公開日:2019年8月27日/更新日:2022年9月6日
マーケティングオートメーション(MA)が日本に登場して数年、国内でMAを利用する企業は年々増えています。デジタルマーケティングに携わっている方であれば、MAというワードを耳にする機会も多いでしょう。
しかし「MAで何ができるかを知らない」「MAを導入するメリットがよく分からない」という方も多くいるはずです。
そこで今回は、MAとはそもそも何か・何ができるかを説明した上で、MAを導入するメリット・デメリットと導入する際の注意点をご紹介します。
マーケティングオートメーション(MA)とは
マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動の自動化によって1to1マーケティングを効率的に行い、売上向上を図るツール です。英語表記のMarketing Automationから頭文字を取り、MA(エム・エー)という略称で呼ばれます。
従来、リード育成・商談創出などのマーケティング施策はすべて人の手によって行われ、実践や管理に多くの労力と手間を要していました。さらに顧客へのアプローチ方法や確度の基準が一定ではなく、属人的な管理が行われていた点も手動でのマーケティング活動のデメリットです。
マーケティングオートメーションには、人の手で回されていたマーケティング施策を自動化できる機能が備わっています。顧客の思考や興味、購買ステージにあわせたアプローチをタイムリーに行えるようになり、1to1での効率的なリード育成が可能です。
MAと似ている意味を持つ用語に「CRM」があります。CRMはCustomer Relationship Managementの略で、日本語では「顧客関係管理」を意味する言葉です。
MAとCRMの違いについては、下記のページで詳しく解説しております。
▶︎ MAとCRMの違い|目的・機能・役割でわかりやすく解説
MAでできること
MAは、主に下記の機能を備えています。
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MAの導入を検討している方は、MAの機能を活用して何ができるかを把握しておきましょう。ここからは、MAでできることを5つ紹介します。
マーケティング施策を自動化できる
MAは、マーケティング施策の各種作業を自動化できます。
MAでは一度プログラムを作成すれば、ワークフローの処理を繰り返したり、複製して作り変えたりも可能です。例えば、以下のような作業が自動化できます。
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MAは特定の条件に対して実行させたいアクションの指定が可能であり、自動化できる作業パターンが多数あります。複数の作業パターンを組み合わせて、1つのシナリオとして実行できる点も特徴です。
手動では時間がかかる作業や今まで実現できなかった施策も、自動化により施策実行が簡単となり、積極的に行えるようになるでしょう。
パーソナライズド施策ができる
パーソナライズド施策とは、一人ひとりの属性・行動履歴・興味関心に基づいて行われるアプローチ です。
MAは、リードを分類するセグメントの条件を細かく指定できます。指定したセグメントの条件に合致したリードに対して特定の処理を実行するなど、状況に合わせたアプローチできる点がMAの特徴です。
パーソナライズド施策は精度が高いほど受け手に好意的に認識されます。MAはリードの詳細な情報を可視化できる顧客管理の機能を備えているため、精度の高いパーソナライズド施策が実現可能です。
例えばECサイトで革靴を閲覧していた男性には、男性に人気の革靴についての情報をメールで送付するなど、属性と閲覧行動を基に仮説を立て、シナリオに沿ってプログラムを組むマーケティング戦略を実施できるのです。
リードの育成や休眠顧客の掘り起こしができる
MAは属性や閲覧行動を基にセグメントを抽出し、それぞれの購買ステージに合ったコンテンツ配信によってリードを育成できます。
リードの育成とは、自社の商材に対してあまり関心を持っていない潜在層に向けて、商材に関連したテーマへの興味や課題を喚起して購買意欲を高めていくプロセスです。
また、休眠顧客の掘り起こしにもMAは力を発揮します。休眠顧客とは、過去に商材を購入してくれたものの、以降は長期にわたり購入がない顧客のことです。
営業は新規契約が主なミッションであり、休眠顧客へのアプローチにまではなかなか手が回りません。MAは行動履歴やスコアに基づく情報分析により購買意欲の高まるタイミングが分かるため、休眠顧客に効率よくアプローチできます。
確度の高いリストを営業に提供できる
MAは、スコアリングの機能によりリードごとの確度を可視化できる点が特徴です。マーケティング部門は確度の高いリードをリスト化して営業に提供できて、営業部門は受注に至りやすいリードから優先的にアプローチできます。
特に展示会や広告媒体などでリードを獲得するBtoB企業では、マーケティングが提供するリストにさまざまな確度のリードが混在するケースは少なくありません。そのため、営業が電話でアプローチをしても商談につながる確率は低く、営業は「マーケから提供されたリストは使えない」というイメージを持ちやすいと言われています。
MAの活用により、展示会などで獲得した大量のリードを行動履歴に基づいてスコアリングして、リードごとの関心度合いを測れます。マーケティングと営業が顧客のペルソナも共有すれば、より確度の高いリストを営業に提供できるようになるでしょう。
マーケティングと営業との連携が強化される
MAを利用すると、マーケティングが提供したリストに対して営業は優先的にアプローチをかけます。営業の計画や目標も、マーケティングから渡されるデータに基づいて設定されるようになるでしょう。
マーケティング側も、育成したリードへのアプローチ結果について営業からフィードバックを受け取れます。フィードバックに基づいて今後のシナリオや育成施策の改善を進めて、より受注確度の高いリストを提供することが可能です。
以上のように、MAの利用を通じて両部門の協力体制ができあがり、マーケティングと営業の連携が強化されます。
MAを導入するメリットとは
MAにはマーケティング・営業の業務に役立つさまざまなメリットがあり、企業の売上向上にもつながります。自社のマーケティング・営業に課題を抱えている場合は、MAが持つメリットによって改善できないかを考えてみてください。
業務工数の削減
業務工数の削減は、MAの導入で得られる最大のメリットです。
MAを導入すると下記のマーケティング活動が自動化されて、マーケティングや営業の業務工数を削減できます。
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業務工数の削減により、担当者は効率的にマーケティング活動を進められ、結果として生産性が向上します。
ヒューマンエラーの削減
従来のマーケティング活動ではデータ登録・活動やメール配信などが手動で行われ、常にヒューマンエラー発生のリスクがありました。MAを導入すると、手動で行われていた業務の多くをMAが代替するため、ヒューマンエラーが削減できます。
マーケティングのヒューマンエラーは、顧客のスコアリングや営業での成果などに影響を与えてしまいます。ヒューマンエラーを削減できるMAは、企業の収益を守るために必要なツールです。
効果の数値化
マーケティング効果を数値化できる点もMAのメリットです。
施策の結果やリード・顧客の情報を数値化して分析し、次回に実行する施策での改善に活かせるでしょう。
収益性の高いマーケティングを実現するには、施策の効果を分析して常に改善し続けなければなりません。効果を数値化できるMAの導入により、マーケティング活動のPDCAサイクルをスムーズに回せます。
確度の高い商談創出
MAによって確度の高いリードのみを営業に渡せるようになるため、確度の高い商談が創出できるメリットがあります。MAの活用により、顧客の購買意欲が高まっているタイミングで営業がアプローチできるのです。
近年はインターネットの普及により商品購買プロセスは複雑化しており、商談創出ができても受注まで至るとは限りません。リードの購買意欲をデータから判断できるMAによって、受注に至りやすい商談が創出できるようになるのです。
部門間の連携強化
MAはマーケティング向けのツールとして知られているものの、上述した通り営業にとってもメリットの多いツールです。マーケティング・営業の両部門が同一のMAツールを利用すると、情報や施策について共通の認識を持てるようになり、部門間の連携強化ができます。
従来のマーケティングと営業ですれ違いが起きていた原因の1つが、リードの認識についてのズレでした。MAはマーケティング・営業が同じデータに基づいてリードの価値を認識するため、部門間での認識のズレを防げます。
MAを導入するデメリットとは
MAの導入はメリットばかりではなく、いくつかのデメリットも存在します。MAの導入はメリット・デメリットをそれぞれ検討した上で、必要かどうかを決定することが大切です。
また、MAを導入するにあたってコスト面や技術面のハードルが気になる方も多いでしょう。導入前に不安を感じやすい「MA導入のハードル」については、下記の記事で詳しく紹介しておりますので、チェックしてみてください。
▶︎ マーケティングオートメーション(MA)導入に潜む5つのハードル
以下ではMAを導入するデメリットを2つ紹介します。
導入に手間がかかる
MAを導入する際は、リードの購買行動を可視化したカスタマージャーニーマップや、リードの状態に合わせたコンテンツを作成しなければなりません。自社が保有しているリード情報をまとめて、MAに登録する作業も必要となります。導入の準備に時間や労力といったコストを要し、実際に運用するまでに手間がかかる点がデメリットです。
また、導入したMAの効果を評価する運用体制も整える必要があります。MAの効果は営業でなければ分からない部分が大きいため、マーケティング・営業の両部門合同でMAの効果を分析できる機会が必要です。
専門的な知識が必要
MAを実際に運用するためには、MAを用いた戦略やツール操作についての専門的な知識が必要です。専門的な知識を持たずにMAを導入してもツールを使いこなせず、MAに期待できるさまざまなメリットも得られなくなります。
またMAを導入しても、すべてのマーケティング活動を自動化できるわけではありません。マーケティングの企画立案や施策の評価・改善は、MA導入後も手動で行われる作業です。MAに設定したスコアリングなどの定義も、度々の検証と改善を繰り返して最適化する必要があります。
MA導入の注意点
MAはツールごとに特徴や強みに違いがあり、どのようなMAツールを導入すれば高い成果が期待できるかは企業によって異なります。MAツールは企業の課題を解決し、企業のビジネスに適した製品を選ばなければなりません。
最後に、MA導入の注意点を2つ紹介します。しっかりと把握してMA導入をご検討ください。
課題を明確にしておく
MAを導入する前に、自社にとっての「解決したい課題」を明確にしておきましょう。MAを導入する大まかな目的は、MAによるマーケティング活動の効率化・売り上げ向上です。
自社の課題を明確にしておくと、MAツールにどのような機能を求めているかが把握できます。
例えば「施策の分析や営業からのフィードバックにまで手が回らない」という課題であれば、分析・評価に強いMAツールが必要です。
このように、求める機能を搭載したMAツールを導入して、課題の解決を図りましょう。
自社にあったツールを選ぶ
MAツールは自社にあったツールを選びましょう。自社にあったツールを選ぶ主なポイントは「自社のビジネス形態に適しているか」「コスト面で問題がないか」の2点です。
MAツールはさまざまな製品が登場しており、大きく分けて「BtoB向け」「BtoC向け」の2種類が存在します。顧客が企業か個人かによって、管理する顧客情報量やアプローチ方法が異なるため、自社のビジネス形態に適したツールを選んでください。コスト面は、経営上の大きな負担とならず、継続的な運用ができる製品がおすすめです。
MAツールの選び方やおすすめのMAツールについては、下記の記事でより詳しく説明しております。
▶︎ 【2022年最新】MA導入で失敗しない!おすすめツール5選
まとめ
マーケティングオートメーション(MA)は、効率的な1to1マーケティングが行えるようになるツールです。
MAを導入すると業務工数やヒューマンエラーが削減され、業務の生産性向上につながります。リードの育成や確度の高いリストの提供によって営業が強力に支援されて、部門間の連携が強化される点も大きなメリットです。
たくさんのメリットがあるMAを導入する際は、自社の課題を明確にした上でツールを選びましょう。
MA導入について疑問点や導入の手順を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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