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YouTubeは多くの人に影響を与えるメディアであり、老若男女問わず生活の一部になっています。このトレンドに乗り、新しいマーケティング方法として注目を集めているのが、企業によるYouTubeチャンネル運営です。
今回は、企業がYouTubeチャンネルを作る理由を解説し、成功事例から学ぶ運用ポイントなど、企業におけるYouTube活用の全体像を見ていきたいと思います。
「企業用YouTubeにどんなメリットがあるか知りたい」「YouTube運用で成功した事例が知りたい」など、YouTube活用に興味のある方は参考にしてください。
企業YouTubeチャンネルを作る理由
YouTubeはもともと個人が動画を投稿するプラットフォームでしたが、最近は企業が活用する事例も増えてきています。
そもそも企業がYouTubeチャンネルを作る理由はいったいなんなのでしょうか?企業によって様々な理由がありますが、代表的なものを3つ紹介します。
1.認知率が高い
こちらは2021年1月に実施されたYouTubeの認知率と利用率のグラフです。若年層では8割、70代でも4割程度がYouTubeを利用しており、幅広い年代が動画を視聴していることが分かります。認知率に至っては若年層ではほぼ10割、高齢者でも約9割と、ほとんどの人がYouTubeを知っているといえます。
YouTubeチャンネルを開設して動画を投稿すると、このような幅広い層にアプローチできるため、企業がこぞってマーケティングに活用しているのです。
さらに別の調査では、およそ4割の人が「商品を購入する際に関連する動画を見る」と回答しています。つまり、YouTubeを暇つぶしや趣味の時間として使うだけでなく、購買行動に関わる「情報収集」のために利用している人が多いことがわかります。YouTubeを使って商品の情報をわかりやすく伝えることで、購買のきっかけを作ることができるのです。
2.メッセージを伝えやすい
そもそもYouTubeなどの動画プラットフォームの利用者や利用時間がこれだけ伸びたのは、テキストや画像よりも動画の方がメッセージを伝えやすいからです。
一昔前は音楽やお笑いなど趣味や暇つぶしに適した動画が中心でしたが、最近は知識、ノウハウが学べる動画も多くなってきました。
その理由は、動画では図やアニメーション、実演など様々な表現が可能で、短い時間でも多くの情報をわかりやすく伝えられるからでしょう。
こちらは中高生に限った調査ですが、勉強法を学ぶとき、学校や塾の先生より、YouTube動画などで学んでいる人のほうが多いという結果になりました。この結果を見ると直接人に聞いたり詳しく書かれている参考書を読むよりも、動画から学ぶ方が分かりやすいと感じていると推測できます。
こちらは動画コンテンツではなく動画広告に対する調査ですが、画像広告と比較して動画は1.8倍も理解され、さらに利用意欲は7倍にも高まっています。このデータからも、動画はテキストや画像よりもメッセージが伝わりやすいことがわかります。
もちろん動画はInstagramやTwitterなどでも投稿できますが、デフォルトで音声がオフになっていたり、短い動画しか投稿できなかったりと制限があります。動画を視聴するためのプラットフォームであるYouTubeにはそのような制限がありません。音声ありの長時間動画を投稿することで、商品やサービスのより詳細な情報と魅力をユーザーにしっかり届けられます。
動画をマーケティングに使う方法は色々ありますが、その中でもっともスタンダードで効果を期待しやすいのがYouTubeチャンネル運営なのです。
3.SEO効果が期待できる
時に広告も必要ですが、インターネット検索から自社サイトに訪問してくれるユーザーを獲得することは重要です。
2010年にアメリカの調査会社Forrester Researchは、「動画の埋め込まれたページは、埋め込まれていないページに比較して、約53倍の確率で検索結果の上位表示が期待できる」という調査結果を出しました。Webサイトに動画を埋め込むだけで上位化できるわけではありませんが「動画SEO」や「VSEO(Video Search Engine Optimization)」といった言葉が誕生していることから見ても、動画とSEOは関連しているといえます。
引用:ビデオSEOで53倍の成果、ソーシャルメディア経由ユーザーは検索経由ユーザーに比べ視聴時間が長い【アメリカ最新動画活用事情】
動画SEOには2つの役割があります。
1つは動画による間接的なSEO効果です。上述した通りWebサイトに動画を埋め込むことで、ユーザーの滞在時間などを伸ばしたり、ユーザーの悩みを解決したりして満足度を上げることで、間接的にSEO効果が得られます。
もう1つは動画そのもののSEO効果です。今までは検索エンジンを使用して情報収集する際、上位表示されるのはWebサイトが多かったでしょう。
ですが、最近ではキーワードによっては動画が上位表示されるようになっています。
YouTubeはGoogleが所有しているサービスなので、他の動画サイトへ投稿するよりも検索結果で上位表示されやすい特徴があります。そのためYouTubeに投稿する動画にSEO対策を行えば、YouTube内だけでなくGoogleの検索結果に表示される可能性が高まるのです。
YouTubeチャンネルの作り方
ここまで企業がYouTubeチャンネルを運営する理由を紹介してきました。ここからはYouTubeチャンネルの作り方を簡単に見ていきましょう。
1.コンセプトを決める
まずはコンセプト、つまり「何のために、どんなYouTubeチャンネルを開設するのか?」を決めましょう。
といっても、何事もまずは始めてみることが重要です。まったく方向性が定まらずに始めてしまうのも問題ですが、そもそもWebマーケティングは運営しながらデータを取り、日々軌道修正や改善し続けるものです。
あまり深く考えず「自社商品の強みを伝え、新規顧客を獲得するチャンネルにしよう」「お役立ち情報をたくさん届けてファンを集めるチャンネルにしよう」「既存顧客向けに商品・サービスの活用方法を届け、継続率を高めるチャンネルにしよう」など、ざっくりしたコンセプトで大丈夫です。
後は実際に運営しながら細かな企画や目標に落とし込んでいきましょう。
2.YouTubeチャンネルを開設する
YouTubeチャンネルの開設は、Googleアカウントがあればすぐにできます。
まず、Googleアカウントにログインしている状態でYouTubeにアクセスします。
その後、右上にあるアイコンをクリックすると「チャンネルを作成」というメニューが表示されるのでそちらをクリックします。
名前とアイコン画像をアップロードする画面が表示されるので、入力して「チャンネルを作成」をクリックします。
これでYouTubeチャンネルの開設は完了です。
もう一度右上のアイコンをクリックし、YouTube Studioというメニューを押すと、動画をアップロードしたり、アカウントの設定をしたり、動画の解析が行えるようになります。
細かな設定は後からでもできますが、最初の動画を公開する前に、チャンネルのプロフィール写真とバナー画像・動画の透かし、チャンネルの基本情報は設定しておきましょう。
これらの設定はYouTube Studioのカスタマイズを開き、ブランディングと基本情報から設定できます。
また、YouTubeチャンネルを開設したばかりのときは、いくつかの機能が制限されています。動画のアップロードなど基本的な機能は利用できますが、サムネイルを自由に設定したり、15分以上の動画を投稿したりできません。
電話番号を認証すると制限を解除できるので、最初に行っておきましょう。
制限の解除はYouTube Studioの左下にある歯車マーク「設定」から設定できます。
YouTubeチャンネル運用のポイント
ここまで準備ができれば、後は実際に動画を作成・投稿し、YouTubeチャンネルを運用していくだけです。しかし、ただYouTubeチャンネルに動画を公開しても、最初はほとんど見てもらえないでしょう。
実際に成果を出すには、サムネイルやタイトルを工夫したり、より魅力的な動画になるよう企画を練ったりする必要があります。ここからは、どんなYouTubeチャンネルにも共通していえる運用のポイントを2つ紹介します。
1.継続する
どんな施策でも、始めてすぐに効果がでるわけではありません。YouTubeチャンネル運用を成功させるには、運やセンス、動画編集テクニックなどいろいろな要素がありますが、何よりもまずは「継続する」ことです。
動画マーケティングではYouTubeの母体であるGoogleが提唱する「HHH戦略」や電通デジタルのアドバンストクリエイティブセンターが提唱する「3Sメソッド」などと呼ばれる指針があります。
こうした指針を参考にしながら、様々なタイプの動画を投稿し、YouTubeアナリティクスで解析する。それを繰り返すことがなにより大切です。
オウンドメディアの運営では、最低でも70~100本以上の記事を作り、6カ月~1年程度は継続しなければ、ほとんど効果がないと言われています。YouTubeも一種のオウンドメディアなので、同程度の継続が必要になると考えておいたほうが良いでしょう。
2.プロの力を借りる
もう一つのポイントは、必要に応じてプロの力を借りるということです。Web制作やWeb広告には専門的な制作会社や広告代理店があるように、YouTube運営においても、動画制作、企画、マーケティングなど様々なカテゴリの専門家(プロ)が存在します。
現在、YouTubeは大手企業や芸能人なども参入し、競争が激化しています。テレビ番組と変わらないクオリティで情報発信するチャンネルも出てきました。そんな中で差別化し、自分のチャンネルを見てもらうことは簡単ではありません。
必要に応じてプロの力を借りれば、成果が出るまでの期間を短縮したり、より大きな成果を得たりできる可能性があります。
企業用YouTubeチャンネルの成功例
ここまで企業がマーケティングにYouTubeチャンネルを使う理由からアカウント開設や運営のポイントなど、企業用YouTubeチャンネルを成功させる全体像を紹介してきました。
今回紹介したデータを見るまでもなく生活のなかにYouTubeが浸透し、趣味だけでなく学習やノウハウ、買い物の情報収集まで幅広く活用されてきていることは実感されているのではないでしょうか。
すでに様々な企業がYouTubeチャンネルを運営し、ファン獲得や関係構築に成功している事例も知っているかもしれません。
それでは最後に、いくつか企業用YouTubeチャンネルの成功例を見てみましょう。
YouTubeマーケティングが浸透してきたとはいえ、まだまだ確立されたノウハウが少ない手法です。一番良いのはすでに成功しているチャンネルを見て、自社のYouTubeマーケティングに活かせるポイントを見つけることです。
成功事例1:YAMAHA「プリント楽譜」
最初に紹介するYAMAHAの「ぷりんと楽譜」は、YouTubeマーケティングのお手本のような事例です。
その理由はマーケティング戦略のシンプルさにあります。
ぷりんと楽譜はオンラインでピアノやギターの楽譜を購入するサービスです。YouTubeチャンネルでは自社商品である楽譜を使って演奏している動画を公開し、そのまま概要欄から販売ページに誘導しています。
宣伝動画ですが内容は楽器を演奏しているだけなので、コンテンツとしても魅力的。ユーザーは実際に弾いている動画を見て「このアレンジがかっこいい」「この難易度だったら弾けそう」といったことが分かり、その場で購入できます。
また商品である楽譜は増えていく一方なので、新しい動画の企画に困ることもありません。
企業のYouTube運営では、
・宣伝をどうやって魅力的に見せるか?
・動画からどうやって商品に誘導するのか?
・継続的に企画し続けるためにどうすればいいか?
が課題になります。
そして、ぷりんと楽譜はこの課題をパーフェクトにクリアしています。もちろん、ぷりんと楽譜は商材に恵まれているから課題をクリアできた部分もあるでしょう。
まずは自社YouTubeアカウントでも、
・内容が魅力的で
・商品へのつながりがストレートで
・企画に困らず低コストで運営し続けられる
上記を満たすコンテンツを作れるのか、考えてみてください。
成功事例2:Blendtec
ミキサーなどを販売するBlendtecは、YouTubeマーケティングの火付け役というべき存在です。
Blendtecは自社のミキサーの性能をアピールするため「Will It Blend?」という企画で、様々なものをミキサーで粉砕する動画を投稿しました。
中でもiPhoneやiPadを粉砕する動画は話題になり、1000万回以上も再生されています。
10年以上前ですがかなり話題になったので、見たことがある人も多いでしょう。
自社の商品・サービスを魅力的に見せる方法が見つからないと悩んだときは、Blendtecのような柔軟な発想でいろいろな企画を出してみてください。
ミキサーという一見使用用途が限られている商品でも、企画の工夫次第でこれほど話題になります。
成功事例3:HubSpot
マーケティングツール「HubSpot」は機能が多く、複雑なBtoBサービス向けのソフトウェアです。
HubSpotのYouTubeチャンネルは、HubSpotの活用方法の他、様々なデジタルマーケティングのノウハウが学べる教育系チャンネルとして運営されています。
SEOやEメールマーケティング、デジタルマーケティングのトレンドといった難しいテーマも動画で分かりやすく説明しており、多くの顧客、潜在顧客をファン化することに成功しています。
BtoBサービスには、専門性が高く、サービスの強みを理解してもらう、導入してもらった後にしっかり活用してもらうことが難しいものが多くあります。
従来は営業担当が何度も訪問し、潜在顧客を教育したり導入後の活用をサポートしたりするものでしたが、動画を活用することにより、顧客自身で悩みを解決したり、操作を理解できるようになりました。
企業用YouTubeチャンネルの作り方 まとめ
動画の最大の魅力は、伝わる情報量が多いこと、伝えるためにグラフやアニメーション、テキスト、画像など様々な表現を使えることです。
そのため、日本企業でも名刺交換サービスの「Sansan」やビジネスメディアの「BOXIL」など、多くの企業がYouTubeチャンネルを活用しています。
今回紹介した3つの事例はごく一部で、今では多くの企業がYouTubeチャンネルを開設し、それぞれにあった方法で活用しています。
ぜひ、自社のコンセプトと近いもの、自社の目的を達成するために参考になりそうなものを見つけて、参考にしてみてください。
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