インハウス運用と広告代理店|広告運用業務のメリット・デメリット

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インハウス運用と広告代理店|広告運用業務のメリット・デメリット

Web広告の運用においては、インハウス(自社運用)で行うケースと、専門の広告代理店に委託するケースの2つがあります。
一昔前まで、広告運用は広告代理店に委託することが一般的でしたが、最近は広告出稿サービスの進歩もあり、インハウス運用を選択する企業が増えています。

インハウスにはインハウスの、代理店には代理店の、それぞれメリットとデメリットがあります。これからWeb広告施策を始めようと検討されている方に向けて、どちらを選ぶのがより適切なのか判断していただくために、それぞれの特徴について解説していきます。
また、現在すでにインハウスで運用している、広告代理店に任せている、という方も、それぞれの特徴を正しく知り、適切に選択することが重要です。

Web広告のインハウス運用とは

Web広告のインハウス運用とは
インハウス運用とは、Web広告運用のすべて、または大半を自社の社内で完結させてしまう運用スタイルのことを指します。
広告代理店に委託はせず、社内にWeb広告運用専門の人材を雇って運用を行います。
Web広告の運用は当然として、成果のレポーティングや、クリエイティブの制作なども自社で行うため(一部外注する場合もありますが)、それなりのコストはかかるものの、広告運用に関わるタスクを内製化してノウハウを溜めこむことができます。長期的には効率化も図れることから、近年徐々にインハウス化を進める企業が増えているのも事実です。

インハウス運用のメリット・デメリット

インハウス運用のメリット①ノウハウが蓄積される

インハウス運用のメリットの1つ目は、社内にノウハウが蓄積されることです。広告運用を内製化できるため、広告運用に関わるノウハウを社内にため込むことができます。
広告媒体や大手代理店は独自のフレームワークを作成して公開していますが、商品・サービス、戦略によって求められる運用は様々です。その商品・サービスを売るための広告ノウハウは、その商品・サービスを売る広告施策の中でしか積むことができません。
自社でノウハウを溜めこむことができることは、長期的に見たときに大きな武器となるでしょう。

インハウス運用のメリット②データを蓄積・活用できる

インハウス運用のメリットの2つ目は、広告代理店には開示できない顧客データなどの独自のデータを活用した広告運用ができることです。
特に、Facebook広告などではメールアドレス等の顧客データを使ったカスタマーリストをターゲティングに活用できるため、この強みが発揮されます。
自社で蓄積した顧客データを使ったターゲティングで広告を配信し、また顧客データを蓄積し、それを使ってさらにターゲティングの精度を高め、また顧客データを蓄積し……という好循環が生むことができます。

インハウス運用のメリット③売上につながるコンバージョン獲得が効率化される

インハウス運用のメリット③売上につながるコンバージョン獲得が効率化される
インハウス運用のメリットの3つ目は、売上につながるコンバージョン獲得が効率化されることです。売上につながるコンバージョンとは、広告媒体側で計測できない、裏側のコンバージョンのことです。
例えば、求人広告であれば、広告媒体では求人に応募するところまでしか計測できませんが、採用に至って初めて成果(コンバージョン)を言うことができます。
学習塾の生徒募集広告であれば、広告媒体では学習塾に問い合わせるところまでしか計測できませんが、入会に至って初めて売上につながるコンバージョンといえます。

広告代理店は、基本的に広告管理画面側の数値を基準に運用するため、広告成果としては数字が上がっているものの、売上に繋がっていないということが起こり得ます。
しかし、インハウス運用であれば、売上につながるコンバージョンを目的として広告運用を行うことができます。
広告媒体で計測できるコンバージョンはあくまで途中経過で、マイクロコンバージョンのようなものとして扱いながら、売上の最大化を目指して運用改善を行うことができます。

ノウハウの蓄積に関してはインハウス運用でないと難しい部分ですが、データの蓄積や利用、売上につながる本当のコンバージョン最大化に向けた運用については、代理店でも可能です。
弊社では、NDA(秘密保持契約書)を交わしたうえで、広告主様のデータを広告施策に活用したり、Web広告上のコンバージョンの後の行動や確度(問合せから引き合い、受注、リピートまで)を共有いただき、広告管理画面上の数字ではなく、売上につながる成果を生むことを第一目標に運用しています。

インハウス運用のデメリット①運用が属人的になりがち

インハウス運用のデメリットの1つ目は、運用が属人的になりがちなことです。
代理店運用の場合、1つの案件に対してチームを組んで運用を行うことが多く、それがメインの業務であるため引き継ぎ体制も確立されています。しかし、インハウス運用の場合は、担当者が1人または数人で、それぞれが兼業で運用するという状況になりがちです。
そのため、その担当者にしか運用の状況がわからず、担当者が休んでしまったり、退職してしまったりすると、他の社員には全く状況がわからない、なんていう事態が起こり得ます。
そういった事態を防ぐため、日ごろから情報共有を行ったり、担当者を複数人用意してチーム制にしたりするなどして対策を行うようにしましょう。

インハウス運用のデメリット②情報収集が難しい

インハウス運用のデメリットの2つ目は、情報収集が難しいことです。広告代理店の場合、広告媒体とのパートナー制度を活用して、優先的に情報が下りてきます。パートナー制度とは、一定の条件を満たしている広告代理店が広告媒体からパートナー認定を受け、広告媒体から直接最新の情報を共有されたり、勉強会やセミナーに招待されたりといった恩恵を受けることができます。
そのため、パートナー認定された広告代理店は、常に最新の情報を持つことができているのです。
弊社も、LINE広告の取り扱いを始めたころ、LINE広告の担当者に来社いただき何度か勉強会を開いていただきました。他にも様々な広告媒体から非公開の事例情報などが頻繁に届きます。

しかし、広告代理店と違い、インハウス運用している企業はパートナー認定を受けることができないことが多いです(広告媒体によります)。そのため、広告媒体から直接最新の情報を共有してもらうことができず、情報は自ら収集する必要があります。
その収集方法も、インターネットで調べたり、広告媒体や広告代理店が主催しているセミナーを自分で調べて出席したりと、自主的に動かなければ情報を得ることはできません。
インハウス運用の担当者は、常に情報収集を怠らないことが大切です。

広告代理店運用のメリット・デメリット

代理店運用のメリット①広告のプロが運用してくれる

代理店運用のメリット①広告のプロが運用してくれる
代理店運用のメリットの1つ目は、広告のプロが運用してくれることです。広告代理店は、なんといっても広告のプロの集まりです。弊社においても、Google広告に携わる全員がGoogle広告の認定資格の保有者で、その他の広告媒体についても公式の資格があるものは積極的に取得しています。

Web広告の運用、レポーティング、クリエイティブ制作はもちろん、代理店によってはLPOSEOなど、Webマーケティングに幅広く精通しているところもあります。
Web広告の運用には、広告運用業務、情報収集、学習を行うリソースに加え、クリエイティブなど制作面のスキル、マーケティング戦略など設計面のスキルが必要です。リソースやスキルの確保が難しい場合は、やはり広告代理店に委託するのが一番安心感があるのではないでしょうか。
新たに広告運用の担当者を雇い入れるのも決して安いコストではありませんし、代理店に委託すればWebマーケティングを広くサポートしてもらえます。
広告運用のプロが社内にいない場合は、広告代理店に委託することを考えてみてはいかがでしょうか。

代理店運用のメリット②代理店独自の施策を打ってくれる

代理店運用のメリットの2つ目は、代理店独自の施策を打ってくれることです。代理店独自の施策というのは、代理店にしか使えないような大規模でコストのかかるツールを使ったクリエイティブ制作であったり、先述したパートナー認定を受けた代理店だけが使える広告メニューであったりというものです。そもそも広告代理店経由でないと申し込めない広告媒体も存在します。

また何より、広告代理店は様々なクライアント様の広告運用を請け負う中で持つノウハウをすでに持っています。自社で運用する場合、どうしても手探りの状態で始め徐々に運用改善していく必要がありますが、すでにノウハウや近い業種での実例を持っている広告代理店であれば、すぐに成果が出ることも期待できます。

こういった代理店独自の施策を打ってもらえるのが、代理店運用の大きなメリットと言えます。

代理店運用のデメリット①運用手数料がかかる

代理店運用のデメリットの1つ目は、運用手数料がかかることです。
広告代理店に広告運用を委託する場合、当然ですが、運用手数料がかかります。その運用手数料は、広告費の15~20%程度が相場で、20%の場合が多いのではないでしょうか。
100万円の広告費をかける場合、約20万円を広告代理店に支払わなければならないわけです。
仮に広告費が1億円になれば、代理店手数料は2,000万円にまで膨らみます。これはあくまで極端な例でボリュームディスカウントを用意している広告代理店もあります。しかし、広告費が大きくなればなるほど手数料が膨らんでいきますので、ある程度広告費が大きくなると、インハウス運用に切り替えて専門の人材を雇って内製化した方が結果的に安く済む可能性もあります。

ただし、代理店運用に任せることで、上記のような代理店運用のメリットを享受できるという側面もありますし、内製化することで代理店手数料が丸々カットできるかというとそうではなく、運用管理の人件費やツール導入費など、別のコストがかかってくるため、それらをまとめて天秤にかける必要があることには注意しておきましょう。

また、広告費が大きくなればなるほど、運用力の差が大きくなることにも注意しておきましょう。例えば、商品単価3万円の商品を販売したとします。

インハウス運用 広告代理店
広告費 1億円 1億円
クリック単価 100円 80円
クリック数 100万回 125万回
コンバージョン率 1.00% 1.20%
コンバージョン数 1万件 1.5万件
売上 3億円 4.5憶円

広告代理店のほうが、確度の高い運用ができ、クリック単価をわずか20円下げ、コンバージョン率をわずか0.2%向上させることができたとすると、売上に1.5憶円もの差が生まれます。たとえ運用代行費がかかっても、全体で見ると費用対効果が高くなっていることが分かります。
最終的な成果まで考えたうえで、適切な方法を選ぶことがベストですが、事前に予測することが難しい部分でもあります。インハウス運用を予定していたとしても、一度広告代理店の提案を受けてみることをおすすめします。

代理店運用のデメリット②コミュニケーション・コミット力

代理店運用のデメリット②コミュニケーション・コミット力
インハウス運用のスタッフは、自社の広告策だけに全力を尽くしますが、広告代理店のスタッフは一度にいくつもの案件を担当しています。広告代理店の社員は、一度にいくつもの企業の広告を掛け持ちで運用しています。そのため、毎日複数のアカウントの管理やレポーティングに追われる日々を送っており、自社に付きっきりで見てくれるわけではないことです。
もちろん、広告代理店の社員はみな広告のプロですから、忙しい毎日の中でも一つ一つの広告アカウントをしっかり管理して、適切な施策を打ち、レポーティングをしてくれはします。

時間さえあればできていたはずの施策も、時間が足りずにできなかったり、他のアカウントの管理で忙しいときは、自社のアカウントの管理が疎かになってしまったりすることもあるでしょう。
そのため、1人の運用担当者が抱える案件の上限数を決めていたり、予算規模や運用内容によって専任の担当者、専任チームを構築したりする広告代理店ももあります。
広告代理店が自社の成果にどこまでコミットしてくれるか、確認してみましょう。

また、広告代理店も様々ですし、代理店の社員も様々ですから、一概には言えないのですが、自社のマーケティング担当者と、広告代理店の担当者との間でコミュニケーションがうまく取れない場合というのはどうしても存在します。
それは、コミュニケーションの手段であったり、頻度であったり、担当者間の相性であったり、理由は様々あります。いずれにせよ、コミュニケーションがうまくいかないと、広告運用もうまくいきません。
インハウス運用であれば、社内のコミュニケーションだけで済みますので、スピード感も早く、多少のコミュニケーション難は周囲でカバーできることがほとんどなのですが、代理店とのコミュニケーションとなると、なかなか難しいものです。

広告代理店に頼む際は、こうしたコミュニケーション部分についても確認しておきましょう。運用担当者と直接話をすることができるか、電話やメールでの対応はどの程度可能か、打ち合わせのための訪問・来社は可能かといった点を解消しておけば、多くの場合大丈夫です。

インハウス運用の注意点

インハウス運用の注意点
インハウス運用で最も注力しなければならないのは、やはり情報収集です。広告媒体からパートナー認定を受けている広告代理店と違い、インハウス運用では最新の情報は勝手に入ってくることはありません。
そのため、自分から積極的に動いて情報収集を行うことが必須になってきます。まず、GoogleYahoo!Facebookなどが主催する公式セミナーやプログラム、その他広告代理店が主催する勉強会などには積極的に参加するようにしましょう。
また、その際なるべく周囲との名刺交換を行って、コネクションを広げておくことが大切です。
Webマーケティングの世界は、1年前の情報は既に古い情報として扱われるほど回転が早い世界です。
そのため、書籍の情報では最新情報を手に入れることはほとんどできません。
だからこそ、現場の生の情報を手に入れるために、セミナーに参加することが大切なのです。

もう一つ、インハウス運用で注力すべきなのは、適切なツールを導入することです。大抵の場合、広告代理店は有料の運用支援・レポーティングツールを多く導入しています。
インハウス運用では、有料のツールをいくつも導入するのはコスト面から難しいかもしれませんが、最低限必要なツールは導入しておくべきです。
特に必要になるのが、競合分析のためのツールです。Similar Webや、SEMRUSHといった、競合分析に特化したツールを導入しておくことで、自社のPDCAサイクルを回すのに非常に役立つはずです。
導入できるかどうかは自社の予算規模と相談が必要ですが、まず何かツールを導入したいとなった場合は、これらのような競合分析ツールから導入することをオススメします。

インハウスと広告代理店|広告運用のメリット・デメリットまとめ

今回は、近年徐々に注目を集めているインハウス運用と、広告代理店に委託する代理店運用のメリット・デメリットを比較して、これからWeb広告施策を始めようと考えている方に向けてインハウス運用と代理店運用の違いについて解説してきました。
どちらも一長一短ありますので、自社のリソースや、広告出稿の目的などに合わせて、より適切な方を選んで出稿してみることをオススメします。

もし、どちらを選んだらいいかわからないという場合は、運用託手数料はかかるものの、広告代理店に委託するのが、やはりプロに任せられるので安心です。
社内にリソースがあるという場合は、メリット・デメリットを天秤にかけて、今回の内容を参考にしてどちらにすべきか選んでみてください。