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「ウェビナー(Webinar)」や「Web会議」という言葉を聞く機会も増えてきました。オフィスワーカーで聞いたこともないという人はもうほとんどいないのではないでしょうか。
弊社でもウェビナーやWeb会議を実施する機会が増えており、日々その利便性や効果を実感しています。
ウェビナーやWeb会議という言葉は知っていても、実際にどうやって導入すればいいのかわからないという人は多いかもしれません。
そこで今回はウェビナー、Web会議とは何か、どんなメリットがあるのか、そして導入するために必要なツールまで一挙ご紹介します。
ウェビナー・Web会議とは
ウェビナー、Web会議とひとくくりにしていますが、この二つは厳密には全く違う目的のものです。しかし、メリットや利用するツールはほとんど共通しているため一緒に紹介しています。
まずはウェビナー、Web会議の定義を見ていきましょう。
ウェビナー…インターネットを通じてオンライン上で行うセミナーをウェビナー(Web+Seminar)といいます。ウェビナーは配信方法によって大きく二つに分かれます。
1.リアルタイム配信…配信時間を決めてリアルタイムに実施する形式。チャット形式で参加者との双方向コミュニケーションが可能。
2.録画配信…セミナー動画を録画したものを配信する方式。双方向のコミュニケーションが取れないものの、繰り返し利用できるためeラーニングのように活用できる。
Web会議…打ち合わせやミーティング、商談などをアプリやブラウザを通じてオンラインで実施する会議を指します。
つまり、ウェビナーはセミナーのオンライン版で、Web会議は会議のオンライン版です。目的や役割が違うので、いろいろと気を付けるべき点は違いますが、同じツールやシステムで開催できます。
ウェビナー・Web会議のメリット・デメリット
ウェビナー、Web会議は、ここ数年で大きく増えました。営業が打ち合わせのために外出することを制限する企業もいるほどです。セミナーも、大手セミナー媒体などを見るとウェビナーの数が非常に多いことに驚かされます。その理由は単純に、ウェビナーやWeb会議のメリットが非常に大きいからです。
ただしもちろん、デメリットもあります。メリットと合わせて知っておきましょう。
メリット①時間や場所を問わない
ウェビナー、Web会議はインターネットを通じて行います。そのため相手がどこにいようと関係ありません。最近注目されているテレワークも、Web会議を積極的に行うことで、オフィスにいなくても仕事ができています。
働き方改革の影響もあり、このメリットは非常に注目されています。また、2020年に入り流行している新型コロナウイルス対策として、時差出勤、テレワークとともに、打ち合わせやセミナーをウェビナー、Web会議に切り替える例も増えています。
メリット②より柔軟なセミナー、会議になる
資料を印刷して打ち合わせのため訪問したりした場合、もしも話の流れで別の資料が必要になっても用意できません。しかし、自社オフィスで行うWeb会議であれば、必要な資料をすぐに手配することができますし、社内でしか使えないツールや情報を使うこともできます。
また、ウェビナーではチャット形式のコミュニケーションが一般的ですが、セミナーで質問を投げかけるよりも気軽に返答をもらえます。
ウェビナー、Web会議というと、コミュニケーションの点では不自由が多いように感じますが、実際は自由度が高く、スムーズなコミュニケーションが可能です。
メリット③電話やメールよりは伝わりやすい
Web会議が普及する前、会議や打ち合わせの手段は訪問するか、来社してもらうか、いずれにせよ一か所に集まって行っていました。それができない場合の手段がメールや電話です。
メールや電話も優れたコミュニケーションツールですが、やはり対面と比べると伝わりにくさがあります。メールでは文章と資料で説明するため、情報を正確に伝えることができますが、相手の反応に合わせて臨機応変に対応したり、相手の質問にリアルタイムに答えたりといったことができません。電話は声のみなので、資料を使ったビジュアルコミュニケーションが図りにくいという課題があります。
一方、Web会議では、互いの顔を見ながら対面とほとんど変わらないコミュニケーションが実現できます。また、パソコンの画面を共有してお互いに資料を見せ合ったりといったことも可能です。
メリット④コスト削減ができる
Web会議やウェビナーにかかる費用は、対面での会議や打ち合わせやセミナーで都度発生する交通費や会場費、資料の印刷などのコストと比べると微々たるものです。ウェビナーやWeb会議によって営業コスト、リード獲得コストを下げることができます。
また、見落としがちなコストが移動時間中の人件費です。電車賃が数百円程度でも、往復2時間かけていたらその人の2時間分の人件費を移動に費やしていることになります。1時間の打ち合わせのために3時間も人件費を使っていては効率が悪いのは当たり前。Web会議やウェビナーならオフィス内や部屋からすぐにつなげるため、移動時間を無駄にすることがありません。
もし訪問営業が多い場合、一日に回れる訪問先はせいぜい3件程度です。Web会議に切り替えれば一日6件以上の打ち合わせを行うことも可能で、非常にコストメリットが大きいといえます。
デメリット①対面よりは信頼性、説得力が弱い
もちろん、Web会議、ウェビナーにはデメリットもあります。「オフィスが最大の営業ツール」という言葉があるように、実際に会社に来社してもらうことは信頼性を獲得する一番確実な方法です。また、セミナーでも実際に足を運んでもらい、その場でしかできないグループワークなどを取り入れたほうが価値の高いセミナーになるでしょう。
このようにその場所だから得られる体験、実際に対面しているから伝えられることはどうしても存在します。Web会議を積極的に導入している企業でも、最後のクロージング、大切な商談は直接会って行うことが一般的です。
デメリット②相手の環境が想定しづらい
ウェビナー、Web会議を行う場合、相手側にもある程度の環境が必要になります。詳しくは後述しますが、ウェビナーやWeb会議では、マイク、カメラ、ウェビナー、Web会議システムが必要になります。最近のパソコンにはマイクやカメラが標準搭載されていますが、企業に導入されているすべてのパソコンに搭載されているとは限りません。
ウェビナー、Web会議システムはブラウザ上で動くものを選べば問題ありませんが、インターネット環境が悪い場所では音が途切れたり画質が劣化したりして、快適なコミュニケーションが取れません。
このように、ウェビナー・Web会議では、相手側にもある程度の準備が必要になることを認識しておく必要があります。
デメリット③マナー違反などに気づきにくい
対面での打ち合わせであれば、当然ビジネスマナーに気を付けて対応すると思います。しかし、ウェビナー、Web会議は画面越しに相手とコミュニケーションをとるため、ビジネスマナーがおろそかになってしまいがちです。対面での会議もWeb会議も同じビジネスシーンの会議であることは強く意識しておくべきでしょう。
ウェビナー・Web会議に必要なツール
ウェビナー、Web会議のメリット、デメリットを紹介しました。急速に普及していることもあり、やはりメリットが魅力的です。特に訪問営業を中心にしている場合は、営業効率を大幅に改善できるかもしれません。
では、実際にウェビナー、Web会議を行うにあたって必要なツールを紹介します。
ウェビナー・Web会議に必要なツール【マイク】
多くのPCには標準搭載されていると思いますが、ウェビナー、Web会議では必ずマイクが必要です。標準搭載のものでは音質が悪い、声が遠いなどの課題があるかもしれないので、実際にやってみて必要に応じて外部接続するマイクを用意しましょう。
Web会議では、大人数で使えるスピーカーフォンがお勧めです。スピーカーフォンはマイクとスピーカーが一体化した卓上に置くタイプのツールです。弊社でもWeb会議の際はスピーカーフォンを利用しており、大人数でのWeb会議に活用しています。
ウェビナーの場合は講師の声がしっかり入るピンマイクがお勧めです。余計な音が入らないため、講師の話す内容に集中することができます。
注意点として、ノートパソコンに標準搭載されているマイクは避けましょう。Web会議では議事録をとったり、チャットでコミュニケーションをとったり、キーボードを操作する機会があります。ノートパソコンのマイクにはキーボード音が非常にうるさく入ってしまうことがあるので注意が必要です。
ウェビナー・Web会議に必要なツール【カメラ】
マイクと同じく多くのPCに標準搭載されているカメラも、ウェビナー、Web会議の必需品です。基本的には標準搭載されているもので十分ですが、ウェビナー、Web会議の品質を高めるためには専用のカメラを用意したほうがいいでしょう。
ウェビナー・Web会議に必要なツール【イヤフォン】
イヤフォンやヘッドフォン、エコーキャンセリング機能の付いたスピーカーもウェビナー、Web会議では必ず用意しておきたいツールです。Web会議の時、普通のスピーカーで聞くとスピーカーから出た音を自分のマイクが拾って連続して反響してしまいます。この状態では非常に不快なウェビナー、Web会議になってしまうので、スピーカーの音をマイクが拾わないようにイヤフォンを使うか、エコーキャンセリング機能の付いたスピーカーを用意しましょう。
前述のスピーカーフォンの多くはスピーカーとマイクが一体型になっていますが、スピーカーから出た音をマイクが拾わないようにするエコーキャンセリング機能が付いているものもあります。
ウェビナー・Web会議に必要なツール【ウェビナー・Web会議サービス】
最後に一番重要なツールがウェビナー、Web会議サービスです。ウェビナー、Web会議は、自分と相手が同じシステムを使うことで、お互いに画面を共有したり、チャットでコミュニケーションしたりといったことが可能になります。また、決められた人だけが参加できるようにして有料ウェビナーを開催して、セキュリティに強みのあるサービスを使って社外秘の会議を行ったりもできます。
非常に多くのサービスがあるので、次の項目で詳しく取り上げます。
おすすめウェビナー・Web会議サービス【8選】
さて、ウェビナー、Web会議は手軽に始められますが、それでも今あるPC一つで始められるものではありません。いい体験を提供するには、やはりそこそこのマイクやカメラが必要です。
デメリットで挙げた「相手の環境が想定しづらい」について、合わせて自分の環境も想定しづらいことを意識する必要があります。自分が映っている映像や声がどのように見えて、聞こえているかは自分ではわからないからです。実際にクライアント様と打ち合わせしたり、ウェビナーで人を集めたりする前に、まず社内で一度試しておきましょう。
それでは最後に、ウェビナー、Web会議に使えるサービスを紹介します。非常に多くのサービスがあり、特徴が様々ですが、できるだけバラエティに富んだ8種類を紹介します。
手軽にWeb会議を実施【LINE】
とりあえず社内でWeb会議をするというだけなら、LINEで十分かもしれません。LINEはスマホでもPCでも利用できますし、グループを作ればグループに入る全員とビデオ会議が可能です。チャットも同時にできるので、Web会議に必要最低限の機能は備わっているといえます。もいろん、普段使っているコミュニケーションアプリで行うため無料です。
同時に参加できる人数は200人なので足りないということはないでしょう。また、2020年3月6日、「画面シェア機能を提供開始予定」と発表がありました。また、「背景ぼかし機能」も搭載される予定です。プライバシーを守りながら資料を共有したりと、Web会議に必要な基本的な機能が備わっています。
「LINEみんなの使い方ガイド」という公式メディアの中で、「リモートワークで役立つLINEの使い方」という専用ページを用意していることから、個人間のコミュニケーションツールだけでなく、ビジネスコミュニケーションにも取り組んでいる様子がうかがえます。
本格的なWeb会議なら一択【ZOOM】
zoomはWeb会議で非常によく使われているサービスです。音質が良いことで広がりましたが、URLを共有するだけでWeb会議に参加できる手軽さや、録画録音機能など、様々な機能が備わっているうえ、Skypeの10分の1程度の通信量しか発生しないという調査結果もあり、インターネット環境が整っていなくても比較的安定して繋がるといったメリットがあります。
Web会議で一番のストレスは通話が途中で途切れる、音質や画質が劣化することですから、安定して繋がることは非常に重要です。
チャットの履歴を10年分アーカイブできたり、通信を暗号化していたり、ビジネスシーンでの利用に最適化されたWeb会議サービスです。他にもホワイトボードの内容を保存したり、会議に必要な様々な機能が備わっています。
Zoomビデオウェビナーという別製品では、最大1万名までが参加可能なウェビナーを開催できます。
他にも様々なツールを紹介しますが、特別な事情がなければZOOMが最適といっていいでしょう。「ZOOM革命」というプロジェクトが生まれるほど、世界的に使われているウェビナー、Web会議サービスです。
圧倒的知名度をMicrosoftのサポート【Skype】
Web会議サービスといえば真っ先にSkypeを思い浮かべる方も多いと思います。古くからチャット、ビデオコミュニケーションツールとしてプライベート、ビジネスの両方で使われてきたため知名度は抜群です。Skypeをダウンロードする必要があり、通話には相手のIDを知る必要があるなど、ZOOMなどと比べると少し手間がかかりますが、長く世界中で使われているだけあって、UIの使いやすさは高く評価できます。
SkypeにはSkype for Businessというビジネス向けのプランがありましたが、今後は「Microsoft Teams」という別のサービスにリニューアルされました。Windowsを使っている方はアップデートのタイミングでインストールされていると思います。
Microsoft TeamsはSkypeにMicrosoft officeを共同編集できるなどMicrosoftならではの機能を追加したイメージです。個人的には、ExcelやWordなどのオフィスソフトよりもGoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントを使う機会が増えているので、あまりメリットには感じませんが、Microsoft officeをメインに使っている企業の社内会議ではメリットが大きいかもしれません。
本格的なウェビナービジネス向けの機能【Cocripo(コクリポ)】
Cocripo(コクリポ)は1対多数で行うウェビナー向けのサービスです。「とにかく切れない、遅れない」ことをコンセプトにしていますが、これは大規模なウェビナーでは非常に重要なことです。
無料プランでは3人しか同時接続できませんが、ビジネスプランでは、初期費用30,000円、月額30,000円が必要ですが同時に100人が接続できます。また、参加にはメールアドレスが必要でその後のフォローにも活用でき、セミナー後にアンケートを実施したり、参加者それぞれの滞在時間を計測したりなど、ウェビナーの内容をブラッシュアップするための機能もあります。
オンプレミス型も可能な本格Web会議【LiveOn(ライブオン)】
LiveOn(ライブオン)はWeb会議サービスですが、ウェビナーにも使える機能が用意されています。音質や画質にこだわられており、録音録画機能に加え、出欠確認機能やアンケート機能も用意されています。
最大の特徴は「会議室」という概念があることと強固なセキュリティです。会議室は他のWeb会議サービスでいうグループのようなものですが、入退室など実際の会議室を使っている感覚になります。
月額3,000円から利用できるASP型のプランと、独自サーバーを構築してより安全でカスタマイズされたWeb会議を実現するオンプレミス型が用意されています。
オンプレミス型は初期導入にサーバー構築に100万円、ライセンスごとに78,000円がかかるため決して手軽ではありませんが、自社に合わせた運用が可能な点や、独自のセキュリティ規格を適応できる点などが魅力です。
本格的なウェビナー支援が受けられる【V-CUBEセミナー】
様々なビジネスコミュニケーションツールを提供している株式会社V-CUBEが提供するウェビナーツール「V-CUBEセミナー」は、最大1万台のパソコンに対し、高画質のウェビナーを同時配信できます。チャット、アンケートといった双方向なコミュニケーションが可能なうえ、アプリのインストールなどは不要でブラウザで視聴できる点も魅力です。
また、ウェビナーを総合的にサポートしており、専門スタッフによる配信サポートを受けたり、専用スタジオを借りたりなど、本格的なウェビナー開催に向けた取り組みが可能です。
CRMと連動した顧客管理が可能【ネクプロ】
ネクプロはCRMと連携してウェビナー参加者の顧客情報を管理することができ、ウェビナーマーケティングを実施するうえで有効なサービスです。ウェビナーマーケティングでは、ウェビナーを開催するだけでなく、参加者を見込み顧客として適切にアプローチすることが欠かせません。ネクプロではウェビナー募集用のランディングページやフォームを作成したり、参加者にだけウェビナー内容を共有したりといったことが可能です。
また、ウェビナーと同時にオフラインセミナーを開催することもでき、それらの情報もCRMで一括管理できます。
用途に合わせて3つのサービスから選択【Adobe Connect】
Adobe ConnectはWeb会議用の「Adobe Connect Meetings」、ウェビナー用の「Adobe Connect Webinars」、社内研修などeラーニング用の「Adobe Connect Learning」の3つのサービスからなります。
「Adobe Connect Meetings」は最大100人まで参加可能なWeb会議サービスで、ブラウザからも参加できます。ホワイトボード機能など、Web会議を円滑に進める機能が用意されています。
「Adobe Connect Webinars」は登録フォーム作成機能や分析機能などを搭載し、最大1500人がさんかできます。もちろんこちらもブラウザから参加できます。
ウェビナー・Web会議を検討しよう
今回は、ウェビナー、Web会議をテーマに、そのメリットや必要なツールなどを紹介しました。
個人的にはウェビナー、Web会議のメリットは非常に大きく感じており、実際に開催、参加する機会も増えてきました。
一番大きなメリットはやはりコスト削減だと思います。実際にセミナーを開催するとなると、会場の手配から資料の準備、当日の対応まで多くの人手、コストがかかります。一方、ウェビナーであればこうした準備の大部分を省くことができます。東京と大阪に支社がある場合、実際に一か所に集まって会議を行うとかなりのコストになります。クライアント様との打ち合わせも、訪問、来社にかかる時間を加味すると無駄が多いといえます。Web会議であれば、こうした移動にかかるコストがゼロになるため、コストメリットは非常に大きいでしょう。
とはいえ、ウェビナー、Web会議も万能ではなく、時と場合、目的に応じて使い分ける必要があります。打ち合わせも基本的なヒアリングや商材の説明であればWeb会議で十分ですが、実際に契約を交わす最終段階はやはり直接会って話した方が良いケースが多いと思います。
どんな企業であってもウェビナー、Web会議を導入する価値は必ずあると思います。ぜひこの機会に検討してみてください。