測定をするには、Google広告の「広告グループの作成」にあるキーワード、トピック、プレースメントを確認し、改善するとより効果的な運用に繋がります。
また、YouTubeアナリティクスというYouTube独自のサービスを活用することもインサイト機能を確認できるのでおすすめです。
詳しい手順や効果的に運用するポイントについてはこちらの記事をご参考にしてください。
【YouTube動画広告の出稿手順】広告掲載の方法を徹底解説
まとめ
今回はYouTube動画広告の入札戦略、なかでも運用初期におすすめの「目標インプレッション単価」の活用方法を解説しました。
広告運用は自動化され便利になった分、戦略的に最適化することが難しくなっています。
使える選択肢も増えたため、相場はいくらなのか、費用設定に迷う機会も多いでしょう。
業界業種や目標によって最適解は様々で「こうすればうまくいく」というテンプレートはありません。
そうしたとき、今回解説したような指針を持ち、「広告を最後まで再生してもらうには何をすればいいか」データを見ながら改善していくことが重要になります。
最初からうまくいくわけではありませんが、まずは目標インプレッション単価を利用して広告を出稿し、徐々に最適化していけば大きく失敗するということはないはずです。
お気軽にお問い合わせください。