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不動産仲介業は個人の住宅やオフィス、店舗や商業施設など、人が生きる上で不可欠な物件を取り扱う重要な仕事です。
しかし、顧客の利用頻度が高くないため、物販や他のサービス業とは違い、ブランディングによる成果は限定的だと考えられます。それよりも、顧客が必要とした時に頼りにされるような信頼関係の構築が何より重要になるでしょう。
そこで、今回は不動産会社のWeb集客方法として今すぐ取り組むべき4つの方法と、集客を成功させるコツを紹介していきます。主に不動産仲介業向けの集客方法についてお伝えしますので、ぜひ、参考にしてください。
不動産会社4つの集客方法
不動産会社の主な集客方法はSUUMOやホームズなどのプラットフォームです。同じエリアであれば、ほぼ全ての競合が同じ物件を同じ条件で提供できてしまうので、差別化できません。
そこで、今回は不動産プラットフォームに頼らず直接自社を選んでもらう手法を紹介します。
1.YouTubeチャンネル
最近は、YouTubeチャンネルの運用や不動産系YouTuberとのコラボに取り組む企業が増えています。
不動産会社がYoutubeチャンネルを活用するメリットは、主に下記の3点が考えられます。
- 認知度拡大
- 内覧の前に取り扱い物件を動画で紹介できる
- 動画閲覧者からの問い合わせが見込める
ここでは2つの企業事例を紹介しますので、Youtubeチャンネル活用の参考にしてください。
SMI:RE(スマイル)は、設計・デザイン事務所と大家さんが直接賃貸情報を掲載する不動産紹介サイトです。人気の不動産系YouTuber「ゆっくり不動産」とのコラボ動画を頻繁にアップしています。
SMI:REは、個性的なデザインの物件を数多く取り扱っています。そのため、不動産プラットフォーム上で間取りや内装画像を見せるだけでは、物件の魅力を十分に伝えられません。
YouTuberとコラボした内覧動画では、物件の特徴や見どころが詳しく紹介されています。一風変わった物件が話題を集め、人気動画の再生回数は200万回以上です。
大阪の不動産会社セゾンホームは、取り扱い物件を紹介する「大阪せっかち不動産」というYouTubeチャンネルを運営中です。
視聴者からのコメントには積極的に返信し、信頼関係の構築を図っています。関心度の高そうなコメントも寄せられているので、問い合わせにもつながっていると思われます。
動画で紹介されている多くの物件は、セゾンホーム以外でも取り扱いできるでしょう。しかし、物件を探している人が「せっかち不動産」の動画で住みたい物件を見つけた場合、わざわざ他の不動産会社に連絡するでしょうか。
多くの場合は、真っ先に問い合わせ先候補に上がるのは、セゾンホームになるでしょう。媒体に頼らない集客経路を作る上で、YouTubeチャンネルの運用は非常に効果的です。
2020年ごろから不動産系のYouTubeチャンネルが増加していますが、今から参入しても遅くはありません。キャラクター性や取り上げる物件で個性をアピールすれば、多くの見込み顧客にアプローチできる可能性があります。
2.VR/3D内覧
Facebookはメタ・プラットフォームズに社名を変更し、VRヘッドセット「Quest 2」のプロモーションに力を入れています。AppleもVRヘッドセットを数年内に発売する見込みです。
現状、VRが活躍している分野はゲーム業界など一部にとどまっています。しかし、VRヘッドセットの進化と普及は不動産業界に恩恵をもたらすと予測できます。
不動産業界に対して行われた調査ではコロナ後に導入・導入検討しているツールの上位に「オンライン内覧・VR内覧」が選ばれています。とはいえわずか12%と少ないため、早期に導入した不動産会社が優位になれる状況です。
VRヘッドセットは、まだ一般への普及は広がっていません。当面は来店者がVR内覧し、気に入った物件が見つかれば、その後現地を訪問するという使い方が一般的になるでしょう。
現時点では、ブラウザで操作可能な3Dモデルや360度映像を使ったオンライン内覧の取り組みが広がってきています。
ヘーベルハウスは独自の3Dモデルハウスを公開しています。ブラウザ上の操作で家の中をくまなく閲覧できる仕組みです。ハウスメーカーや不動産販売業者であれば、一棟あたりの販売額も大きいため、1つの物件に予算を費やし、3Dモデルハウスを構築しても費用対効果が見合うでしょう。けれども、賃貸仲介業の場合は、もっと安価で取り組める施策が必要です。
こちらは不動産向けに360度映像を作成するアプリ提供サービスです。スマートフォンで撮影でき、月額制で利用できる安価なサービスなので賃貸仲介業でも導入しやすいでしょう。
リアルな内覧は1日で数件が限界ですが、オンライン内覧であれば何十件もの比較検討が可能です。このような仕組みを導入すれば、業務効率化はもちろん、顧客が望む物件を紹介できる確率も向上します。
3.オウンドメディア
オウンドメディアは潜在顧客へのアプローチに効果的です。不動産プラットフォームに訪れる方は、具体的に引っ越しを検討していて、条件もある程度決まっている顕在顧客です。そして、仲介業者が提供できる物件に大きな違いはありません。つまり、不動産プラットフォームでの集客は、媒体上で競合より優先的に表示されるか、安い見積もりを提出できるかにかかっています。
一方、潜在顧客にアプローチすれば、こうした競争から脱却できます。そのために必要なのが、情報収集などの目的で閲覧されるオウンドメディアの活用です。
オウンドメディアで内容が濃く、役に立つ情報を継続的に発信できれば、サイトへの流入数が増えていきます。その内容をSNSやYouTubeチャンネルで拡散していくなど、媒体をまたいだ施策展開でさらに効果を高めていけるでしょう。
下記の記事ではオウンドメディアの作り方について詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。
4.リスティング広告
不動産の購入や賃貸契約は一生で数回しかない大きなイベントです。当然ですが行動プロセスは長く、複雑です。だからこそ、YouTubeチャンネルの運用やオウンドメディア、VR/3D内覧など差別化できるコンテンツが重要になります。潜在顧客、顕在顧客、検討顧客、さまざまな顧客ステージや顧客行動に合わせた集客施策を展開しましょう。
とはいえ、このような施策を収益につなげるのは時間がかかります。そこで、取り組むべき施策がリスティング広告です。
不動産業界は競争が激しく、闇雲にリスティング広告を出稿するだけでは費用対効果が合わないかもしれません。広告経由で直接契約に結びつけるのが難しい分野です。
しかし、これまで紹介した集客施策を行っていた場合は話が違います。YouTubeでの魅力的な物件紹介、VR/3D内覧、オウンドメディアでの発信など、これらの施策をリスティング広告で大きくスピードアップできます。
リスティング広告は「物件 一人暮らし」など、設定したキーワードでインターネット検索した人に表示されます。物件探しへの興味・関心が高い人に広告を表示させられるのです。狙ったキーワードでコーポレートサイトやオウンドメディアに集客できるため、ファンの獲得を加速させられます。
コーポレートサイトやオウンドメディア、SNSなどのコンテンツを閲覧する見込み顧客を素早く増やし、将来の契約に結びつくように信頼関係を構築していきましょう。
下記の記事では自社でリスティング広告を運用する際のポイントを解説しています。ぜひ、ご覧ください。
▶【自社運営だから読みたい】リスティング広告運用の7個のポイント
集客を成功させるコツ
不動産企業の集客方法には、他にもチラシや看板、Googleマイビジネスや一括査定サイトへの登録など、さまざまなものがあります。もちろん、それらにも一定の効果はありますが、今回は紹介を省略しました。
最後に、これらの集客方法について説明を省いた理由を交え、集客を成功させるコツを紹介したいと思います。
1.差別化にこだわる
不動産仲介業者が提供する物件そのものは、差別化できません。だからこそ、集客で最もこだわるべきポイントは差別化です。
チラシや看板、一括査定サイトや不動産プラットフォームでは差別化が困難です。これらに頼った集客しかしていないと、価格競争や店舗の立地勝負になってしまいかねません。
したがって、YouTubeやオウンドメディアなど、差別化しやすい方法に取り組む必要があります。YouTubeであれば紹介する際のキャラクター、オウンドメディアでは顧客に寄り添ったコンテンツなど、提供する物件が同じでも情報の届け方で差別化できます。
2.時代に合わせたコンテンツの提供
VR/3D内覧など時代に合わせた新しい技術を活用し、ユーザーにより良い体験を提供しましょう。
また、オウンドメディアで発信する情報にも、時代の流れを取り入れることが大切です。
こちらは「テレワーク 賃貸」をGoogleトレンドで調べた結果です。2020年4月ごろに急増し、そこから一定のニーズを保っています。検索ニーズが増え始めた時期に「テレワークスペースが確保できる賃貸物件」といったコンテンツを提供すれば、多くの潜在顧客にアプローチできたはずです。
不動産の契約や購入は、顧客にとって人生で数回しかない出来事です。不動産会社はそれをサポートするからこそ、役立つコンテンツ、良い体験は顧客の記憶に残ります。長期的にはリピーター化にもつながるため、ぜひ時代に合わせたコンテンツの発信を検討してみてください。
まとめ
本記事では、不動産仲介業を中心におすすめの集客方法を紹介しました。
不動産仲介業では、ポータルサイトが集客の中心になっており、取り扱う物件が似通ってしまうので、差別化が難しい分野です。また、物件の購入や賃貸契約は人生の中で頻繁に行うものではないので、集客施策の直接的な効果が感じにくいかもしれません。
他の業者と差別化するためにも、Youtubeチャンネル、VR/3D内覧、オウンドメディア、リスティング広告を活用したコンテンツ提供に取り組みましょう。
常日頃から信頼を積み重ね、顧客が物件を選ぶ必要性を感じた時に、問い合わせ先として真っ先に頭に浮かぶようになれば、契約獲得につながります。
そのためにも、発信する情報の差別化と時代に合わせたコンテンツ提供が大切です。
本記事を参考に、できるところから集客施策に取り組んでみてください。