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画像:Yahoo!
こちらは株式会社サイバーエージェントの調査を受け、Yahoo!Japanが作成した動画広告市場規模の推計です。
2019年は前年比130%成長し、2000億円を超える見通しで、その後も順調に成長が続き、2024年には4650億円になる見込みです。
ちなみに2014年は317億円だったため、わずか5年で7倍近い市場規模になっているということです。
なぜ動画広告はこれほど急速に発達していくのでしょうか?
動画広告によるマーケティングが急速に広がっているとはいえ、まだまだ手を付けていない企業は多いでしょう。
今回は、動画広告が成長する理由、そのメリットデメリットなどを紹介したいと思います。
動画広告が急成長する理由
近頃、自社の製品やサービスの紹介や宣伝に動画広告を活用する企業が増えてきました。動画広告は消費者の感性に強く訴求できることから、バナー広告や文章のみの広告に比べて高い効果が得られることが多くの調査結果からわかってきています。
以前はテレビCMの代替品として認知拡大や商品理解促進、ブランディングが主な目的でした。しかし最近は広告配信の精度が上がり、様々なチューニングが可能になったことで、より広い目的で活用されています。
そのため、今後はより多くの企業が自社の製品やサービスで動画広告を有効的に活用するでしょう。
このような動画広告が急成長してきた理由を整理しておきましょう。
予算が少ない企業でも始められる
動画広告では、○秒再生されたら○円(視聴単価制)や動画の〇%が〇秒されたら〇円(視認可能なインプレッション単価)というわかりやすい課金モデルが一般的です。
予算の少ない企業でも予め費用を予測して動画広告を活用した施策を検討したり、実施したりできることから比較的規模の小さい企業でも積極的に活用しています。
加えて、動画広告はTVCMと比較すると効果測定が行いやすく、実施した施策の費用対効果がわかりやすいというのも特徴です。
様々なメディアで動画配信が行われるようになった
動画広告で有名なサービスにはYoutubeがありますが、Youtube以外にもFacebookやInstagramのようなSNSでも動画利用が始まりました。
このようなSNSでは「いいね」や「リツイート」といった拡散機能が搭載されており、動画広告を見たユーザーが拡散することでさらに多くの人に見てもらえます。ターゲティングという観点では、TVCMと比べると細かい設定も可能となるため、直接消費者に訴求をしたい広告主も積極的に活用しています。
また、SNSのようなサービスではなくても、自社Webサイトに動画を差し込むことで動画を使ったPRができます。より身近に動画を利用できるプラットフォームが用意されているのも急成長している理由の一つと言えます。
動画広告のメリット
このように急速に成長している動画広告を企業で活用するメリットは4つあります。
(1)静止画(テキスト)よりも印象に残りやすく、理解してもらいやすい
(2)実際に使用しているイメージがわきやすい
(3)視覚以外の五感に訴えることで記憶に残りやすい
(4)想定しているターゲットに直接アプローチができる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
静止画(テキスト)よりも印象に残りやすく、理解してもらいやすい
静止画やテキストはユーザーに読んでもらうことでその価値が伝わります。
逆に言えば読んでもらわないと価値を伝えることができず、読んでもらうために興味を引きつけるための工夫が必要です。特に最近は文字を読む時間が減ってきている統計データもあるため、ただメッセージを伝えるということが難しくなっています。また、画像やテキストのみの情報の感じ方は人それぞれで正しく伝えることも難しいです。
動画は見るだけで済むため、静止画に比べると心理的な負担は減ります。
また、動画は文字以外にも音や映像などで表現することができるため、文字では伝えられない感性に訴える仕掛けをすることで印象に残るような取り組みも可能です。
実際に使用しているイメージがわきやすい
文字では表現することが難しい情景、背景も動画であれば再現できます。
例えば、自社の商品を文字でたくさん並べて宣伝するよりも、自社の商品を使用しているイメージを動画にして配信することで購入後のイメージができ、購買意欲を高められます。
特に動画はなんとなく見てしまうという人間の特性をうまく使うことで、あまり興味が強くないユーザーも惹きつけ、興味関心を高めることもできます。
視覚以外の五感に訴えることで記憶に残りやすい
動画は視覚だけではなく聴覚も使うことができるため、文字のような視覚のみで訴えるよりも記憶に残りやすい傾向にあります。
特に印象的な動画は記憶に残りやすく、特定の曲を聞くとあの商品といった音声による記憶定着も期待できます。
想定しているターゲットに直接アプローチができる
TVCMやラジオCMなどのマスメディアでは、予めターゲットを想定して配信していたとしても本当にターゲットにリーチできているかどうかの効果測定をすることが困難です。
動画広告はインターネット広告の一つであり、属性情報を活用することで明確にターゲティングでき、実施した内容に対する結果も後ほど確認することができます。
特にニッチな層への訴求や若年層のみがターゲットといったターゲットの範囲が狭い場合に有効的です。
動画広告のデメリット
動画広告にはバナー広告では実現できないたくさんのメリットがあります。一方、動画広告もすべての面で優れているわけではなく、デメリットも存在しています。
広告制作コストがバナー広告に比べて高くなる
動画広告を制作するためには様々な素材が必要になり、制作時間も長くなります。そのためバナー広告等と比較すると費用が高くなります。
バナー広告の場合は文字だけで済むため、どこかに移動して撮影すると行った作業は必要ありません。動画広告の場合は現地で撮影して素材を作るところから始まります。また、撮影が終わった後は編集作業などを行い、ようやく1本野動画広告が完成します。さらに一定以上のクオリティを満たすためには質の高い素材を確保する必要があることから、相応の費用がかかります。
良くも悪くも、動画広告の効果測定は正確に行えてしまうことから、多額の費用を投入して作成した動画広告に対して費用対効果が低いと判断されてしまう可能性があります。
しかし最近は、6月のマーケティングカレンダーにもあったように、Web広告用の6秒動画に特化した「株式会社6秒企画」が設立されたり、Kaizen PlatformがInstagram広告用の動画制作プログラムを発表したり、電通がチラシのデータを元に自動で広告動画を作成するツールをリリースしたりなど、安価で質が高い動画を作成しやすい環境も整ってきています。
動画制作ができる人材が不足している
動画制作は文字だけではなく、映像や音に関する様々な能力が求められます。
例えば、映像であれば動画の撮影、加工編集などがあり、音であれば音の演出や編集作業などが必要になります。すべての作業を一人で対応するには範囲が広すぎるため、通常は複数名で役割分担することが多いです。
同様に動画制作のためには撮影場所の確保、専門機器の調達、著作権管理、出演者交渉、など1本の動画を制作するまでには様々な調整をする必要があり、技術的な能力に加えて進行管理などのプロジェクトマネジメント能力が求められます。
そのような専門性の高い人材は希少であり、労働力が減少してきている現状では、良質な人材を確保することが困難になりつつあります。
このデメリットも先ほど述べたような様々なツール、サービスの登場により解消されてきています。
動画広告に期待できる効果
動画広告に期待できる効果としては、消費者の態度変容があります。
態度変容とは、消費者が認知している情報、状況が何らかの刺激により変化することです。態度変容モデルとしてはAIDMAが有名でしょう。
2018年のニールセン社が実施した動画広告による態度変容の経験についての調査データから、動画広告を通して商品やサービスを知るきっかけとなったと回答した人が全体の45%占めていることがわかりました。また、好きになった経験をした人が21%、実際に商品やサービスを購入した経験がある人が17%とあり、動画広告による態度変容の効果の高さが証明されています。
特に若年層ではその傾向が顕著であり、若い人ほど動画広告による態度変容に影響を与える効果が高いことがわかります。
以上のことから、動画広告は消費者の態度変容に大きな影響を与えることが可能であり、認知から購入、ファンにさせると行ったマーケティングファネルの各ファネルに対して有効であると考えられます。
まとめ
今回は急成長している動画広告について、基本的なメリットデメリットなどを紹介しました。一つ確かなことは、ほとんどの企業において動画活用は必須であるということです。
その一番の理由は、サービスの多様化・複雑化でしょう。技術の進歩とともに、サービスの中身も多機能で複雑なものになりました。一本のLPですべてを伝えることはできなくなってきています。また、今や世の中に似たようなサービスが無数に存在しています。その中で選ばれるには、確実に強みとなるメッセージを届ける必要があります。
動画広告はテキストだけのバナー広告では表現できない、動きや音を効果的に使うことで感性に訴え、消費者の態度変容に大きな効果があります。自社の商品やサービスの宣伝を効果的に行うためにも、動画広告の利用を検討してみてはいかがでしょうか。