マーケティングオートメーション(MA)とは-定義と機能、基本を学ぶ

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マーケティングオートメーション(MA)とは-定義と機能、基本を学ぶ

「マーケティングオートメーション(MA)」は、マーケティングに関心のある人なら一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。本サイトでも、マーケティングオートメーション(MA)の代表的ツールであるHubSpotをテーマに記事をお届けしています。
とはいえ、何度も耳にする言葉でありながら、意味はよくわかっていない、なんとなくイメージしかわからないという人も多いかもしれません。

そこで今回は、マーケティングオートメーション(MA)とは何かについて、その意味やメリットを含めてご説明します。
MAの定義や、多くのMAツールが共通して持っている機能など、基本的な部分を中心にお届けします。「MAという言葉をはじめて聞く」という方も、今後重要になってくるMAを学ぶきっかけにしていただけたらと思います。

マーケティングオートメーション(MA)の定義

マーケティングオートメーション(MA)は、デジタルマーケティングを行うツールとして海外で主流となり、2014年頃から徐々に日本でも注目されるようになりました。
MAについては、正確な定義が決まっているわけではありませんが、共通に認識されている意味を一言で表すなら「One to Oneマーケティングを効率的に行うツール」といえるでしょう。英語での表記「Marketing Automation」の頭文字をとってMA(エム・エー)ともいい、通常の会話では「MA使っている?」や「それはMAで可能なの?」というように省略して使われることがほとんどです。
その呼び名からマーケティングを自動化するツールのように思われるかもしれませんが、実際は少し違います。

それではマーケティングオートメーション(MA)では、どのようなことができるのでしょうか。

マーケティングオートメーション(MA)の機能


まず、マーケティングオートメーション(MA)に備わっている代表的な機能について説明します。ツールによりその他にもさまざまな機能がありますが、MAとして共通している特徴は以下のようなものです。

  • リスト管理(顧客管理)
  • メール配信
  • ランディングページやフォームの作成
  • 行動トラッキング
  • スコアリング
  • シナリオにもとづいたプログラム作成

リスト管理(顧客管理)

Webフォームからの申し込みやオフラインで取得した情報など、見込客のリストをMAで管理することができます。氏名やメールアドレスだけでなく、対象が一般消費者であれば性別や年代、法人であれば業種や従業員規模などのように、必要な情報をユーザー単位で管理します。
また、属性情報だけでなく、「セミナーに申し込んだユーザー」というように行動にもとづいた条件でのリスト抽出も可能です。

メール配信

HTMLメールの送信やABテストなど、メール配信ツールとしての機能があります。
また、ユーザーそれぞれの行動履歴や顧客情報によってカスタマイズされたメールを送信するなど、「One to Oneマーケティング」の実現で重要な機能があります。

Webページおよびフォームの作成

申し込みや問い合わせなどに使うフォームを作成し、Webページとして公開できます。ツールによっては「ランディングページ」の作成機能と明記されることもあります。

行動トラッキング

自社のWebにアクセスしてきたユーザーの行動をトラッキングします。閲覧したページやアクセスした日時などを記録します。

スコアリング

ユーザーの属性や行動にもとづいて点数やランクを付与する機能です。例えば、所在地が関西なら5点、資料をダウンロードしたら20点というように、属性や行動情報にもとづいてあらかじめ設定しておいたスコアを付与します。

スコアリングについては、こちらの記事でより具体的に紹介しています。
スコアリングによるリードの育成と選別

シナリオにもとづいたプログラム作成

事前に設計したシナリオにあわせてメールを送ったり、スコアをつけたりといった一連の動作を自動化できる機能です。「エンゲージメントプログラム」や「ワークフロー」などツールにより呼び方は異なりますが、この機能こそがMAの特徴でありメリットといえるでしょう。

マーケティングオートメーション(MA)でできること

前述のとおりMAは「One to Oneマーケティングを効率的に行うツール」であり、MAを使うことでユーザーごとに個別のマーケティング施策を行うことができます。言い換えると、企業がユーザーに情報を発信する際、「適切な情報を適切なタイミングで適切な人に届ける」というようなマーケティングの最適化が可能になります。

例えば、MAを使うことで以下のような施策が考えられます。

  • 自社のWebサイトにアクセスしたユーザーに対し、商材Aを見た人にはメールAを送り、商材Bを見た人にはメールBを送る
  • 商材Cの購入歴のあるユーザーが自社のWebサイトにアクセスした場合、商材Cの割引情報を表示する
  • メールのクリックや資料のダウンロードなど、特定の行動をしたユーザーに対してスコアを付与する

さらにMAでは、このような施策をバラバラに実施するのではなく、「商材Aを見た人にメールAを送りスコアを付与する、メールをクリックしなかった人にはメールBを送る」というように、複数の条件と作業を1つのシナリオとして設定することができます。

MAを使うことで、ユーザーの属性情報だけでなく行動情報をもとにターゲットを絞り、適切なタイミングで必要とされる情報を発信することで、パーソナライズド施策の実現と質の向上が期待できるのです。

マーケティングオートメーション(MA)のメリット

マーケティングオートメーション(MA)を使うことでどのようなメリットがあるのでしょうか。

作業の効率化

MAはメール配信ツールやLPO(ランディングページ最適化)ツール、イベント管理、顧客管理など、従来は別々のツールにわかれていた機能を兼ね備えています。
MAというプラットフォームに機能が一元化されることで、ツール同士の連携やそれに伴う作業が不要になります。

また、前述のようにユーザーごとに個別の施策を行う場合、従来のツールでは実現できなかったことや手動で行っていた作業をMAではプログラムとして処理が可能であり、パーソナライズド施策を効率化できる点が大きなメリットの一つです。

見込客の育成

もう一つのメリットは見込客の育成です。育成(リードナーチャリング)とは、見込客に対して商材に関連するテーマへの興味・関心を醸成し、最終的に自社の商品を購入してもらう、またはリピーターになってもらうための施策です。

例えば、マンションを販売する不動産企業の場合を考えてみます。ターゲットとなる見込客に自社を知ってもらうには、マンションの選び方やローンの種類など、マンション購入に役立つ情報を発信することが考えられます。ただ、同じテーマでも家族構成や年代により必要な情報は異なります。独身で20代の人に、「定年後に住みたいマンションの選び方」といった情報を伝えても興味は持ってもらえないでしょう。

このように、見込客の興味を高め商材への関心を高める育成施策を行うためには、個人ごとのニーズや課題にあわせて情報を届ける必要があり、One to OneマーケティングができるMAを用いることでそれが可能になります。

インバウンドマーケティングによる戦略の変化

マーケティングオートメーション(MA)が普及してきた背景としては、マーケティングスタイルの変化が大きく影響していると考えられます。
従来のマーケティングは、ネット広告やテレビCM、ダイレクトメールなど、企業から見込客へ情報を発信する「アウトバンド」という手法が主流でした。しかし、インターネットが普及し、見込客が自ら情報を収集できるようになったことから、一方的な企業の情報発信ではなく、企業が提供した情報を見込客に見つけてもらう「インバウンド」という手法が新たに注目されるようになりました。

このインバウンドマーケティングで重要となるのが、質の良いコンテンツを作成し、それを必要な人に届けることです。先ほどの不動産の例のように、同じ情報でも役に立つかどうかは人により異なるため、より細分化した各個人のニーズにあわせたマーケティング施策が必要とされます。しかし、今までのツールでは実現が困難なことや手動で時間がかかってしまっていたことから、それを担う役割としてMAが普及してきたのです。

いかがでしたでしょうか。役立つ情報を発信しそれを必要としている人に届けることは、企業にとっても見込客にとっても有益なことです。そのためにMAが今後も重要なツールであることは間違いないでしょう。