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Google広告の運用には、オーディエンス設定、キーワード選定、広告文や広告表示オプションの設定、入札戦略や各種単価の調整など、非常に多くの作業が必要になります。
関連する指標や考えることも非常に多く、これらすべてを運用担当者が手動で設定することはほとんど不可能といっていいでしょう。
では、成果を上げる運用担当者はどうやって各種指標をもとに運用改善を行い、広告成果を最適化していくのでしょうか。
今回は、広告運用改善する方法の一つ、「自動入札戦略」について考えてみたいと思います。
Google広告が自動で最適化される|自動入札戦略とは
日々のGoogle広告運用で、非常に時間を取られる設定の一つに「入札単価の設定」があります。そんな「入札単価の設定」を自動で調整してくれる機能が、「自動入札戦略」です。
入札単価は広告運用の基礎であり、あらゆる設定に影響する重要な項目です。Google広告の「自動入札戦略」には、入札単価を最適化するための様々な戦略があり、目標に合わせて選択することで自動で運用改善できます。
それぞれの目標に対する自動運用改善は、過去のデータをもとに機械学習によって行われ、運用期間が長くなるほど自動で最適化が進みます。
これにより一番時間が取られる「入札単価の設定」の時間短縮が可能となるだけでなく、機械学習による的確な運用改善を行うことができます。
目的に向かって自動改善する|7つの自動入札戦略
広告運用は様々な目的で行われます。ダイレクトに成果(コンバージョン)の数だけを求める場合もあれば、クリック数やインプレッション数を伸ばしブランディング効果を狙う場合もあります。成果を増やすだけでなく、最終的な費用対効果の最適化を求められる場合もあるでしょう。
Google広告の自動入札戦略は、こうした複数の目標に応じた種類が用意されています。
それでは、7種類の自動入札戦略の概要とそれぞれの活用方法を見ていきましょう。
最も多くのクリック数を狙う戦略【クリック数の最大化】
クリック数の最大化という自動化設定では、「サイトへの訪問を増やす」ことが目標となり、予算内でクリック数が最大化されるように入札単価が調整されます。
クリック数の最大化は、1 つのキャンペーンの標準戦略、または複数のキャンペーンや広告グループ、キーワードにまたがるポートフォリオ入札戦略として使用できます。
データの蓄積が重要になる運用初期ではとりあえずクリック数の最大化で運用することが多いです。この自動入札戦略を使うことで、どんなキーワードで検索されるか、どんなキーワードでコンバージョンされるか、どんなキーワードが不要かといった多くのデータを得て運用改善に活かすことができます。
機会損失を防ぐ戦略【目標インプレッション シェア】
入札したキーワードやその他の設定に対して、実際に表示された割合を「インプレッションシェア」といいます。特定のキーワードで入札していても、広告ランクや入札単価、競合の広告等の要因で、必ず表示されるとは限りません。
目標インプレッション シェアでは、Google検索結果ページの最上部、上部、または任意の場所に広告が表示されるように、自動的に入札単価が設定されます。
インプレッションシェアでは、2018年年末に指標が大きく追加されました。
より細かな競合指標となることで、自動化に限らず活用の幅が広がっています。
費用対効果を求める戦略【目標コンバージョン単価】
1コンバージョンにかかった広告費を、コンバージョン単価といいます。目標コンバージョン単価では「目標コンバージョン単価でコンバージョンを増やす」ことを目標に、費用対効果をベースにした運用改善が可能です。
例えば、商品Aは利益が3000円だから目標コンバージョン単価を1000円に設定し、利益が1000円しかない商品Bは500円を目標コンバージョン単価に設定します。このように設定すればGoogle広告は商品Aのコンバージョン単価を1000円以内に、商品Bのコンバージョン単価を500円以内で獲得できるように自動で改善してくれます。
指定した単価でコンバージョンを最大限に獲得できるように調整されるため、費用対効果を目標とする場合には優れた設定です。しかし、目標コンバージョン単価を低く設定することで、予算が極端に消化されなくなるリスクもあります。
適切なコンバージョン単価の設定にはかなりの運用経験が求められます。別の入札設定で運用してみて、ある程度現実的なコンバージョン単価の当たりがつく運用中期以降で利用したほうがいいでしょう。
(上級者向け)コントロール性を確保する戦略【拡張クリック単価】
拡張クリック単価は、「キーワードの入札単価を自分で設定しながら、コンバージョンを増やす」という設定となります。
クリック単価を調整することでコンバージョン単価をある程度コントロールすることができます。それに加え、より多くのコンバージョンを獲得できるように、個別に設定した入札単価が自動的に調整されます。
利益の最大化を目指す戦略【目標広告費用対効果】
Google広告では、各コンバージョン項目に対して価値を設定することができます。
目標広告費用対効果では、各コンバージョンの価値をベースに「目標広告費用対効果(ROAS)を達成する」ように自動調整されます。
この設定はECサイトなどで用いられます。例えば、1000円の商品と1500円の商品があった場合、目標コンバージョン単価や後述するコンバージョン数の最大化といった設定では、1000円の商品ばかり売れてしまうかもしれません。
目標広告費用対効果を設定することで、広告投資に対する売り上げの最大化を目指すことができます。
とにかく成果を多く獲る戦略【コンバージョン数の最大化】
コンバージョン数の最大化は、「予算全体を使おうとしながらコンバージョンを増やす」ように調整される設定です。
費用対効果なども度外視して、最大の費用で最大の成果を得るようなイメージです。
目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果は、費用対効果を維持するため広告費が消化されない場合もあります。
あらかじめ決められた予算で、コンバージョン数を最大化させるために活用できます。
競合に勝つための戦略【目標優位表示シェア】
目標優位表示シェアは、明確な競合がいて、その競合よりも優位に立つ場合に活用できます。特定のドメインを指定し、そのドメインの広告よりも上位に表示されるように、入札単価が自動的に調整されます。
自動入札戦略を活用して運用改善を行うには
Google広告にはこれだけの自動入札設定が用意されており、日々改良・追加が行われています。
適切に活用することで、入札設定を手動で行うより工数が大幅に短縮されるでしょう。また、事前に運用プランをしっかりと計画しておき、適切な入札戦略を選べば、高度な機械学習により、長期的な改善が進み続けます。
では、実際にGoogle広告を運用する際は、どのように自動化設定を使っていけばいいのでしょうか。
例えば、細かなキーワードとコンバージョンが期待できるキーワード(ビッグキーワード、指名キーワードなど)をキャンペーンで分け、それぞれのキャンペーンに下記のような入札戦略を設定します。
- 細かなキーワード…「目標インプレッション シェア」を入札戦略に設定し、まずは”可視性”を高め、コンバージョンが発生するキーワードを見つけていきます。
- ビッグキーワード…「目標コンバージョン単価」を入札戦略に設定し、効率よくコンバージョンを発生させていきます。
そして、”細かなキーワード”でコンバージョンが発生したキーワードを、目標コンバージョン単価で運用している”ビッグキーワード”のキャンペーンへ移動させます。
これにより、コンバージョンが発生するキーワードの発見と、費用対効果を高める運用を効率的なサイクルで回していくことができます。
このように、うまく使いこなすことで運用を半自動化することができますが、自動入札戦略は、まだまだ完璧なものではありません。
過去のデータから機械学習を用いて予測するため、突発的に起こった需要には対応が遅れてしまいます。
例えば、TVで紹介され検索件数が急上昇したキーワードなどの対応は、手動で行う方が効率的でしょう。
また、データが少ない運用初期や低予算での運用においては、うまく最適化が進まないかもしれません。
さらに、入札戦略の選定や設定を誤ったものにした場合、広告費が消化されず成果も出なかったり、最悪の場合、予算だけ消化され効果が出なかったりとうこともあり得ます。
Google広告に用意された自動最適化機能「自動入札戦略」について
今回は、Google広告を最適化するための自動入札戦略を紹介しました。
自動化によって少ない手間で最適化が期待できますが、各設定の仕組みや意味を理解して、適切な設定を行わないと狙った成果は出ません。
とはいえ、使い方によっては非常に便利で、戦略の組み合わせ次第で、様々なパターンが考えられます。まずは商材と目標を擦り合わせ、それに合った戦略を選択することが大切です。
また、自動化に任せきりにするのではなく、様々な運用ノウハウや経験、アイデアを加えることで、他社と差別化しましょう。
日々の運用を自動入札に任せることで、空いた時間を企画の「戦略」を考える時間に充てたり、アイデアを膨らませたりするクリエイティブな時間に使えます。
その企画に対して、しっかりとPDCAを回せる環境を作っていきましょう。