オウンドメディアを使ったコンテンツマーケティング、インバウンドマーケティングが注目を集めている。とはいえ、オウンドメディアを起点としてどうやってマネタイズしていけばいいのだろう。
今回は、これからオウンドメディアを作ろうとしている、あるいはオウンドメディアを作ったばかりのマーケティング担当者の方に向けて、オウンドメディアを使ってマネタイズする(売上を上げる)方法をご紹介していきます。
オウンドメディアは、Grabのように自社商品の認知向上のために活用されている場合もあれば、広告収入、有料コンテンツなど様々な方法でマネタイズされています。
そのマネタイズ方法の具体例と、マネタイズにあたってのオウンドメディアへの集客の方法について、一挙に解説していきます。
オウンドメディアのマネタイズ方法
オウンドメディアは、低コストで長期的な運営ができることがメリットですが、とはいえライターを雇う人件費や、コンテンツを用意する労力など、様々なコストはどうしてもかかってきます。
そのため、マネタイズができない、効果が見えないといった理由で、運営が破綻してしまうことも少なくありません。
オウンドメディアの運営を破綻させないために、オウンドメディアでマネタイズする方法を順番に見ていきましょう。
オウンドメディアのマネタイズ方法①リード獲得
オウンドメディアのマネタイズ方法として、よく利用されるのが、リード獲得です。
オウンドメディア単体ではマネタイズを行わず、オウンドメディアからさらに商品・サービスサイトなどに誘導することで、売上に結び付けます。
オウンドメディアの読者は、オウンドメディアで発信されたコンテンツを読むことで自社との信頼感が醸成されているので、リード獲得がしやすい状態になっています。このブランドロイヤルティを作り出すことがオウンドメディアの大きな役割のひとつであり、マネタイズ方法のひとつでもあるのです。
いわゆるインバウンドマーケティングにおけるオウンドメディアの役割、マネタイズ方法はリード獲得になります。Grabでも、Grab単体でマネタイズする方法は持っていませんが、Grabの読者が弊社サービスに問い合わせたり、利用したりしていただくことで、マネタイズに繋げています。
オウンドメディアのマネタイズ方法②広告収入(アドネットワーク)
オウンドメディアのマネタイズ方法の2つ目は、アドネットワークによる広告収入です。
アドネットワークとは、広告主・広告媒体・広告枠(メディア)の3つを繋ぐネットワークのことです。
広告枠の持ち主であるメディアが広告媒体に自社のメディアを登録することで、自社が持っている広告枠を広告主に売ることができます。自社の広告枠で広告が配信されると、広告費の一部を得ることができるシステムです。
有名なアドネットワークとしては、Google Adsenseやnendなどがあります。オススメなのは圧倒的にGoogle Adsenseですが、導入の審査が厳しいため、立ち上げたばかりのオウンドメディアで登録するのはなかなか難しいかもしれません。
一定の実績を積んでから審査に臨むことをオススメします。ここでいう実績とは、運営歴や更新頻度、コンテンツの品質やユーザー数などです。いずれにせよ、こうした実績がなければ広告収入を得ることは難しいため、ある程度メディアを成長させたうえで導入しましょう。
また、アドネットワークによるマネタイズを行う際の注意点として、アドネットワークで表示される広告はメディア側では完全にはコントロールできない点を知っておきましょう。表示される広告によってはブランドイメージを損なう可能性があることには注意が必要です。
アドネットワークごとに属性セグメントの設定ができるようになっていますので、その設定をオウンドメディアのターゲットに合わせることで、そういったリスクをできる限り軽減することは可能です。
オウンドメディアのマネタイズ方法③広告収入(タイアップ記事広告)
オウンドメディアのマネタイズ方法の3つ目は、タイアップ記事広告による広告収入です。
タイアップ記事広告とは、外部のクライアント(広告主)とタイアップし、その広告主が売り出したい商品やサービスについてまとめた記事を、自社のオウンドメディア内でコンテンツとして発信することを指します。
オウンドメディアでは通常、コラムやお役立ち情報といったコンテンツを中心に配信します。記事コンテンツそのものでの販促は基本的に行わないのですが、タイアップの記事広告の場合は広告主の商品が売れるような販促コンテンツを発信します。
広告として商品を売りながらも、記事として価値を感じてもらい、最後まで読んでもらわなければならない、難易度の高いマネタイズ方法でもあります。
タイアップ記事広告を自社のオウンドメディアで掲載したい場合、掲載を受け付けている旨をオウンドメディア内に記載して募集をかけるか、どこかの広告主からオファーが来るのを待つかの2択になります。
いずれにせよ、一定以上のトラフィックを集めていて、ある程度影響力があると認識されている必要がありますので、まずはトラフィックを集めることに専念しましょう。
オウンドメディアのマネタイズ方法④広告収入(純広告)
オウンドメディアのマネタイズ方法の4つ目は、純広告による広告収入です。純広告とは、リスティング広告などのオークション形式の広告と違い、広告枠を買い切りで販売するタイプの広告のことです。
ある程度集客力のあるメディアに成長すれば、純広告として広告枠を販売するだけでも、広告主としては広告の露出を多く獲得できるため、買い手がつきやすくなります。
アドネットワークによる広告収入と異なり、広告主から掲載依頼を受ける必要があるため、導入のハードルは高いかもしれません。しかし、オウンドメディアのコンセプト、読者層とマッチする商材の広告であれば、高い効果が期待できます。
また、アドネットワークと異なり掲載される広告を完全にコントロールできるため、ブランド棄損リスクが低いことも特徴です。
オウンドメディアのマネタイズ方法⑤アフィリエイト(商品販売)
オウンドメディアのマネタイズ方法の5つ目は、商品販売によるアフィリエイトです。
商品販売によるアフィリエイトとは、特定のECサイト業者に登録し、そのECサイトで販売されている商品のリンクを自社のメディア内に貼り付けることで、そのリンクから商品を購入したユーザーが現れた際に、売上の一部を報酬金として得られるシステムです。
有名なアフィリエイトサービスに、Amazonアソシエイトや楽天アフィリエイトがあります。
ただし、アフィリエイト収益目当てにやみくもに商品リンクを張っていると、ブランドイメージを損ねるばかりで収益にはほとんど繋がらない可能性が高いので、注意が必要です。
あくまでも、自社のオウンドメディアのコンテンツに合った商品や、読者のニーズに沿った商品だけを紹介するに留めるようにしましょう。
オウンドメディアのマネタイズ方法⑥自社商品の販売
オウンドメディアのマネタイズ方法の6つ目は、自社商品の販売です。
自社商品がある場合、オウンドメディア内で自社商品について訴求するコンテンツを作ることで、商品の販売ページに誘導し、コンバージョンに結びつけることでマネタイズが可能です。
コンテンツからLP、商品ページ、カートなど、導線を工夫することで費用対効果を改善していきましょう。
特定の商品・サービスを販売する場合は非常に有効で、例えばアクセス解析ツールの「AI analyst」のオウンドメディア「「AI analyst blog」では、アクセス解析にかかわるあらゆるコンテンツを提供するとともに、「AI analyst」の販売に繋げています。
オウンドメディアのマネタイズ方法⑦有料コンテンツ
オウンドメディアのマネタイズ方法の7つ目は、有料コンテンツの販売です。
有料コンテンツとは、コンテンツそのものを商品として販売する、または有料会員をサービスとして提供することで、有料会員でないと得られない情報や利用機能の拡張を提供するのです。
有料コンテンツの例としては、記事の定期購読や、有料メルマガ、有料会員限定記事など、月額料金を支払うことで利用できるサービスです。
既に自社のオウンドメディアのファンとなっているユーザー向けのサービスで、十分にブランドロイヤルティが高められていればマネタイズしていけるでしょう。
ただし、有料コンテンツの品質や、通常コンテンツとの区別など、難しい点はいろいろとあります。有料コンテンツと差別化するため、通常コンテンツの品質を下げれば新しい読者が獲得できませんし、有料の価値のあるコンテンツを配信し続けなければ解約されてしまいます。
難易度は高いですが、メディア単体でマネタイズする場合、目指すべき一つの形かもしれません。
オウンドメディアの集客方法
ここまで、オウンドメディアのマネタイズ方法について7つまとめて解説してきました。しかし、どの方法でマネタイズするにしても、まずはオウンドメディアに集客ができるようにならないと始まりません。
ここからは、オウンドメディアに集客する方法について解説していきます。
オウンドメディアの集客方法①SEO(自然検索)
オウンドメディアの集客方法の1つ目は、SEO(自然検索)です。オウンドメディアの集客方法として最もメジャーで、最も力を入れるべきなのが、このSEOです。
オウンドメディアのメリットとして、「低コスト」で「長期的」に運営できるというものがありますが、それはオウンドメディアが集客源としてSEOを主軸としているからです。
SEOは、Web広告と違ってそれ自体に直接的なコストがかかることはほとんどありません。
そして、SEO対策を長期的に続けた結果として、オウンドメディアが持つドメインパワーが強くなって、サイト全体がSEO的に強くなってくると、いろいろなキーワードでいろいろな記事が検索結果の上位に掲載されるようになってきます。
そうなると、過去に投稿したコンテンツがどんどん流入を集めてくれるようになりますので、安定的な集客が可能になり、長期的な運営が可能になるというわけです。
しかし、これからオウンドメディアを始めようとしている方にとっては、いきなりSEO対策と言われても難しいかもしれません。
オウンドメディアにおいて、主に意識すべき簡単なSEO対策は、以下の4つです。この4つさえ押さえておけば、SEO対策の詳しいロジックがわからずとも、十分な成果が出せるはずです。
- ユーザーが検索しているキーワードを調査する
- 記事タイトルと見出しにそのキーワードを含めるようにする
- そのキーワードについて深掘りしながら本文を書く
- オリジナリティを出す
順番に解説していきます。
- ユーザーが検索しているキーワードを調査する
これは、要は市場調査です。ユーザーにニーズがある記事を書かなければ読んでもらえませんし、検索エンジンからも評価はされませんから、ユーザーが検索しているキーワードはどんなものがあるかをあらかじめ調査しましょう。
これには、Googleのキーワードプランナーやサーチコンソールなどのツールを使う方法もあれば、もっと簡単な方法として、Google検索のサジェスト(検索候補)を調べるという方法もあります。
例えば、Googleで「オウンドメディア」と検索すると、「オウンドメディア 作り方」「オウンドメディア 事例」「オウンドメディア デザイン」などがサジェストとして挙がってきます。
こういったキーワードはニーズがあると考えられるので、参考にしましょう。
- 記事タイトルと見出しにそのキーワードを含めるようにする
1.でニーズがあるキーワードがわかったら、そのキーワードを使って記事タイトルを作りましょう。
そして、なるべく記事タイトルと見出しの両方にキーワードを入れるべきです。
というのも、検索エンジンはクローラーと呼ばれるロボットが自動でインターネットを巡回してWebサイトを評価しているのですが、クローラーはあくまでもロボットなので、記事タイトルや見出しを目印にして巡回・評価をしています。
そのため、記事タイトルと見出しにキーワードが入っていると、クローラーにとってわかりやすく、評価がされやすい記事になるのです。
これは非常に古くから言われているSEO対策の基本ですが、クローラーにとってだけでなく、ユーザーにとっても同じことが言えます。大切なことが記事タイトルや見出しに含まれていると、斜め読みでも内容がある程度理解でき、しっかり読むべき箇所が明確になります
例えば、これからオウンドメディアを立ち上げたいと考えているユーザーが「オウンドメディア 作り方」というキーワードで記事を探しているとしたら、「初心者向けオウンドメディアの作り方」というタイトルの記事をクリックしやすいだろうというのは想像できますよね。
記事タイトルにキーワードが入っていれば、クローラーにとってもユーザーにとってもわかりやすい記事タイトルが作れるので、必ずキーワードを意識するようにしましょう。
- そのキーワードについて深掘りしながら本文を書く
2.で記事タイトルと見出しが作れたら、あとはその見出しに従って、1.で調べたキーワードについて深掘りしながら本文を書いていきます。
以前は、本文中のキーワード含有率を高めようといったノウハウもありましたが、現在は通用しません。本文においてはあまりキーワードを意識しすぎず、読みやすくわかりやすい、価値のある記事にすることを意識しましょう。
- オリジナリティを出す
最後に重要なのが、オリジナリティを出すことです。Googleのクローラーは賢いので、オリジナリティのある記事を評価できるようになってきています。
Googleにとって避けたいのは、ユーザーが何かを検索したときに、出てきた検索結果がすべて似たような内容のページばかりで、どれをクリックしても同じことしか得られないという状況です。
現在では、なるべく多彩な内容のページが検索結果に表示されるように調整されており、ユーザーがどれをクリックしても、何かしらの学びが得られるようになっています。
そのため、記事のオリジナリティというのが大切なのです。
SEO対策を意識するあまり、どこかで見たような内容の記事ばかり発信してしまうことのないように心がけましょう。
合わせて、Googleが提唱している検索意図についても理解しておけば、基本的なSEO対策としては十分です。
オウンドメディアの集客方法②Web広告
オウンドメディアの集客方法の2つ目は、Web広告です。オウンドメディアの集客は、基本的にはSEOを軸にして行うことが多いですが、Web広告を活用することももちろん可能です。
リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告のほか、Yahoo!広告のサーチターゲティングあたりも有効な手段といえるでしょう。
ただし、オウンドメディアのメリットと目的である、低コストでの長期的な集客というのを忘れてはいけません。
オウンドメディアの集客がWeb広告依存になってしまっては本末転倒ですので、あくまでもWeb広告による集客は補助的な手段として使うに留めるようにして、SEOを集客の軸として運営を行うようにしてください。
オウンドメディアの集客方法③コンテンツマーケティング
オウンドメディアの集客方法の3つ目は、コンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングとは、SEOに近い概念ですが、少しだけ異なります。コンテンツマーケティングは、自社が本来持っている情報や資産をコンテンツとして発信していくマーケティング手法のことです。
SEO対策を同時に行うこともありますが、コンテンツマーケティングそのものは、自社が持っている資産をそのままコンテンツとして発信していくだけですので、記事を書くこと以外に工数やコストはかかりません。
そして、過去に発信したコンテンツは自社のWebサイト上に蓄積されていくことから、徐々に流入が増えていき、継続的な集客に繋げることができます。
ここまで聞くと、コンテンツマーケティング=オウンドメディアと感じてしまいますが、オウンドメディアという施策自体が、コンテンツマーケティングのひとつと言っても差し支えありません。
コンテンツマーケティングというマーケティング手法の形として、オウンドメディアという手法があります。コンテンツマーケティング自体は、オウンドメディアだけでなく、SNSの企業アカウントやパンフレット、オフィシャルサイトなど様々な形で実施するマーケティング戦略です。
オウンドメディアの集客方法④SNS
オウンドメディアの集客方法の4つ目は、SNSです。SNSは、オウンドメディアと非常に相性が良い集客方法のひとつです。
オウンドメディアで投稿した記事をSNSで拡散することもできますし、SNSのフォロワーをオウンドメディアへ誘導することもできます。
特に、オウンドメディアで時事系の記事を投稿した場合などは、拡散の早いSNSで発信することで、より高い集客効果が見込めることでしょう。
オウンドメディアのマネタイズ方法と集客方法まとめ
ここまで、オウンドメディアのマネタイズ方法と集客方法について一挙に解説してきました。
オウンドメディアのマネタイズ方法は非常に多くの種類がありますが、まずはオウンドメディア自体の集客ができるようにならないとマネタイズするのが難しいのも事実です。
最初はなかなか収益化できずに苦しい時期が続くかもしれませんが、オウンドメディアは、一度軌道に乗りさえすれば、非常に高い費用対効果を上げることができるメディアです。
今回解説したような集客方法を使って、オウンドメディア自体の集客力を底上げして、安定したマネタイズの実現を目指してみましょう。
現実として、きちんとマネタイズできているオウンドメディアはそこまで多くはありません。立ち上げたものの放置されている、消えてしまったオウンドメディアも多く見かけます。
オウンドメディアでマネタイズを行うためには、オウンドメディアを運営し始める前に、どういった方法でマネタイズするのか、そのためにどうやって集客するのかを考えておくことが重要です。