CRM(顧客関係管理システム)とは、文字通り顧客情報の管理や顧客との関係構築を強化するために使われるツールです。CRMの定義は広く、ツールの種類も多いため、自社で導入すべきか、導入した場合どのように活用できるのかわからないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。

そこで本記事では、CRMを導入した企業について、導入背景や導入する前の課題、CRMを使うことでどのように業務が改善されたのかなど、企業の事例を業種別にご紹介します。今回のテーマは情報通信業界です。

Grabでは情報通信業界以外に様々な業界のCRM導入事例を紹介しています。

業界別CRM事例紹介
メーカー編
建築・不動産編
卸売・小売業界編
情報通信編

株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ(Dynamic 365)

営業プロセスの仕組み化をCRMで実現。一気通貫型のマーケティング・営業活動と、情報資産の活用をめざして

画像:日立ソリューションズ 営業プロセスの仕組み化をCRMで実現。一気通貫型のマーケティング・営業活動と、情報資産の活用をめざして

株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズは、インターネッやVPN、データセンターなど法人向けにネットワーク事業を広く提供しています。
同社の営業部では長年営業支援ツールを使用していましたが、活動管理が主な用途で、顧客や商談管理まではできていませんでした。ツールの利用においても社内でルールはあったものの、実質は個人のやり方に依存している状態でした。また、営業とマーケティングのシステムが連携しておらず、メールやExcelによる手動での案件確認や集計作業を行っており、効率性にも問題がありました。

同社はこれらの課題を解決するため、既存システムの契約更新を機に、ツールを刷新するにしました。数社のサービスを比較した結果、顧客や案件管理のほかワークフローの機能も備えていること、オンプレミスに切り替えられるなどの理由からDynamics 365が選ばれました。

導入にあたっては、データベースの設計やAPI連携、営業プロセスの構築などを行い、10年以上分の数十万レコードを既存のツールから移行しました。見込み客のデータはさまざまな流入経路で獲得されるため、一旦マーケティング用のデータベースに溜めてからデータのクレンジングと名寄せを行い、さらに企業情報が自動で付与される仕組みも構築しました。また、インサイドセールスが見込み客へコールをする際の管理機能もあわせて実装されました。

トライアルも兼ねて一部の社員から徐々に使用を開始し、2017年には本格的に運用が始まりました。導入後も、社内の意見に対してタイムリーに改善していくなどカスタマイズを行っています。

CRM導入により、営業とマーケティングのデータが連携され、商談や顧客管理などすべてのデータを一元管理できるようになっただけでなく、コールの管理機能により、案件の発生から営業担当の割り当てまでをスムーズに行うことが可能になりました。また、企業と顧客の属性情報に加え、インサイドセールスがヒアリングした顧客の課題やニーズもCRMに集約され、営業活動や商談分析も可能になったことから、質の高い営業が期待できるようになりました。今後は、受注後のお客様へのサービス提供や代理店との関係構築においても、CRMを活用していきたいと考えています。

本事例は、長年使用してきたオンプレミスのシステムからクラウドに切り替えたことにより、大規模なデータ移行などを伴ったケースですが、今後同社のようにクラウドに切り替える企業はますます増えていくと考えられます。

GMOメイクショップ株式会社(e-salesマネージャー)

部門間の情報共有で顧客満足度向上

画像:eセールスマネージャー 部門間の情報共有で顧客満足度向上

GMOメイクショップ株式会社は、GMOインターネットグループの一つとして、ECプラットフォームの提供やEC運用の受託事業などを行っている会社です。

同社では、案件管理がExcelで行われており、作業ごとに複数のファイルが存在していました。そのため、各ファイルで数字が合わない際は担当者に確認するなど、案件管理の非効率な点が課題でした。商談が増えるに伴いExcelでの運用がますます困難になったことからシステムの利用を検討し、CRMやSFAの機能をもつeセールスマネージャーを導入することになりました。

CRM導入により、業務報告やタスク管理など、あらゆる作業をCRM上に集約できるようになりました。それまでは口頭やメールで行っていた業務報告や上司とのやりとりは、CRMのタイムライン機能を使うことでリアルタイムに行うことができ、アプローチしている顧客に対する次のアクションも、CRMのタスク機能により漏れなく実行できるようになりました。
以前は営業やカスタマーサポートなど部門ごとに異なる方法で顧客管理を行っていたため、他部署の対応状況がわからず、お客様に確認をするといったこともありましたが、CRM導入後は顧客のやりとりなど過去の履歴を確認した上で対応が可能となり、顧客満足度の向上にもつながりました。

その結果、売上の前年比増加率が通常よりも高い結果となり、個人単位では前年比約2倍の売上を達した担当者もいるなど、数字としての効果も表れてきました。今後もさらに、サポート体制を強化するためにCRMを活用していくでしょう。

株式会社エクサ(Synergy!)

株式会社エクサは、情報システムに関する企画から設計、構築から保守まで、システム全般に関するコンサルティングを行っている会社です。

同社は、当初CRMではなくセミナー管理のためのツールを探していました。それまで使っていたシステムでは、セミナーの申し込みフォームを変更する度に外部に依頼をしなければならず、作業スピードやコスト面で使いづらい点が課題でした。
新たなツールの条件として、フォームを自由に変更できるだけでなく、データベースのメンテナンスや効果測定が可能な点も重視した結果、CRMのSynergy!を導入することになりました。

CRMを導入したことで、セミナー管理だけではなく顧客管理もあわせて行えるようになりました。それまでは部署ごとに管理していた顧客情報が一元化され、獲得した名刺のデータもCRMに統合されることで、業務においてさまざまな点が改善されました。
一つ目は、名刺情報の活用です。それまでは商談になった顧客以外の名刺は個人で管理していましたが、CRMにすべての名刺を登録することで顧客データとして活用できるようになりました。
二つ目は、商談状況の部署間の共有です。扱うサービスが多く、サービスごとに部署が分かれていたため、同じ顧客でも商談の機会は部署ごとに異なります。案件の共有が可能になったことで、部署間で複数のサービスを組み合わせたソリューション提案を行いやすくなり、商談機会を逃すことがなくなりました。
三つ目は、CRMで問い合わせの管理も行うことで、問い合わせから実際の商談が発生するなど、目に見える成果につながったことです。同社では、一案件の単価が高いサービスも多く、問い合わせが商談につながることは大きな価値を意味します。そのため、顧客情報を共有することに抵抗感のあった営業メンバーもCRMを積極的に活用し、情報を登録するようになっていきました。

同社のように、日本の企業では営業が個人で顧客情報を管理していることが多かったため、社内で顧客データを共有することに最初は抵抗を感じるというケースもあるようです。しかし、顧客情報の共有が結果的に営業にとってもメリットになることが伝わると、CRMの導入や社内での活用は進めやすくなります。本事例は、CRMを初めて導入した企業のわかりやすい成功例といえるでしょう。

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(Sales Cloud)

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社は、世界でも数少ないTier1レベル(最上位層)のインターネットサービスプロバイダであり、世界190カ所以上の国や地域にネットワークを提供しています。

国内外に支社と顧客をもつ同社は、拠点ごとに営業活動を行っており、ネットワークや情報システムも現地にあわせて最適化をしていました。しかし、市場のスピード化や顧客のグローバル化が進むにつれ、拠点を越えたシームレスな対応が不可欠と考えたことから、全世界の営業メンバーが共通して使うシステムとしてSales Cloudを導入することにしました。

新たなCRMの導入により、世界中の全拠点で顧客情報や案件情報の共有が可能となり、拠点間の引継がスムーズに行えるようになりました。ある拠点では初めての顧客でも、他の拠点での商談履歴を見ることで、顧客との関わり方を知った上で対応が可能になりました。また、日本の国内ではグローバル回線の提案を行い、現地では国内回線の提案をするといったように、拠点ごとに対応をしながら情報を共有することで、顧客への一貫したサービスとスピーディーな対応を実現できました。

商談情報だけでなく、他の拠点の営業担当からアドバイスを貰ったり、資料の共有があったりと、離れていながらも同じ拠点にいるようなシームレスな環境となり、顧客へのより良い提案にもつながっています。売上予測などマネージャー同士のミーティングもCRMを見ながら行うことで、意思決定のスピードも速くなりました。
また、同社のサービスはソリューションが多いことから、顧客にあった適切な提案を効率良く行う必要があり、CRM上の顧客データを分析することで、潜在ニーズを探りながら提案に活かすことにもつながっています。

まとめ

今回は、情報通信業界におけるCRMの事例をご紹介しました。IT業界では、CRMの他にも新しいクラウドサービスの導入が進みやすいように思われますが、自社開発のツールやレガシーシステムからの脱却に課題を感じている企業も多いようです。実際、今回ご紹介した事例のなかでも、当初は自社でツールを開発しようとしたものの、完成までの稼働がとれずにクラウドサービスの導入に至ったという企業もあります。
CRMはほとんどがクラウドベースであり、クラウドは自社で環境構築などのリソースが不要な点が大きなメリットの一つです。CRMの導入は敷居が高いというイメージをもたれている場合でも、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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