【HubSpot】インバウンドマーケティングを進化させる概念「フライホイール」

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【HubSpot】インバウンドマーケティングを進化させる概念「フライホイール」

消費者が自らの意志で企業や商品・サービスを発見し、自らの意志で理解・興味を深めていく。
そのために、消費者にとって最適な内容とタイミングでアプローチすることに重きを置いたマーケティング手法が「インバウンドマーケティング」です。
この概念を提唱し、実現するためのMAツールを提供しているHubSpotが、2018年9月4日から7日にかけて開催した「INBOUND 2018」というカンファレンスを開催しました。
その中で、あらたな製品情報に加え、新しいマーケティング概念「フライホイール」を紹介しました。

今回は、HubSpotが発表した「フライホイール」について、詳しく触れてみたいと思います。

新しいマーケティング概念「フライホイール」が誕生した背景

HubSpotのグローバルマーケティング最高責任者、キップ・ボドナー氏は、自身のブログの中で下記のように述べています。

マーケティング担当者は、コピーやビジュアルに対して深い考えとこだわりを持っています。この考えとこだわりによって、見込み客を掻き立て、セールスファネルを成長させ、顧客に購入を促します。

しかし、マーケティング担当者は、マーケティングについて厳しい真実も知っています。
結局のところ、マーケティング戦略の構築と改良にどれだけの労力を費やしても、常に他の何かが見込み客に影響を与えます。ブログの投稿や広告よりも注目を集め、クリエイティブなセールスビデオよりも刺激的です。

それが、「あなたの顧客の声」です。

引用:HubSpotブログ

インターネットの発達により、顧客の声が持つ力は非常に大きくなりました。「商品・サービスに対する信頼性=顧客の声の量と質」という式が成り立つほどです。

そして、古くから変わることなく、マーケティングの出発点は顧客との信頼を構築することにあります。

従来のマーケティングファンネルは「顧客の声」につながらない

「マーケティングファンネル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「ファンネル」とは漏斗のことで、細い先をビンなどに差し込み、広い上側から液体を流し込む容器のことです。見込み客から顧客へと、ユーザーが絞り込まれていく様子を漏斗に例えて「セールスファンネル」や「マーケティングファンネル」と呼ばれます。

従来のマーケティングファンネルは次のような形をしていました。

画像:HubSpotブログ

広告をはじめとする様々なマーケティング施策により、できるだけ多くの見込み客を獲得する。その後、メールマガジンや営業商談といったセールス施策により絞り込んでいき、最終的に生み出されるものが「顧客」である、という考え方です。

このマーケティングファンネルは、消費者が企業の発信する情報を信頼し、影響されることを前提にしています。
しかし実際には、口コミや既存顧客からの紹介の影響力が高まっており、企業が発信する情報に影響されることは少なくなってきています。

消費者が求める情報と、企業が発信する情報にギャップが生じているにも関わらず、従来のマーケティングファンネルではそのことが考慮されていませんでした。
企業が主体となってアプローチを行い、顧客化したら終わり、というフレームワークです。
この考え方は、インバウンドマーケティングにおいては通用しなくなっています。

画像:HubSpotブログ

この図は、ユーザーが購入に至った際、どの情報がきっかけになったかを調査したものです。
Word of mouth referrals(口頭での紹介)に影響された人が55%、Customer references(お客様の声)に影響された人が46%に対し、Selesperson(営業担当)は22%にとどまっています。

インバウンドマーケティングでは、長期的な信頼を構築することを重視してきました。しかし、お客様の声を反映せずにインバウンドマーケティングを実施していた場合、最大の成長機会を逃してしまいます。
マーケティングチームが今考えるべきことは、すでにあなたの商品・サービスを信頼している人々、つまり既存顧客についてです。すべてのマーケティング担当者は、顧客との話し合いに真剣に耳を傾ける必要があります。
マーケティング担当者が投稿したブログ記事やメールよりも、顧客の声やビデオインタビューを活用することができます。セールスポイントについて話して時間とエネルギーを無駄にするのを止め、代わりにすでに言われていること(口コミやレビュー)のを活用してください。

引用:HubSpotブログ

これからのマーケティングは、企業が戦略を練って進めていくというよりも、優良な顧客と協力して作り上げていくものです。

顧客を中心に置いた「フライホイール」は、信頼を生み出す

新しく提唱された「フライホイール」は次の図のようにあらわされます。

画像: HubSpotブログ

マーケティングにおける「フライホイール」は、顧客を中心に、マーケティング、セールス、カスタマーサービスが周囲を回ります。

肝心なことは2つあります。1つは、カスタマーサービスに価値が置かれ、それが次のマーケティングにつながっていることです。
カスタマーサービスとは、顧客との関係を良好にするためのあらゆる活動を指しています。そして、良好な関係を築いた顧客は、SNSでの投稿や自身のブログ、友人への招待など、「顧客の声」を生み出してくれます。
それが、次のマーケティングの原動力になり、マーケティング、セールス、カスタマーサービスのサイクルがどんどん加速していきます。

もう一つは、顧客が中心に置かれていることです。従来のマーケティングファンネルでは、顧客を「ファンネルを通して抽出されたビジネスの成果物」と定義していました。
しかし、フライホイールでは、顧客を中心に置き顧客のためのマーケティング、セールス、カスタマーサービスのサイクルを回します。

一見すると、マーケティングファンネルを丸型にしただけのように見えますが、顧客が持つ影響力を最大限生かすための概念となっています。

インバウンドマーケティングでのフライホイール

フライホイールは、図の通り真ん中に顧客がいて、その周囲を企業活動が回転するように動きます。
この時、顧客と企業活動の間に摩擦を生じさせないことが重要です。

摩擦を無くすとは、具体的にどういうことでしょうか。
例えば、問い合わせ対応があります。従来は営業時間や担当者の人数といった制約があり、顧客に最適なカスタマーサービスを提供できていなかったかもしれません。
しかし、MAのワークフローを活用した個別アプローチや、AIのチャットボットを使った自動案内により、顧客とカスタマーサービスの間のストレスを減らすことができます。

顧客との摩擦を減らすために企業が考えるべきことは、「適切なユーザーに、適切なタイミングで、適切な情報を届けられているか」ということです。これはまさしく、インバウンドマーケティングの考え方です。

フライホイールは、インバウンドマーケティングをより効果的に実施できるよう視覚化したものといえるかもしれません。

まとめ 口コミはBtoCだけではない

HubSpotが開催した「INBOUND 2018」では、様々な新機能をはじめ、今回紹介したフライホイールのような新しい概念が発表されました。
しかし、最も興味深い発表は、HubSpot導入企業を対象に実施されたアンケートで、「HubSpotをどこで知ったのか」という問いに対して 「口コミ」が最も多かったことです。

HubSpotは、MAやSRMといったBtoB向け商材を取り扱う企業です。
口コミがファッションやエンターテインメントなどBtoCで重要であることは周知の事実です。だからこそ、BtoB企業では口コミをはじめとする顧客の声を重要ししてきませんでした。
しかし、HubSpotの発表にあるように、顧客の声は業種に関係なく重要になってきています。

「既存顧客が、営業担当者と同じかそれ以上の影響力を持っている」
「既存顧客の満足度を高めることで、ビジネスが成長する」

顧客を中心においたフライホイールという概念が登場した理由には、こうした企業と消費者の関係性の変化があります。

「INBOUND 2018」では、MAのマーケティング機能の様々なアップデートも発表されました。
それらについても、取り上げていきたいと思います。