Googleアルゴリズム 2020年5月コアアップデートの影響と対策傾向

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Googleアルゴリズム 2020年5月コアアップデートの影響と対策傾向

第1回:SEOの歴史と令和時代のSEO
第2回:SEO対策|Googleコアアルゴリズムアップデートは「ドメインパワー」を重要評価する傾向に【2019/03/13に公表】
第3回:これから求められる「BERT」を意識したSEO対策
第4回:Googleアルゴリズム 2020年5月コアアップデートの影響と対策傾向
第5回:【2021年度】Googleアルゴリズムアップデート|影響と対策

2020年5月5日、Googleのコアアルゴリズムアップデートが告知されました。ゴールデンウィークや新型コロナウイルスの影響で、ただでさえ検索傾向が大きく変わる中、自社サイトのアクセス数に予想外の影響が出たサイトオーナーも多いと思います。

個人的には、アルゴリズムアップデートに対する対策は不要と考えています。Googleは常にユーザーの検索意図に適切な検索結果になるようにアップデートしています。そのため、我々がすることはあくまでもユーザーの検索意図をくみ取り、それにこたえるコンテンツを創ることだけです。

ただ今回のアップデートについては、ひと月半ほどが経過し、明確な傾向が見えました。また、対策する方法も明確で、ユーザーの検索意図に適ったものだと思います。

そこで今回は、2020年5月に行われたコアアルゴリズムアップデートについて、その影響範囲や対策について、見ていきたいと思います。
なお、これらのデータはあくまでも弊社が保有しているものから導いた見解です。実際にGoogleがどういったアップデートを行ったのか、正確に知ることはできませんし、今見えている傾向も社会情勢や競合サイトなど、別の要因によって発生している可能性もあります。
その点だけご理解ください。

2020年5月アップデート

ツイート翻訳
本日後半に、年に数回行うように、広範なコアアルゴリズムの更新をリリースします。 2020年5月のコアアップデートと呼ばれます。このような更新に関するガイダンスは、これまでに取り上げたとおりです。詳細については、このブログ投稿をご覧ください。

2020年5月5日、Googleからコアアルゴリズムアップデートの告知がありました。以前は公式には告知されず、SEO専門家の発見から判明することが一般的だったのですが、2019年6月のアップデート以降、公式でも告知されるようになりました。
昨年は3回のコアアルゴリズムのアップデートがあり、今年は2020年5月アップデートで2回目です。

まずはGoogleが告知した内容から、2020年5月アップデートの内容を探ってみましょう。

Googleウェブマスターセントラルブログには、次のようにあります。

コアアップデートには、特定のページやサイトを対象にしたものはありません。変更は、システムがコンテンツ全体を評価することを改善するためであり、以前はパフォーマンスが低かった一部のページのパフォーマンスが向上する可能性があります。
<中略>
このように、コアアップデート後に低下したページに修正すべき問題はありません。低下したら何かする必要があると感じるかもしれませんが、できる限り最高のコンテンツを提供することに重点を置くことをおすすめします。
Googleウェブマスターセントラルブログ

この辺はいつも通りの内容で、Googleはあくまでも検索エンジンがコンテンツを正しく認識し、ユーザーの検索体験を高めることを目的にしています。そのため、アップデート内容ではなく、今まで通りユーザー体験のためにコンテンツを作ってくださいということです。
これに続いて、このページでは質の高いコンテンツを提供するための質問が続きます。以前から言われていることで、無料プレゼントしている「今日から始めるSEO対策」にも含んでいますが、更新されたようなので改めて見てみましょう。

コンテンツの質を高める20の質問

Googleはアップデートの時、アップデートの具体的な内容は教えてくれませんが、Googleが望むもの(=ユーザーが求めるもの)を満たすコンテンツのヒントを出してくれます。今回も、コンテンツの質を高める質問が20個公開しました。
以前から言われているものもありますが、SEO対策の原理原則になるものです。こうした機会にもう一度目を通しておきましょう。

コンテンツと品質に関する質問

  • コンテンツは独自の情報、報告、調査、分析を提供していますか?
  • コンテンツはトピックの実質的、完全、または包括的な説明を提供していますか?
  • コンテンツは洞察に富んだ分析や興味深い情報を提供していますか?
  • コンテンツが他のソースを利用している場合、それらのソースを単にコピーまたは書き換えるのではなく、実質的な付加価値と独創性を提供しますか?
  • 見出しやページタイトルは、内容を説明する有用な要約を提供していますか?
  • 見出しやページタイトルは、誇張したり誤解を与えたりすることを避けていますか?
  • ブックマークしたい、友達と共有したいと思うページですか?
  • このコンテンツは印刷された雑誌、百科事典、または本で参照したりされますか?

 

どれも非常に重要です。まとめると、誠実で独自性があり、価値のある内容が重要ということでしょう。最後の質問は雑誌や本のように信頼性が重視されるコンテンツで、引用元に使われるくらい信頼性が置ける内容になっているかということです。
インターネット上のコンテンツが膨大になったことで、単に読みやすい、見やすい、分かりやすい、面白い、といったことよりも、信頼できるかが重要になっています。

専門知識の質問

  • 専門知識の証拠、著者ページへのリンクなどを通じ、信頼できる方法で引用元を提示していますか?
  • コンテンツを作成しているサイトを調査した場合、そのトピックの権威として信頼されている、または広く認識されているという印象を覚えますか?
  • このコンテンツは、明らかにそのトピックをよく知っている専門家または愛好家によって書かれていますか?
  • 簡単に確認できる事実上の誤りがないコンテンツですか?
  • あなたのお金やあなたの人生に関連する問題について、このコンテンツを信頼して安心していただけますか?

 

この項目も信頼性につながる質問です。この記事を書いている私は、Grabの運営にかかわり、SEO対策やコンテンツに関して、一定の専門知識を持っているので書いています。一方、デザイン関係の記事を書くことはほとんどありません。それぞれの分野の専門家が、内容に責任をもって書くようにしています。
Googleは最近よく「your money or your life」という言葉を使います。これは、「あなたのお金、あなたの人生」という意味で、この分野に対する信頼性を非常に重要視していることが分かります。

プレゼンテーションと制作に関する質問

  • コンテンツに誤字脱字、文法上のミスはありませんか?
  • コンテンツは適切に作成されましたか、もしくは急いで作成されたように見えますか?
  • そのコンテンツは大量のクリエーターによって大量生産、外注で作成されていますか?また、ページやサイトを作るのに注意を払いましたか?
  • コンテンツには、メインコンテンツの邪魔になる、またはメインコンテンツを妨害する過剰な量の広告がありますか?
  • コンテンツをモバイルデバイスで表示すると、コンテンツはうまく表示されますか?

 

運営やコンテンツ制作に対する質問で、モバイルファーストに関する質問もあります。ここで大切なことは、2つ目と3つ目の質問、コンテンツに対して注意を払い、しっかり手間をかけて作ったか、ということです。ページ数を増やすことはそんなに難しくありません。しかし、良いページを作ることは大変です。

比較質問

  • 検索結果の他のページと比較した場合、価値を提供していますか?
  • そのコンテンツはサイトへの訪問者な興味に応えていますか?それとも検索エンジンで何がランク付けされるのかを推測しようとしているように見えますか?

 

対策するキーワードに表示されるその他のページよりも価値があるか。これはコンテンツ制作の基礎です。
2つ目の質問は、SEOの専門家には悩みのためかもしれません。キーワード含有率やhタグ、本文などに、ユーザーではなくアルゴリズムを対象としたテクニックが盛り込まれていたら、それはGoogleの意図とは違うということです。

これらの質問はコンテンツ制作者ならぜひ印刷して手元においておきたいですね。
Googleは、続いてコアアルゴリズムアップデートによって低下したサイトを元に戻す方法についても触れていますが、結局言っていることは「ユーザーによっていいコンテンツなら、いずれ上昇する」ということです。

2020年5月アップデートの影響と対策

それでは、実際に2020年5月アップデートでWebサイトはどのように影響を受けたのでしょうか。これについては様々なSEO業者、専門家が見解を出しています。

例えば、SEO研究所サクラサクラボは次のような画像を発表しました。

赤字が医療健康系、青地がお金関係のカテゴリです。Googleがいう「your money or your life(あなたのお金、あなたの人生)」に属するカテゴリで、今回のアップデートでも大きく影響を受けています。
新型コロナウイルスの影響が広がっている時期も重なってか、健康関係の変動が非常に大きい印象です。
他にも、SEO研究所サクラサクラボでは様々なサイトでどういうカテゴリのキーワードでどういう変化があったかが載っているので、参考になります。

SEOラボは「YMYL系」で顕著な動きがあったと報告しています。YMYLとは、「your money or your life(あなたのお金、あなたの人生)」の略語で、Googleの検索品質評価ガイドラインの中でも特に重視されています。

他にも様々なデータが提出されていますが、医療や健康に関わるコンテンツで順位変動が多かったというのが、SEO専門家の一般的な見解のようです。

Webマーケティングメディア「Grab」でも顕著な影響

このGrabはWebマーケティングメディアなので、YMYLに直結するコンテンツは基本的に取り扱っていません。これまでコアアルゴリズムアップデートの影響を実感したことはほとんどないのですが、2020年5月アップデートの影響を顕著に受けました。

2020年5月アップデート前後の表示回数
こちらはGrabの過去3か月間の全キーワードの表示回数を表したグラフです。見ての通り、4月末ごろから下がり始め、そこから低い状態が続いています。
Grabは仕事中に検索されることが多いテーマなので、休日になると大きく表示回数が減ります。そのため、4月末からの減少はゴールデンウィークの影響と考えています。ゴールデンウィークが明けても表示回数が戻ってこないことについて不審に思いましたが、緊急事態宣言の影響もあり、Webマーケティングを新しく検討する人が減っているとも考えられます。

2020年5月アップデート前後のクリック数
一方、こちらはクリック数のデータです。表示回数と連動して、平日は多く、休日は少ないというBtoB特有の傾向が見れます。
見比べてみると、ゴールデンウィーク前後に長期的な低下がみられますが、表示回数と異なり徐々にアクセス数が回復してきています。

2020年5月アップデート前後のクリック率
さて、こちらはクリック率のデータです。今月後半にかけて表示回数が減っているにもかかわらず、クリック数が維持されているということは、当然クリック率が上がっているということです。

2020年5月アップデート前後の平均掲載順位
そしてこちらが平均掲載順位のデータです。一般に、クリック率が上がったということは、上位表示できていると考えられます。しかし、見ての通り平均掲載順位に大きな動きはありません。

この4つのデータを見ると、一見矛盾したように見えます。通常、平均掲載順位が上がればクリック率が上がり、クリック数も上がります。当然、表示回数も上がります。逆に、平均掲載順位が下がれば、各指標も併せて下がります。
しかしこのデータでは、表示回数だけが顕著に下がり、クリック数とクリック率は上がり、平均掲載順位はほとんど変わらない、という状態です。

結果を知れば非常に単純なのですが、もう少し別のデータを見てみましょう。

2020年5月アップデート前後の検索クエリの表示回数
こちらは、ある検索クエリの表示回数のデータです。5月5日を機に表示回数が0になっています。これは確実に2020年5月アップデートの影響と考えていいでしょう。同じような動きをしている検索クエリを複数個見つけることができました。
実は、これらの検索クエリはかなりのビッグキーワードで、表示回数は非常に多いものの、検索ニーズがあいまいでクリック率が非常に低く、流入につながっていないものでした。正直、なぜその記事がそんなビッグキーワードで上位に表示されているのか、我々も疑問に思っていたくらいです。

そうしたキーワードで順位が低下、もしくは消失したことによって、合計表示回数に顕著な影響が出ていたようです。また、もともと流入につながっていたロングテールキーワードのほとんどに、目立った影響はありませんでした。

2020年5月アップデートを受けたコンテンツ戦略

この結果から、2020年5月アップデートは、医療や健康だけでなく、幅広いカテゴリで、「検索クエリ(の裏側にある検索意図)と関連性の低いサイトを大きく低下させた」と考えられます。
影響の受け方は様々と思いますが、私が管理しているいくつかのサイトについては、同様の傾向がみられます。

つまり、Googleは以前から言っている「検索意図を満たす品質の高いコンテンツ」を明確に区別するようになったといえます。

これを受けて、既存コンテンツやコンテンツ戦略の変更は必要でしょうか?

個人的な感覚ですが、すでにちゃんと検索意図に対してコンテンツを作っている場合は不要です。しかし、そうでない場合は対処する必要があるでしょう。
Grabの場合、ほとんどの記事は対象となる検索キーワードを見つけ、その検索意図を探り、それにこたえるコンテンツを作っています。そうしたコンテンツは今回影響を受けていません。
影響を受けたのは、検索意図が十分吟味されておらず、書いた本人でさえもなぜ上位化していたのか明確にわからないようなページです。

こうした傾向から、今回のアップデートに対応するとすれば、次のようになります。

  • 対象となる検索キーワードを入念に考える
  • その検索キーワードに対する検索意図を吟味する
  • その検索意図を満たすコンテンツを作る

当たり前のことですが、こういうことです。これまで、あてずっぽうに書いた記事がたまたま上位化して流入を生むことはありましたが、Googleのアルゴリズムはアップデートの度、検索意図を的確につかみ、それを満たすコンテンツを判別できるようになっています。
今回のアップデートはその傾向が顕著に現れました。

まとめ-SEO対策・コンテンツ戦略は王道あるのみ

今回は2020年5月アップデートから1月半ほどが経過し、その傾向や対策を探ってみました。
普段、コアアルゴリズムアップデートについて深入りすることはありません。それにほとんど意味がないからです。今回は影響が大きかったためいろいろと調査してみましたが、結論はこれまでと同じ、検索意図を満たす高品質なコンテンツが重要、ということだけでした。

今後もGoogleは年に数回、大幅なアップデートを行うでしょうし、細かな変更は毎日行われています。しかし、それらに注意を払う必要はやはりないといえます。
Googleが目指すものと、コンテンツ制作者側が目指すものは本来同じ。それさえ分かっていれば、アルゴリズムアップデートに振り回されることもないでしょう。

こうした本質的なSEO対策について学びたい方は、ぜひ「今日から始めるSEO対策」をご覧ください。
これは、小手先のSEO対策テクニックではなく、Googleが何を求めているかを知るためのものです。

Googleアルゴリズムアップデートについて、さらに詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

Googleアルゴリズムアップデート情報まとめ【SEO担当者必見】