【Google広告】マッチタイプ変更!?絞り込み部分一致を廃止

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【Google広告】マッチタイプ変更!?絞り込み部分一致を廃止

以前、Grabでは「Google検索広告のキーワード「マッチタイプ」完全ガイド」という記事で、Google検索広告で使える4つのマッチタイプ「完全一致・フレーズ一致・絞り込み部分一致・部分一致」を紹介しました。

Google検索広告の強みは、キーワードのマッチタイプを活用することで、無駄なくリーチを最大化できる点にあります。そのマッチタイプが今年7月、大きくアップデートされます。結果としてはGoogleの機械学習の精度が高まり、よりシンプルに運用できるようになりますが、すでにマッチタイプを活用されている広告運用者は対応に迫られるかもしれません。

現在Google検索広告を運用されている方はもちろん、これから運用しようと考えられている方も、マッチタイプの変更内容と、アップデートまでにやるべきことを把握しておきましょう

Google検索広告マッチタイプ変更の内容

2021年2月4日、Google広告ヘルプで検索広告のマッチタイプに関するアップデート内容が発表されました。その中では「フレーズ一致と絞り込み部分一致がしばしば同様の用途で使用されている」「両者を組み合わせれば広告主に適したさらに多くのユーザーへ広告を配信できる」という理由から、これまでのマッチタイプ「フレーズ一致」と「絞り込み部分一致」を統合して、「フレーズ一致および絞り込み部分一致」に変更するということが書かれています。

具体的にどういった影響があるのかを見ていく前に、まずはアップデートの内容を把握しましょう

これまで4つあったマッチタイプの一部が統合され、3つのマッチタイプに変わります。これまでは運用担当者によっては「絞り込み部分一致とフレーズ一致をどう使い分けたらいいんだろう?」「この2つを使い分けることで細かくターゲティングできるけど、管理が複雑になる」といった課題があったかもしれません。

今回のアップデートでは、そうした課題に答えるため、ほとんど同じ目的で使われ、統合することでより効果的な運用が可能になる新しいマッチタイプが登場します。厳密には、フレーズ一致の機能が拡張され、絞り込み部分一致が段階的に終了していきます。

これまでのマッチタイプ新しいマッチタイプ
完全一致

フレーズ一致

絞り込み部分一致

部分一致

完全一致

フレーズ一致(新バージョン)

部分一致

 

もともとフレーズ一致は「指定したキーワードが同じ順序で検索語句に含まれる場合に広告が表示されるもの」で、絞り込み部分一致は「指定したキーワードが順序に関係なく含まれる場合に広告が表示されるもの」でした。

具体的には、次の表のようになります。

▼フレーズ一致の場合

出稿キーワード“エアコン 安い“
表示されるエアコン 安い

エアコン 安い 性能

エアコン 安い おすすめ

表示されない安い エアコン

エアコン おすすめ 安い

エアコン 格安

クーラー 安い

▼絞り込み部分一致の場合

出稿キーワード+エアコン +安い
表示されるエアコン 安い

エアコン 性能 安い

安い エアコン

エアコン 修理 安い

表示されないエアコン 格安

クーラー 安い

上記の場合「安い エアコン」という検索語句が表示されるかどうかが、フレーズ一致と絞り込み部分一致の違いです。しかしこの例で分かる通り、語順が違っても多くの場合は同じ意味になります。「引っ越し 大阪」も「大阪 引っ越し」も意味は同じでなので、多くの場合は絞り込み部分一致が活用されていました。

フレーズ一致を活用する機会は、語順で意味が変わる場合に限られていました。逆に言うと今回のアップデートにより、語順が重要になる場合、フレーズ一致で指定することができなくなります。

今回の変更はGoogleの機械学習に関する精度が高まり、語順によって意味が大きく異る検索意図を除外できるようになったとも考えられます。実際、Google広告ヘルプ「キーワードのマッチタイプについて」のページでは次のように説明されています。

キーワードと同じ意味の内容を含む検索が広告の表示対象になります。文言に差があっても、同じ意味に解釈できる場合は一致と見なされます。また、キーワードよりも具体的な情報を追加した検索も一致します。フレーズ一致は、デフォルトの部分一致よりもターゲットを絞り込むことができますが、完全一致よりは柔軟です。フレーズ一致を使用すれば、自社の商品やサービスを探している可能性が高いユーザーに広告を表示しつつ、さらに幅広いユーザー層も取り込むことができます。

引用:https://support.google.com/google-ads/answer/7478529?hl=ja

語順が違っても広告出稿の対象となりますが、あくまでも「同じ意味に解釈できる場合は」となっています。

なのでフレーズ一致ができなくなったと考えるよりは、絞り込み部分一致の良さを取り込んだフレーズ一致に進化したと考えたほうがいいでしょう。

マッチタイプ変更の影響とアップデートに備えた対応

マッチタイプの変更内容は2月に公開され、徐々に管理画面に反映されていき、7月には全世界でアップデートが完了する予定です。日本でも6月から順次アップデートが始まっており、既に管理画面が切り替わっているアカウントもあるでしょう。7月中には絞り込み部分一致にキーワードを追加することができなくなるので、できるだけ早く対応を進めていきましょう。

まず、Googleが明らかにしている変更スケジュールや内容を確認しておきましょう。

詳しくはGoogle広告ヘルプの「フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について」を確認してください。

まとめると次の2つになります。

  1. 7月中に従来の絞り込み部分一致でキーワードを追加、編集することはできなくなる。
  2. アップデート後も絞り込み部分一致を変更する必要はないが、マッチタイプの動作はすべて新しいフレーズ一致と同様になる。

絞り込み部分一致で入稿している広告を、フレーズ一致に変更する必要はありません。なので何か対応をしないと広告が止まるなど致命的な影響はありませんが、絞り込み部分一致の動作が新しいフレーズ一致と同様になる点には留意が必要です。

こうした変化に対応するため広告運用担当者ができることは、大きく4つあります。

1.新しく入稿する際はフレーズ一致を利用する

アップデート前であれば、絞り込み部分一致で入稿することができますが、極力フレーズ一致で入稿するようにしましょう。まだ絞り込み部分一致が使えるとはいえ、特別な理由がない限りはアップデート後を想定して入稿したほうが効率的です。

2.絞り込み部分一致にキーワードを追加する

絞り込み部分一致に入稿しているキーワードを確認し、アップデートによってリーチの減少が考えられる場合はキーワードを追加しましょう。

Google広告ヘルプでは「引越しサービス 神奈川から東京まで」というキーワードの例で紹介しています。これまでは「+引っ越し +サービス +東京 +まで +神奈川」と設定していた場合、語順を考慮しないので「引越しサービス 神奈川から東京まで」という検索キーワードにも表示されます。

しかしアップデート後は「引っ越し サービス 東京 まで 神奈川」という新しいフレーズ一致になります。意味を考慮すると、「東京から神奈川まで」と「神奈川から東京まで」では齟齬が発生するため表示されなくなります。

このように語順に関係なく出稿したい場合はフレーズ一致で新しくキーワードを入稿する必要があります。

3.語順が重要になる場合は除外キーワードを追加する

上2つは現在絞り込み部分一致を利用している場合の対応ですが、フレーズ一致を利用している場合も対応が必要になります。これまでのフレーズ一致は間に別の単語が入ったり、語順が入れ替わったりした場合に表示されませんでした。しかしアップデート後は意味が同じであれば間に別の単語が入っていても、語順が違っていても表示されるようになります。

Googleの機械学習により、意味が異なる場合は表示されませんが、念のため、語順によって意味が異なるものは除外キーワードを追加したほうが良いかもしれません。

4.重複するキーワードを削除する

アップデート後は、既存の絞り込み部分一致と新しいフレーズ一致が基本的に同じ動作となります。そのため、現在は理由があって絞り込み部分一致とフレーズ一致を使い分けている場合も重複出稿となってしまうため、絞り込み部分一致を削除しましょう。

確認していくのは大変そうですが、アップデート後はアカウントの最適化案でキーワードの重複が表示されるようになるので、それが出てから随時対応していきましょう。

まとめ:検索広告はよりAI重視に

今回は2021年7月に完了するマッチタイプのアップデートについて、その内容と対策を紹介しました。

キーワードのマッチタイプは理解するのが難しく、重要な機能ですが高度な運用スキルが求められる分野でした。今回のアップデートでマッチタイプが3つになり、簡素化されたことで、広告運用者の負担を減らすことができるでしょう。

Googleの機械学習によりこれまで人がフレーズ一致で指定すべきか、絞り込み部分一致を使うべきか考え、それぞれ活用していたものが、AIによって判断できるようになったからです。

これはSEO業界がキーワード単位の判断から、よりユーザーの検索意図を汲み取るように変わってきたのと同様に、良い変化です。

一方で、フレーズ一致と絞り込み部分一致を高度に使い分けていた運用担当者にとっては、やりづらくなります。キーワード、フレーズ単位の出し分けや管理が難しく、そうした判断の多くをAIに任せることになってしまうからです。

検索キーワードは多様化しており、それらをAIが全て正しく判断できる保証はありません。これまで以上に実際の検索クエリを確認し、除外やキーワードの追加を細かく行う必要が出てくるかもしれません。

マッチタイプが統合されることにより、アカウント管理がシンプルになる反面、精度の高い運用をするにはこれまで以上の工夫が求められるということです。

また、キーワード単位での差別化が難しくなるため、広告で成果を上げるには広告文や広告表示オプションなど、クリエイティブ面の工夫も求められるようになるでしょう。

現在検索広告を運用されている方はもちろん、これから運用を考えられている方も、新しいマッチタイプを把握し、広告成果を上げるために活用してください。