【アトリビューション分析とは?】効果を正確に評価する広告アトリビューション分析

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【アトリビューション分析とは?】効果を正確に評価する広告アトリビューション分析

Web広告に限らず、何かのプロモーションを実施するとき、それぞれの施策を正確に評価することは欠かせません。
一見、成果に繋がっていないプロモーションを停止したとたん、全体の費用対効果が悪化してしまった、ということはよくあることです。

今回は、広告施策を正確に評価し、目標達成するために欠かせない「アトリビューション分析」を紹介します。

アトリビューション分析について、「Webマーケティング用語集-広告評価指標編」でもご紹介しています。

広告のアトリビューション分析ではコンバージョンに至った経路を評価する
現在、多くのユーザーはスマートフォン、タブレット、PCを複数台使い分け、様々なSNSやWebサイト、アプリを通じて情報収集しています。最終的に検索広告でコンバージョンしたとはいえ、その前にTwitterで広告を見かけたり、YouTubeの動画広告でサービス名を認知していたかもしれません。最終コンバージョンだけを評価した場合、Twitter広告や動画広告をやめて検索広告に注力することが正解に見えますが、実際にはそうではありません。
広告成果のアトリビューション分析を行うことで本当に成果につながる顧客行動プロセス見て評価することができます。

広告のアトリビューション分析をしないリスク

これまでのWeb広告は、媒体ごとにラストクリック(最後にクリックされた広告)型のコンバージョン計測手法を活用してきました。そのため、ラストクリックでかかった広告費とコンバージョン数から、CPA目標を掲げて運用することが主流でした。
CPAについて詳しくはこちら 【費用対効果を改善する3つのコツ】運用型広告のCPAについて
しかし最近では、SNS広告やDSP広告、その他様々なネットワーク系の広告媒体が普及しました。
そのため、1人のユーザーがコンバージョンしたにも関わらず、様々な媒体に接触したため重複してコンバージョンが計測されてしまう「重複コンバージョン」の問題が徐々に深刻になってきました。
重複コンバージョンの問題は、コンバージョン数が正確に測れないだけでなく、それぞれの広告をどう評価すべきかが曖昧になるということにも繋がっています。
広告を出稿したことがある方は、一度は経験があると思いますが、広告の費用対効果が悪くなるとすぐに広告を縮小させたり、停止させたりといった対応を取りたくなります。
コストを費やしてもコンバージョンに繋がらなければ、成果に繋がりにくい広告を抑制することが一般的な運用です。無駄になっている広告を抑制すれば、一時的には問題が解決するからです。
ユーザーの質や広告効果の検証よりも、結局目先のCPA(費用対効果)に振り回される運用者は少なくありません。
しかしながら、それは正しい対応なのでしょうか。
アトリビューション分析を行い、本当に効果的な広告が何なのかを知れば、このように安易な判断は出来なくなるでしょう。
ユーザーの行動が多様化する中、一つの広告手法だけで成果が出ることは少なくなっています。
ユーザーは様々なメディア、方法で情報を得ており、それぞれ違った影響を受け取ります。
ラストクリックのCPAだけでなく、ラストクリックに至るまでに影響を与えた様々な手法も評価するアトリビューション分析が重要になっています。

アトリビューション分析の重要性

アトリビューション分析では、個別ユーザーが「どの媒体に」「いつ接触して」「どのような経路を辿って」「最終CVに至ったのか」を、媒体を跨いでユーザー単位で見ていくことができます。
それにより、ユーザーがどのような経緯でコンバージョンに至ったか、背景を読み解くことが可能です。
アトリビューション分析には、アトリビューションモデルと呼ばれる評価手法があります。
画像:marketo アトリビューションモデルには「ラストクリックモデル」「起点モデル」「均等配分モデル」「減衰モデル」「接点ベースモデル」がある 画像:marketo アトリビューションモデルには「ラストクリックモデル」「起点モデル」「均等配分モデル」「減衰モデル」「接点ベースモデル」がある

アトリビューションモデルには「ラストクリックモデル」「起点モデル」「均等配分モデル」「減衰モデル」「接点ベースモデル」などがあります。「ラストクリックモデル」は従来の「コンバージョンに至ったクリックだけを評価する」手法です。ブランディングが重要な場合は「起点モデル」を使い、コンバージョンに至った最初の接点を評価します。そのほか、商材の特徴や広告の目的によって様々なアトリビューションモデルを使い分けます。

アトリビューションモデルを取り入れず、ラストクリックのみを評価すると、最終の刈り取り段階で効果を発揮するリスティング広告やリマーケティング広告を過大に評価してしまうことになります。

逆に、DSPで新規ユーザーへアプローチするキャンペーンは、刈り取りに向かないため過小評価してしまうでしょう。実際には、新規ユーザー接触率が高く、リマーケティング広告に大きく貢献しているかもしれないのにです。

ラストクリックのみで広告の評価を下すということは、獲得効率のいいキャンペーンに予算を投じ、初回接触を創出できるものの獲得に向かないキャンペーンの予算を減らす、ということになります。

もちろん、獲得効率のいいキャンペーンに予算を投じることで、費用対効果は回復します。しかし、新規ユーザーの集客予算を減らすと、必ずどこかで頭打ちになります。
頭打ちになってからまた新規ユーザーを取りに行ってもアトリビューションモデルを用いて評価しない限り、また同じことの繰り返しになります。
広告は、単体で見るのではなく、全体で見て評価することが大事です。

ここでアトリビューション分析を行わなかった企業の失敗例をご紹介します。

この企業は、アトリビューションという考え方に理解は示しつつも、最終的にはラストクリックへの関与の度合いとCPAをもとにして媒体を評価し、広告を停止・抑制する判断をしました。それにより、コンバージョンが獲得しやすい媒体に集中して出稿することになりました。

その結果、1ヶ月後には売上・コンバージョン数を維持したまま、CPAが抑制されROASも向上しました。
これで大成功かと思ったのも束の間、1.5ヶ月後にはセッション数が減少し始め、それにあわせて売上もダウンしていくことになってしまいます。

売上とセッションやコンバージョン数を紐づけて考える

詳しく調べてみると、次のような状況になっていました。

  • 自然検索で売れていると考えていた重要商品の売上がダウンし、重要商品を含むカテゴリ全体の売上もダウン。
  • 自然検索、とくにコンバージョンの多かったYahoo!からの流入が日に日に減少。
  • 自社リスト(メルマガ会員)の売上が、配信数を増やしたにもかかわらずダウンし、客単価もダウン。

さらに調べてみると、次のような状況も見られました。

  • 戦略外商品(トップページにバナーを置かない商品)の売上がダウン。
  • サイト内検索の検索回数が減少。

まさに大惨事と言ってもよいような状況に陥ってしまいました。

原因の多くは、自然検索に繋がっていた広告を過小評価してしまったこと。つまりラストクリックでしか評価していなかったことにあるでしょう。これだけ広範囲に影響が出たのですから、停止した広告は非常に幅広いシーンでユーザーの行動に影響を与えていたと考えられます。

このことからも分かるように、短期的な目線だけで行った費用対効果重視の広告運用は、長い目で見ると売上ダウンに繋がってしまうケースが少なくありません。

事業はスケール(量・規模)とパフォーマンス(質・効率)のバランスです。このようにパフォーマンスばかりに目を奪われては、スケールが縮小して立ち行かなくなってしまいます。

アトリビューション分析の活用法

アトリビューション分析は、ラストクリックの分析に比べて非常に手間がかかります。自分でアトリビューション分析のレポートを作成しようとすると時間も掛かりますし、複雑化して何を評価すべきか分からなくなってしまうかもしれません。

しかし、アトリビューション分析ツールを使えば、意外と簡単に分析が可能です。
以前よりも安価なツールが多数ありますし、アトリビューション分析の種類も複数あるので、比較的自由に設定・分析が可能です。

特に広告運用に活用しやすい指標として、コンバージョン経路の確認や広告に接触してからコンバージョンするまでの期間(リード期間)の分析があります。
コンバージョン経路を知ることで、その経路を強化するプロモーション戦略の立案や、ユーザーの行動に大きく影響を与えた広告を知り、比重を上げるといった調整が可能です。
コンバージョンするまでの期間を把握できれば、リマーケティング広告のフリークエンシー(接触回数)の調整や、MAを用いてユーザーごとにアプローチ方法を変えることも可能です。

アトリビューションモデルを考えるとマーケティングオートメーションの戦略立案やフリークエンシー、リマーケティングといった広告施策に繋がる

広告の目的は商品購入や問い合わせかもしれません。しかし、最終ゴールは会社の売上を上げることなのではないでしょうか。

つまり、一時的にコンバージョン数が増える事よりも、何度も利用してくれるリピーターを増やしたり、顧客単価を上げることを考えた広告運用が最も重要です。
アトリビューション分析を適切に行えば、リピート率や顧客単価が高いコンバージョン経路を知ることもできます。

データ分析の目的は、”データを分析する”ことではありません。いかに質の高いユーザーに漏れなくアプローチし、会社の売り上げを伸ばすか、それを実現するための根拠やコツを見つけることが目的です。
目先の利益だけでなく、長期的目線で広告を適切に評価することで、広告運用の先にある目標を達成できるもしれません。

果を正確に評価する広告アトリビューション分析まとめ

アトリビューション分析による最適化施策は、難しいと感じている方が多いかもしれません。
豊富なデータ分析・マーケティング知識、ビッグデータと関連付けて考え、自社で取り組むには大きすぎるテーマだと思われるからでしょう。

しかし、今回のようにアトリビューション分析と広告施策の最適化を実現するプラットフォームは数多く登場しています。取り組む上でのハードルはここ数年でぐっと下がってきています。

まずは、自社のキャンペーン状況を冷静に見直すという意味でも、アトリビューション分析に対応したツールの導入検討を進めてはいかがでしょうか。

代表的なアトリビューション分析ツールには以下のようなものがあります。どのツールでも、広告プロモーションを最適化するために必要な様々なデータを取得できます。
広告費の一部をツール導入にスライドさせるだけでも、全体の費用対効果向上は見込めるでしょう。

【ADPLAN】
https://www.adplan7.com/

【Usergram】
https://www.bebit.co.jp/usergram/

【ADEBiS】
https://www.ebis.ne.jp/customer_journey/

アトリビューション分析にお困りの際は、ぜひお問合せください。私たちは、アトリビューション分析ツールを用いた広告運用の最適化をご提案いたします。