業界別CRM事例紹介|卸売・小売業界編【4選】

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業界別CRM事例紹介|卸売・小売業界編【4選】

CRM(顧客関係管理システム)とは、文字通り顧客情報の管理や顧客との関係構築を強化するために使われるツールです。CRMの定義は広く、ツールの種類も多いため、自社で導入すべきか、導入した場合どのように活用できるのかわからないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。

そこで本記事では、CRMを導入した企業について、導入背景や導入する前の課題、CRMを使うことでどのように業務が改善されたのかなど、企業の事例を業種別にご紹介します。今回のテーマは、卸売・小売業界です。

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業界別CRM事例紹介【卸売・小売業界編】

株式会社アートネイチャー(kintone)


アートネイチャーは、「トータルヘアコンサルタント企業」として、増毛・育毛サービスや毛髪製品の販売などを行っている企業です。50年以上と歴史が長く、CMも多数あることから、社名を知っている人も多いでしょう。
同社は、日本国内だけでなく海外にも事業を展開しており、2011年には中国にて女性向けのウィッグを中心に販売を開始しました。単価の低い商品を主に扱っていましたが、2年目から機能性やデザイン性に優れた高価格帯の商品を中心に方向を転換。高級商材に合わせてアフターサービスも高い品質を提供することになりました。

より良いサービスを提供するには、お客様の情報を詳細に管理・共有できることが重要でしたが、現場の顧客管理には課題がありました。お客様の情報は店舗ごとに紙やExcelなどを使って管理しており、顧客の来店状況や応対内容などが把握しづらい状況でした。来店のない見込み客へのアプローチや、顧客のロイヤリティを高めるには、顧客情報のシステム化は不可欠と考え、CRMを導入することにしました。

導入においては、日本と中国のどちらでも使いやすいなどの理由からkintoneを選定。中国の全店舗に導入され、来店状況や購入履歴はもちろん、カウンセリングやアフターサービスなど顧客に関する情報をすべてCRMに登録するようにしました。

これにより、購入したお客様にその後の使用状況を伺うといったアフターフォローや、顧客のニーズに合わせた新製品の案内など、積極的なアプローチと質の良いサービスを提供する環境を実現しました。また、来店者数、試着数など日々の報告や店舗ごとの売上状況も、従来のメールでの報告からCRM上での報告に切り替えたことで、経営層がCRMのコメント機能で指示を出し、それを基にすぐにアクションを起こすということが可能になりました。CRMの導入により、中国の店舗においても日本と同水準の一貫した顧客対応を提供できると共に、業務効率とスピード向上につながりました。属人的な手法ではなくシステムを活用することで、質の高いといわれる日本のサービスを海外でも実現した例といえます。

株式会社HEAVEN Japan(Service Cloud)

Service Cloudの導入事例

画像:Service Cloud

株式会社HEAVEN Japanは、女性の機能性下着の企画から販売までを行う大阪の企業です。通信販売のほか、実際に試着や相談ができるサロンも構えています。
同社では、通信販売による購買履歴やコールセンターでの対応記録のほか、サロンに来店した顧客情報をカルテで管理していました。そのため、顧客データが分散していることや、予約がない来店顧客に対して、スピーディーに対応できないなどの課題を抱えていました。

システムによりこれらの課題を解決することを決めた同社は、顧客軸という点で管理しつつECにも利用できるようカスタマイズしやすいという理由から、Service Cloudを導入することにしました。

導入後は、電話やメールでの問い合わせ、サロンの来店客とのやりとりなど、すべてをService Cloudに登録。分散していた顧客情報が集約され、部署間で共有できるようになりました。これにより、問い合わせがあった際に、過去の履歴をもとに細かい対応が可能になったほか、サロンに来店した顧客に対してもスピーディーに対応できるようになりました。返品の問い合わせに関しては、カウンセリングや適正な下着のアドバイスを行うことで、返品から交換に代わることも多くなり、返品率が12%改善。また、顧客の対応記録は、文字だけでなく顧客から感じ取られる感情もアイコンで登録することで、現場スタッフにとって丁寧な対応の意識付けやモチベーションアップにもつながりました。この他にも、顧客からの要望を即座にサイトに反映するなど、オンライン・オフライン共に顧客へのサービス向上を実現しています。

アリスタ フードソリューションズ ジャパン株式会社(Dynamics 365)

アリスタ フードソリューションズ ジャパン株式会社は、40年以上にわたりベーカリー製品を提供してきた企業の日本法人です。ヨーロッパに拠点を置き、冷凍パン・菓子では世界最大級の規模を誇ります。

同社では、顧客管理を早くからシステム化しており、データはたまっていたものの、活用ができていませんでした。また、営業活動は現場のチームリーダーがExcelで管理をしており、全社での把握が難しい状態でした。そのため、顧客や売上が年々増加するのに伴い、取引先や商談に関して経緯を知ることが困難になっていた点を課題に感じていました。会社の規模も大きくなり、アジアへの進出が決まったのを機に、CRMを導入することにしました。

導入においては、社内の基幹システムとして利用していたMicrosoft社の製品である、Dynamics 365が選ばれました。Dynamics 365はカスタマイズをすることでいろいろな使い方が可能でしたが、入力項目を減らしたり、選択式にしたりなど、複雑になりすぎないようシンプルで使いやすい画面を意識して構築。一方で、データをもとに経営層が状況を把握できるよう考慮し、使いやすさと効果の両面を考えてカスタマイズを行いました。

導入後は、顧客情報だけでなく、営業の活動履歴、コールセンターの対応、問い合わせ内容、競合情報など、あらゆる情報が顧客データと連携して管理や活用が可能となりました。顧客ごとにプライオリティを分類することで顧客の位置づけが可視化でき、時間のない役職者でも優先的に把握すべき状況が明確となったほか、各チームが注力しているエリアや商材など、営業活動の全体も把握しやすくなりました。全体の状況が見えることで次のアクションも起こしやすく、人事異動の際もスムーズに引き継ぎが行えるなど、顧客情報と営業活動が結び付くことで、あらゆる面で業務が改善されました。

株式会社構造計画研究所(HubSpot)

最後にご紹介するのは新規事業の立ち上げにおける導入事例です。
株式会社構造計画研究所は、1956年に建物の構造設計を行う企業としてスタートしました。現在では、設計に留まらず、防災ソリューションやシステム開発、コンサルティングなどさまざまな事業を行っています。
建設を中心に事業を発展させてきた同社は、さらにハードウェア事業として「RemoteLOCK」という商品の販売を開始しました。「RemoteLOCK」とは暗証番号とテンキーにより鍵を管理するシステムで、民泊やシェアハウスなどでの利用が想定されています。アメリカでは数万台の導入実績のある商品ですが、同社にとっては、既存のサービスより単価も低くターゲット層も異なるため、まずは顧客データの新規獲得が喫緊の課題でした。

従来の商材と異なるリソース配分が必要と考えた同社は、Webを最大限に活用し、オンライン上で成約まで完結することを目指しました。徐々にWeb経由で顧客情報を獲得できるようになりましたが、顧客データをどう活用するかが課題となりました。そこで、顧客情報を活用しマーケティングを効率的に行うためのツールとして、MA(マーケティングオートメーション)の導入を考えました。一方、同社では以前より既存のセミナー管理ツールと連携できるCRMの導入も検討が進んでいました。そのような状況のなか、MAとCRMの両方の機能を持ったHubSpotのことを知り、導入が決まりました。

導入においてはHubSpotの代理店より、設計や運用、初期に作成すべきコンテンツのアドバイスなどの支援を受け、ブログ記事や見積請求などのランディングページを作成。当初はブログに何を書いて良いのかわからならなかったものの、営業やサポート担当から集めたお客様の声や質問をもとに記事を作成していきました。
また、従来はExcelで行っていた案件管理も、HubSpotを使うことで費用対効果がわかりやすくなり、広告やオフライン施策とも比較しながら、徐々にWebマーケティングの比重を増やしていきました。

その結果、導入後1年で月間CVが10倍を達成。目に見える効果が表れてきました。また、見込み客の商談フェーズが一目で把握でき、案件管理もしやすいことから、営業を介さずに獲得した見込み客を受注にまでつなげることもあり、CRM導入による大きな手応えを感じています。

業界別CRM事例紹介4選~卸売・小売業界編~まとめ

今回は、卸売・小売業界におけるCRMの事例をご紹介しました。同じ業界でも扱っている商材やターゲット層はさまざまですが、対面や電話、Webなどオンラインとオフラインで顧客と接する企業にとって、より良いサービスを提供するためには顧客情報の詳細にな記録と一元化は重要なポイントです。また、最後にご紹介した例のように、オンラインで成約を目指すBtoB事業においては、CRMによる顧客管理とあわせてマーケティング施策や案件管理を行うことで、より効果的にツールを活用することが期待できるでしょう。

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