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「Google Maps API」が13年の歴史を経て「Google Maps Platform」に
以前、「店舗型ビジネスの集客はローカル検索で変わる?Googleマイビジネスの活用方」という記事で、Googleがローカル検索、地域に密着した小規模ビジネスに力を注いでいることを紹介しました。ローカル検索を活用することで、小規模ビジネスのマーケティング方法は大きく変わろうとしています。
ローカル検索の中核をなすのは、もちろん「Googleマップ」です。
5月8日、Googleの公式ブログで「Google Maps Platform の提供を開始 : Google マップのビジネス利用がさらに進化」が発表されました。
この発表では、WebサイトにGoogle Mapを埋め込む「Google Maps API」が、「Google Maps Platform」としてアップデートされるということがアナウンスされ、7/16に開始されました。
Google Maps API の提供開始から 13 年が経過し、この間、多くの方が Google マップを利用して自らの業界を変革し、人々の暮らしをより良いものにしてきました。車の乗り方、子供たちにとって最善の学校を見つける方法、新居の探し方はその一例です。次にどのようなことが実現されるのか、楽しみで仕方がありません。
店舗サイトや会社のホームページ、情報サイトなど、「Google Maps API」で地図情報を表示しているサイトは非常に多くあります。そのため、サイトにGoogle Mapが表示されなくなったりして驚いた方も多いのではないでしょうか。
今回は、アップデートされた「Google Maps Platform」の特徴と、確認・対応すべきことについてまとめてみました。
「Google Maps Platform」の特徴
アップデートされた「Google Maps Platform」は、どのような進化を遂げたのでしょうか?
まずはその機能面の進化について見てみましょう。
“進化”と聞くと、より複雑化するような印象があるかもしれませんが、「Google Maps Platform」の場合にはむしろその逆です。「よりシンプルでスマートな使いやすいAPIとして整理された」というのが当たっています。
たとえば、従来のGoogle Maps API は18種類のAPIに分かれていましたが、「Map」「Routes」「Places」3種類にまとめられました。
Maps(マップ)
地表の約99%をカバーするGoogleマップの最もベーシックな機能です。埋め込んだページ上で操作が可能な「動的マップ」や、360度のストリートビューを利用することができます。もちろん、従来のようにマーカーやライン、色、画像をカスタマイズして、サイトのデザインにあった独自の地図を作成することもできます。
Routes(ルート)
ルートの検索、到着までの所要時間を検索できます。全長 4,000 万マイル(約650万キロメートル=およそ地球140周分)もの道路情報をカバーしているGoogleマップだからこそできる、最適な経路の提示が可能です。徒歩で、自動車で、自転車で、公共交通機関で……。あらゆる交通手段をリアルタイムに反映し、正確性の高い所要時間を表示します。
Places(プレイス)
Googleマップには、1億を超えるスポットの詳細情報が登録されており、それらの名前や住所、評価や連絡先や口コミといった情報を表示できます。また、ユーザーが自身の場所を特定したり、電話番号や名前から住所を検索したりすることができます。
3種類にまとめられたからといって、機能が減ったわけではありません。
Googleが発表したように、新しい機能を見つけやすく、簡単に活用できるようになっただけでなく、位置情報をビジネスに活用するための様々な機能が用意されています。
このプラットフォームは最新の API 製品と新しい産業別ソリューションを含んでおり、イノベーションの促進を手助けします。位置情報に基づいた新しい機能や製品の活用を、より簡単に始めることができるようになります。
ユーザーにとってより使いやすい豊かなWebサイトに仕上げるために、ぜひ活用していきましょう。
とはいえ、新しくなった「Google Maps Platform」を活用するにあたっては、いくつか確認しておくべき点があります。アップデートにより、サイトに埋め込んでいた地図が表示されなくなっていることに気づいた方も多いでしょう。今回のアップデートにより、機能面の変更だけでなく、APIキーの取得が必須になったり、料金プランが変更されたりしました。
それでは、これまで通りWebサイトでGoogleマップを利用するために、確認すべきことを見ていきましょう。
「APIキー」の発行が必要です
「『Google Maps Platform』へのアップデート後、ページに埋め込んでいたはずのGoogle Mapが表示されなくなってしまった!」
このような場合に考えられることは、主に以下の2点です。
- 「APIキー」を取得・設置していない
- 無料の200ドル分を超えてしまった
まずは①について
「APIキー」とは、「Google Maps Platform」を利用するためのパスワードのようなものです。
アップデート以前は登録しなくても利用できましたが、今後はこのキーを取得・設置することがサービスを利用するための必須条件となります。
APIキーは、Googleアカウントでログイン後、
GCP(Google Could Platform)で取得・設置を行うことができます。
また、すでにAPIを取得している場合、
「既存ユーザー用ガイド」から、すぐに「Google Maps Platform」に切り替えることができます。
「Google Maps Platform」の新料金体系
次に、②について
Google Maps APIには、一定ロード数(マップの表示回数)まで無料で利用できる「スタンダートプラン」と、有償版のAPIが利用できる「プレミアムプラン」の2つのプランがありました。しかし、「Google Maps Platform」では、プランが一つにまとめられ、従量課金で提供されます(6/11に新料金プランが適用開始)
利用するにあたって、一律で月間200ドル分が無料となります。これを超過すると料金が加算されていくというのが基本システムです。
新料金プラン適用後、すでに無料分を超過してしまっており、「請求先アカウント」の登録をしていない場合には地図が表示されなくなってしまう場合があります。
とはいえ、この理由で地図が表示されなくなることはほとんどないでしょう。Googleでは、「通常ならほとんどのWebサイトは無料で利用できる」としています。これまで「プレミアムプラン」でGoogleマップを利用していたり、「スタンダードプラン」で無料の範囲を超えて利用しているような大規模なサイトについては、請求額に変化があるかもしれません。
細かい「Google Maps Platform」の料金体系については、こちらから確認してみてください。
マップ、ルート、プレイスの料金:https://cloud.google.com/maps-platform/pricing/sheet/
なにやら複雑なことがかかれていますが、Google Maps JavaScript API(独自のコンテンツや画像を使用して地図をカスタマイズが行えるAIP) の場合、1日25000回のロード(マップ表示)であれば無料で利用できます。ストリートビューなどを活用し、よりリッチなマップを表示させる場合は、それより少ないロード数で課金されます。
また、知らない間に高額の請求がこないよう「上限設定」を行うことも可能です。上限設定は、APIキーの取得・設置の際に利用するGoogle Could Platformで行うことができます。
サイト運営の負担を抑えるために、こちらも要チェックです。
まとめ
今回はGoogleマップの利用に関するアップデートをご紹介しました。結論からいうと、今回のアップデートではAPIキーの発行とクレジット情報の登録さえ忘れなければ、ほとんどのサイトに影響はないでしょう。しかし、より気軽にGoogleマップの高度な機能が使えるようになったことも確かです。
Googleマップをはじめ、位置情報を活用したビジネスは非常に重要になっています。
ユーザーはどこかへ行くとき、場所を探すときに、Googleマップで位置情報を確認し、交通手段や費用、時間を調べます。それだけでなく、その場所の混み具合や口コミ、詳細なサービス情報もGoogleマップで知ることが当たり前になってきています。
特にユーザーが実際に足を運ぶ実店舗などのローカルビジネスでは、Googleマップの活用は必須でしょう。これを機にリッチなマップをWebサイトに埋め込んだり、ユーザーとのコンタクトポイントとしてGoogleマップを活用したりしてみてはいかがでしょうか。