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業界・業種・規模を問わず、Web広告でとりあえず費用対効果を求めるなら、やはりはじめはリスティング広告でしょう。
リスティング広告とは、ユーザーが特定のキーワードで検索した際に表示させる広告で、入札(広告を表示させるキーワードやクリック単価など)と広告クリエイティブ(広告文や広告表示オプション)の設定により出稿します。
しかし、2017年4月のウェブマスター向け公式ブログ「Google 検索における最新の品質向上について」という記事の中で、Google で行われる検索のうち、毎日 15% は、これまでに一度も検索されたことのない、まったく新しいクエリ(検索キーワード)であると発表されました。
このことから、ユーザーは常に新しいニーズを生み出し、想定外の行動をとるため、検索キーワードを予測する難しさがわかります。
商品・サービスの種類が少ない場合はまだ問題ありませんが、商品数の多いECや大規模なサイトで広告施策を行ったとき、従来のリスティング広告では取りこぼしが出てしまいます。
そこで活用したい機能がGoogleのDSA(動的検索広告)です。
DSA(動的検索広告)を活用すれば、広告運用で最も手間がかかる出稿キーワード、ランディングページといった設定を自動化し、少ない手間で最大の成果を期待できます。
では、まずは動的検索広告とは何かを見ていきましょう。
DSA(Dynamic Search Ads=動的検索広告)の仕組み
動的検索広告とは、Dynamic Search Ads(動的検索広告)の略で、リスティング広告のようにキーワードに対して出稿するのではなく、Webサイトのコンテンツから情報を読み込み、適切なキーワードや広告文を自動で作成する仕組みです。動的検索広告を適切に使えば、広告運用の一部を自動化することができます。
ほとんどの検索広告はキーワードに基づいて Google 検索結果に表示されますが、動的検索広告ではキーワードではなく、ウェブサイトのコンテンツに基づいて自動的に広告が表示されます。したがって、キーワードを指定したり、ウェブサイトへのページの追加や削除を Google に報告したり、サイトの商品やサービスのページごとに広告を作成したりする必要がありません。動的検索広告は管理が簡単で、自動生成され、より多くのトラフィックを獲得でき、さらにキーワードを長々と作成する必要がないので便利です。
引用:動的検索広告の導入成功事例 – ロングテールの検索語句の掘り起こしと広告運用の効率化に成功
上記はじゃらんnetを運営する株式会社リクルートライフスタイルの動的検索広告導入に関する記事の一部です。
じゃらんのような大規模な旅行サイトには、無数の宿泊先や旅行プランがあります。これらすべてにキーワード、広告文、広告表示オプション、オーディエンスを設定し、入札戦略などを管理するとなればどうでしょうか。
数百もの広告グループができてとても管理しきれないでしょうし、どれほど人員を投入しても新しい旅行プランの反映や変更が追い付きません。
動的検索広告では、「キーワードの選定」と「広告文の作成」をWebサイトのコンテンツから自動的に行います。
例えば、東京に住む40代のユーザーが「福岡旅行」と検索した際、Webサイトのなかから「福岡旅行」や「東京~福岡往復プラン」「家族向け」のようなコンテンツを探し出します。そこから最も関連性の高いページをランディングページとし、コンテンツ内容から広告文を自動で作成してくれます。
実際にこれらをリスティング広告で行うとなると、地域ごとにキャンペーンを作成し、さらに目的地と出発地を掛け合わせた広告グループを作成し、さらにそのすべてに広告文や出稿キーワードを設定し…と途方もない手間がかかります。
商品数の多いEC、更新頻度の高い大規模なWebサイトの場合、全てのニーズに応えるキーワード設定、それぞれに対するランディングページを手動で設定するのは膨大な時間と労力が必要です。
また、最初にお伝えしたようにユーザーの検索ワードは日々変化・多様化しています。
動的検索広告導入により、「関連性の高いキーワードに対して広告を表示しそこねる」「新商品にあわせた広告の作成が遅れる」などの機会損失を防ぐことができます。
DSA(動的検索広告)のメリット
“自動化”という大きなテーマを叶えるDSA(動的検索広告)ですが、活用すると次のようなメリットが得られます。
設定・運用コストを節約できます
Webサイトに掲載している商品やサービスごとにキーワードや入札単価、広告文、ランディングページを設定する必要がなくなります。広告運用業務の多くはこれらの設定、運用調整であるため、運用コストを削減することができます。
広告が自動的に更新されます
Googleにインデックス登録されているページが変更されると、Webサイトに対するクロールが再度行われます。新商品の更新や仕様変更も自動的に行われるため、広告の内容が常に最新に保たれます。
関連性の高い見出し(広告文)が動的に生成されます
ユーザーがWebサイトの商品やサービスに関連する検索を行うと、最も関連性が高いページが自動的にランディングページに設定されます。そして、そのページのコンテンツから自動で広告文が生成されます。もちろん、クリック率などの指標を見ながらGoogleが自動で広告文を最適化してくれます。
柔軟に管理できます
Webサイト全体を広告掲載の対象に含めることも、特定のカテゴリやページのみを指定することもできます。また、データベースと紐づけることで、在庫切れの商品の広告は表示しないようにするなど、無駄のない広告配信が可能です。
より多くのクリックを獲得できます
手動で設定したキーワードでは網羅しきれなかった検索語句に対しても広告を掲載することができます。日々変わるユーザーニーズ、検索キーワードの変化にも常に最適化が進み、より多くのインプレッション、クリックを獲得することができます。
メッセージをコントロールできます
広告文はランディングページから自動で生成されます。そのため、ランディングページのコンテンツをしっかりと作りこんでいけば、最も効果的なメッセージを自動で作成してくれます。
DSA(動的検索広告)に向いている商材・Webサイト
このように動的検索広告には様々なメリットがあります。
しかし、全ての広告主にとって動的検索広告が最適というわけではありません。中には、動的検索広告に切り替える事で、CPAが低下してしまうサイトもあるでしょう。
ではどのような商材やWebサイトと相性が良いのか、見て行きましょう。
商品数が多いECサイト/サービス数が多い大型サイト
多数の商品を扱うECサイトで広告運用するためには、動的検索広告の活用は必須といっていいでしょう。
ECサイトのプロモーションでは、在庫管理、新商品の追加、セール情報など日々変わる状況に対応する必要があります。
そんな時は動的検索広告による自動化のメリットが非常に大きくなります。
また、旅行媒体や飲食媒体のように、無数のランディングページが考えられる大型サイトでも動的検索広告が有効です。
多様なユーザーニーズを運用者だけでとらえることは簡単ではありません。動的検索広告の自動化によって、ロングテールワードまで幅広くカバーでき、コンバージョン獲得に貢献します。
逆に、Webサイトの規模が小さく、商品数が少ない場合は向いていません。こうした場合は動的検索広告のメリットが少なく、手動で丁寧な運用を行った方が高い訴求力を期待できます。
サイト内に関連性の高いキーワードがあり、SEO対策ができているサイト
動的検索広告では、WebサイトのコンテンツからGoogleが自動的に関連性の高いキーワードを抽出したり、広告文を作成したりします。
コンテンツはGoogleのクローラーが判別するため、Webサイトの構成がしっかりしており必要な情報がしっかりのっていることはもちろん、ソースコード内に関連キーワードが入っている、つまりSEO対策が十分にできているサイトのほうが効果を期待できます。
Webサイトのコンテンツが十分でなく、クローラーに判別できるようになっていない場合、キーワードの抽出や広告文の作成の精度が下がってしまいます。
導入する際はWebサイトを見ただけで商品の詳細や強み、ニーズがわかるように作りこむ必要があります。
Google広告のDSA(動的検索広告)まとめ
今回はGoogle広告にあるDSA(動的検索広告)という機能を紹介しました。
向いている商材やWebサイトがある一方で、業種や規模によって効果的でない場合もあります。
しかし、規模が小さく手動で十分と考えられていた場合でも、動的検索広告を活用することで費用対効果が改善された例もあります。
例えば、主要キーワードの競合性が高く、入札単価が高騰してレッドオーシャン化している場合、一時的にでも動的検索広告を出稿してみることで、入札単価が低くニーズに見合った新しいキーワードが見つかるかもしれません。
また、動的検索広告は手動のリスティング広告と併用して運用できます。同じキャンペーンで検索キーワードが完全一致している場合、動的検索広告よりも手動設が優先して出稿されます。
重要なキーワードは手動で設定し、それ以外は動的検索広告で運用してロングテールワードで出すなど、うまく掛け合わせるなど、戦略的に使うことで効果の最大化が見込めます。
動的検索広告は非常に便利な機能です。
しかし、自動化に甘えてチェックや必要な手動調性を怠れば、大きな成果は期待できません。Google広告をはじめ、自動化の機能は日々進歩していますが、まだまだ経験豊富な運用者にはかないません。
とはいえ、動的検索広告は小予算で簡単に始められるので、現在リスティング広告を出稿しているならば、その中に追加してみてはいかがでしょうか。