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都心にお住まいの方なら、電車やバスの車内、駅ナカなどに設置されたモニターで動画広告を見たことがあるのではないでしょうか?これらは鉄道広告(モニターを使った動画広告は特にデジタルサイネージ)と呼ばれる広告です。
大都市圏は鉄道利用者数が多く、通勤・通学者の鉄道接触率は、テレビ接触率と近い値になっています。しかも、広告費はテレビより安い傾向にあるので、ターゲット層によっては費用帯効果の高い広告媒体となっています。
この記事では、交通広告・デジタルサイネージの市場規模から、他の広告と比較したメリット・デメリット、効果的な使い方まで解説していきます。交通広告・デジタルサイネージの出稿を検討している方、気になっている方はぜひ参考になさってみてください。
交通広告・デジタルサイネージとは
交通広告は、屋外広告(OOH=Out Of Homeメディア)の1種類で、主に電車・バス・タクシーなどの交通機関や、その関連施設(駅構内など)に設置されている広告のことです。
デジタルサイネージは交通広告の1種類で、交通機関内や関連施設に設置されたディスプレイに映像や音を使った広告を放映します。東京でいえば、山手線内のトレインチャンネルなどが有名です。顔認識やタッチ操作ができるタイプなどさまざまな種類のデジタルサイネージがあります。
(デジタルサイネージは交通広告以外でも使われますが、このページでは交通広告関連のもののみを扱います)。
交通広告・デジタルサイネージの市場規模
電通の調査によると、2019年の日本の交通広告費は2,062億円で、広告費全体の約3%でした。
また、こちらは別の調査になりますが、2019年の日本のデジタルサイネージの広告費は749億円、その内交通関係は480億円の見通しとなっています。デジタルサイネージの広告費が交通広告費全体に占める割合は、約23%です。
前年比で見ると、交通広告費は約101.8%、デジタルサイネージの交通広告費は約111.9%。電車・バスの中吊り広告費などが落ち込む中、デジタルサイネージの伸びが交通広告費全体を押し上げています。
このことから交通広告を検討されている方は、デジタルサイネージへの出稿を検討されることが良いと言えるでしょう。
(出典:2019年日本の広告費)
(出典: 2019 年のデジタルサイネージ広告市場規模は 749 億円の見通し、 2023 年には 1,248 億円と予測)
テレビCM・ネット広告と比べた場合のメリット
交通広告・デジタルサイネージは、数ある広告のうちの1種類です。
テレビCMやネット広告と比べた場合の、交通広告・デジタルサイネージの特徴(メリット・デメリット)にはどんなものがあるかを下表にまとめました。
費用 | ターゲティング | 効果測定 | 必要な運用スキル | |
交通広告(電車内の中づりポスターの例) | 数十万円~/1週間 ※1 | エリアごとのターゲティングに強い | 難しい | 低 |
駅のデジタルサイネージ | 数十万円~/1週間 ※2 | エリアごとのターゲティングに強い | 難しい | 低 |
テレビCM | 数十万円~/1本 ※3 | 時間帯や放送局でのターゲティング | 測定可能 | 低 |
ネット広告 | 数十円~/1クリック | 細かなターゲティングが可能 | 細かく測定可能 | 高 |
※1.2.(出典:交通広告 あなたの知らない交通広告のひみつ)
【費用】テレビCMより安い!
交通広告・デジタルサイネージの費用は、15秒間の広告放映×1週間あたりで10万円~数百万円程度になります 。出稿する鉄道によって金額に大きな差が出ますが、全体的に見ると、テレビ広告よりは少ない費用で放映することが可能です。
2019年に行われたJR東日本の調査によると、首都圏の学生や勤め人の方の接触率では、テレビと鉄道が近い値になっています。そのため、首都圏の学生・勤め人がメインターゲットの場合は、高い費用対効果を狙えるかもしれません。(ただし、2020年現在は新型コロナウィルスの影響で鉄道接触率が減少しています)
また、通勤・通学する方の多くは、毎日同じ時間帯・同じ路線・同じ駅を使うことが多いので、出稿している期間は反復して接触することができます。
駅のホームで電車待ちしている間や電車乗車中などは強制視認性が高い上に、テレビ番組の途中やYouTube動画の途中に差し込まれるCMなどとは違い、嫌われづらい点も大きなメリットです。
(出典:交通広告 あなたの知らない交通広告のひみつ)
(出典:JEKI MEDIA GUIDE)
【ターゲティング】エリアを指定できる!
交通広告・デジタルサイネージは、出稿する電車・バスの路線、駅などを選ぶことで、届けるエリアを絞ることができます。
たとえば実店舗の広告を出したい場合は、店舗の最寄り駅のデジタルサイネージや、最寄り駅に止まる電車内に出稿することで、店舗の認知度UPや来店につなげることができます。
ネット通販している商品の広告の場合でも、広告を目にしたその場で、スマホで検索したり商品を購入してもらうことも可能です。広告内に「〇〇で検索」と記載しておけば、広告を見てから販売ページに辿り着くまでがスムーズになりますし、うまく使えばSEO的なメリットも見込めます。実際、駅・電車利用中に月間1回以上ネットショッピングサイトを見たことがある人は51.9%いて、そのうち、29.0%の人が駅・電車利用中にネットショッピングで買い物をしたことがあるデータもあります。
ただし、交通広告・デジタルサイネージは、ネット広告のように年代・性別・趣味嗜好などで細かくターゲットを絞ったり、リターゲティングのような「追跡」ができるわけではありません。広告媒体を選ぶ際には、どの程度細かいターゲティングが必要なのかも含めて、どこに出稿するかを検討することをおすすめします。
テレビCM・ネット広告を比べた場合のデメリット
【効果測定】効果測定がしづらい
広告の中で、細かな分析ができるのはやはりネット広告です。
ネット広告なら
・配信面
・検索キーワード
・閲覧者の属性
・直帰率
など様々なデータを取得することができます。さらに、各媒体の管理画面などでいつでも確認することができるため、費用をかけて他社に依頼せずに自社で分析することも可能です。
最近ではテレビをインターネットにつなげている家庭も増え、テレビCMの効果測定も精度が上がっています。
交通広告やデジタルサイネージも、カメラとIoT機器を設置して解析するなどを行っている例もありますが、まだ全体としては効果測定が難しい広告となっています。
【運用スキル】運用スキルで差を出すのが難しい
先述のとおり、交通広告・デジタルサイネージは、効果測定が難しい広告です。
細かな分析ができれば、運用スキル次第で広告効果を高速で上げていくことも可能ですが、交通広告・デジタルサイネージの場合は難しいところです。
ただし広告代理店によっては独自の効果測定をして、そのデータを活かした運用を行っているところもあるため、効果測定が得意な広告代理店を見つけると上手に活用できるでしょう。
交通広告・デジタルサイネージの効果的な使い方
交通広告・デジタルサイネージのメリットを活かした、効果的な使い方をいくつか挙げていきます。自社サービスの特徴や広告配信の目的を明確にして、適切な方法を取り入れてみてください。
他の広告と同時期に出稿する
交通広告・デジタルサイネージを、他の広告と組み合わせて使うことで、訴求効果をより高めることができます。
テレビCMと同時期に出稿すると、朝通勤前にテレビCMを見る⇒通勤時の駅ナカや電車内でCMを見る⇒帰宅時の駅ナカや電車内でCMを見るというように接触率を高めて反復訴求することが可能です。
テレビCMと組み合わせる手法は、いっきに認知促進を広めたいキャンペーンや新商品のアピール等におすすめです。
新規出店時やセール期間に合わせて出稿する
交通広告・デジタルサイネージは、1週間単位から出稿することができるので、店舗のオープン日やセール期間に合わせて出稿するのが効果的です。
リーセンシー効果(直前に接触した広告が購買行動につながる効果)も高い広告であるため、駅や電車内で広告を見て、すぐに来店・購入につながることも期待できます。
他の広告でリーチできない層を狙う
ネットもテレビも見ないという人は少数派ではありますが、ネット広告を嫌う人、テレビとネットをながら見する人など、他の広告で十分に訴求するのが難しい層がいるのは確かです。
交通広告・デジタルサイネージは強制視認性が高い広告なので、上記のような、他の広告ではリーチできない層を狙うのも効果的です。
交通広告・デジタルサイネージ利用に向いている商品の例
ここまで解説してきた「メリット・デメリット」「効果的な使い方」を踏まえて例を挙げると、交通広告・デジタルサイネージ利用に向いている商品には、下記のようなものがあります。
・特定の駅の近くで営業している店舗(特に新店オープンやセール期間など)
・駅や路線利用者の属性にマッチした商品(秋葉原駅にマンガ・アニメ関連の商品広告を出すなど)
・スマホからすぐにアクセス・購入してもらいやすいECサイトやアプリ
交通広告やデジタルサイネージの活用法 まとめ
交通広告・デジタルサイネージは、
・駅や交通機関で反復訴求できる
・強制視認性が高く、しかも嫌われづらい
・エリアやターゲット層を絞って広告を届けることができる
・テレビCMより費用を抑えることができる
といったメリットを持った広告です。
他の広告でリーチできない層を狙う、他の広告と組み合わせて使うなど、使い方次第で大きな訴求効果が期待できるので、貴社の商品をターゲットユーザーに届ける一手段として検討してみてはいかがでしょうか。