UI/UXはWebデザインの重要な概念です。多くの人が日々Webデザインに触れるようになった今、UI/UXは一番重要な指標といってもいいかもしれません。しかし、UI/UXは広大な概念で、簡単に「こうすればいい」と言って実践できるものでもありません。

UI/UXデザインを学ぶなら、本を読むのがおすすめです。私自身、少しでもUI/UXデザインに悩んだら、本を読むようにしています。本は、効率よく知識を吸収できる心強い味方です。
近年、UI/UXデザインは注目されており、関連書籍が数多く出版されています。その中からどの書籍を読めばいいのか悩んでいる方も多いはず。そこで、今回はデザイナー目線からUI/UXの理解を深める良書をまとめてみました。

インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針

UIデザインの定番書籍といえば「インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針」です。
著者のスーザン・ワインチェンクは、ヒューマン・ファクターズ・インターナショナル社のUXストラテジー部門の責任者および心理学の博士です。心理学の研究をデザインに応用する方法を30年に渡って研究し続けています。本書は、そんな彼女のTipsが詰まった一冊です。

本書のTipsはすべて実験・調査をもとにした客観的根拠があります。裏付けのあるデータだからこそ、実践で生かす際に役立ちます。それでは簡単に中身を見ていきましょう。

・大文字がもともと読みにくいものであるという説は誤りである
・選択肢が多いほうが思いどおりになっていると感じる
・意思決定には気分も影響 など

このようにUIデザインに役立ちそうな、100のTipsが本書に詰まっています。UIデザインと聞いて、まず何をしていいのかわからない方に本書で体系的に学びましょう。

すでに「続・インタフェースデザインの心理学 ─ウェブやアプリに新たな視点をもたらす+100の指針」も出版されており、本書で物足りない方は、続編も読んでみてください。

UI GRAPHICS -世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン

成功事例を中心に読みたいなら「UI GRAPHICS -世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン」がおすすめです。タイトルにある通り、スマホ以降のインターフェイスデザインを紹介しています。
本書の特徴は、深津貴之氏・水野勝仁氏・渡邊恵太氏といった著名クリエイターが解説している点。現場のクリエイター目線で、UIデザインを紐解くことができます。また、豊富な画像とともに成功事例のポイントを理解できる点も見逃せません。

個人的には、インターフェイスデザインの第一人者である中村勇吾氏、そしてGoogleの先端技術開発チームであるATAPのインタビューが参考になりました。UIデザインを見て、知って、学べる、そんな一冊です。

「ついやってしまう」体験のつくりかた――人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ

元任天堂の企画担当者によるUXデザインの本が「「ついやってしまう」体験のつくりかた――人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ」です。ゲームを通じたUXデザインの魅力を「ついやってしまう」体験として語っています。

ゲームはUI/UXデザインを学ぶコンテンツとして有益です。老若男女・国内外問わず楽しめるゲームにするためには、まずUI/UXにこだわらなければいけません。
子供の頃、なぜあんなにも熱中したのか?その答えが本書に秘められています。

あくまでゲームを通じたUI/UXデザインなので、他分野に直接生かせるわけではありません。ただし、優れた体験を作る観点から役に立つ内容が豊富です。
単純に読み物として面白いので、昔ゲームをよくやっていた方は、ぜひ読んでみてください。

デザインはストーリーテリング 「体験」を生み出すためのデザインの道具箱

メリーランド美術大学のディレクター、デザインミュージアムのシニアキュレーターと幅広い経歴を持つ、著者のエレン・ラプトン。そんな彼女の著書が「デザインはストーリーテリング 「体験」を生み出すためのデザインの道具箱」です。
本書は「アクション」「エモーション」「センセーション」の3部構成になっており、わかりやすい図や解説によって、なぜストーリーが重要なのか?その真意を学ぶことができます。

制作秘話・裏話・舞台裏といった言葉が好きな方におすすめの作品です。かくいう私もこうした物語が大好きで、まさに本書はぴったりな内容でした。

デザイン全体の入門書として、そしてより良いデザインを制作するヒントとして、本書を活用してください。

悲劇的なデザイン あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?

UI/UXデザインは、常にユーザーファーストでなければいけません。少しでもユーザーを無視したデザインを制作すれば、使いづらいだけではなく、時として命に関わることもあります。
「悲劇的なデザイン あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?」では、そんなデザインの負の側面に切り込んでいます。

本書は、ここまで紹介してきた本とは毛色が違います。リスクマネジメント・ガイドブックと名付けられており、主な対象者は美術教育を受けた人です。数々の実例を参考に、幅広い悲劇的なデザインを紹介しています。

UI/UXデザインにより事故が起き、それによって人が傷ついてしまう。見せかけの「ユーザーファースト」に囚われているデザイナーにとっては耳の痛い話です。
デザインとは何なのか?デザイナーのみならず、ノンデザイナーの方も必見の一冊です。

ほんとに、フォント。フォントを活かしたデザインレイアウトの本

優秀なデザイナーほどフォントの重要性を理解しています。デザイナーか素人か、その違いはフォントに現れるといってもいいでしょう。「ほんとに、フォント。フォントを活かしたデザインレイアウトの本」は、そんなフォントが中心の本です。

本書では、豊富な「NG」「OK」事例を掲載しており、一目で何が良くて何が悪いのか理解できます。明朝体はこんなデザインに合う、ゴシック体はここに使っちゃダメ!と説明されてもいまいちイメージは掴めません。本書なら豊富な事例とともに体系的にフォントを学べます。

UIデザインにとっても、フォント選びは重要です。数あるフォントの使い方や特徴を覚えておけば、UIデザインに反映できます。フォントの大きさや種類によって、ユーザーの反応は変わるので、基本的な知識はつけておきたいところです。

また余裕があれば「けっきょく、よはく。余白を活かしたデザインレイアウトの本」も読んでおくといいでしょう。正しいフォントとレイアウトの知識を身につけて、UIデザインに生かしてください。

触楽入門

最後に紹介するのは、UIの起源である「触れる」ことに特化した一冊です。「触楽入門」では、身体感覚に関する実験結果をもとに、触るとはどういうことかが語られています。
本書の「触楽」は著者の造語です。私たちは、触れることで多くの情報を手にしています。温かい、冷たい、硬い、柔らかいなど、触ることは世界を広げるきっかけです。

UIデザインは「触れること」を想定して作られます。これはプロダクトも同じです。UIデザインを理解したいなら、まずその根源である触れるとはどういうことか理解しましょう。

本書の目次を一部抜粋してみました。

・人に信頼してもらうには、手があたたかい方がいい?
・テディベアに触れると死への恐怖がやわらぐ?
・ノイズがあったほうが感覚がするどくなる?

本書で語られる内容はどれもワクワクするものばかりです。私自身、デザインのために読んだ本ではありませんでしたが、結果としてUIデザインをはじめとするデザインに役立つ知識が得られました。ぜひ、本書を読んで触楽の世界を覗いてみましょう。

まとめ

UI/UXデザインの本を解説しました。UI/UXデザインの本は数多く出版されており、今回紹介したような良書が揃っています。これからUI/UXデザインを学びたい方は、本記事の書籍から読み始めてください。