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数年前からマーケティングオートメーション(MA)を導入する企業が増えています。導入にはいたっていないものの「そろそろMAツールを導入しないといけない」と考えている経営者も多いです。中には、いざ導入を考えたときに「どのツールを選べばよいか分からない」と悩んでいる人もいます。
今回の記事では、MAツールの現状を表すデータや導入によって得られるメリット、自社に適したツールの選び方を紹介します。おすすめのMAツールも5つ紹介しますので、ぜひ、導入に向けて参考にしてください。
上記のデータは、Googleトレンドで「marketing automation」の検索ボリュームを調べたものです。2019年ごろにかけて検索数が増え、その後は横ばいが続き、2022年に入ってから急速に関心が高まっていることがわかります。
コロナ禍の影響もあり、営業・マーケティングのデジタルシフトが重要視されているのに、MAへの関心は最近まで高まっていませんでした。その理由は、MAの課題が指摘される時期が長く続いたことが原因だと思われます。
米国のマーケティング企業SiriusDecisionsの調査では、MAを導入した企業のうち、85%が「ポテンシャルを活かせていない」と回答しています。
出典:「マーケティングオートメーション、8割の企業がつまずく「導入後」の話」
マーケティングツール・サービスを提供するシャノンの中村健一郎社長は、「マーケティングオートメーションを導入すればすぐに成果が出るわけではない。大企業でも失敗例が多い」とした上で、その理由を次のようにまとめています。
どんな手法も最初から成功例ばかりというわけではありません。失敗した原因を分析することで、ツールやサービスも改善を重ねていきます。
課題が明らかになり、解決策が磨かれてきた今だからこそMAの導入を検討する企業が増え、関心が高まっているのです。
MA導入の目的
そもそもMAとは何なのか、何のために導入するのかを簡単に復習しておきましょう。MAとは、マーケティング活動の自動化と、見込み顧客の育成施策を指します。近い概念の言葉には、営業のデジタル化を進める「セールスフォース・オートメーション(SFA)」や顧客管理をマーケティングに活かす「カスタマーリレーションシップ・マネジメント(CRM)」などがあります。
MAには大きく分けて、次の3つの役割があります。
- リードジェネレーション(見込み顧客の創出)
- リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
- リードクオリフィケーション(見込み顧客の分類)
MAでは見込み顧客を「リード」と呼びます。見込み顧客とは、自社製品やサービスの未利用者で、いずれは購入・利用する可能性がある顧客です。
リードジェネレーションは、WebサイトやLP、リード獲得フォームなどを使い、見込み顧客の名前やメールアドレスなどを取得する活動です。
リードナーチャリングでは、獲得したリードに対してメールマガジンなどでコンテンツを提供し、見込み顧客の関心や購買意欲を高めるアプローチを行います。
多くのMAツールでは顧客の行動履歴に応じてメールを出し分けられます。メールの開封状況や過去に閲覧したページ、クリックしたURLなどの情報を基に配信の最適化が可能です。
リードクオリフィケーションの段階では、行動履歴をスコアリング(点数化)し、スコアに応じて優先順位を決め、アプローチ方法を選択します。営業リソースを割くべき適正(高い見込み)のあるリードを選別し、それぞれに応じた施策を行うことで効率的・効果的な営業活動が行えるのです。
従来は、リード獲得、メール配信、顧客管理など各作業に応じて独立したツールが使われていました。MAツールの登場によって一連の流れを一括管理できるようになりました。
SFAや「コンテンツマネジメントシステム(CMS)」の機能を持ったMAツールもあり、担当する業務範囲は広いです。後述するHubSpotはCMS機能を搭載しています。そのため、下記のようなマーケティング活動をすべて1つのツール内で完結させられます。
- Webサイトの構築
- リードの獲得
- メールマガジンなどでの関係性構築
- スコアリングに基づく担当営業割り振り
- 見積書の作成
- クロージング
また、これらのデータは全て連携されているため、一連の流れを半自動化し、マーケティング・営業活動を効率化できます。
下記の記事ではMA導入の目的と業界別の導入事例を紹介しています。こちらもぜひ、参考にしてください。
MAツールの選び方
では、具体的にどんなMAツールを導入すればいいのでしょうか。現在、MAツールと呼ばれるものは無数にあります。営業支援に向いているもの、リードジェネレーションに向いているもの、カスタマーサポートに向いているものなど、さまざまな特色がそれぞれのツールにあります。その中から自社に最適なものを選び出すのは困難です。そこで、MAツールを選ぶ際に重要な基準を紹介します。
リード数や管理方法から選ぶ
先述の通り、MAツールではリードの獲得と管理を行います。何人のリードを管理できるのか、どのように管理できるのかは非常に重要な基準です。
BtoB企業の場合、BtoC企業と比較して見込み客の母数がそこまで多くありません。管理したいリード数は数千件から多くても数万件で十分だと考えられます。しかし、BtoC企業の場合は数万件でも足りなくなる可能性があります。
BtoB企業ならメールアドレスと名前だけではなく、企業名や業種、役職などさまざまなデータの管理が必要です。しかし、BtoC企業の場合、そこまで管理しないといけないケースはほとんどありません。自社のビジネスモデルに合わせてMAツールを選ぶ必要があります。
一般的には次のような点を選択基準にするとよいです。
管理できるリード数 | 管理できる情報 | |
BtoB企業 | 数千件もあれば十分 | できるだけ細かく、カスタマイズしたい |
BtoC企業 | 数万件は欲しい | 基本的な項目だけで十分 |
MAツールを選ぶ時には、まずどの程度のリード数を管理したいのか、どんな項目を管理したいのかをイメージしておきましょう。
機能から選ぶ
MAツールの機能は多岐に渡ります。HubSpotのようにCMSが搭載されたツールであれば、WebサイトやLP、ブログサイトなどをゼロから構築可能です。他のツールでは、メールマガジンなどリードナーチャリングに特化したものもあります。
基本的に機能は多いほどよいですが、自社ですでに導入しているツールとの兼ね合いを考えることも大切です。すでにリード獲得のためのLPやWebサイトを持っているのであれば、CMS機能はとくに必要ありません。営業支援ツールを導入しているなら、うまく連携できるツールを選んだ方がよいです。
MAの魅力はあらゆるマーケティング施策が1つのツールで完結でき、統合されたデータの集積ができることです。そのデータにもとづいてマーケティング施策を自動化できます。従って、マーケティング施策の一部にMAツールを使うのではなく、すべての施策を1つのMAツール上で行うことが理想です。
コストから選ぶ
もちろん、コストも重要です。MAツールは導入で数百万円、ランニングコストで月数十万円以上するものも珍しくありません。サポートが充実していて、機能が多いとはいえ、それだけのコストを支払う価値があるかは事前の検証が必要です。
今回紹介するMAツールの中には無料で利用できるものもあります。
すべての機能を使うことはできませんが、数が少ないうちは無料でもリード獲得や基本的なリード管理が可能です。効果が出始めてから必要な機能を足していけるツールもあります。自社の規模や効果に応じて柔軟に予算を考えていきましょう。
MAツールのコストは継続的にかかるものです。効率化による人的コストの削減や売り上げの増加など、導入による効果を考え、適切なものを選びましょう。
導入の目的や既存ツールとの連携方法によってコストが変わってくるため、Webサイトなどでコストを明らかにしていないMAツールも珍しくありません。あらかじめ予算をイメージした上で、MAを提供する企業や正規代理店に問い合わせてみてください。
おすすめMAツール5選
それでは、おすすめのMAツールを紹介していきます。
マルケト
マルケトはデザインツールのPhotoshopなどで有名なアドビ社が提供するMAツールです。BtoB、BtoC問わず、世界で5,000社以上の導入実績があります。日本でも製造業の日立製作所、求人プラットフォームのエンジャパン、家計簿アプリのマネーフォワードなど、幅広い業種で活用されています。
基本的なMA機能が備わっているだけではなく、700件に及ぶ外部システムとの連携が可能です。
b→dash
2017年度マーケティングツール売上金額シェアで国内No.1のMAツールです。ユニークな動画広告を見たことがあるかもしれません。b→dashは「誰でも操作できること」をコンセプトにした使いやすさと、国内ツールならではのサポート体制が魅力です。学習塾の明光義塾や飲食チェーンの松屋、阪急阪神百貨店など、大手BtoC企業でも数多くの導入実績があります。
基本的なMA機能の他に下記のような、BtoC企業に嬉しい機能が多く用意されています。
- プログラミングの知識不要でデータの処理・加工・活用ができる「データパレット」
- LINE連携
- Push通知
- SNS配信
SATORI
SATORIはb→dashと同じく日本企業が提供するMAツールです。SATORIは自社の強みを「圧倒的に使いやすい」「リードジェネレーションに強い」「豊富なサポート」としています。MAツールは導入後、うまく活用できるかが鍵になるので、使いやすさと充実したサポートは重要です。
また、SATORIは「アンノウンマーケティング」と呼ばれる匿名リードの管理も強みです。多くのMAツールでは、フォーム送信などが行われた場合にリードとみなします。SATORIではWebサイトにアクセスしたすべてのユーザーにアプローチできます。
Salesforce
営業支援ツールとして知られるSalesforceでは「Pardot」と呼ばれるMAツールを提供しています。BtoB企業の場合、マーケティングだけで成約まで完結するケースは珍しいので、営業支援ツールとの連携は重要です。大日本印刷やNECの他、新型コロナウイルス対策として患者情報を一元管理するために導入した自治体もあります。
HubSpot
最後に紹介するのは2005年にアメリカで開発された歴史あるMAツール、HubSpotです。世界120ヶ国以上で12万社以上の導入実績があり、日本企業でも多くの事例があります。BtoB企業のソウルドアウト株式会社はHubSpotを導入し、月間のリード獲得数が50倍に増加、顧客単価も2倍になりました。このような成功事例も増えています。
無料で利用できる機能も多く、有料版は月額6000円から使いたい機能やリード数に応じて柔軟にプランを選べます。ですが、最大の魅力はカバーする業務領域の広さです。
HubSpotにはMAツールである「Marketing Hub」の他、下記のように多様な機能を搭載できます。
- 営業支援ツール「Sales Hub」
- 顧客サポートツール「Service Hub」
- Webサイトの管理運営ツール「CMS Hub」
- 業務オペレーション効率化ツール「Operations Hub」
外部CMSと連携できるツールは他にもあります。でも、ツール内でブログサイトやオフィシャルサイトの構築、運用までできるものはほとんどありません。
HubSpotを使えば下記のような営業活動全般を一つのツールで完結させられます。
- ブログサイトやオフィシャルサイト制作
- リード獲得
- メールマーケティングの展開
- 見込みのあるリードを営業担当に引き渡す
- 成約後のカスタマーサポート
ここまで包括的な機能が備わったものはほとんどないため、弊社ではHubSpotを導入しています。難点を挙げるとすれば、機能が多すぎて使いこなすのが大変だという点です。株式会社アイビスは、HubSpotの導入・活用を支援する正規代理店に認定されています。導入をご検討の際は、ぜひご相談ください。
まとめ
今回はMAツールの基本的な役割と選び方を解説し、おすすめのツールを5つ紹介しました。それぞれのツールは、共通する機能も多くあり、一見すると違いがわからないかもしれません。
しかし、ビジネス形態やマーケティングプロセスは企業によってさまざまです。合わないMAツールを導入してしまうと、うまく活用できず、効果が出ない恐れもあります。実際に多くの企業が多額の費用を投じたにもかかわらず、MAの効果を実感できずにいるという現状があります。
MA導入の際は、弊社をはじめ、導入だけでなくその後の活用までサポートできる正規代理店にぜひご相談ください。
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