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公開日:2021年7月13日/更新日:2022年2月22日
写真や動画を共有しコミュニケーションを楽しむInstagramは、今やSNSの中でも特に注目度が高く、若い世代を中心に多くの人が利用しています。
Instagramをマーケティングツールとして活用している企業も増えており、Instagram広告も日々めまぐるしく進化を遂げています。中でも最近企業が力を入れているのがストーリーズ広告です。
この記事では、自然にリーチを獲得できるといわれているストーリーズ広告の概要と特徴、活用方法を解説します。
また、ストーリーズ広告の成功事例を分析して導き出した、運用やクリエイティブ作成の重要ポイントについてご紹介します。
Instagramストーリーズとは?
ストーリーズとは、投稿後24時間だけ表示され、その後自動的に消えるタイムラインに残らない投稿形式のことです。Instagramの運営会社であるFacebook社(現:メタ・プラットフォームズ)は、日本におけるデイリーアクティブアカウントの70%がInstagramストーリーズを利用していると発表しました。利用率が非常に高い機能なので幅広いリーチが期待できます。
Instagramのストーリーズは通常の投稿と異なり、タイムラインの画面上部に別枠で表示されている「ストーリーズ欄」から投稿します。スタンプやフィルター機能も充実していて、フィード投稿よりも手軽に利用できるため、ストーリーズを使って発信する人が多くなっています。
しかし「24時間経つと消えてしまうのになぜ投稿するのか・・・」と不思議に思う方もいることでしょう。
ストーリーズ投稿の人気の秘密は消えてなくなるからこそ、何気ない瞬間を切り取って気軽に投稿できる点です。写真のインスタ映えなどあまり気にせずに載せられる気安さも魅力といえるでしょう。
また24時間で消滅するという特性を逆に活かして、芸能人のオフショットなど、ここだけでしか見られないような意外性のある投稿を見ることができるのも利点です。
ストーリーズ広告とは?
Instagramが今、最も力を入れている広告が、ストーリーズ広告です。ストーリーズ投稿の1つとして表示されるので、広告として認識されにくく、自然にブランドイメージや訴求ポイントをユーザーに伝えられます。
24時間で消えてしまう通常のストーリーズとは異なり、広告は設定した配信期間中表示され続けるためユーザーの目に留まりやすく、リーチ数を増やす効果が期待できます。
特徴
表示されるアイコンをタップすると、投稿がスマートフォンの全画面に表示されるので、見た人に強いインパクトを残せます。連続で3アカウントのストーリーズを閲覧すると1アカウント分は広告が表示されるようになっているため、ユーザーは自然と広告を目にすることになります。興味がなければ、スワイプすることで簡単にその広告を飛ばせるため、ユーザビリティを妨げにくいのもメリットの1つです。
広告の形式は、動画や画像、カルーセル広告など複数の選択肢があります。動画広告の場合、再生時間は最長で60分、画像広告の表示はデフォルト設定の場合5秒です。カルーセル式は最大10個の動画や画像、リンクを表示できるので、豊富な情報を伝えられる点が強みです。
ストーリーズ広告以外の形式について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
▶︎ 【知っておくべき基礎知識】Instagram広告の種類とサイズ規定
配信の目的
ストーリーズ広告が導入された当初、設定できる目的はリーチ拡大に限定されていましたが、現在は他に、コンバージョン、トラフィック、動画の再生数アップ、アプリのインストールといった目的も加わり、広告主がより使いやすいようにアップデートされています。
Instagram広告の目的について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
▶︎ Instagram広告の「キャンペーン目的」「CTA」を一覧解説
ストーリーズ広告の配信手順
ここでは、Instagramストーリーズ広告の配信設定について紹介します。自社で広告出稿を行いたいという方はぜひ、参考にしてください。
Facebookページとビジネスマネージャーの作成
Instagramストーリーズ広告を配信するためにはFacebookページとFacebookマネージャのアカウントを用意する必要があります。
Facebookページを作成するためには、Facebookの「ページを作成」にアクセスし、下記の手順で入力を進めてください。
1 カテゴリーを選択
2 必要情報を入力
3 「ページを作成」をクリック
4 プロフィール写真やカバー写真を追加し、「保存」をクリック
Facebookビジネスマネージャは「ビジネスマネージャ」にアクセスし、必要事項を入力すればアカウントが作成できます。
広告キャンペーンの作成
キャンペーンの作成では広告の目的を設定する必要があります。リーチ、アプリのインストール、コンバージョンなど様々な項目を選べるので、自社の目的に適したものを選択してください。広告を複数出稿する場合はキャンペーン名を入力することで管理しやすくなります。「次へ」をクリックすると広告セットの作成画面に移ります。
広告セットの作成
広告セットの作成は「予算、配信期間の設定」「オーディエンスの設定」「配置の設定」の順に作業を進めていきます。
①予算、配信期間の設定
広告計画に合わせて金額と掲載期間を入力してください。予算は「1日の予算」と「通算予算」から選択可能です。掲載期間は、開始日時と終了日時が設定できます。
②オーディエンスの設定
オーディエンスの設定画面では、地域、年齢、性別、興味・関心、言語など多様な観点からターゲットの絞り込みができます。自社の狙いに即して設定しましょう。
③配置の設定
配置設定の画面では、FacebookとInstagramのフィードやストーリーズなど様々な場所から配信先を選べます。Instagramのストーリーズのみに広告を出したい場合は下記手順で操作を行います。
1 「手動配置」を選択する。
2 「Instagramストーリーズ」以外のチェックを全て外す。
クリエイティブの設定
クリエイティブの設定は「フォーマットの選択」「メディアの入稿、テキストの入力、CTAの選択」「リンク先の設定」の順で作業を進めます。
①フォーマットの選択
フォーマットの選択では「シングル画像または動画」「カルーセル(複数の画像)」「コレクション」の中から選択できます。入稿したいクリエイティブに合わせたものを選んでください。
②メディアの入稿、テキストの入力、CTAの選択
メディアの入稿画面では「編集」をクリックし広告出稿用の画像か動画をアップロードします。メインテキスト欄には表示させたい広告文を入力します。コールトゥアクションは、「詳しくはこちら」「購入する」「インストールする」「申し込む」などから選択できます。誘導先ページの目的に合わせたものを設定しましょう。
③リンク先の設定
広告をタップまたはクリックした人を誘導するリンク先の設定ができます。商品・サービスの紹介ページ、お問い合わせページなど自社のプロモーション目的に応じたURLを設定しましょう。最後に画面右下の「公開する」をクリックすると審査が開始され、広告配信がスタートします。
ストーリーズ広告の成功事例
ここでは、実際にストーリーズ広告で成功した企業の事例を基に、運用のポイントを解説します。
ANA
多くのアスリート社員が在籍するANA(全日本空輸)は、東京オリンピックに向けたキャンペーンとして、ストーリーズ広告を展開しました。
ストーリーズならではの縦型全画面フォーマットに、著名アスリートの姿を映し出すことでインパクトを高め、3枚の静止画を使いスライドショー形式の動画を作成しました。また、ビジュアルはブランドカラーを引き立たせることでアイデンティティを伝え、さらに画面下部にはロゴやキャンペーンメッセージを常時表示させています。
スポーツイベントの関心層以外にも「スポーツ全般」「ダイバーシティ」に関する興味関心層がターゲットに追加されました。200万人以上にリーチし、単価は目標値よりも85%削減という結果でした。
花王
花王は、シャンプー・トリートメントPYUANの発売にあたり、テレビCMを使わずに、メインターゲットの20代女性に親和性があるInstagramやFacebookを主軸にキャンペーンを展開しました。
ストーリーズ広告では、空想上のキャラクター「赤毛のピュアン」を登場させ、彼女の生活を描くことで、PYUANを使ってみたいと思わせる工夫がされています。メインターゲットである20代女性の特徴をうまく捉えたビジュアルで訴求しているストーリーズ広告です。
キャンペーンの結果、ブランド認知度はプラス10ポイント、購入意向はプラス3ポイント、店頭金額シェア(キャンペーン全体での昨対比、花王調べ)は150%まで伸びました。
ダイキン工業
ダイキン工業は、エアコンを自分で購入する機会が少ない若年層に向けたプロモーションとして、ストーリーズ広告に人気クリエイターのkemioさんを登用しました。
ストーリーズ広告のアンケートスタンプ機能を活用した、クイズ形式で楽しみながら参加できるインタラクティブな広告を展開しました。テーマ自体は「湿度コントロール」という若年層の興味を引きづらいものでしたが、コミュニケーションしやすい仕掛けによって訴求力を高めることに成功したのです。
アンケートスタンプ不使用のクリエイティブと比較すると、クリック率は1.7倍、クリック単価は38%削減、再生単価は17%削減という成果を得ました。
VISA JAPAN
VISA JAPANは、18歳から25歳のヤングミレニアル世代へのアプローチを目的にストーリーズ広告を活用しました。キャンペーンキャラクターにはサーフィンの五十嵐カノア選手を起用しています。
上下二分割の動画を作成し、上部にはブランドロゴや商品、訴求メッセージなどの重要ポイントを常時表示、下部にはアスリートがカードを利用する日常シーンを流しています。スワイプアップのCTAに施されたギミックは、視線を誘導する仕掛けです。
ブランドリフト調査で効果測定をした結果、広告想起率は10.5ポイント、利用意向は3.4ポイントでした。金融業界の平均は広告想起率で6.1ポイント、利用意向では0.9ポイントなので、VISAのキャンペーンはそれらを大きく上回る素晴らしい結果だったと考えられます。
ニフティ不動産
ニフティ不動産は、アプリインストール数の増加を目標にキャンペーンを展開しました。フィードやストーリーズなど広告種類に応じてクリエイティブを改善することで、効果の最大化を狙った取り組みです。
ストーリーズ用に作成した動画はスピード感を重視し、短時間で多くの内観写真をテンポ良く表示させています。動画内にはシンプルなスタンプが配置され、ユーザーが日常的に投稿するストーリーズと似た雰囲気の仕上がりです。
その結果、既存の動画と比較して、リーチ数は4倍、インプレッション単価は70%削減、アプリインストール単価は19%削減、アプリインストール数は23%増加しました。
Instagramストーリーズ広告の活用術
ここでは、ストーリーズ広告を活用する際に、どういう点に意識して配信すればよいかお伝えします。
冒頭の3秒に伝えたいメッセージを入れる
広告は、動画が長すぎたり、訴求したいメッセージが現れるまでに時間がかかったりすると、ユーザーにスキップされる傾向があります。効果的な広告は、長すぎず、冒頭にブランドの要素など一番伝えたいポイントが含まれています。特に、ストーリーズ広告は簡単にスキップされやすいタイプの広告なので、最初の3秒が勝負です。冒頭で商品の魅力を伝えられなければ最後まで見てもらえません。スキップされないためには、最初の3秒でユーザーの気を引くようにストーリーズ広告を作成することがポイントです。
企業の成功事例でも「キャッシュレスならVISAデビット」「住みたい部屋が見つかるニフティ不動産」「赤毛のピュアン」というブランド名や訴求メッセージ、商品画像がストーリーズの開始早々から表示されています。
通常のユーザー投稿に寄せた広告を配信する
Instagramストーリーズ広告は通常のストーリーズ投稿の間に配信されます。なので、広告らしさを感じさせない自然な雰囲気を意識することで、ユーザーの目に留まりやすくなり、リーチ数アップを狙えます。
ニフティ不動産の事例では、簡素なスタンプを使うことで一般アカウントの投稿に似た雰囲気を演出することに成功しています。
広告関連度診断を活用する
広告のパフォーマンスを改善するために、広告関連度診断を活用しましょう。広告関連度診断では「品質ランキング」「コンバージョン率ランキング」「エンゲージメント率ランキング」の3つの指標に分けて評価が行われます。これらの関連度が高い広告ほど低コストで配信できるようになるため、関連度を重視した改善が重要です。コストをかけずに多くの顧客をつかめるようになれば成功といえるでしょう。
ストーリーズ広告に合ったクリエイティブの作り方
ストーリーズ広告では、ユーザーは瞬時に価値を判断し、興味がなければすぐにスキップしてしまいます。では、ユーザーの注目を引き、視聴を維持してもらうためにはどのようなクリエイティブを設定すればよいでしょうか。5つの企業事例を分析し導き出した成功法則をお伝えします。
静止画像より動きのある画像
動きのある広告はユーザーの目にとまりやすく、ストーリーを伝えやすい効果があります。イメージが次々と切り替わるような動画もユーザーの視線を集める方法としておすすめです。
先ほど紹介した企業事例でも花王、ダイキン、VISA JAPANは動画を活用しています。また、ANAの場合は大坂なおみ選手のアップ画像とテニスをプレイしている引き画像を使い、画像で動きを演出しています。ニフティ不動産の場合も背景の内観画像が目まぐるしく切り替わり、スピード感のある仕上がりです。
テキストを入れる位置もポイント!
クリエイティブに商品名やセールの割引額を入れることで、視覚的により伝わりやすくなります。また、テキストの位置もポイントです。広告の投稿では、左上に表示される「Sponsored」に目が行きがちですが、テキストを中央付近に配置すると、視線が中央に集まり、高いパフォーマンスを実現できます。
VISA JAPANと花王のストーリーズ広告でも画面中央付近にテキストが配置されています。
ブランドロゴを動画の冒頭に入れる
ブランドがすぐに認識できるデザインを意識しましょう。新規ユーザーにリーチするためにも、ブランドの認知度を高めるためにも、ロゴの設定は重要です。動画の最初の部分にブランドロゴを入れ、認知獲得を強化していきましょう。
5つの企業事例でもブランドロゴやブランド名は冒頭から常時表示されています。
視覚情報だけで伝わる工夫
ユーザーの聴覚にも訴えかけ、記憶に残りやすくするために音楽や音声の活用は重要です。しかし、移動中に無音でストーリーズを視聴するユーザーも多いため、視覚情報のみでも訴求ポイントを伝えられるようにテキストや画像の配置を工夫しましょう。
5つの企業事例では、ブランド名や訴求メッセージ、商品画像などがバランスよく配置され、音声なしでも十分な情報が伝わってきます。
CTA(Call To Action)を加える
投稿を見たユーザーに即アクションをとってもらうためにも強力なCTAを設定することをおすすめします。広告の目的によってCTAの役割は異なりますが、CTAボタンには「今すぐインストール」などの具体的な文言を入れると効果的です。
VISA JAPANとニフティ不動産の事例ではCTAボタンを目立たせる工夫が施されています。
まとめ
Instagram はストーリーズが導入されたことで、これまでよりも気軽に何気ない日常の瞬間をシェアできる場に変わりつつあります。ストーリーズのユーザーに共感してもらえるようなクリエイティブを提供すれば、ターゲット層に自然な形で情報をリーチさせることが可能です。
SNSマーケティングの世界は日進月歩です。成果を出すためには、常日頃からアンテナを高く張り、最新事例の調査を続ける必要があります。リサーチと試行錯誤を繰り返して広告効果の最大化を狙っていきましょう。
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