2018年7月10日の「Google Marketing Live」のキーノートスピーチでは、Googleからウェブマーケティングの未来を期待させる興味深い発表が数多くありました。

Part1では主にブランド名の変更についてPart2では世界最大の動画プラットフォームである「YouTube」に関する発表を紹介しました。

キーノートスピーチの発表まとめPart1
キーノートスピーチの発表まとめPart2

Part3では、今Googleがもっとも力を注いでいる「機械学習」についての発表をご紹介します。

最寄りのカフェを見つける、家族の写真を整理するなど、私たちが生活の中のさまざまなタスクをこなす方法は、常に変化し続けています。こういった日常的なタスクに役立つ消費者向けサービスを改善していくうえで、機械学習はさまざまな役割を果たしています。

今回のキーノートスピーチは、「すべての広告主の手に機械学習を」というテーマで始まりました。Part1で紹介したGoogle広告などの新ブランド、Part2で紹介したYouTube広告の新機能も、ウェブマーケティングで機械学習が活用しやすくなるものばかりでした。

しかし、これから紹介するのは、さらに高度な機械学習を活用し、より成果の上がるウェブマーケティングを“自動”で展開できる機能です。

レスポンシブ検索広告

スマートフォンの普及により、ユーザーは情報に貪欲で、質の高い体験を“あたりまえ”と感じるようになってきました。その結果、広告もパーソナライズされ、その時々のニーズ、シーンに最適な内容であることが求められています。しかし、これまでは運用コストがかかりすぎるため、そうしたニーズに応えることは困難でした。

こうしたニーズに応えて誕生した機能が「レスポンシブ検索広告」です。初期設定を行うだけで、その後の運用を半自動化することができます。

広告主は、広告見出しを 最大15 種類と広告文(説明行)を最大 4 種類入力するだけ。あとは、見出しと説明のさまざまな組み合わせを Google が自動的にテストし、あらゆる検索語句に対して最も効果的なパターンを学習していきます。このため、ユーザーが同じ語句で検索した場合も、コンテキストによって異なる広告が表示されます。

あらかじめ見出しと広告文を数パターン登録しておくと、Googleが自動で完成された検索広告を作成します。そして、それぞれの広告はクリック率などのあらゆる項目で評価され、最適化されています。

これまでは、運用担当者が複数の広告文を作成し、テストを繰り返してきました。0.01%のクリック率を上げるために、何時間もかけて改善案を考え、検索キーワード別の数値をチェックし、新しいキーワードの発見、広告文の立案を行っていました。

しかし、レスポンシブ検索広告の登場により、そうした運用チューニングが軽減され、運用担当者はよりクリエイティブなタスクに集中できるようになると考えられます。

Googleによると、レスポンシブ検索広告により、平均で獲得クリック数が15%増加しているとのことです。

現在は検索広告(リスティング広告)に対してのみの機能ですが、将来的にはより進化した機械学習により、バナー広告などのクリエイティブも自動で最適化されるようになると期待されています。

Landing Page Speed Score

「ウェブサイトのページ表示速度」をテストする方法(https://mag.ibis.gs/seo/speed_180719/)でもお伝えしたように、ページ表示速度はユーザー体験に大きな影響を与えます。

ページ表示に6秒かかると、約半数のユーザーが離脱するというデータがありますが、もしも広告のランディングページだったとしたらどうでしょうか?表示速度が遅いランディングページでは、広告費を無駄にしてしまう可能性があります。

ページの表示速度は、SEOの基準の一つとして取り込まれましたが、今回、広告表示の評価にも取り込まれました。表示速度が遅いランディングページは、広告成果が下がるだけでなく、ユーザー体験も損なってしまうためです。

これまでも、検索キーワードとランディングページのマッチ度から「広告ランク」という評価があり、広告ランクが低いと、入札で不利になったり、表示順位が低下したりしました。

ランディングページのページスピードスコアが実装されると、表示速度が遅いランディングページは広告運用においても不利になります。実装された際には、広告ランクやインプレッションシェアなどの運用指標とともに、10段階のページスピードスコアもチェックする必要が出てきます。

Googleは、「PageSpeed Insights」や「Test My Site」といった、表示速度をチェックするツールを公開していますが、ユーザー体験のため、さらに表示速度を重要視していくと考えられます。

Googleは2017年よりAMP(Accelerated Mobile Pages)対応を推奨しています。AMPとは、Googleが提供するオープンソースの一つで、スマートフォンでアクセスした際のページ表示速度を速める様々な機能があります。

検索広告のランディングページにもAMPを利用することができます。これまでのランディングページでは、凝ったデザインやフルサイズの画像・動画など、インパクトが求められました。これからはシンプルでわかりやすく、素早く表示されるランディングページが求められるのかもしれません。

自動アシストキャンペーン

アドワーズエクスプレスのように、これまでも中小企業、小規模店舗向けの広告製品は存在しました。

今回発表された自動アシストキャンペーンは、アドワーズエクスプレスをさらに進化させたもので、マーケティング専門の担当者がいない中小企業向けのキャンペーンです。

ウェブサイトの情報やGoogleマイビジネスと連携することで、広告の作成をサポートするだけでなく、ランディングページの自動生成機能も実装される予定です。

自動アシストキャンペーンでは、検索広告、ディスプレイ広告、YouTube広告などのGoogle広告に自動で広告を配信します。広告成果が最適化されるよう、ウェブ上での行動や位置情報、デバイスなどから最適なオーディエンスを自動でターゲティングすることが可能です。

ウェブ広告の活用は、一部の大企業にとどまらず、中小企業、個人事業にまで広がっています。自動アシストキャンペーンに関連して、自社のECサイトを持たない実店舗向けの「ローカルキャンペーン」も発表されました。

こちらも、自動アシストキャンペーンと同じく、店舗の住所など最低限の情報を設定しておくだけで、Google広告を出稿し、顧客を店舗に呼び込むことができます。

また、店舗ではなくホテル向けの「ホテルキャンペーン」も発表されました。もともとはHotel Price Adsという名前で、宿泊金額の比較サイトのような機能で提供されていました。今回、Google広告のキャンペーンの一つとして、ホテルの集客に最適なフォーマットで利用できるようになります。

スマートショッピングキャンペーン

スマートショッピングキャンペーンは、指定した目標を達成するために自動で広告運用を最適化する実店舗やEC向けのキャンペーンです。

スマートショッピングキャンペーンでは、コンバージョンの最大化だけではなく、来客数や新規顧客数を入札戦略として利用することができます。この入札戦略では、来客などの目標につながるクリックを予測し、機械学習により入札が自動調整されます。

また、入札だけでなく、テキストや商品画像も自動でテストされ、最適化されていきます。さらに、ショッピングキャンペーンならではの指標として、季節による需要変化なども学習して自動調整されます。

つまり、商品情報と予算さえあれば、広告運用の知識がなくてもスマートショッピングキャンペーンを展開することが可能になります。

スマート ショッピング キャンペーンと呼ばれるこのキャンペーンは、手動で管理を行ったり、個々の商品に入札単価を設定したりすることなく、収益目標を達成するのに役立ちます。これから数ヶ月以内に、この機能がさらに改良され、複数のビジネス目標に基づく最適化が可能になる予定です。

これまで商品数の多いECサイトや店舗数の多いチェーン店がプロモーションを行う場合、運用負担は決して少なくありませんでした。

新しく提供されるスマートショッピングキャンペーンでは、ショッピング広告の掲載先から入札設定、広告文や画像といったクリエイティブを機械学習により最適化されるため、運用負担が大きく減るでしょう。

海外のECサイトであるGittiGidiyorでは、スマートショッピングキャンペーンにより、広告運用にかかる時間を削減しつつ、広告費用対効果を28%向上させることができました。

スマートショッピングキャンペーンは、さらなる改良が予定されているようで、ECサイトの運営においては必須の手法になると思われます。

まとめ

今回は、「Google Marketing Live」のキーノートスピーチの中でも、「機械学習」に関わる発表をご紹介しました。

機械学習の進歩は非常に早く、今回紹介したことも来年には大きく変わっているかもしれません。しかし、いずれにせよWEB広告はより身近に、簡単に、成果が期待できるものになっていくと考えられます。

機械学習を活かした機能は、“自動化”と“最適化”がテーマです。これまで、スキルと経験を持った運用担当者が行っていたタスクの多くが、機械学習により簡単にできるようになってしまいます。私たち広告代理店は、単に運用代行を行うのではなく、よりクリエイティブで付加価値を提供する方法を考え続ける必要があります。

また、広告主は機械学習によって何ができるのかを把握し、提供される価値を存分に発揮できるように学び続ける必要があるでしょう。

7月10日のキーノートスピーチでは、例年に引き続き興味深い発表が数多くありました。今回は3記事に分けて、ブランド名の統合、YouTube広告のアップデート、機械学習による機能追加を紹介しました、

もちろん、ここで紹介した以外にも細かな発表は多くありました。また、あくまでも発表だけで、実装はまだ先になるものも多くあります。

しかし、今回のキーノートスピーチを総括すると、Googleのビジョンが見えてきます。

Googleは広告主、媒体主、ユーザーに対して「三方良し」の世界を作ろうとしています。新しいフォーマットや機能により、どんなビジネスの業態・規模に関わらずウェブマーケティングが活用できるだけでなく、その広告を受け取るユーザーにとっても価値の高い体験が増えていくでしょう。当然、媒体主は広告収益が向上し、メディアに対するユーザーのロイヤリティも高くなると考えられます。

普段からウェブマーケティングに関わっている方は、すでにアドワーズ管理画面やサポートサイトのロゴが「Google広告」に変わっていることや、Googleアナリティクスを閲覧する際に「Google Marketing Platform」と表示されていることに気付いているかもしれません。

これからもGoogleから情報の公開、機能の実装が発表されていくと思いますので、Grabでも取り上げていきたいと思います。

キーノートスピーチの発表まとめPart1
キーノートスピーチの発表まとめPart2