【Google広告上級編】ポートフォリオ入札戦略とは

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【Google広告上級編】ポートフォリオ入札戦略とは

Google広告を運用している方で、ポートフォリオ入札戦略を利用している方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
恐らく、「ポートフォリオ入札戦略」という単語自体には見覚えがあるものの、実際に使ったことはない……という方が大半でしょう。
しかし、ポートフォリオ入札戦略は、Google広告の自動入札をさらに便利に、かつ人の手でコントロールしやすくすることができる機能ですので、自動入札を活用している方であれば、使わない手はありません。

今回は、そんなポートフォリオ入札戦略について、通常の自動入札との違いやポートフォリオ入札戦略ならではのメリットを解説していきます。

Google広告のポートフォリオ入札戦略とは

ポートフォリオ入札戦略とは、Google広告の強みである自動入札、特にスマート自動入札を使って、目的に合わせた入札戦略の「ポートフォリオ」を組むことができる機能です。
より具体的には、複数のキャンペーンをまたいで同じ入札戦略を適用したり、本来であれば機械学習アルゴリズムに任せきりになってしまう自動入札に対して、入札単価の上限と下限を定めることで、人の手によるコントロールの幅を広げたりといったことが可能です。

ポートフォリオ入札戦略の強み①:キャンペーンをまたいだ目標設定ができる

ポートフォリオ入札戦略は、キャンペーンをまたいで入札戦略を設定することができます。
キャンペーンAとキャンペーンBにポートフォリオ入札戦略を使って目標コンバージョン単価を適用し、目標CPAを10,000円に設定したとします。
このとき、キャンペーンAとキャンペーンBが一つの「ポートフォリオ」になっているため、キャンペーンAとキャンペーンBの平均のCPAが10,000円以下に収まるように調整が働きます。

2つのキャンペーンでCPAに差が無い場合はあまり恩恵を感じられないかもしれませんが、仮に過去30日間のCPA実績が、キャンペーンAは5,000円、キャンペーンBは12,000円だったとすると、通常の自動入札では、キャンペーンAの目標CPAを10,000円に設定しても、既に5,000円で獲得ができているため、最適化はほとんど進みません。
対するキャンペーンBは、実績よりも2,000円低い目標CPAが設定されているため、機械学習アルゴリズムは、配信ボリュームを抑えて目標を達成しようとします。
結果として、キャンペーンAはほとんど最適化の恩恵がないまま、キャンペーンBだけコンバージョンの獲得が減るということが起こってしまいます。
ポートフォリオ入札戦略であれば、キャンペーンAとキャンペーンBの平均CPAを10,000円にすることを目指すようにアルゴリズムが働きますから、キャンペーンAで低いCPAで獲得ができている分、キャンペーンBで多少目標CPAをオーバーしても大丈夫ということになり、全体のコンバージョン獲得数を減らさずに目標を達成することができます。
これが、「ポートフォリオ入札戦略」の強みの一つです。

また、このポートフォリオ入札戦略の強みをさらに活かす方法として、「共有予算」と組み合わせるという手法があります。
共有予算は、通常はキャンペーン単位で設定する1日あたりの上限予算を、複数のキャンペーンをまたいで設定することができる機能です。
共有予算とポートフォリオ入札戦略を同じキャンペーンに対して適用すれば、ポートフォリオ入札戦略の目標設定に合わせて、共有予算が自動的に最適な割合で分配されます。
そのため、より柔軟に目標達成を目指すことができるのです。
予算と入札戦略を共有するということは、2つのキャンペーンを統合してしまうのと同じように感じられるかもしれませんが、配信地域やターゲットのユーザー層の設定などは個々のキャンペーンで設定されているものがそのまま使われますので、完全に統合されてしまうわけではありません。
キャンペーンごとの設定を活かしながら、全体最適化を進めることができます。

ポートフォリオ入札戦略の強み②:入札単価の上限・下限が設定できる

通常、自動入札で設定できるのは、目標とするCPAや費用対効果(ROAS)だけで、あとは全てアルゴリズム任せとなるため、入札単価の調整をすることができません。
また、自動入札は、手動入札と比べてクリック単価が高くなりやすい傾向にあります。
コンバージョン獲得を目的としているのであれば、クリック単価が上がっていてもCPAが低く抑えられていれば問題ないことが多いですが、自動入札を使いつつもクリック単価を低く抑えたいという場合もあります。

そんなときにも使えるのがポートフォリオ入札戦略です。
ポートフォリオ入札戦略では、入札単価の上限と下限を設定することができます。一つのポートフォリオ入札戦略に対して上限と下限となる入札単価は一つずつしか設定できませんが、あまりにもクリック単価が上がってしまっているという場合は、この上限を設定することで強制的にキャップをかけることができます。
通常の自動入札であれば制御が利かなかったクリック単価の調整を、部分的ながら行えるようになるのです。
この入札単価の設定はポートフォリオ入札戦略でなければ使えない機能ですので、ポートフォリオ入札戦略の強みとして覚えておいてください。

自動入札を使うならポートフォリオ入札戦略を推奨

Google広告で自動入札を利用している場合は、複数のキャンペーンをまたいだ設定が必要なくとも、ポートフォリオ入札戦略を使用することを推奨します。
ポートフォリオ入札戦略は、一つのキャンペーンに対してだけでも適用することができます。

そのため、一つのキャンペーンに対してポートフォリオ入札戦略を作成するようにすれば、通常の自動入札と同じように使いながらも、クリック単価の調整というポートフォリオ入札戦略だけの強みを活かすことができるようになります。
また、もし同じ入札戦略を他のキャンペーンでも適用したいとなったら、そのポートフォリオ入札戦略に他のキャンペーンを組み入れるだけで同じ入札戦略が使えるようになります。
1個1個のキャンペーンに対してポートフォリオ入札戦略を作成するのは少しだけ手間かもしれませんが、自動入札の恩恵を受けながら人の手によるコントロールをしやすくして、自動入札をより柔軟に使いこなすことができます。ための手法として、ポートフォリオ入札戦略の利用をおすすめします。

ポートフォリオ入札戦略の設定方法

Google広告で利用できるポートフォリオ入札戦略は、複数キャンペーンを横断して成果を安定させたり、スマート自動入札でもある程度コントロールしたい場合に活用できます。
弊社でも何件か利用しています。まだまだ模索段階の機能ではありますが、Googleが推奨しているため、今後利用機会も増えていくでしょう。
それでは実際の設定方法を見ていきましょう。

入札戦略を設定

まずはGoogle広告管理画面の「ツールと設定」から共有ライブラリにある「入札戦略」をクリックします。
Google広告_ポートフォリオ入札戦略の設定方法①

ポートフォリオ入札戦略を設定

続いて、+ボタンか「+ポートフォリオ入札戦略」をクリックすると入札戦略を設定できます。
Google広告_ポートフォリオ入札戦略の設定方法②

プラスボタンを押すとどのタイプのポートフォリオ入札戦略かを選択することができます。
ここではとりあえず「目標コンバージョン単価」で進めてみましょう。
Google広告_ポートフォリオ入札戦略の設定方法③

すると、目標コンバージョン単価を設定する画面が表示されます。同様の設定をキャンペーン作成時にもしていると思いますが、ポイントは「キャンペーンを含める」という項目です。
Google広告_ポートフォリオ入札戦略の設定方法④

「キャンペーンを含める」をクリックすると、キャンペーンを選択する画面が表示されます。ここで複数個のキャンペーンを選択すれば、キャンペーンを横断した入札戦略となります。
Google広告_ポートフォリオ入札戦略の設定方法⑤

では、続いて「詳細設定」をクリックします。すると「入札単価の上限」と「入札単価の下限」を設定する欄が表示されます。スマート自動入札を使うと、気付かないうちにクリック単価が高騰していたり、逆に低くなりすぎて質の低い広告枠にばかり表示されていたりといったリスクが生じます。
ここで上限と下限を設定することで、スマート自動入札の自動最適化を活用しながらある程度クリック単価をコントロールすることができます。
Google広告_ポートフォリオ入札戦略の設定方法⑥

ポートフォリオ入札戦略とは?まとめ

今回は、Google広告の自動入札の応用とも言える、ポートフォリオ入札戦略のメリットについて解説してきました。
ポートフォリオ入札戦略は、最初は取っつきづらくわかりづらい機能かもしれませんが、自動入札を活用しているのであれば、ぜひとも使ってほしい機能です。
特に、上限クリック単価の設定は、自動入札の導入の障壁となりやすい「クリック単価が高騰しがち」というデメリットを打ち消すことができますから、もしクリック単価の高騰が理由で自動入札を導入していなかったという方は、一度ポートフォリオ入札戦略を使ってみてはいかがでしょうか。
自動入札を使っている方も使っていない方も、ポートフォリオ入札戦略は大変便利な機能ですので、ぜひ一度お試しください。