行き詰まりを打破するアイデア発想法!エクスカーション

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行き詰まりを打破するアイデア発想法「エクスカーション」

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
既存の要素を新しい組み合わせに導く才能は、物事の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい

引用:ジェームズ・W・ヤング アイデアの作り方

「新しくて魅力的なアイデアをたくさん出す」

こう言うと、一部の才能あふれる人にしかできない特別なことのように感じてしまいます。しかし実際には、特別頭が良くなくても、新しくて魅力的なアイデアをたくさん考える人はたくさんいます。

冒頭で紹介した言葉は、50年以上読み続けられている名著「アイデアの作り方」に書かれているアイデアの原理を述べたものです。著者のジェームズ・W・ヤングは、アメリカの広告会社の幹部で数々の賞を受賞したアイデアマンです。

彼が言うように、アイデアとはすでにあるもの、すでに知っていることの違う組み合わせから生まれます。そして、違う組み合わせを見つけることは物事の関連性を見つけることだとも言っています。

ジェームズ・W・ヤングは物事の関連性を見つける能力を「才能」という言葉で表しました。しかし、現代では才能に頼らない様々なフレームワークが存在しています。

ブレインストーミングやオズボーンのチェックリスト、マンダラートにマインドマップ、KJ法など、アイデア出しには様々なフレームワークが存在します。これらすべてに物事の関連性を見つける働きがあります。つまり、ジェームズ・W・ヤングの言う「物事の関連性を見つけ出す才能」を補完できるのです。

こうしたフレームワークを使いこなすことで、発想力や想像力に自信がなくても、新しくて魅力的なアイデアをたくさん生み出すことができるかもしれません。

今回は、Grabの記事ネタを考えるために使った「エクスカーション」というフレームワークを紹介します。

エクスカーションとは

エクスカーションとは「あるモノ」に対する連想ワードを、アイデアを出したいテーマにつなげていくフレームワークです。いきなりアイデアを考えるのではなく、すでによく知っている「あるモノ」の連想から始めるため、気軽に始めることができます。

アイデアを出すためのフレームワークは多くありますが、何から考えていこうか決まらないときにはぜひ活用してみてください。

エクスカーションのやり方は単純で、以下の3ステップで行います。

  1. 「あるモノ」を決める
  2. 「あるモノ」から連想されるワードや特徴を書き出す
  3. 書き出したワードに対してテーマにつながるアイデアを書いていく

例えば、「あるモノ」を「富士山」、テーマを「新発売のシャープペンシル」とします。

富士山の特徴と言えば「日本一高い」ということがあります。これをテーマに当てはめると「日本一高級なシャープペンシル」といったアイデアが考えられます。

「世界から観光客が訪れる」という特徴に対しては、「お土産にできるシャープペンシル」というアイデアが考えられるかもしれません。

このように、「あるモノ」の特徴をテーマのアイデアにつなげていきます。

言葉だけではわかりづらいと思いますので、実際にGrabの記事ネタのアイデア出しで行った例を見ていきましょう。

エクスカーションで出たアイデア

2-1 パンダとSEO

あるモノテーマ
パンダSEO
特徴・連想ワードテーマのアイデア
白黒黒いSEO手法
愛されている注目されるゲイリーイリーズとジョンミューラー
中国の動物バイドゥの上位化方法
アイドル順位を下げるかわいいミス
和歌山アドベンチャー動物園のホームページ上位化方法

パンダと言えば白黒の模様が最大の特徴です。SEOにはGoogleのアルゴリズムの隙を突く形で上位化を狙う手法が存在します。もちろん長期的に使えるものではありませんし、ペナルティリスクもあります。しかし、そのことを踏まえたうえで「黒いSEO」を解説する記事を書いてもいいかもしれません。

また、パンダは中国の動物です。中国のインターネットは世界基準と大きく異なり、検索エンジンのシェアはGoogleやヤフーではなくバイドゥ(百度)が握っています。中国のネット人口は急激に増えており、中国でのビジネスを考えるなら、バイドゥでのSEO対策は必須でしょう。しかし、バイドゥでのSEOについて書かれた記事は少ないため、面白いアイデアかもしれません。

2-2 自転車と広告

あるものテーマ
自転車広告
特徴・連想ワードテーマのアイデア
スピード感日本で一番早く効果が出る広告
健康高齢者に効果的な広告
ストレス解消見るだけで気持ちがいい広告
運動スポンサー広告について
子供から大人まで文字のない広告
遠くまで行ける遠くからでもわかる広告
自然との一体感木・森を使った広告

広告に関する記事もたくさん書いていきたいのですが、すでに他のメディアが多くの記事を書いているため、なかなか新しいネタが見つかりません。しかし、自転車から連想すると面白いネタがたくさん見つかりました。

自転車と言えばスピード感ですが、広告もスピード感が重要です。テレビCMや雑誌などのマス広告は、企画から効果が出るまで数か月から数年かかることも珍しくありません。しかし、ネット広告の多くは比較的早く効果が出てきます。

アドワーズエクスプレスは企画したその日に開始することも可能です。Twitter広告も、スマートフォンから5分程度の手続きで開始できます。そのように広告の「早さ」に特化した記事はまだあまりないかもしれません。

2-3 イニエスタとWeb制作

あるものテーマ
イニエスタ制作
特徴・連想ワードテーマのアイデア
神戸1000万ドルのきらめくHP
32億円高級感のあるデザイン
楽天効果的な楽天LP
テクニックCVするLPテクニック
スーパースター人を引き付けるデザイン
34歳30代に刺さるLP
スペイン人世界規模のホームページ

Web制作も新しいネタが見つけにくいテーマですが、2018年6月にヴィッセル神戸に移籍したイニエスタ選手から連想してみました。

イニエスタ選手が移籍する「神戸」は夜景スポットが有名で、1000万ドルの絶景と呼ばれています。最近のWebサイトはシンプルでフラットなデザインが主流ですが、ゴージャスなデザインでファンを引き付けるサイトも数多くあります。Webサイトの高級感、きらめきをテーマにすると尖った記事になるかもしれません。

また、イニエスタ選手は32億円の契約金が出るほどのスーパースターですが、スーパースターの人を引き付ける要素をWebサイトのデザインに当てはめてみると、新しい切り口になるかもしれません。

2-4 映画館とマーケティング手法

あるものテーマ
映画館マーケティング手法
特徴・連想ワードテーマのアイデア
アカデミー賞アカデミー作品のプロモーション
監督意識が高いディレクターが知っておくべきマーケティング手法
Bigバジェット(予算をかける)超大手限定!莫大な予算がかかるマーケティング手法
広告費が高い広告費をかけないマーケティング手法
鑑賞料が高い成約単価を高めるマーケティング手法
パンフレット案内資料が優れている媒体
家族関西の家族に特化したマーケティング
コーラペプシとコーラのマーケティングの違い
ネット予約ヤングに予約させるためのマーケティング
映画泥棒他社のユーザーを奪うマーケティング

次は映画館とマーケティング手法でエクスカーションを行いました。

映画と言えば、アカデミー賞をはじめ様々な賞があります。受賞するためには、映画の質はもちろん、多くの人から支持される必要があります。アカデミー賞を受賞した作品はどんなプロモーションを行っているのか? マーケティング手法はありふれたテーマですが、この切り口でいけばかなり興味深い記事になりそうです。

また、映画館ではコーラを飲む人が多いと思います。コーラは1886年から売れ続けている伝統的な飲み物です。しかし、実はペプシも1894年に発売されました。どちらも薬剤師が薬剤として発明しました。

どちらも発売当初は爆発的に売れましたが、1970年ごろから大きく差が付き始めます。特に海外戦略では差が開き、ペプシの業績は悪化、コーラは加速度的に成長していきました。

起源も商品もほとんど同じにもかかわらず大きな差が生まれたのは、プロモーションの差です。ペプシとコーラのプロモーションの差に注目することで、効果的なマーケティングのヒントが見えてくるかもしれません。

エクスカーションのメリットとデメリット

アイデアを考えるとき、行き詰ってしまい前にも後ろにも進めなくなってしまうことがあると思います。エクスカーションはその壁を突破するのに最適なフレームワークです。

それぞれのフレームワークには強みと弱みがあります。マインドマップはアイデアやアイデアの種になる情報がある場合に、広げたり、関連付けたり、整理したりするうえで非常に有効です。しかし、そもそものアイデアの種がないときにはなかなか進めることができません。

オズボーンのチェックリストは、「転用」や「応用」など、あらかじめ決められたルールに従ってアイデアの種を魅力的なアイデアに膨らませていきます。そのため、現実味のあるアイデアが生まれますが、ブレインストーミングのように意外性のあるアイデアは出てきにくい傾向があります。

エクスカーションは、最初に「あるモノ」に対する特徴や連想ワードを考えます。すでに知っているものに対して行うため、行き詰ることがほとんどありません。テーマと全く関係のない「あるモノ」に対して、アイデアを出していくため、意外性のある画期的なアイデアが出てくる可能性があります。

しかし、マインドマップのような広がりはないため、深みのあるアイデアは出てきにくく、整理して一つのアイデアに落とし込むことも難しいでしょう。また、出てきたアイデアは現実味がないかもしれません。

まとめると、エクスカーションには下記のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 行き詰まりを打破できる
  • 出てくるアイデアの数が多い
  • 意外性のあるアイデアが出てきやすい
  • 一人でも(チームでも)できる

デメリット

  • アイデアに現実味がない場合がある
  • アイデアが単純になりがち

より良いアイデアを見つけ実現していくには、それぞれのフレームワークの強みと弱みを理解して使いこなすことが大切です。

今回はGrabの記事ネタをテーマにエスカレーションを行いましたが、出てきたアイデアをマインドマップで広げたり、オズボーンのチェックリストで現実味を持たしたり、複数のフレームワークを組み合わせて実際に記事を書いていく予定です。

ジェームズ・W・ヤングがいうように、アイデアを生み出す才能は物事の関係性を発見する才能に依存します。アイデアを出すためのフレームワークが無数に存在しますが、それは関連性を発見する方法が無数にあるためです。

これからも様々なフレームワークを紹介していこうと思いますが、行き詰まりを感じているなら、まずはエスカレーションを行ってみてはどうでしょうか。